空白の叫び

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空白の叫びの評価:

4.12/5点 レビュー 49件。 B ランク

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平均点4.12pt

Amazonレビュー一覧

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全45件 41〜45 3/3ページ
No.5
(4pt)

幼すぎる3人の結末

少年院から出てきた3人が、銀行強盗に手を染めるまでのこの下巻。
14歳という年齢の為罪に問われなかった3人は、社会に受け入れてもらえるのか。
少年院での10ヶ月が3人にもたらしたものは何なのか。
人を殺すという行為は、犯罪に手を染めた人間の人生を狂わせてしまうことを3人はじわじわ経験させられてゆく。心の中に住みつく「瘴気」をどうするのか、封じこめるか、育てるか。
その選択の違いが3人から見せてもらえる。
殺されても仕方がない人間なんて、人が人を裁く難しい問題だが、人が人に抱くイメージの曖昧さを考えてしまった。殺されてしまった娘を思う父親の胸に残る娘と、殺さずにはいられなかった犯罪者の胸に残る女は、まるで別人のようだ。何故殺さなければならなかったか、その気持ちはどれ程言葉を費やしても、抱く人間像のギャップからも溝は埋まることはない。
力量の作品だけに、上下読むと読み応えはある。が、重い。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.4
(4pt)

幼すぎる14歳の世界観が、あまりにも辛い

第1部胎動と第2部接触が収まっている上巻は、前半と後半で環境ががらりと変化してしまうので、気持ちの切り替えが必要に思います。
14歳の年齢だけ共通の3人が交互に犯行に到るまでの生活は、日常生活に潜む狂気として少年犯罪について考えさせるものがあります。が、後半は少年院で人としての尊厳を踏みにじられてゆきます。
この少年院で、感情の抑圧が効かない幼い少年たちの陰湿ないじめが、ラスト人として越えてはならない境界をも越えてしまいます。
2度と戻りたくない場所にしないと更正出来ないから、ここまで酷いことをする。その少年院からの抑圧で歪む院生たち。あまりにもの悪循環な世界。
14歳は本人が気付いていない幼い世界観が、あまりにも辛い上巻だった。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.3
(4pt)

空白は埋まるのか

3人の少年が犯罪を起こす。
犯罪を犯してやろう、として犯した少年は誰もいない。
「症候群シリーズ」や「慟哭」などの貫井ミステリとは違い、犯人は判っている。その背景も、動機もまた。
しかし、いわゆる"動機"というほど確固たるものでもないということが、まさにこの作品の肝でもある。
ただ、獏とした不安や、もやもやとした気持ち。
なにも理不尽に相手を殺害したのではなく、理不尽なのはむしろ、彼ら自身を取り巻く運命だったのかもしれない。
洋画「ファイナル・ディスティネーション」では、一度逃れたはずの"死"に徐々に追い詰められ、死神に絡め取られていく高校生の姿が描かれていたが、彼らもまた、逃れられない"殺人者"の道へ、少しずつ積み重なった小さな出来事によって突き落とされていく。
前半早々に道から突き落とされた彼らの、少年院生活、退院後に大きく焦点を当てて描き出されるのは、まさに埋めきれない"空白"だろう。
石田衣良の「うつくしい子ども」も弟の犯罪後、兄が弟の心理を読み取ろうと奮闘する異色ミステリで、読み応えのあるものだったが、本作は「うつくしい子ども」をも超えた。
石田作品で、淡々と"理解"のために動いた主人公とは違い、必死に"叫び"を放っているのが本作である。
この"叫び"は、少年を描いた"犯罪後小説"として、一つのターニングポイントとなるだろう。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.2
(5pt)

誘引力

読後感は、爽快ではない。誰もが持つ、罪の世界へ転落しそうになった記憶や、罪を犯した経験の記憶が押し寄せてくるからだろうか。心が捻じ曲がっているわけではない人々が罪を犯したことによる境遇が、あまりに悲惨であるからだろうか。この作者の作品は、読んでいる最中には、ひきつけて離さない、強烈な誘引力があるが、この読後感だけは、なんともやりきれない。しかし、そのおどろおどろしさを、また味わいたくて、また作品が世に出る度に、読まずにいられない。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.1
(5pt)

境目のあざとさ

決して心根が捻じ曲がっているわけではない登場人物が、堪え切れぬ一線を超えた時に、この世界のしきりから転落してしまう、この転落するか否かの境目のあざとさを、なんと微妙に、繰り返し、さまざまに、描いていることだろうか。どちらに転ぶか、どこで転ぶか、当然ながら読者は、その世界から、一歩さがって俯瞰して達観した世界で読んでいるがゆえに、味わえる感覚を呼び起こしてくれる。犯罪小説は数あれど、その端境にフォーカスした数少ない作品と言える。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293