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りーり さんのレビュー一覧

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レビュー数231

全231件 101~120 6/12ページ

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No.131: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

翼ある闇の感想


西洋風の館。 首のない死体。 2人の探偵。 本格ミステリの要素をふんだんに扱い、ぶち壊していく麻耶雄嵩渾身のデビュー作。

何でも食べたい私としては珍しく敬遠していた作家:麻耶雄嵩のデビュー作。 相当に癖のある探偵が出てくるという事でちょっと苦手かなと思っていたのですが、成程このアンチ・メタミステリの世界観ならこの探偵は許せる。 設定から解決までミステリの世界を基盤とし、現実的な世界を脱却した本作は、ミステリのルールと本格から新本格への変遷、探偵小説における後期問題をある程度知った上で読み進める必要があると思う。 
新装版 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社ノベルス)
麻耶雄嵩翼ある闇 についてのレビュー
No.130: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

独白するユニバーサル横メルカトルの感想


 推理作家協会賞短編部を受賞した表題作他、残酷で痛々しく、鬼畜で耽美な短編集。
どの作品も生々しいグロテスクな表現と不快で不安定な世界観、そして想像の斜め上を行くようなオチが光る。 さながら猟奇的な世にも奇妙な物語といった感じで、タモリさんに結末を皮肉ってもらいたいものである。
独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)
No.129:
(5pt)

<完全犯罪完全指南>


 物証を完全に消し去り、完全犯罪を成し遂げるための裏ファイル。 春夏秋冬、4人の容疑者、犯人は一体どこでミスを犯したのか? 

タイトル通りの倒叙ミステリであり、物証が無ければ逮捕されないという前提の下でお馴染み海埜刑事と容疑者の戦いが繰り広げられる。 単なる短編集で終わらないのが深水さんらしいけどもこれはどうなんだろ。 芸術探偵シリーズ読んでからのほうがいいかな。
倒叙の四季 破られた完全犯罪 (講談社文庫)
深水黎一郎倒叙の四季 破られたトリック についてのレビュー
No.128:
(6pt)

何かを試されている


 突如として醜い異形に姿を変える異形性変異症候群によって息子が芋虫になってしまった主婦美晴。 家族の無理解、世間の眼、被害者同士の派閥、嫌悪感の中に見出す成長と愛情。 現代世界にカフカの変身を取り入れた第57回メフィスト賞。

 嫌な話だ。 息子の生殺与奪の選択を委ねられ、葛藤する母親。 あまりに不条理な病によって描かれる被害者心理、傍観者心理のリアルさは心に刺さるものがある。 「生まれてこなきゃよかったのになぁ」 何者にもなれないなら、人間に向いてないなら、私が最後に望むのは・・・。 ドロドロとおぞましい物語ながら、テンポよい語り口、特に終盤の展開は圧巻だった。

 
 

人間に向いてない (講談社文庫)
黒澤いづみ人間に向いてない についてのレビュー
No.127:
(5pt)

小市民が帰ってきた!!


 小市民を目指し互恵関係を結ぶ小鳩君と小山内さん。 波風立たない学生生活を送りたいはずの二人だが目の前に謎とスイーツを出されるとやや暴走気味で・・・。

 小市民シリーズ短編4集、春と夏の間の物語。 スイーツにまつわる新キャラも交えたちょっぴりビターミステリー。
巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)
米澤穂信巴里マカロンの謎 についてのレビュー
No.126:
(5pt)

時限病棟の感想


目覚めると私は病院のベットの上だった。 監禁された男女5人とピエロからの指令、タイムリミットは6時間。 現役医師が仕掛ける「病棟シリーズ」第二弾。

 シリーズ物なので前作はほぼ必読。 監禁された者たちが訳も分からぬままピエロの指令を受け始めるところから息もつかせないスピード感で物語は展開する。 時限というタイトル通りの時間が迫る中での緊迫感、病棟を舞台にした医療ミステリーはお見事。
時限病棟 (実業之日本社文庫)
知念実希人時限病棟 についてのレビュー
No.125: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

仮面病棟の感想

 療養型病院の当直バイトとして初めて田所病院訪れた外科医・速水秀悟。 仮面を被ったピエロが病院を占領し、自分が銃撃した女を治療しろと要求してきた。 奇妙なピエロとどこか怪しい田所病院の勤務医たち、脱出の為の捜索をするうちに病院内の大きな秘密が見えてきて、、、

面白かった。 現役医師作家ということで小難しいのかなと思って敬遠してきたけど、むしろピエロや籠城といったエンターテインメント溢れる小道具を多用した好みの作品でした。  展開が非常にスピーディーで事件の発生から解決まで無駄のない構成、登場人物もごく限られた範囲の人間だけで複雑な関係性は見られない、それ故に読みやすい作品になっている一方で結末の予想は付きやすそうか。 


