石の中の蜘蛛
- 日本推理作家協会賞受賞 (110)
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聴覚が異常に発達した男のミステリ。その聴覚から見えるものの描写(比喩)の質と量が半端じゃない。奇蹟的。似たコンセプトの話に「カニスの血を嗣ぐ」があるが、あちらは最後盛り上げてくれたのだが、こちらはそういう意味ではいまいち。そもそもミステリとしてはあまり面白いとは言えない。もともとファンタジーが主の作家だと思うし、本格的なミステリを書く気はなかったんじゃないかな(邪推ですいませんが)。だが、この比喩たっぷりの文章を読むだけでも繰返し読みしたくなるから日本推理作家協会賞受賞も文庫化も大変嬉しい。是非「カニスの血を嗣ぐ」も文庫化してほしい。 | ||||
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2002年に出た単行本の文庫化。 この人の作品はユーモア・ミステリしか読んだことがなかった。本書を読んでびっくり。こんなに真っ当な「実験小説」を書く人だったとは。 本書のテーマは「音」である。ちょっとした事故で聴覚が鋭敏になってしまった主人公。ただ耳がいいというだけではなく、場所やものに蓄積された「過去の音」をも捉えることが出来るようになったという、驚きの設定である。 そして、彼の耳(や目)に響いてくる音の世界の不思議さといったら! 文章、比喩表現、展開に工夫があり、めくるめくような「音」に圧倒される一冊であった。 ひたすらそこを味わいながら読むべき小説。異様な読書体験となること間違いない。 残念ながら、ミステリとしてはまったく評価できない。 | ||||
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いろいろなところで(例えばSTUDIO VOICEの2000年代小説100冊には同じ作家の『ぬ』が掲載)紹介されているホープらしいので読んでみたのだが、つまらない。 楽器修理職人立花は、引っ越した日に交通事故に遭い、そのあとから異常に聴覚が鋭くなる。常人では聞き取れない音や、部屋に残された音(「残り香」ならず「残り音」だね)を感じ取れるようになり、あちこちをたたいて残音を確かめると、どうも前に住んでいたのが細身のきれいな女らしいことが分かる。その女は不動産屋の話によると失踪してしまったらしいのだが、立花はその女の行方を探り始める、という話。 まあ、21世紀に古いテーマの「人探しハードボイルド」を書こうと思うとこれくらいの斬新な設定が必要なのかもしれないが、斬新ならよいというものでもない。こんな妄想だけで前の住人の女を一所懸命追跡しようとするのがうさんくさい。また、「残音」を感じ取るやり方は、スプーンであたりをたたいて残響に耳を済ませる、っていう設定なのだが、これも何とかならないものか。せめてスプーンじゃなくて楽器関係の道具にするとかね、もうちょっとイカシタ小道具があったと思うな。 あと、比喩表現が手抜きとしか思えない。 <エアコンは腰を痛めた老婆のように仕事場で空気を吐き出すたびに溜息をついている。> <なにかが立花の頭の中でささくれだっていた。喉に刺さった小骨のように、気になって仕方のないなにかが脳裏にある。> <白い下着の胸と腰は硬そうな印象。特に胸はゴムボールみたいにまん丸。> こんなクリシェを小説で読みたいだろうか。今時分、ノンフィクションでももう少しかっこいいレトリックに出会える。 | ||||
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あらゆる音が鮮明かつ明確に聞こえてくるだけでなく、その音が脳内で視覚化して、そして、触覚化したとしたら、どうなるのだろう? その描写が見事で、読んでいる側も音と光のイメージの洪水に溺れそうな錯覚を感じます。 そして、そのような特異な感覚を持った登場人物がその能力をフルに活かして、犯罪事件に対峙していきます。 また、部屋や場所が音の記憶を持ち、その記憶は再現可能であり、音の発生源を特定できる、という発想が見事です。 人間の持つ孤独感・欠如感が、その独特なイメージの中で、際立ってきます。 文章に描かれた一つ一つのイメージを膨らませながら読むと、この本の面白さ・恐ろしさが倍増することでしょう。 | ||||
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