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【森博嗣】
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冷たい密室と博士たちの評価:
5.71/10点 レビュー 14件。 C ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点5.71pt
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
やはり順番がギクシャクしているなぁ
『すべてがFになる』から始まる犀川教授と西之園萌絵コンビのS&Mシリーズ第2作の本書は実はこちらが最初に書かれた作品らしい。その節は確かにあり、犀川と西之園萌絵の現状や家庭環境などがきちんと語られ、イントロダクションとなっている。一応ところどころに真賀田四季の事件のことが挟まれてはいるが、どうも話からは浮いた感じがしてしまう。今回の事件は犀川の勤めるN大学で、親友で同僚でもある土木学科の喜多教授が所属する極地研で起きた密室殺人事件に挑むというもの。1作目も密室ならば2作目も密室。しかもどちらも一種特殊な建物の中での殺人ということで、いわゆる館物に属するが、森氏の作品に出てくる建物は大学の特殊な実験のために建てられたという点で現実的であることだ。1作目の感想にも述べたが、森氏自身が建築学科の教授でもあるため、出てくる建物が特異であっても奇抜さは感じない。建築基準法に則した建物であり、更には犀川の視点を通じて意匠についてのコメントもあり、リアルさを感じる。事件は実にシンプルな密室殺人なのだが、シンプル故になかなか謎を解明できない。しかし私には本書の謎がさほど魅力的には映らず、地味な殺人事件を嬉々として解決しようとする西之園萌絵の無邪気さに半ば呆れ、半ば怒りさえ覚えたりもし、萌絵が事件の秘密を暴こうと極地研に潜入した際に犯人と思しき人物によって襲われた時は逆に溜飲が下がる思いがしたものだ。ただそんな強い負の感情によって引き起こされた事件は解決編で明かされる真相を読む限り、数学的な論理的整然さを伴っており、方程式を解いたような小奇麗さを感じる。1つの部屋に入ったのは4人。残っていたのはそのうち2人。さて残りの2人はどうやって部屋から自然な形で出て行ったのでしょう。そんな知的パズルの解を見せられた思いがした。ところでこの前に読んだ『氷菓』の折木といい、本書の犀川といい、事件の渦中にいながらも積極的に謎解きに関与しないのが昨今の名探偵の姿勢らしい。確かにゆとり世代―これらの作品の登場人物の年齢よりはかなり下がるが―と呼ばれる最近の若者の妙に悟りきった考え方やあまり力を入れずに額に汗かくことを厭う緩さに共通する物があるように感じた。このドライな感覚、つまり事件の渦中にいながらもどこか他人事のように冷めた視線で物事を見つめる視線は確かに名探偵の必要な要素ではあるが、大学教授である犀川はあまりにリアルすぎて探偵役としてなかなか素直に受け入れられないきらいがある。やはり本格ミステリの名探偵は浮世離れしたエキセントリックさが必要ということか。正直2作を読んだ現段階ではなぜドラマ化されるまでこのシリーズが持て囃されるのかがまだ解らない。上に書いたように犀川のドライさ、西之園萌絵のお嬢様ゆえの他者のテリトリーに土足に上がり込むだけでなく、警察の本部長を務める叔父へ強引に協力を求めて捜査記録を拝借する厚顔無恥さはアラフォーになった今の私にはなんとも常識知らずとしか思えない。しかし巷間数多溢れる本格ミステリの探偵とは元々そんな存在ではないかと一方で思う私もいる。S&Mシリーズ全10作を読み終えた時にこのシリーズの真価が解るのかもしれない。とにかく今結論を出すにはまだ早いのだろう。犀川と西之園萌絵にこれからどんなことが起き、そして彼らにどんな変化が訪れるのか、根気よく付き合っていこう。 ▼以下、ネタバレ感想
冷たい密室と博士たちの感想
森博嗣、事実上の処女作!鋭利な論理と密室トリックが光る傑作!