 
仮面病棟 (実業之日本社文庫)
知念実希人仮面病棟 についてのレビュー
No.124:
(5pt)

グラスバードは還らないの感想




▼以下、ネタバレ感想
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グラスバードは還らない (創元推理文庫)
市川憂人グラスバードは還らない についてのレビュー
No.123: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

8の殺人の感想


 我孫子武丸のデビュー作。 8の形を模した屋敷での殺人劇、それを刑事を主役とする三兄妹でユーモラスに描いた作品である。

今となってはあんまり意外性のないトリックに落ち着いてしまっていること、ユーモラスさに分量を割いた結果かなり間延びした作品になっていることが瑕。 その点は0の殺人では払拭されているのであちら先に読むと一層その思いが深い。この作品は我孫子武丸のデビュー作を知りたいぐらいの想いが無いとお薦めできない。 ★は4つ。

▼以下、ネタバレ感想
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8の殺人 (講談社文庫)
我孫子武丸8の殺人 についてのレビュー
No.122:
(6pt)

などらきの首の感想


シリーズ初短編集、恐ろしい話から少しユニークな話まで納められた全6編。
などらきの首 (角川ホラー文庫)
澤村伊智などらきの首 についてのレビュー
No.121:
(4pt)

アリバイ崩し承りますの感想


「アリバイ崩し承ります」
新人刑事が偶然訪れた美谷時計店の張り紙。 美人店主から語られる7つのアリバイの真相。

刑事が持ち込んだアリバイ特化事件を時計店店主が解いていく安楽椅子系の短編集。 アリバイ崩しだけでなく、アリバイ探しやアリバイを作るようなお話もあって飽きさせない構成にはなっているが二人だけの登場人物はほぼほぼ掘り下げも無くその点の魅力は非常に薄い。 短編小説にはその話だけで登場人物含め全てが完結する作品と本作の様に一部のキャラが引き継がれていくものの二つに分けられるが、せっかく設定あるキャラを出すのなら話によって違った一面を観れるような作りにして欲しかった。  
アリバイ崩し承ります
大山誠一郎アリバイ崩し承ります についてのレビュー
No.120: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎の感想


 VS閻魔大王の娘、第五作。 マンネリ化しやすい短編中心の当シリーズにて本作の第三編は新しめの試み。 基本的に短編は齟齬なく明るく終わってくれれば満足。

 
閻魔堂沙羅の推理奇譚 落ちる天使の謎 (講談社タイガ)
No.119:
(5pt)

虚構推理 スリーピング・マーダーの感想


 「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」
ワンマン社長で家庭内でも有無を言わせない妻に殺意を抱いた時、話しかけられたのは狐の怪異。 苦でもない対価を払い殺人を代行してもらった彼の依頼は遺産の相続権を持つ息子たちに「私が妻を殺した」という虚構を披露してもらいたいというもの。 この珍妙な依頼に知恵の神・岩永琴子の下す結論とは!?

 補填的な短編と表題作の中編が収録。 怪異によって鉄壁のアリバイが出来てしまった者を殺人者に仕立て上げるというストーリー。 真相は狐を締め上げたらあっさり分かったので後から嘘を創作してゆく。 今作は虚構推理としての論理は勿論仕上がっているのだが、それ以上に知恵の神としての琴子の倫理が垣間見える。 あくまで神として、中間の立場として存在する彼女は人間が襲われそうになれば命を賭するし、人間の都合で怪異が巻き込まれれば時に非情な判断もする。 神としての矜持を全うする琴子とそれに賛同もせず否定もしない中間的な存在の九朗が印象に残る作品であった。 ボリューム不足な点以外は満足のいく作品、★は5つ。
虚構推理 スリーピング・マーダー (講談社タイガ)
城平京虚構推理 スリーピング・マーダー についてのレビュー
No.118:
(6pt)

虚構推理短編集 岩永琴子の出現の感想


 怪異を前に虚構の推理を。 鋼人七瀬事件より後日、岩永琴子に舞い込む怪異達の相談事の数々、人知の及ばない回答はNG、現実的で納得のいく虚構を造り上げる。

 虚構推理短編5篇、どれも基本ベースは前作と同じく真相を知った上でそれより信憑性の上を行く嘘を吐いていくというもの。 前作では僅かだった琴子と怪異との付き合い・距離感がはっきりし、秩序を重んじるという目的の下、時折冷酷で非情な面も覗かせる。 そこはやはり「神」を引き受けた身として生半可な判断はとれないということだろう。 キャラクターの一面が窺える短編らしい作品群だった。

虚構推理短編集 岩永琴子の出現 (講談社タイガ)
城平京虚構推理短編集 岩永琴子の出現 についてのレビュー
No.117:
(5pt)

