ボーイズクラブの掟
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題名だけみると、ボーイズラブ小説のようにもみえるが、加藤木麻莉さんの魅力的なカバー画を見ると、そうではなさそうで、主人公は女性らしい。 ただし、題名と絵だけでは、コージーまたはロマンティックラブ小説のように見えなくもない。 宣伝を見ると、本邦初訳本というのに、なぜか3行しかない。それでも、大手法律事務所の新人女性弁護士が主人公であることと、ハラスメントの出てくる話であることはわかる。 ミステリマガジンの7月号を見ると、「ミステリ文庫通信」に出ている。「スリラー小説」とし、「華やかに見えた彼女の新生活は、長時間労働やセクハラなどの男性基準のルールに蝕まれていきー日本にも存在する男社会の闇を映し出す一作です」と書かれていて、「ボーイズクラブの掟」とは、男性基準のルールらしい。 買うべきか買わざるべきか迷ったが、たいへん不気味で気になるのは、発売後1月経つのに、アマゾンレビューに、評価もレビューも全く載っていないことである。これはなかなかミステリアスで、どういう本なのか読んでみたくなった。中身試し読みの登場人物表を見ると、企業内小説のようで、さほど複雑そうではない。それで、kindle で購入した。 2日ほどで最後まで読めたので、感想を書きたい。 なお、ハヤカワのホームページには、本文庫の訳者あとがきの一部が掲載され、ストーリーが比較的詳しく載っている。 また、原書のアマゾンレビューにはたくさんの評価とレビューが載っている。おおむね好評だが、批判としては、「現実離れ」が多いと思う。つまり、「極端な話」ということになるだろう。 私的感想 ○全体として、面白い本であると思う。読んでよかった。 ○以下、一部ネタバレあり、ご容赦。 ○まず、これがミステリなのかどうかだが、一応ミステリに入れてもよいと思う。どういうミステリかというと、新人女性弁護士アレックスの一人称で書かれており、性的暴力を受ける恐怖の場面もあり、人間関係上重要なことを主人公が最後のほうで知るという謎もあるので、一応スリラーでもよいと思う。 ○一方、これは社会的職業的向上心を持つ女性を、地位向上を餌として、上司男性またはクライアント男性の性的欲望の罠にとらえ、消費することを可能とする組織(規律および実体)を描いている点で、一種の犯罪小説でもある。 ○面白いといっても、接待の場面(つまり食事と酒)の場面が非常に多いのは、ちょっと疲れる。アレックスは最初は不動産法務の仕事をするので、法律ミステリ的な面白さを期待させるのだが、その後M&Aに入ると、接待また接待となる。 ○冒頭に著者の父母への感謝の言葉があり、父母に、セックスシーンは読み飛ばしてほしい、と頼んでいるが、そういうシーンはなかなか多く、よくできている。 ○前半は自宅アパートの同棲婚約者のサムとのシーンで、接待続きの中、主人公にも、読者にも息抜きになっている感じだが、後半は破綻しかけたサムとの関係も続きつつ、上司の男との不倫の愛の行為へうつっていく。不倫愛の行為の場所は車内→年末の事務所→○○→✕✕と多彩で、切ない。そして、これは原則、主人公のほうから望んだことである。 ○一方、アレックスは事務所にとって大事なクライアントから性的暴力を受ける。これは間違いなく犯罪である。 ○本書の新しさは、性的暴力の告発だけでなく、アレックスが自分から望んだ性愛と考えていたものを、「社会的職業的向上心を持つ女性を、地位向上を餌として、超時間外労働で疲労させ、上司男性の性的欲望の罠にはめ、消費することを可能とする組織」の上下関係における性愛ととらえ直す点にあると思う。 | ||||
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