シリーズ第二弾ようやく各キャラクターのキャラも確固たるものになり、物語に彩りをもたせる事が出来てると思います。個人的には、<責任>と<責任感>の解釈の仕方がグッときました
前作に引き続いてやはり登場人物が魅力的でした密室のトリックも結構なるほどと思えたので「F」ほどではないにしろ良作ではあると思いますしかし、時々文章が読みづらくなったりするので(私の読解力が低いせいかも)そこは個人的にマイナスポイント全体的にはよかった方なので次作を早く読みたいと思います(笑)
S&Mシリーズの第2作目
前作に比べると若干地味な印象を受ける本作。しかしながら人物に深みが出てきている。犀川と喜多の今後の関係も楽しみだ。
『すべてがFになる』から始まる犀川教授と西之園萌絵コンビのS&Mシリーズ第2作の本書は実はこちらが最初に書かれた作品らしい。
その節は確かにあり、犀川と西之園萌絵の現状や家庭環境などがきちんと語られ、イントロダクションとなっている。一応ところどころに真賀田四季の事件のことが挟まれてはいるが、どうも話からは浮いた感じがしてしまう。
今回の事件は犀川の勤めるN大学で、親友で同僚でもある土木学科の喜多教授が所属する極地研で起きた密室殺人事件に挑むというもの。
1作目も密室ならば2作目も密室。しかもどちらも一種特殊な建物の中での殺人ということで、いわゆる館物に属するが、森氏の作品に出てくる建物は大学の特殊な実験のために建てられたという点で現実的であることだ。
1作目の感想にも述べたが、森氏自身が建築学科の教授でもあるため、出てくる建物が特異であっても奇抜さは感じない。建築基準法に則した建物であり、更には犀川の視点を通じて意匠についてのコメントもあり、リアルさを感じる。
事件は実にシンプルな密室殺人なのだが、シンプル故になかなか謎を解明できない。
しかし私には本書の謎がさほど魅力的には映らず、地味な殺人事件を嬉々として解決しようとする西之園萌絵の無邪気さに半ば呆れ、半ば怒りさえ覚えたりもし、萌絵が事件の秘密を暴こうと極地研に潜入した際に犯人と思しき人物によって襲われた時は逆に溜飲が下がる思いがしたものだ。
ただそんな強い負の感情によって引き起こされた事件は解決編で明かされる真相を読む限り、数学的な論理的整然さを伴っており、方程式を解いたような小奇麗さを感じる。
1つの部屋に入ったのは4人。残っていたのはそのうち2人。さて残りの2人はどうやって部屋から自然な形で出て行ったのでしょう。
そんな知的パズルの解を見せられた思いがした。
ところでこの前に読んだ『氷菓』の折木といい、本書の犀川といい、事件の渦中にいながらも積極的に謎解きに関与しないのが昨今の名探偵の姿勢らしい。
確かにゆとり世代―これらの作品の登場人物の年齢よりはかなり下がるが―と呼ばれる最近の若者の妙に悟りきった考え方やあまり力を入れずに額に汗かくことを厭う緩さに共通する物があるように感じた。
このドライな感覚、つまり事件の渦中にいながらもどこか他人事のように冷めた視線で物事を見つめる視線は確かに名探偵の必要な要素ではあるが、大学教授である犀川はあまりにリアルすぎて探偵役としてなかなか素直に受け入れられないきらいがある。やはり本格ミステリの名探偵は浮世離れしたエキセントリックさが必要ということか。
正直2作を読んだ現段階ではなぜドラマ化されるまでこのシリーズが持て囃されるのかがまだ解らない。上に書いたように犀川のドライさ、西之園萌絵のお嬢様ゆえの他者のテリトリーに土足に上がり込むだけでなく、警察の本部長を務める叔父へ強引に協力を求めて捜査記録を拝借する厚顔無恥さはアラフォーになった今の私にはなんとも常識知らずとしか思えない。
しかし巷間数多溢れる本格ミステリの探偵とは元々そんな存在ではないかと一方で思う私もいる。
S&Mシリーズ全10作を読み終えた時にこのシリーズの真価が解るのかもしれない。
とにかく今結論を出すにはまだ早いのだろう。犀川と西之園萌絵にこれからどんなことが起き、そして彼らにどんな変化が訪れるのか、根気よく付き合っていこう。
▼以下、ネタバレ感想