時は昭和九年。関東大震災から復興を遂げ華やかなモダン東京を謳歌したのも束の間、戦争の影が徐々に忍び寄っていた。

五・一五事件の前日に来日した大スター、チャップリンの知られざる暗殺計画とは―粋と仁義を体現する伝説の夜盗たちが、昭和の帝都を駆け抜ける。

ある日、目細の安吉一家に客分として現れた、時代がかった老侠客。

「武勇伝なんぞするやつァ、戦をしたうちにへえるものか」二百三高地の激戦を生きのびた男はそうつぶやいた…。

花沢支配人は青ざめた。

極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介は驚いた。

阿部看護婦長、またの名を“血まみれのマリア”は心に決めた。温泉に行こう。

義母の富江は心の底から喜んだ。孝之介が文壇最高の権威「日本文芸大賞」の候補になったというのだ。

失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。

日本人の「義」とは何か。 小雪舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、満身創痍の侍がたどり着いた。

時は、明治元年暮。

大手デパート勤務の椿山和昭は、ふと気付けばあの世の入り口にいた―。

読者の意表をつく設定、家族も帰る場所も持たない還暦世代の「おひとりさま」を魅了する新しい故郷の形、母の抱く無限の愛情とその人生、細りゆく山村と最先端ビジネスの組合せ……。

片岡の一人息子・譲は、信州の集団疎開先で父親の召集を知る。

爆殺――その朝、英雄の夢が潰えた。 『中原の虹』完結から3年。

1938年秋。流行探偵作家の小柳逸馬は、従軍作家として北京に派遣されていた。

奥多摩の、太古から神を祀ってきた霊山・御嶽山の上にある村。そこにある神官屋敷は浅田氏の実家である。

列強諸国に蹂躙され荒廃した清朝最末期の北京。その混乱のさなか、紫禁城の奥深くでひとりの妃が無残に命を奪われた。

大いなる母・西太后を喪い、清王朝の混迷は極まる。

遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きた。

泰平の世に積もりに積もった大借金に嫌気のさした先代は縁の薄い末息子に腹を切らせて御家幕引きを謀る。

帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。

京大生になったばかりの“僕”は、町に馴染めず友人もできずにいた。

橋岡恒彦は「名簿屋」の高城に雇われていた。名簿屋とは電話詐欺の標的リストを作る裏稼業だ。

日本びいきの恋人、ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本へのひとり旅を命じられたアメリカ人青年のラリー。

婿養子が公金を持ち出し失踪。

浦島太郎は竜宮城でどんな饗応を受けたのか(サシミであるはずがない)思いを馳せる表題作ほか、大人気エッセイ第4弾。

明治維新期。「武士」という職業がなくなり行き場を失った岩井五郎治は、遺された孫のために命も誇りも投げ出す覚悟を決める。

士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。

奈良県で日本の元内閣総理大臣が撃たれ、死亡した。その場で取り押さえられたのは41歳男性の容疑者。

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

ある雪の降る夜に芝居小屋のすぐそばで、美しい若衆・菊之助による仇討ちがみごとに成し遂げられた。

万延元年（一八六〇年）。姦通の罪を犯した旗本・青山玄蕃に奉行所は切腹を言い渡す。

江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。

38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢った。

柚月裕子の13年がつまった短編集 美しい花には毒がある 献身的に母の介護を続ける娘の楽しみとは……。