あなたをずっと、さがしてた
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
あなたをずっと、さがしてたの総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これは酷いなと思いました。 ライトミステリーは読みやすく楽しいので好きですし、ミステリーはこうでなくては!と小難しく考えているわけではありません。 しかしこの作品は売るためにライトミステリーっぽく仕上げているだけで、叙述トリックでも何でもありません。 読後馬鹿にしているのか?とまで思ってしまいました。 文体ももっと上手く書ける学生がたくさんいるだろうなというレベルです。 内容もお粗末で、売り方もパクリ商法なのに、命を削って書いた大傑作だなんて厚顔無恥にもほどがあります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
悲痛とも言えるあとがきを読むと、酷評するのもいささかかわいそうかなと思ってしまいます。 ただどうにも、主要女の子2人の会話がおじさんの会話にしか見えず、結末に至るまで苦痛でした。 30歳の女性ならうなぎを喜ぶのもわかりますが20歳の女の子が「何でも奢る」って言われてうなぎを頼むかなあ? それがどうにも、決して実力不足というわけでなく、結末を描きたいがために勇み足というか、ちょっとやっつけで描いてないかな?とおもうから残念なんです。 その証拠に、といって良いかわかりませんが、結末部の日常描写(花屋のくだり)はとても魅力的でした。 個人的にメフィスト賞は森博嗣、清涼院流水、ときて蘇部健一が3人目だったことにとても重要な意味があると思っています。 作風が作風なので頭でっかちな人から叩かれることも多いと思いますが、応援しています。 まだ蘇部先生の作品は数作しか読めていないので、これから追っていこうと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
表題作は、敢えて言うならライトな恋愛ミステリー。Web上で期間限定無料公開され話題になっていたらしく、そのため読む前から何かあるぞと思い込んでいまい、実際冒頭からそんな雰囲気も醸し出しています。 ラストは衝撃的ではありましたが、それまでの展開には無理があった感じです。先ほど書いた先入観もあり、不自然さがありありだった気がします。でも、ミステリー好きな方なら、手軽に楽しめるのではと思います。 「四谷三丁目の幽霊」という短編も収録されていますが、ツッコミどころも満載で遊び心が詰まった小説かと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中編の表題作と短編の「四谷三丁目の幽霊」から成る"すれ違い"と"運命の糸"とをテーマとした作品(まさに、「君の名は(注:昔のTVドラマの方)」の世界)。デビュー作「六枚のとんかつ」以降、<"バカ・ミス"の帝王>と揶揄された作者の作品を私は結構愛好していたのだが、「動かぬ証拠」以後はご無沙汰だった。それが、今回の表題作は衝撃のラストという触れ込みで期待して手に採ったのだが、完全に裏切られた。 表題作は奈子という女子大生と謎の美青年との間の「君の名は」風の恋愛ミステリだが、結末が予定調和の上に、幾つかの箇所が論理破綻していて完全な失敗作。これなら"バカ・ミス"の方がずっと良かった。一方、「四谷三丁目の幽霊」は"バカ・ミス"までも行かない単なる与太話だが、作者の持ち味が出ていて中々面白かった。 "バカ・ミス"という堂々とした(?)肩書きがあるのに、何故それを活かさないのか? 特に、表題作は所謂"イヤ・ミス"の影響を受けている感が強く、残念極まりない。私は作者の特長は「"バカ・ミス"+鋭い切れ味」(その代表作が上述した「動かぬ証拠」)だと思っているので、そうした天性を活かした作品の発表を期待したい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本『小説X』には、二つの小説が収録されています。 全191頁。その約四分の三は、中編小説「あなたをずっと、さがしてた」、後半の約50頁は、短編小説「四谷三丁目の幽霊」という構成です。 