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本好き! さんのレビュー一覧
本好き!さんのページへレビュー数126件
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中山七里が生んだオールスターキャストによる豪華版。(そういう意味での「合唱」か。)
一応岬洋介シリーズだろうけど、音楽ミステリというよりは法廷モノといった方がしっくり。音楽が流れるシーンも1ヶ所だけで少々もの足りず。 岬父子対決はなかなかの読みどころだが、結末は予想がついたので、ドンデン返しの帝王による作品としては普通レベルか。 |
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宇恵康彦主人公の「監督の問題」の続編と思いきや、第1章はそうだが、野球界を支える解説者、ウグイス嬢、コーチ陣、審判、果てはダフ屋まで。いわゆる裏方たちの葛藤を描いた短編集となっている。なるほど、実際の世界でもさまざまな葛藤、柵があるんだなぁと感心させられる。グランドの現場のみならず、決して仲良しクラブではないのだから、これはサラリーマン社会も一緒だからね。
新たに追加された書き下ろし「笑えない男」は大学野球界が舞台、短い中にも読み応えあり。 |
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大阪下町の商店街でたこ焼き屋を営む岸本十喜子。
彼女を取り巻く商店街のコテコテの関西人店主たち。 関西人ならどっぷりとなにわ人情にハマれる作品。テーマがテーマだけにどうしても軽いコメディタッチになってしまうが、この人情がわかる人にはわかるのです、大阪人の優しさが。 女子プロレスが題材として出てくるが、著者の作品はスポーツがらみが様になってるようで。 この路線はやはりハマるので、ぜひシリーズ化もしくは続編を希望。 |
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「超不自然主義」で背中が寒くなり(18禁?)、
「東京回遊」で、胸をジーンとうたれ、 「ぱんぱかぱ〜んとぴーひゃらら」で頭がクラクラ(再び18禁?)。 対物性愛の異常を描く「超不自然主義」は、限定盤CDシングル「解放区への旅」に付録されていた短編小説「やとわれ地蔵」の続編かな。 「ぱんぱかぱ〜ん…」は主人公の男女の状況がやりきれなく、救いようのない姿にタイトル「本性」の意味を知らされる。 読み終わってみると、「東京回遊」はまだ救われるストーリーになっている。一服の清涼剤か。 改めて、黒木さんの曲と併せて読むと彼女の独特の世界に浸れる一冊。他にあるようでない黒さ。余談ですが、ブックカバーに真っ黒なのをつけて読むと、この「黒い」世界にどっぷりとつかれます。 |
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禁止シリーズの中では普通のミステリに近いような、これまでのシリーズと比べると「らしさ」が感じられなかった。
でも独特の嫌悪感は健在、歪んだ愛情、追い詰められていく焦燥感はしっかりと残っている。シリーズが続くのであれば、またこれまでのリアル感をぜひ。 |
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某乳酸菌飲料の女性配達員をモデルにしたどこかほのぼのする連作短編集。いつもニコニコと元気な彼女たちもそれぞれに事情を抱えており、それが描かれた作品ですが、そんな彼女たちの息遣いが聴こえてきそうな「呼吸する町」というタイトルは実に秀逸。
特に最後の章「リセット」はミステリ色も濃いが、私自身も経験したエピソードもあり、心に響いてきてジ〜ンとくるお話でした。 うちの職場にも彼女たちがやってきていますが、これまで見向きもしなかったので、これを機に売り上げに少し貢献してあげようかな、とも思えるようになる作品です。 |
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久しぶりの貫井徳郎。罪を犯すとはどういうことか、貫井さんのわかりやすい筆致で淡々と進んでいく。わかりやすいのはいいのだが、貫井作品特有のユーモラスさ(私はそういうイメージをもっている)は影を潜め、重苦しさだけが全体を覆っていて締め付けられる思い。また意外さもないので読後感はイマイチ。確かに巧妙なタッチで貫井ワールドからは逸脱してはいないけれど……要は誘拐ミステリの要素が大半を湿るが、それ自体は普通の誘拐モノ。昭和天皇の大喪の礼とリンクさせたところは社会派ミステリ好きにとってはポイント高いか。
次回作ではもう少し明るく笑いの漏れてくるような、ホッとするのをお願いします。 |
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私にミステリの面白さを教えてくれた横溝正史、彼が生み出した名探偵・金田一耕助。日本を代表する名探偵をめぐる9人の作家によるアンソロジー。それぞれに特徴があって面白かったが、飄々としていてユーモラスなキャラクターからか、思わずクスッと笑ってしまう話が金田一のキャラと合っているようで、特に男性作家の作品が面白かった。近田一や金・田・一トリオも変化球で良かったけど、トリを飾る赤川さんのはさすが。
ちなみに私の好きな横溝作品は、ミステリにめざめるきっかけとなった「犬神家の一族」。(メジャーすぎてスミマセン!) |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録。
収録作品の中では最も乱歩からは離れた印象が残った。 冒頭に出てくる帝銀事件とストーリー全体とどう関係してくるのか?読み進めるうち、以外なところでつながってきたが… 「QJKJQ」や「Ank」に見られるような著者独特の世界観は他には見られないものであると改めてかんじた。 |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録の短編。
町中で拾った不思議な機械が繰り広げる不思議な世界。 SFミステリというか、アニメチックな作品。妖しい場面は乱歩らしさも感じられた。私自身、この機械を手に入れたら奈落の底に落ちて行くんだろうなぁ…… |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」収録。
