夜、すべての血は黒い
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第一次大戦にフランス軍の歩兵として参加したセネガルの青年アルファが、という要約より、繰り返しを多用したその語りであったり、切り落とされた云々といった凄惨な描写であったりが印象に残る作品であるように思います。 ただ、「知っている、わかっている、」や「神の真理にかけて」等々の呪術的なフレーズに紛れてはいますが、実は作品の柱となるのではないかと思われる「内側」「外側」は、戦場での出来事を描いた前半が「外側」、療養所で絵を描くことを促されて自らの来歴に内省する後半が「内側」と大きな枠組みで考えると、アブドゥ・チャムとの性交の場面での「内側」と「外側」の融解のイメージが最後のマデンバの独白の予告にもうまく繋がるように思います。 と、そんなことを考えながら読了しましたが、訳者あとがきを読むと、特に194、195ページの意図に関する記述についてはほとんど思いもよらないことばかりだったので、もしかすると的はずれな読み方かもしれません。 | ||||
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本書の主人公は第一世界大戦にフランスにより、植民地セネガルから歩兵として動員された黒人兵である。このような複雑な立場が主人公となる物語は、セネガル人の父、フランス人の母を持つ著者だからこそ書くことができたと言えるかも知れない。 主人公のアルファは親友と共にフランス軍に組み入れらドイツ軍と対峙するが、その親友が戦場で腹を切り裂かれて死ぬ場面に立ち会うところから物語は始まる。親友の死を契機にアルファはその復讐とも言える残虐な方法で敵兵を殺すようになり、次第に味方からも恐れられ、避けられるようになっていく。 読み始めた時は凄惨な場面がこのまま続くのかと思ったが、次第に宗主国の戦争に巻き込まれたセネガル兵の部隊の中で置かれた立ち位置や、故郷セネガルの文化、主人公の生い立ちが次第に明らかになってきて、物語に引き込まれていった。 最後のシーンが自分にはよく理解できなかったのは残念だったが、200頁弱と小説としてはかなり短いにも拘わらず、なかなか読み応えのある一冊であった。 | ||||
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第一次世界大戦下。主人公アルファは当時フランスの植民地だった西アフリカに位置するセネガル出身の黒人青年で、フランス軍の歩兵として最前線で戦っている。 その渦中、兄弟のように一緒に育った親友が目前でむごい怪我を負い、アルファの腕の中で亡くなる。 そこから始まる彼の異常行動。狂気なようで、本人は周囲の対応などを冷静に捉えている。 果たして彼の行く末は―――。 作者は1966年生まれのセネガル人とフランス人の混血。戦争体験はもちろんないが、その残忍さ、暗闇の中で泥だらけの地べたを這いずって進行する過酷さ、上官による理不尽な仕打ちなどは、かなり的確に描かれていると思った。少なくともやはり戦争体験のない私が読む分には。 また後半には、アルファが生まれ育ったセネガルでの生活に想いを馳せるシーンがある。これに関しても、作者は幼少期をセネガルで過ごしたとのことで、20世紀前半の生活ぶりや社会情勢がリアルに描かれている。 (ネタバレにはならないと思うので記述するが)結末はよくわからなかった。明確には描かれていない。だが想像はできる。 終始主人公の一人称で綴られており、アフリカで生まれ育った純真無垢な青年が、過酷な戦争体験によって自我を失っていくようすが伝わる。 現在もウクライナや中東で戦争が繰り広げられている。 私の母をはじめ、戦争被災者、体験者は「戦争だけは絶対にしてはいけない」と口をそろえて言う。 「いざとなったら戦わなければならない」と言うのは、前線に行かなくてもいい立場の者(閣僚など)と浅はかな未体験者だ。 作者も強い反戦の思いを、本書に託したのだと感じた。 | ||||
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気に入らなかった点は、早川書房の売り方です。 これをレマルクやセリーヌに連なる「第一次世界大戦」の物語としています。 しかし私はそうは思いませんでした。 著者はそもそも戦争体験がありません。 なによりも興味深かったのは、特に後半部分のセネガルの話です。 | ||||
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