メソッド15/33
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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アメリカの女性ミステリー作家のデビュー作。拉致監禁された妊婦(高校生)が知恵と勇気で脱出を成功させた経緯を、17年後に回顧するという物語である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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同じように、脱出できたところで終わったほうが良かったと思えるところも共通しています。本作では早い段階から主人公の少女が十数年後も生き延びていることが示されています。 脱出できて後はエピローグ的にその後のことを簡単に書けば、気持ちよく読了できるのですが、欧米の読者はそれでは満足しないのでしょうか。刺激をもとめているのでしょうか。 著者は弁護士とのこと。アメリカの離婚裁判では、とりあえずあってもなくても夫の暴力を訴えておけば、沢山金が取れるようですが、そういう弁護士のやり方が本書でも出てきます。 | ||||
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16歳の女子高生である「私」はある日、学校へ向かう途中で突然拉致される。誘拐犯の男は「私」のお腹に銃を突きつけて言った。「動いたら おなかの子どもを撃つ」…。 ----------------------- 誘拐監禁された少女が決死のサバイバルを図るアメリカ発のスリラーです。1993年に発生した事件を、生還した少女が17年後に回想した手記と、少女拉致事件を当時捜査していたFBI特別捜査官ロジャー・リウの回顧録とが、どちらも一人称で交互に語られるというスタイルをとっています。 アメリカのAmazonではこのアメリカ人新人作家の小説に200人以上のレビュアーが評を寄せていて、そのうち65%が5つ星、20%が4つ星と非常に高い点数をつけています(2017年1月14日現在)。本国のこの評価に間違いはありませんでした。16歳の妊婦の決死のサバイバル劇は、血沸き肉躍るスリリングな物語です。 早川書房の書には、そで(カバージャケットの折り返し部分)に主だった登場人物の名前とプロフィールが紹介されるのが通例です。アメリカ人の名前になじみがない日本の読者にはこの登場人物紹介欄が大変役に立つものです。ところがこの小説にはそれがありません。登場人物の数がさほど多くはないので、紹介欄がないから困るというほどではありませんが、小説を読み進むにつれて、それがない理由がやがて、そして突然明らかになるのです。早川書房の粋な計らいが背後にあったことがわかり、思わずニヤリとさせられます。 またミステリーに分類しても良いのではないかと思うこの小説が<ハヤカワミステリ文庫>でも<ハヤカワ・ポケット・ミステリ>でもなく、<ハヤカワ文庫NV>の一冊として出版されたことも読了後に了解できた気がします。拉致監禁は確かに重大犯罪ですが、そのプロセスや脱出に向けた複雑な謎解きが展開するというほどのものではないので、判じ物を期待すると肩透かしを味わう可能性は拭えないでしょう。 しかしこの小説は、誰しもが凶悪な犯罪の対象になりかねない社会に日々生きる私たち読者が、被害者としてどう生きるかという大きなテーマを扱った物語だと理解すれば、一読二読の価値ある書だといえると思います。読み終えた直後、巻頭に掲げられていた作者の謝辞が「日々を精一杯生きろ」(7頁)という言葉で結ばれていたことを思い返し、その言葉の重みがこの小説を貫いていたことに思いが至ります。 主人公の少女の決断が必ずしも万人の同意を得られるものではないかもしれません。読了後に心のなかで、彼女の気持ちに寄り添う感情が一方に、そしてもう片方に、法治社会の現行司法制度に則って凶悪事件に決着をつけることへの疑念が生まれました。双方に心引き裂かれる思いがします。 訳者の横山啓明氏の翻訳は大変読みやすいものです。ただところどころ推敲が終わっていないという印象を与えるところがありました。(steering) wheelを「ステアリングホイール」(296頁)と直訳したかと思うと「ハンドル」(320頁、385頁)と和製英語で訳している箇所がありましたし、report toを「報告する」(67頁)と訳していましたが、正しくは「~の部下である」「~の指示を仰ぐ」です。さらに、「チックタック・ワニさんの目からは涙が流れ続ける」(354頁)とありますが、「チックタック・ワニさん」ではなくて、「チックタック、ワニさんの目から涙が流れ続ける」です。また「ワニの涙(crocodile tears)」というのはウソ泣きのことですが、このくだりは特に「虚偽の涙」であることが重要な場面ですので、日本の読者には割注を入れて英語のイディオムの意味を伝えてもよかったのではないでしょうか。 もうひとつ言えば、主人公の少女が綴るnursing homesを「養老院」(230頁)と訳していますが、日本では「養老院」という言葉は「昭和38年(1963)老人福祉法の制定により、老人ホームと改称され」ています(デジタル大辞泉より)。ですから「養老院」を日本で普段使いの言葉として使うのは、1960年以前の生まれの人だけではないでしょうか。 このように翻訳作業が終了していない印象を与えることを訝しく思っていましたが、巻末の三橋曉氏(ミステリ・コラムニスト)の解説を読んで疑問が氷解しました。訳者の横山氏は昨2016年6月に鬼籍に入られていて、11月に出たこの翻訳が遺作になったということです。残念ながら横山氏自身が推敲の筆を入れる時間がなかったのでしょう。 横山氏のご冥福をお祈りします。 ---------------------- あわせて以下の二書を紹介しておきます。 ◆マイケル バー=ゾウハー『』 これもまた翻訳者・横山氏が手掛けた「ハヤカワ文庫NV」の一冊です。最終章で主人公ブレイヴァマンが下す苦く重たい決断に、胸が引き絞られる思いがします。 ◆S・M・ハルス『』(創元推理文庫) 創元推理文庫のイメージに沿った骨太なミステリー長編を期待すると大きな肩透かしを感じるかもしれませんが、犯罪被害者の心情を描いた小説として私は興味深く読みました。 | ||||
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誘拐犯に誘拐された天才女子が、脱出&復讐を企てるリベンジもの。 どんな感じで脱出し、どうジワジワ復讐するのか、と思ったら意外とあっさり。 軽いどんでん返しはあるものの、そこまで驚きもせず。正直冗長に感じました。 刑事役の2つのキャラが立っていること以外は、犯人の影も薄いし、本の厚みに比べて中身が薄かったように感じた。 ハヤカワ書房は鉄板シリーズの続編を翻訳しないで、この手の佳作ばかり刊行しているのはどういった理由があるのか。 不思議でならない。 | ||||
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