テロリストのパラソル

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種別
長編
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あらすじ

1998年07月15日 テロリストのパラソル (講談社文庫)

アル中バーテンダーの島村は、過去を隠し二十年以上もひっそり暮らしてきたが、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから生活が急転する。ヤクザの浅井、爆発で死んだ昔の恋人の娘・塔子らが次々と店を訪れた。知らぬ間に巻き込まれ犯人を捜すことになった男が見た真実とは…。史上初の第41回江戸川乱歩賞・第114回直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

評判

テロリストのパラソルの評価:

6.50/10点 レビュー 12件。 B ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点6.50pt

テロリストのパラソルの総合評価:

7.80/10点 レビュー 189件。

感想一覧

サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

全2件 1〜2 1/1ページ
No.2
(9pt)

過去が追いつかれてしまった人々

2007年に亡くなった藤原伊織氏の江戸川乱歩賞受賞作にして直木賞受賞作。こんな説明が要らないほど有名な作品だが、確かにこれはとてつもないデビュー作だ。

まず冒頭の導入部。久々に晴れた日、公園まで散歩する主人公と休日を楽しむ人々の風景。そして突然の爆発。
静から動への反転が素晴らしく、一気に読者を物語世界に引きずりこむ。

主人公はアル中のバーテン島村圭介。それは偽名で元の名を菊池俊彦という。彼は過去園堂優子、桑野誠の3人で活動していたノンセクトの全共闘時代の闘士の1人だった。
彼が現在のように名を変え、人の目から隠れるようなその日暮らし、その場しのぎの生活を送るようになったのはこの全共闘時代に起こした犯罪が基ではなく、その後それぞれの道を歩き出した3人が人並みの生活を送れるようになったその瞬間に訪れたある爆発事故だった。その時の被害者にも警察官がいたという運命の皮肉。

そんな彼を取り巻く人物も血肉を持っている。島村のかつての友人桑野に優子は無論の事、新興の組を束ねるエリートヤクザ浅井に、優子の娘、松下塔子。
彼らに共通するのは栄光を掴みかけた喪失感だろうか。何かに失敗し、また這い上がろうとし、努力を重ね、そして再び成功に似た何かを掴みかけたその瞬間、運命が眼の前でそれを攫っていく。ただ彼らはそれをあるがままに受け入れる。何かのせいにせず、とにかく生き延びる事にだけ執着して。

主人公の島村の場合はそれはボクサーとしての栄光であった。
エリートヤクザの浅井にとって、それはノンキャリアながらも異例のスピードで出世していく警察官だった時だった。
園堂優子にとって、それは彼女が3ヶ月間、島村こと菊池と暮した短い日々だった。
桑野にとって菊池と優子の3人とともに戦った日々であった。

それらを語る文章になんの衒いも飾りもない。ただ少しばかりの感傷を織り交ぜ、物事が、時間が語られる。その行間に隠されているのは彼らが辿った人生の重み、深みだ。
素晴らしい。時間を忘れる読書を久々に体験した。

逃亡生活を送っていた島村を事件と向き合わせたのは偶然がもたらしたかつての友たちの死。彼らへの弔辞の代わりに誰が彼らを殺したのかを探る。

知らなければいい事は確かにある。笑顔で笑いあった日々、その眩しい思い出に隠された本当の心などはそれぞれの胸の内に仕舞い込んでおけばいい。答えを知る事で失う事があることだってあるのだ。
しかし、失う事ばかりではなく、確かに私こと菊池が得た物もあった。それはかつて一緒に暮した女性の娘の恋心だ。それだけが救いか。

10月の長く続いた雨が止んだ土曜日、新宿中央公園で起きた爆破事件。それは物語の始まりであったが同時に彼ら3人の終焉の瞬間であったのだ。
その運命の瞬間に居合わせた人々が形成する曼荼羅はいささか偶然に過ぎる感じもするとも云えるが、まあそれは措いておこう。

本書の題名にあるパラソルという単語は最後の最後にようやく登場する。ある登場人物がこの言葉に込めた意味とは、以前とは変わり果ててしまったある人物の中に最後に見出した少しばかりの優しさだったのかもしれない。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1
(10pt)

同時受賞は伊達じゃない!

