南神威島
- 風習 (30)
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1970年5月に西村京太郎氏ご自身で自費出版された6冊目の著作となる初期作品集です。本書に収録された全5編を読んだ率直な感想は著者がミステリーとしての評価や商業的な成功を少しも意識せずに自分の書きたい事を素直に表現されているなという思いですね。またそれと同時に五編全てに新鮮な驚きと文学性があって西村氏の真剣な熱意と気迫を強く感じましたね。こういった味わいは小説家としてこなれたプロ作家の作品からは中々感じ取れない貴重なもので、少々未完成でもいいからぜひとも読みたいと思うまだ書き出して間もない頃の作家ならではの輝きがあって大きな魅力を感じますね。 『南神威島』:南方の無医島に赴任して来た青年医師は素朴だが残酷な一面がある村の人々に恐れを抱いていたが、やがて島に謎の伝染病が発生し彼はさらなる戦慄に襲われるのだった。もし血清の数が足りていれば何の問題もないのに不運な設定を作り出す著者は意地悪その物ですよね。この閉鎖的な島で暮らす人々はよそ者の合理的な考えを頑なに受け入れる事無く自分達の信じる神を未来永劫に崇め奉り続けるのでしょうね。 『幻想の夏』:十七歳の僕は亡き父の再婚した妻である若く美しい母と一緒に夏休みを西伊豆の海で過ごしていたが、最近になって彼が心中で密かに愛する母に始終つきまとっている小説家の男に激しく嫉妬して次第に暴力的になって行く。青年が見た不吉な夢が恐ろしいラストの伏線になる、まさにどんでん返しが鮮やかなホラー系心理サスペンスの白眉でしょうね。 『手を叩く猿』:東京の記者・沢木は、北海道から東京に働きに来て三年になる二十歳の若者が旅先の北陸の海で自殺を遂げた事件を青年の母親と共に調べていた。彼は何故か二十歳にもなるのに何とも幼稚な手を叩く猿の玩具を持っていたという。ミステリーの本来持つ意外なひねりは一切ありませんが、最後の最後にとうとう謎に対する哀切な答が明かされて彼への哀れみと憐憫の情が一気に込み上げて来ましたね。 『カードの城』:路地で絞殺された女の死体が見つかり、すぐにトルコ風呂で働く女と判明する。やがて刑事の田口が調べる内に彼女と結婚を約束していた町工場の男と売れない詩人の男の二人の容疑者が浮上するのだったが・・・・。人間の心理は本当に複雑怪奇だなとつくづく思いましたね。サイコ・サスペンスの味とは全く違うのですが、特異な人間性の不思議を深く掘り下げて分析して見せてくれておりまして、ある意味でとても勉強になりましたね。 『刑事』:「息子が自殺しましたので来て下さい」という電話を受けて小野と田坂の二人の刑事が向かったのはある女優の家だった。過去に私生活である悲惨な事情を持つ田坂は「これは殺しだ」とすぐに確信して彼女の身辺を徹底的に調べ始めるのだった。この結末は誠にオーソドックスでなく多くの読者から文句を言われそうな曖昧なものになっていますが、考えるとこういう風に書くのは中々に勇気が要る事だと思いますね。もしも後年の十津川警部なら例え疑惑を持ったとしてもこんな乱暴なやり方はせずにもっと慎重に振る舞うでしょうね。そして当然ながら良き相棒のカメさん(亀井刑事)もうまく助けてくれるでしょうしね。うーん、彼はこの先の人生で立ち直れるのか?それが心から心配になりますね。でもやっぱりこれではあまりにも謎だらけで彼が惨めすぎますし事件の真相と彼のその後の運命が知りたいと強く思いますので、何時か著者に続編を書いて欲しいとリクエストしたいですね。 | ||||
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5作品が収録。個人的にはカードの城がおすすめ。一見すると満ち足りたように見える人間でも、 腹の底には狂気を抱えているかもしれない。他人ごとではなく、身につまされる話。 西村氏は、長編小説(特に鉄道を介した事件もの)で有名な方だが、短編でも面白い話が多い。 この南神威島を読んで気にいった方、ぜひ他の作品も読んでみてください。 500冊を超える西村氏の作品は一生かけても読む価値があると思います。 | ||||
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西村京太郎=十津川警部シリーズでおなじみ日本中鉄道で殺人起きまくりマンネリ作家と思っている人は非常に多いはず。 そのほとんどの作品は1度読んだらそれっきり、2度と手に取ろうという気になれない「どーでもいい」自称推理小説だけという印象も強いはず。 しかし、「鉄道での殺人」と「十津川警部」という二大マンネリ巨頭を取り除くと、意外にも中身の濃い重厚な作品が(初期の作品群に)多いことを知る読者は少ないのではないか。 表題作となっている作品をはじめ、長編「幻奇島」や短編「死霊の島」など、孤島ものと称される作品群に始まり、本書掲載の「手を招く猿」や長編「天使の傷痕」「4つの終止符」など、社会的弱者に焦点を当てた重々しいテーマの著作が、十津川警部登場以前の西村京太郎氏にあることをぜひ知ってほしい。 「列車内で殺人」-「十津川警部登場」−「亀井刑事と列車に乗ってみる」−「お決まりの結末」というワンパターンな鉄道ミステリ(もはやミステリとすら呼べないのではないか)を毎回読まされて、またはTVで2時間ドラマを見させられてうんざりしている人は、本書をきっかけに「重厚な西村京太郎作品」の世界に入ってみてはいかがなものか。 多作濫作に追われるようになる以前の、じっくりと読み込める作品が目白押しなのは請け合いである。 | ||||
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「南神威島」ってどこにあるか知りませんでした。 離島に赴任した医師と流行病をめぐる恐怖小説、推理小説。 恐ろしい話が好きな人にはお勧め。 西村京太郎がまだ、鉄道ものにどっぷりと浸かる前の作品。 「幻想の夏」「手を招く猿」「カードの城」は、どれも恐くて、興味深い。 最後の「刑事」は、今の十津川警部ものとの類似点はいくつもある。 | ||||
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