■スポンサードリンク


ガラパゴス



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
ガラパゴス 上
ガラパゴス 下

ガラパゴスの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

田川刑事再び

警察小説プラス社会性といったティストで書くのがこの作家の持ち味。主人公の刑事に正対する悪が個人というよりも社会悪、そういった図式で書くスタイル。
前回は食の安全に注意と喚起を促す内容を込めた事件捜査を描いたもの。 今回はエコの言葉に惑わされ本質を見失う世間と、派遣法の改正によって労働者が悲惨な状況に陥っている
現状を絡ませた殺人事件を描いたもの。 見方が偏り過ぎるといった批判が当然出るだろうが、そこは物語を動かしていく意味で必要なプロセスだから黙って受け入れるべきだ。
田川刑事が自殺として処理され身元不明者のリストに埋もれていた案件を見つけ出す部分はとても自然な動きで無理が無い。この辺はこの作家はしっかりとした計算の上で進めていくので
読んでいて気持ちが良い。都合よく作家の思惑で主人公を動かさないということだ。殺人事件を自殺として処理された経緯も十分納得がいく。このへんを適当に書かれたらそれだけで
読む気が無くなる。例によって地取りの鬼と言われる田川刑事が丹念に死者の身元を洗い出し一人一人関係者を探して訪ね歩く。急がず慌てず地道に聞き取りに歩く様子が今回も描かれる。
相棒となる鑑識課の刑事と業過、業務上過失致死案件を捜査する刑事が登場する。それぞれの人物が良く立っているのがこのシリーズの特徴ともいえる。
捜査を妨害する敵もいるが、被害者側の友人知人たちが殺された人の人徳で刑事たちの聞き込みに応えるところなどは読ませどころだ。
そういった人たちの何気ないひと言で、少しづつではあるが捜査が進展していく過程が田川刑事の人間らしい行動と重なって気持ちがいい。
殺された沖縄出身の青年が哀れを誘う社会派ミステリだ。

ニコラス刑事
25MT9OHA

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!