ソーンダイク博士短篇全集:第3巻 パズル・ロック
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あらすじ
探偵小説黄金時代に入り、さらに円熟味を増すソーンダイク博士探偵譚。第3巻収録の短篇集『パズル・ロック』『魔法の小箱』は毒殺、暗号、アリバイ、幽霊出現など多彩なテーマと独創的なトリックの宝庫!ジョン・ソーンダイク博士は、20世紀初めに数多登場したシャーロック・ホームズのライヴァルたちの中でも最も人気を博した名探偵である。当時最新の科学知識を犯罪捜査に導入、顕微鏡をはじめ様々な実験器具を用いて証拠を調べ、事件の真相をあばいていく法医学者ソーンダイクの活躍は読者の喝采を浴びた。また短篇集『歌う骨』では、最初に犯人の視点から犯行を描き、次に探偵が手がかりを収集して謎を論理的に解き明かす過程を描く「倒叙ミステリ」形式を発明した。真相解明の推理のロジックに重きを置いた作風は、現在も高く評価されている。本全集は、ソーンダイク博士シリーズの中短篇42作を全3巻に集成、初出誌から挿絵や図版を収録し、完全新訳で贈る、探偵小説ファン待望の決定版全集である。(「BOOK」データベースより)
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評判
ソーンダイク博士短篇全集:第3巻 パズル・ロックの評価:
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ソーンダイク博士短篇全集:第3巻 パズル・ロックの総合評価:
10.00/10点 レビュー 2件。
感想一覧
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例えば、著者が自選ベストとしている『砂丘の謎』は、こんなふうです。
「『君にかかると、言わずと知れたことみたいに単純だね。だが、いつもどうやって、こういう明白な事実を一目で見抜くんだい? たいていの人間は、この足跡を一瞥するだけでなにも考えずに通り過ぎてしまうだろうに』。『それは』と彼(ソーンダイク)は答えた。『習慣の問題でしかない。単純な外観の意味を洞察しようとする習慣さ。私は、ほぼ無意識にやるようになってしまったよ』。そう話しながら、私たちはゆっくりと進み、ふらふらと砂丘の端まで来てしまった」。
「『どうやってその土地だという結論に?』と私は聞いた。『主に』と彼は答えた。『服から落ちた砂の特性からだ。すべて同じ砂というわけではなかった。そう、アンスティ』と続けた。『砂は埃に似ている。どちらも大きな塊から分離した細かい断片からなる。部屋の埃は、カーペット、カーテン、家具の覆いなどの繊維から剥がれた粒子でできている。埃を顕微鏡で調べれば、こうした繊維の色や素材を確かめられるのと同様に、砂を調べれば、その地域にある崖、岩などの大きな塊の性質を判断できる。その破片は波で削られて浜辺の砂に取り込まれるからだ。あの衣服から採取した砂の一部には顕著な特徴がある。おそらく顕微鏡で調べれば、もっとよく特徴が分かるだろう」。『だが』と私は異を唱えた。『その推論は誤謬ありじゃないか? 一人の男が、異なる時に、異なる場所で、異なる服を着たのかもしれないじゃないか?』。『その点は確かに検討の余地ある可能性だね』と彼は答えた。『おっと、列車が来た。この議論は製粉所(仕事場の意)に戻るまでお預けだ』」。
「チョッキは砂丘砂にまみれ、浜辺の砂は含まれていなかった。シャツと下着から出てきた砂丘砂はわずかだった。つまり、背の低い男の服には浜辺の砂しかなく、背の高い男の服には砂丘砂しかなかったのだ」。
「ソーンダイクの説明を聞き、私は強い感銘を受けた。ただの憶測のように聞こえた結論は、判事の事件要点の説示と同じくらい慎重かつ公平な証拠の分析に基づくものだったとようやく気づいた。彼が即座にその結論を出した証拠の品々は、ずっと目の前にあったのに、私にはなにも分からなかったのだ」。
「ソーンダイクは手を止めて、小さな穴を熱心に覗き込んでいた少佐と私のほうを見た。『なにかあるね』と彼は言った。『コテの柄を触ってみたまえ』」というキャプションの付された挿し絵や、「砂丘の謎の解決に寄与したソーンダイクの顕微鏡写真2点」などが、読者に臨場感を味わわせてくれると同時に、大いに理解を助けてくれます。