もろ「屋根裏の散歩者」。小説誌の企画で描かれた乱歩へのオマージュといったところだが、いい意味でも悪い意味でも、乱歩の世界をどっぷり表現している。個人的には嫌いではないし、この妖しい乱歩ワールドを著者なりに表したらこうなったということなんでしょう。 |
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小説現代特別編集2019年10月号「乱歩賞特集」掲載の短編。
タイトルは「心理試験」の意。著者ならではのロシアを舞台に乱歩の世界を融合したSFチックな作品となっている。 ロシアと乱歩がどこでどうつながるか?と考えながら読んだが、なるほどそう来るか、と納得。逆にいうとそうせざるをえなかった、ともいえる。 |
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「盤上のアルファ」と比して、幾分シリアスかと思うが、セリフは充分に関西人のノリで期待どおり。いわゆる人探しミステリと言えるが、対局のシーンを期待するとやや残念なところも。最終盤に準備されているが、途中は将棋をテーマにしていることを忘れてしまう場面もあった。でも、前述のシリアスさというのは、☗将棋☖を通じて"昭和"を描いたと思しき作りになっている点は評価↑↑
文庫版の石橋蓮司さんとの対談は、ドラマ版を見ていないのでなんとも…(ドラマ版は、舞台を関西から首都圏に変えている点でアウト。なので見る気起こらず。) |
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ハードボイルド界を代表する6名の作家によるアンソロジー。
それぞれの特徴が出ていて、ここからお気に入りの作家を見つけるのもいいでしょう。 真保裕一「再会」は短編集「盗聴」で既読で、ハードボイルド感はなく、一種の友情物語といったところですが、心の動きがよく伝わってきます。他の5作品はともすれば同じ匂いが漂っていますが、さすがは協会賞受賞者、短編でも読ませる力を感じます。このシリーズの他の作品集も読んでみる価値は十分ありですね。 |
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お待ちかねの佐方貞人シリーズ。彼が検事4〜5年目頃の活躍ぶりを描く。短編集の体裁だが、彼の検事としての"信義"が丁寧な筆致で展開されていく。罪は真っ当に裁かれるべき、という彼のセリフが印象的です。どの章もグッとくるストーリーで、柚月さんの骨太で丁寧、確かな表現で佐方がその存在感をしっかり示されている。こなシリーズのさらなる続編を楽しみにしています。
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新潮文庫版。日本美術史にその名を残す十名の芸術家を清張さんなりの解釈で編んだ短編集。
「運慶」から「小堀遠州」までは、同じような調子の文体だが、「光悦」以降はがらりと雰囲気が変わる。「写楽」ファンの私には、「写楽」の軽妙なタッチがよかったし、(止利仏師」に至っては、"伊村"は清張自身なのでは、と思うほどのアイデアで描かれている。解説にも触れられているとおり、芸術家の作品ではなく、芸術家の"人間"を描くのは困難であり、それに挑戦したところが評価ポイント。 |
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長江氏の小説家デビュー作「ゴーストシステム」を加筆・修正のうえ改題。元作品からは大幅に変わっているようです。
氏の「禁止」シリーズの元となった作品らしく、死後の世界、死とは何かを考えさせてくれるある意味奥深い作品。あぁ、この世界観から「禁止」シリーズが生まれて来たのかと、感慨深いものが感じられます。 ホラーとSFが融合したミステリといった内容で、特に後半はSFの要素が濃くなってきます。そういう意味では「禁止」シリーズのようなリアリティはゼロ。恐怖とともに死というものを考えよう、とテーマを与えてくれたような気がします。 可能であれば「ゴーストシステム」との違いも体感してみたいと思いました。 |
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平成によく読んだ井上夢人、貫井徳郎の短編が収録されているので手にとった。いろんな意味で「平成的」なアンソロジー。
平成時代に起きた事件・事故、文化、そして災害、それらをテーマに描かれたものだが、それぞれに特徴が出ていて面白い。 上記の井上氏・貫井氏は安定感がある。その他ではJR福知山線事故をテーマにした青崎有吾、消費税騒動をユーモラスに描いた乾くるみがオススメ。 若い作家ほど典型的に「平成」を表現していて、きっと「令和」でも大活躍するんだろうなぁ、と感じさせる。 |
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元新聞記者ならではのリアリティ溢れる内容で、実際にあっても不思議でない、というか似たようなことがあるだろうと言わせる説得力と緊迫感が伝わってくる。メディアというのはこういうものなのだ、とともに現在のメディアのあり方へのメッセージも感じられる。
これまで読んだ塩田作品はコミカルなものが多かったが、本作はその色合いは薄め。できたら塩田さんの特徴でもあるコミカルさを継承してほしい気もしたが、テーマ的には妥当なところか。 |
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元記者の著書ならではのスポーツ紙記者モノ、記者たちの鬼気迫る仕事ぶりがヒシヒシと伝わってくる。そして「とりあえずニュース出せ」のトリダシこと鳥飼のキャラ。このストーリーは著書でないとここまでの作品は書けないでしょう。記者たちの戦場の様子が十分に伝わる快作です。
実際の取材現場も、デスクを担当する記者もきっとこんな感じなんでしょうね。鳥飼のようなベテラン記者も実在したかも、ですね。 |
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