翼竜館の宝石商人の感想


17世紀オランダ・アムステルダム、画家レンブラントの工房に宝石商から依頼が入る。 レンブラントの代理として息子のティトゥスが宝石商の館「翼竜館」を訪れるも依頼内容を告げないまま商人はペストでこの世を去ってしまう。 しかし再び館を訪れた時、密室で倒れていたのは例の商人と瓜二つの人物。 ペストで埋葬された遺体は本当に宝石商人だったのか? 密室で被害者の横に置かれた絵画の意味は? そして顔の見えないペスト医師と呼ばれる人物の正体は? 西洋の史実と画家レンブラントを交えた歴史改変ミステリ。

 ちょっと全体的に堅苦しいね、文章はホントに歴史小説って感じです。 一応殺人事件らしいものは起こって解決はしますが本作品の主眼はレンブラントを登場させヨーロッパの雰囲気をまとったエンターテインメント。 ペストや海賊といった17世紀の持ち物をミステリにまとわせ怪しい物語となっている。 
翼竜館の宝石商人 (講談社文庫)
高野史緒翼竜館の宝石商人 についてのレビュー
No.116:
(6pt)

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?の感想


 第三次世界大戦後、放射能によって汚染された大地では生きている野生動物は物珍しいものになり、生きている動物を飼っていることが人々の地位の象徴となっていた。 数年前に生体羊を亡くし、アンドロイド羊で近所の眼をごまかしていたリックは大金を手にするために地球に紛れ込んだ逃亡人型アンドロイドの狩りを始める。 人工物に命はあるのか、心揺さぶる1969年産SF。

 終末世界で警察管轄の下、賞金稼ぎをやっているリックがペットを飼うためにアンドロイド狩りを始めるところから物語は始まる。 羊を手に入れるために人型アンドロイドを殺戮するのだ。 核により崩壊した世界では一匹の生きた動物は数体のアンドロイドと同価値となりうる。 見た目では判断がつかず僅かなアンドロイド特有の反応でしか見分けられない機械たちを前にリックの心は揺らぎ始め、、、生きているとは何か問い始める。 
 未来を想起してこのような機械、このような世界、このような価値観が生まれるのではないかを散りばめ当時の世に訴えたかのような作品。 物語としては決の部分が非常にあいまいであり解釈が読者に委ねられる部分が多い。 作品を読んでどう思うかがこの作品の趣向であり多くの作品や作者に影響を与える為に(もちろん作者の意図してない処だが)生まれたとも言える50年前の古典SFになっている。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
No.115:
(5pt)

伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~の感想


 堂シリーズ四作目。 前作のラストにて物語の重要パーソンになりうる数学者・藤衛が逆転無罪判決を受け出所、そこからの不穏流れが今作の事件にも漂っている。 十和田、善知鳥、宮司姉妹、それぞれの過去や因果を仄めかす本作は一つの事件としては勿論解決を施されたがシリーズ作としてはまだまだ先の見えない、寧ろ一層見えなくなってきたのが今回の伽藍堂での事件である。  次作が気になるところだが単品としてみると大味な展開なのと事件と人物の描写が下手なのは否めない。 
伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社文庫)
周木律伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ についてのレビュー
No.114:
(6pt)

空魚 バカンスの夏

 季節は夏。 裏世界に米軍を救出しにいったり、裏世界のリゾートでバカンスを楽しんだり、裏世界への探険を進める空魚と鳥子。 そして怪異に襲われる新しい人物の出現とDS研の局長登場。 冴月の謎に迫る第二巻。
裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト(ハヤカワ文庫JA)
No.113: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険の感想


事故で危篤の私の意識はお掃除ロボットへ・・・。

 掃除機と化してしまった主人公。 しかも隣の部屋には見知らぬ死体、そして(掃除機としては)遠く離れた姪の危機、機械の体を操り工夫を凝らして地べたを這うロードストーリーと機械の知恵を駆使した密室ミステリーの二軸構成。 発想とオチは面白いものがあるが道中の都合の良すぎる展開と姪の危機の演出があまりに物足りない。 ミステリーとしては淡泊な出来だがライトな冒険小説と読めば不快な点もなくサクッと読める作品。 ★は5つ。
 

地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険
No.112:
(6pt)

少女地獄の感想


 夢野久作による短編。 少女地獄としては「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」の三編であり、出版社によって他に収録されている短編が異なる。 どれも女性が主軸となっており、当時の女性の無力さ、あるいは堅牢さ、そして狡猾な一面によって振り回される人達、陥っていく者達を描いていく。 手紙・伝聞・記事と異なる書簡形式と久作独特のおどろおどろしい文面で語られる女たちの地獄。


少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫)
夢野久作少女地獄 についてのレビュー