(短編集)
通話
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
通話の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
日のあたる世界では悪い冗談の種にしかなりえない。そんな詩人、ならず者に落伍者、彼らの声にボラーニョは静かに耳を傾ける。売れなくても、かつかつでも、いい生き方がある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一人称でも三人称でもない。一番近いのは二人称だが普通の二人称と違い、主人公との距離感がある。直接的に描写はないが、語り手の気持ちや主人公に対する思いは切実に伝わって来るので、語り手の存在感は大きい。登場人物は概ね地味な人生の失敗者でストーリー展開も派手さはないが底に流れるテーマが生死、性愛、嫉妬、名誉欲等人間の根幹に関わるものばかりで心に響く。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
以前出たものの改訳版ではあるが、ボラーニョ・コレクションから出る短編集はこれで3冊目となる。謎の作家アルチンボルディが登場する『2666』や女流詩人セサレア・ティナヘーロをめぐる『野生の探偵たち』を読んで以来、「歴史の闇に埋もれていった真の詩人や作家たち」(@訳者)が登場する話が個人的ツボになってしまった。本書に収められている最初の4編(「センシニ」、「アンリ・シモン・ルプランス」、「エンリケ・マルティン」、「文学の冒険」)もその二大長編の小変奏と言ってよく、ボラーニョの分身である主人公たちが本を読み、古本を買い、小説や詩を書き、また手紙を書くというだけの行為が描写されると、強く惹きつけられてしまうのだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
著者は2003年に50歳で亡くなったチリの作家で、本書はその最初の短篇集。三部に分かれ、全部で14作品を収載。 訳者によれば第一部はマイナー作家に焦点を当てたもの。 最初の「センシニ」がとても良い。先輩作家との手紙を通じての交流を淡々とつづったエッセイ的な作品。その作家がアルゼンチン出身なので軍事独裁政権との関わりが背景にあり、複雑な味が出てコクのある一編になっている。あとの作品は、だんだんと日本の私小説みたいな感じになってきて、あまり面白いと思わなかった。 第二部はアウトサイダーによって綴られた闇の現代史。 「芋虫」はメキシコ人の16歳の少年が主人公。公園で知り合った謎の男(芋虫)が殺し屋であることを暗示する内容で、とても面白い。 「雪」は、バルセロナで知り合った同国人のモスクワ体験を聞き書きする。ロシア人マフィアの話だ。チリ人が何でソ連にいるのかというと、その父親がチリ共産党幹部でアジェンデ政権の要人だったので、73年軍事クーデタの時にソ連に亡命したのだ。チリにはこういう政治的背景があるから、小説としても興味深いものができるのだろう。この短篇もかなり面白い。 「刑事たち」は会話のみで、車を運転中の刑事二人が与太話を繰り広げる。話は次第に軍事クーデタ時の思い出に移り、最後は一種の怪談話になる。大勢の無実の政治犯が虐殺された悲劇と恐怖が、何ということのない会話の間から浮かび上がる。 第三部は女性を主人公とするストーリー。 「独房」は恋人だった女性の病んでいく様を一人称で綴る。背景にあるのはやはりクーデタと知識人への弾圧の記憶だ。第二部までほとんど触れなかった男女の愛や性が扱われている。 「クララ」「アン・ムーア」は腐れ縁のように関係が続いた女性の、よく言えば奔放な、悪く言えばだらしない人生を「僕」の一人称で描く。ある種の病を抱えた彼女たちの人生の変転を逐一メモ書きしたような文体がいい。 「ジョアンナ」は三部の中ではいちばん面白い。イタリアのポルノ女優の饒舌な一人語りが改行なしにびっしりと書き込まれた、ある種実験的な文体。往年の伝説的なポルノ男優の描写が印象的。 「自分でもうまく整理のつかないことをなんとか他人に伝えようとする、しかしそれがうまくいかないでもがく人々の話に、ボラーニョは静かに耳を傾けている」と訳者は評している。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
一文一文が切実に迫ってくる物語と終始上の空のままに読み流してしまったような物語が混在する短篇集でしたが、みなさんはどうでしょうか?改行されることなく地続きの文で本筋の亜流と思われていたものが、実は本筋として話が流れていき、なんとなくの予想みたいなものを立てて読み進めようとした矢先にまた話題がひっくり返る。荒馬に乗ったカウボーイのように進行方向の迷子になってしまう文章こそはラテンアメリカのノリなのかも知れない。的を目掛けて矢を射ったら的自体がなくなって矢は落ち所を失うようなエピソードもあって、それが物語の末尾に飛び出すと物凄く不安感が残る。混乱し掴みどころを失うような気持ちになるたびに僕は読解をしている訳ではない、読書だと開き直って、理解不能な部分は謎というこの作家の味なのだと思って読み継いだ。波長が合う短篇は、隅々までピントが合って物語の濁流に呑み込まれたのだけれど。装丁がすごく良いですね。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 12件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|