最後のドンデン返しのドンデン返しが、これまで読んだ作品の中でも最も意外で且つ納得できるものでした。私の中ではミステリー(ハードボイルド系)ベスト3に入る作品です!

せいじ
JBTI36XX

Amazonレビュー

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未読の方はご注意ください

No.177
(3pt)

おもしろい

おもしろいが、途中冗長なパートがある
しかし、風景描写は美しく、文章全体が素敵に流れていく。

全共闘の話についても、かつて駒場にいた頃を思い出し、感傷の波が私の心に押し寄せちくちくと胸が痛んだ。
テロリストのパラソル (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: テロリストのパラソル (講談社文庫)より
4062638177
No.176
(2pt)

邪恋

テストの点だけは取れる最低男の横恋慕、南米流などと言っているが所詮は四畳半。
これが彼らの言う「総括」だとでも言うのでしょう。
テロリストのパラソル (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: テロリストのパラソル (講談社文庫)より
4062638177
No.175
(2pt)

邪恋

テストの点だけは取れる最低男の横恋慕、南米流などと言っているが所詮は四畳半。
これが彼らの言う「総括」だとでも言うのでしょう。
テロリストのパラソル Amazon書評・レビュー: テロリストのパラソルより
4062077973
No.174
(5pt)

団塊世代の鎮魂歌的作品

藤原伊織さんの乱歩賞・直木賞ダブル受賞作且つ、筆者の最良作だと思います。
筆者の知的な部分とダンディズムが凝縮され表現された様な作品。

団塊世代の鎮魂歌的な作品は世に数多ありますが、その世代よりもかなり若い者の目から見た時、この作品が知る限り一番です。
リアルを知らない「歴史」だが、当時の情熱=青臭さと退廃・怠惰が同居した様な、一種独特でその時代にのみ存在したであろう空気・匂いを感じた。

団塊世代に対し賞賛的で無く明らかに否定的な若造に対しても、その時代の空気には一度触れてみたかった、と感じさせる作品。
ただ、この世代が甘受した経験と引き換えに、何十年も死に続けている今の日本があるのだという現実から見ると、大変複雑。

しかし、それだけの経験を出来た世代の描く作品には、それなりの濃度が存在するという根拠たりえる。
贅沢な経験出来た世代だけの特権、としておくのは勿体無く、それ以降に生まれ世代でも、その欠片を甘受出来るのも読書の醍醐味でしょう。

そこに何を感じるか?は、人それぞれですが。
テロリストのパラソル (角川文庫) Amazon書評・レビュー: テロリストのパラソル (角川文庫)より
4043847017
No.173
(5pt)

団塊世代の鎮魂歌的作品

藤原伊織さんの乱歩賞・直木賞ダブル受賞作且つ、筆者の最良作だと思います。
筆者の知的な部分とダンディズムが凝縮され表現された様な作品。

団塊世代の鎮魂歌的な作品は世に数多ありますが、その世代よりもかなり若い者の目から見た時、この作品が知る限り一番です。
リアルを知らない「歴史」だが、当時の情熱=青臭さと退廃・怠惰が同居した様な、一種独特でその時代にのみ存在したであろう空気・匂いを感じた。

団塊世代に対し賞賛的で無く明らかに否定的な若造に対しても、その時代の空気には一度触れてみたかった、と感じさせる作品。
ただ、この世代が甘受した経験と引き換えに、何十年も死に続けている今の日本があるのだという現実から見ると、大変複雑。

しかし、それだけの経験を出来た世代の描く作品には、それなりの濃度が存在するという根拠たりえる。
贅沢な経験出来た世代だけの特権、としておくのは勿体無く、それ以降に生まれ世代でも、その欠片を甘受出来るのも読書の醍醐味でしょう。

そこに何を感じるか?は、人それぞれですが。
テロリストのパラソル (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: テロリストのパラソル (講談社文庫)より
4062638177

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