虚史のリズム
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あらすじ
新しい戦前? 否、死者の声は響き続けてきた――ある殺人事件を機に巻き起こる、国家機密の「K文書」を巡る謎……。近現代史の魔法使いが仕掛ける、至高のメガ、もといギガ、もといテラ・ノベル!1947年東京、石目鋭二はかねてより憧れていた探偵になることにした。進駐軍の物資横流しなど雑多な商売をこなしつつ、新宿にバー「Stone Eye」を開き、店を拠点に私立探偵として活動を始める。石目が収容所で知り合った元陸軍少尉の神島健作は、山形の軍人一家・棟巍家の出身。戦地から戻り地元で療養中、神島の長兄・棟巍正孝夫妻が何者かによって殺害される。正孝の長男・孝秋とその妻・倫子は行方知れず、三男の和春も足取りが掴めない。他の容疑者も浮かぶ中、神島の依頼を受けた石目は、初めての「事件」を追い始める。ほどなく、石目のもとに渋谷の愚連隊の頭からの新たな依頼が舞い込む。東京裁判の行方をも動かしうる海軍の機密が記されている「K文書」の正体を探ってほしいと言われるが……。作中に差し挟まれる、dadadadadadaという奇妙なリズムが意味するものとは?記憶と記録が錯綜する、超規格外ミステリー。(「BOOK」データベースより)
評判
虚史のリズムの評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
虚史のリズムの総合評価:
8.86/10点 レビュー 7件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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奥泉らしいと言えば、奥泉らしい作品である。
山形県の田舎で、終戦後に元中将夫妻が殺される。
誰が殺したのか、目的な何か? というところから話は転がっていくのだが、この殺人事件そのものは、何度も登場する割には決定的に大きな役割を持っているわけではない。
その金庫から「K文書」なるものが持ち去られたらしいのだが、このK文書には日本の未来が記述されているらしい。
なぜ未来が記述されているのかと言えば、それは多元宇宙と往還できた人物が、その見聞を記述したものだからだ。
そして、俄か探偵となるおっちょこちょいが舞台回しを演じる。
元中将の末弟、その甥である元士官の妖艶な妻、アマゾネス社会の実現を目指す女、多元宇宙論と宗教「皇祖神霊教」との融合を追求する陸海軍の超天才たち、そして暗黒街とGHQの高官たちが登場して目まぐるしい。
しかも、この物語には幾重にもなった二重性が組み込まれている。
あちらの世界である「第一の書物」とこちらの世界である「第二の書物」、戦争末期のフィリッピン・ネグロス島での死の行軍と戦後の世界、人間の世界と鼠化した人間の世界等々である。
さらに、本書には文字の意味情報だけでなく、視覚的なリズム情報までもが埋め込まれている(写真)ので、もう読むのが大変なのである。
それでも、例によって不思議な読後感が得られるのが奥泉作品の不思議なところである。
終盤部分で本書が10年以上前に読んだ『神器 軍艦「橿原」殺人事件』(これのレビューはコメント欄に)の続編のような位置にあることに気づく。
どうやら、20年以上前に読んだ『グランドミステリー』にもつながっているらしいが、そっちの方は内容を忘れてしまっているので、何とも言えない。
先年読んだ『雪の階』にもつながるという情報も出ていたが・・・。
これらをもう一度読み直してみるか思案中である。
もう一つ付け足せば、どうやら本書はこれで完結ではなく、今後さらに他の作品へとつながっていきそうなのである。
嗚呼w