「あなたをずっと、さがしてた」が少し怖い話でしたので緊張しましたが、「四谷三丁目の幽霊」のほうがほのぼのとする笑える話でしたので、怖がりの読者としては救われました。 この本では、二つの話が一冊の本の中で微妙なバランスを保っていて、素敵な読後感を感じられました。 表題作「あなたをずっと、さがしてた」は、イラストが三枚も含まれる恋愛ミステリーです。ホラー小説に近い、少し怖い話です。 もう一つの「四谷三丁目の幽霊」のほうは、あわてんぼうで勘違いが多過ぎの若い二人が面白い短編です。右目を大きく腫らした「お岩さん風お化け」まで出てくる、漫画風の楽しい現在青春ラヴコメディです。イラストはありませんが、笑える「小ばなし」です。 どちらの作品も、男女の出会いは「偶然」風に見えますが、それが「必然」へと昇格し、最後には「運命」にまで至るという青春物語です。 「一度目の出逢いは偶然、二度目の出逢いは必然、三度目の出逢いは運命、という言葉を聞いたことがある」(171頁) 単なる偶然を、必然とか運命にまで誇大視し結びつけて考えてしまいがちな青春という時期。ある意味で本当に怖い時期だと言えます。もしも偶然の出会いが偶然ではなく、意図された計画的な行動であった場合には、・・・。考えるだけで恐ろしくなります。 青春の勘違いは、第三者には笑えるミス・コミュニケーションですが、当事者の若い二人にとっては死にたくなるほどの真剣な行き違いとなり、重大問題となります。 本書の表紙の帯に『「ラスト一行に、命を懸けました‼」蘇部健一』とあるように、青春の重大問題には作家の方も作家生命をかけています。 若者にとっても、中年にとっても、青春は一生の中で最も真剣度の高い勝負のときです。裏表紙の帯には「ラスト一行」に対する、読者からの驚きや称賛の言葉があふれています。反響の大きさが感じられます。 私は「スタートの一行」に引き付けられました。 「あなたをずっと、さがしてた」は、「はじめてのキスの余韻がまだ残っていた」という一行で始まります。 そして、117頁にも「はじめてのキスの余韻がまだ残っていた」 さらに、125頁にも「はじめてのキスの余韻がまだ残っていた」 はじめてのキスというのは、印象深いものです。 しかし、このキスが、偽りの、意図的な、悪意のある、下心のあるキスだったら、どうなるでしょう。 必然的な出会いとか運命の赤い糸で結ばれて、とは感じられなくなります。それだけでなく、怖くなります。恐ろしくなります。 しかも、根っからの悪人は少なく、ほとんどが根は善人なのだけれども、あのキスのときには悪人だった、としたら・・・。 主人公の名前は「奈子(なこ)」。めずらしい名前です。 この名前を見て、『万葉集』第五巻の大伴家持の歌を思い出しました。 歌詞: 宇豆都仁波 安布余志勿奈子 … 読み: うつつには、逢(あ)ふよしもなし、… 「逢(あ)ふよしもなし」の「なし(奈子)」を思い出したのです。 この歌の意味は 「実際には逢うことができません。夜の夢にいつも見えてください」 この歌は「あなたをずっと、さがしてた」にふさわしい内容の歌であり、奈子の「今日もあなたに会うことができなかった。夢の中でもいい、もう一度会いたい」という一途な気持ちが詠われているのではないかと思いました。 ―――――――――― もう一つの作品「四谷三丁目の幽霊」のほうは、ほのぼのとする笑えるカップルの話でした。 黄色の折り畳み傘の代わりに、間違って「たくあん」を持って出たあわてんぼうの女と、 白色の折り畳み傘の代わりに、間違って「ちくわぶ」を持って出たあわてんぼうの男の運命の出会いの話です。 確かに、黄色の折り畳み傘と「たくあん」は姿かたちはよく似ています。しかし、においが違います。なんかクサイぎゃぐです。 幽霊のような現代「お化け」の話なのに、ぜんぜん怖くない。文句なく笑える物語です。 そして、二人ともカレーがいちばん好きな食べ物です。 「よかった。夫婦にいちばんたいせつなものは、食べ物の相性だって、よく言いますもんね」(163頁) 似たもの夫婦とは言いますけどね。食べ物の相性が夫婦に「いちばんたいせつ」なのかなあ……。 とんかつ食べて、こんかつしよう。おあとがよろしいようで。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 12件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|