月に歪む夜

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種別
長編
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あらすじ

2012年09月11日 月に歪む夜 (創元推理文庫)

1972年、大学生のわたしと恋人のダニー、その友人のサイモンは、親元を離れサイモンの叔父の家で、三人だけでひと夏を過ごすことになっていた。だが、海で出会ったトゥルーディーという少女を家に連れ帰ったことで、すべての歯車が少しずつ、だが確実に狂いはじめる…。情感豊かな筆致で描く現在と過去、積み重ねられる謎、圧巻のクライマックス―。大型新人のデビュー長編。(「BOOK」データベースより)

評判

月に歪む夜の評価:

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月に歪む夜の総合評価:

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No.2
(1pt)

すべてが軽い

本書は、壮年を迎えた現在の主人公と、彼女が回想する学生時代のひと夏とが不規則に語られるクロスカッティングの技法を用いた、サスペンス、ミステリ、青春小説といったジャンルに分類される物語である。当手法は、巧妙な語り口と迫真の描写力を備えていれば、素晴らしい臨場感をもって読者に切々と訴えかけてくる力を有するのだが、本書はどちらも欠いている。甚だ冗長で退屈な物語でしかなかったという思いだけが残った。

第一に、語り口。主人公であるケイトの一人称がまずい。彼女は50代の女性であるにもかかわらず、当時を振り返る際にはただの一大学生に成り果てている。これでは回想形式をとる意義がない。悔恨や哀切を滲ませながら「すべてが終わった現在」の主人公だからこそ洞察できる情景を克明に記していかなければ、闇雲に場面転換を繰り返す読みにくい小説でしかない。そして何より、現在と過去のリンクが希薄であり、現在においてはどうでもいい日常の一コマが淡々と積み重ねられていく。そのなかには主人公が過去下した決断に関連する事柄もあるが、あまりにも贅肉が多すぎて見苦しい。

第二に、描写力。天候にしろ人物にしろ、何を描かせても修飾・比喩ともに稚拙で、この点も大学生が綴っているかのごとき拙さが鼻をつく。無駄な比喩の羅列は欧米文学ならではだが、それも巧みであればこそ光るのであって、「〜みたいな」を1ページのうちに三度も読むと苦痛でしかない。このように直喩ばかりでは単純に「下手だ」と感じるしかない。そもそも数分の間にいちいち何かに喩え続ける人間などいるだろうか。馬鹿馬鹿しくなる。

そして肝心要の結末においても掉尾を飾るには至らない。急転直下というには描写が雑にすぎるし、緊迫感も意外性もない。あらゆる展開が100ページ前から判然としている。そもそも300ページ超の内容ではない。文字通り4人の大学生が一つ所に留まって関係を変化させていくばかりの展開なのだから、よほどの描写力がなければ退屈するのは当然だ。
深い感情の「動き」が生じることを期待する人は、避けたほうがいい。
月に歪む夜 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 月に歪む夜 (創元推理文庫)より
4488158234
No.1
(5pt)

にわかヒッピーの仮面の若者たちが秘めた過去・・・。

1972年、大学生の私(ケイト)と恋人のダニー、その友人のサイモンは、親元を離れサイモンの叔父の屋敷で三人だけで、ひと夏をすごすことになっていた。暮らしは最高だったが、海で出会ったトゥルーディーという家出少女を仲間にしたことで、何かが狂い始めていく・・・謎の美少女トゥルーディーに3人は振り回され、すべての歯車が少しずつ、だが確実に狂いはじめる・・・。そんな夏休みの描写のなかに、ケイトの現在の話が挿入される・・・彼女は50代。教師を早々に引退して一人暮らしをしている、そこへある日ダニーの母親から手紙が届く、そして、現在の話から、ダニーもトゥルーディーもすでに死んでいることがわかる。そして、それらの死にはなんらかの謎が・・・。
35年後の今、当事者の女性の独白という形でゆっくりと語られていく・・・ダニーとトゥルーディーはなぜ死んだのか、楽しかったはずの夏休みに何が起きたのか、謎が徐々に明らかになっていく・・・この語り口が怖い。
過去に何が、そして今、何が起ころうとしているのか・・・過去と現在の双方からひたひたと迫られる感覚は凄い、作者の豊かな筆致が窺える。
月に歪む夜 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 月に歪む夜 (創元推理文庫)より
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