ブラック・リバー
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いや~、よみごたえズッシリ。 ここまで暗くしなくても・・・ と思うほど暗いです(苦笑)。 不幸のズンドコです。 が、これの前に何冊か読んだ「おもしろかった~!」な痛快なジャック・リーチャーものなどよりも、ココにレビューを書かせる不思議な『力』がたしかにありました。 たまたまアメリカの「刑務所の町」関連の本をたて続けに読んだので、刑務所産業がいかにアメリカにとって重要なものか、というようなことまでガツンときて、トランプ大統領の「雇用」連呼もむべなるかな。 刑務所よりは自動車工場の方が、近隣住民としてはうれしいですもんね・・・ 女性作家の作品なのはなるほど。 「転落の街」のボッシュとは同年代ながら、主人公ウェズのベルトの下はいたって品行方正です(笑)。 ウェズ、かっこいいです。日本でいうところの高倉健? 挑発的な猟奇殺人やカーチェイスはありませんが、モンタナ州の男の物語をじっくりお読みいただきたいです。 | ||||
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Terrific character study set in the modern West. A moving portrait of a man coming to terms with himself and those closest to him. Also paints a gorgeous picture of a land that in many ways is still a frontier. | ||||
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60歳の元刑務官ウェズ(リー)・カーヴァーはごく最近、闘病中の妻クレアを亡くしたばかり。妻の遺灰を撒くために、かつて二人で暮らしたモンタナ州の町ブラック・リバーに戻ってきた。今もこの町で暮らす義理の息子デニスとの再会はぎくしゃくしたものにならざるをえなかったが、それでもウェズがすぐに町を離れなかったのはもう一つ用件があったからだ。ウェズの両手の指に20年前(1992年)、後遺症が残るほどの重傷を与えた受刑者ウィリアムズの仮釈放公聴会が間もなく開催されることになっている。キリスト教信仰に目覚めて別人になったと主張するウィリアムズは果たして本当に改心したのか…。 ------------------------- 創元推理文庫の一冊とはいえ、大きな事件の発生とその解決を描く物語ではありません。20年も前に刑務所内で発生した痛ましい暴動事件の<その後>を描く物語です。ウェズをはじめとする様々な登場人物たちの人生が事件によってどのように大きな変化を強いられたのか、そのことを淡々とした筆致で描く小説です。 東京創元社としては随分と思い切った作品選択をしたように思います。創元推理文庫のイメージに沿った骨太なミステリー長編を期待すると大きな肩透かしを味わうことでしょう。 むしろ新潮社のクレスト・ブックス叢書に収められるような、濃密な人間ドラマの書であるような印象を持ちました。事実、この『Black River』のペーパーバック版をアメリカ本国で出版したMariner Booksは、調べたところ、ミステリー小説の専門出版社ではなく、クレスト・ブックスに入っているジュンパ・ラヒリ『』や、クレスト・ブックスに加えても違和感のないジョナサン・サフラン・フォア『』、あるいはノンフィクション『』といった書の版元でした。 酸いも甘いも噛み分けたといえる年齢に達したはずの男が、それでも人生の割り切れなさに苦悩する内面を果てることなく描いていきます。これが20代の女性作家のデビュー長編というから驚きです。 そしてなんといってもこの小説の要(かなめ)となるのはアメリカ人における信仰の問題です。舞台は合衆国の北西部に位置するモンタナ州です。大自然の中で、刑務所こそが主だった産業であるという架空の町を背景に、ウェズは大きなケガを抱えて生きてきて、妻を亡くし、その連れ子とは打ち解けず、最近知り合った息子のような少年スコットにも――詳細は伏せますが――痛ましい事が起こるといった具合に、決してその人生は順調とは言えません。そんな暮らしの中で揺るぎない信仰を保持することがどれほど難しく、かつアメリカ人にとって重大な事柄であるかということを知ることが、この小説を読むうえで必要な前提です。ですからこの小説は日本人読者には少しハードルが高いかもしれません。 ――と、従来の創元推理文庫ファンを怖じ気づかせてしまうようなことを記しましたが、少しばかり歯ごたえのあるアメリカ小説を読んでみたいと思っているミステリーファンには、物は試しで手に取ることをお勧めしたい一冊です。 信仰心とはたとえ縁遠い生活を送っている日本人読者でも、ウェズの内面の旅は十分味わうことができるはずですから。 ------------------------------ *この訳書では主人公の名前を「ウェズリー」あるいは「ウェズ」と表記していますが、英語名のWesleyあるいはWesの「s」は無声子音です。日本人の耳には後続する「l」の音に影響されて「z」の音に聞こえるかもしれませんが、「ウェスリー」あるいは「ウェス」とカタカナ表記するほうが原音に近いといえます。 例えば、映画『エルム街の悪夢』や『スクリーム』で知られる監督Wes Cravenは「ウェス・クレイヴン」と表記されます。 | ||||
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