空白の叫び

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空白の叫びの評価:

4.12/5点 レビュー 49件。 B ランク

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平均点4.12pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全57件 41〜57 3/3ページ
No.17
(3pt)

特殊例としての物語完結

銀行強盗へ向かう閉塞感は、面白く呼んだ。

 ただ、上巻に比して、下巻はやや不気味なリアリティーに欠ける。久藤と葛城という、特異な性格が足かせとなったように思う。カテゴライズ不能な、今までの類型のどれにもにあてはまらないという稀有なキャラクターを持続させるのは、あまりにも難しかった。

 葛木や久藤が他者と関わりを持てば、必ず何らかの行動類型にあてはまっていってしまう。だから途中でそれを否定する。キャラクターが少々いき詰まってしまった。で、突然銀行強盗というところへいってしまう。久藤の八方ふさがりと破滅願望とが、微妙にズレを生じていて、しっくりこなかった。

 瀬田も、もっと不気味なキャラクターにもなったろうに、全てのカードを早々に見せてしまい、薄っぺらになってしまった。世間の悪意という、得体の知れないものを描いても良かったのに。姿なき悪意は、ネットの世界ではそれこそ日常茶飯事だ。

 柏木の父の長広舌による謎解きも、やや苦し紛れか。物語の展開では説明し切れなかったのか。…苦言を呈しすぎたが、これだけの長編を、飽きさせずに読ませる筆力はさすが。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.16
(4pt)

場面転換のうまさが光る

貫井特有の場面転換のうまさはこの作品においても秀逸。
また、近年多発する少年犯罪において「なぜ殺人にまでいたったのか」という動機を犯罪者の内面にまで突っ込んで、独特の世界観(少年の目線に近い感覚)で書き綴っている。
ただし、少し人間関係を広げすぎて、最後に「しめる(人間関係を結びつける)」段階でしめ切れない部分がある点が悔やまれる。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.15
(5pt)

すべての少年が殺人を犯す可能性

 三少年の意図的な人物造詣が、たくみである。すべての家庭環境を象徴していてるのだ。整理すると次のようになる。
1 一人は、何も特徴を持たない凡庸な少年。平均的な家庭で、両親から平均的な愛情と干渉
 を受けている。唯一の特徴は、女の子ともとれるような凝った実名。
2 もう一人は、実の母から養育放棄された、貧しい環境。愛情に飢えた、何も持たざる少 
 年。でも、心の通う幼馴染はいる。経済的に最下層である。
3 全てを持つ少年。親の経済力と知力と美貌を兼ね備えている。ただ、身勝手な父親が次々
 と妻を取り替える。
 この三様の少年達が、そろって人を殺してしまうのだ。つまり、ある共通の条件が殺人という極限の罪を犯させるのではなく、どの少年にだってあり得ることだという状況を描いているわけだ。本作の寒々しい読後感の根元は、おそらくそこにある。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.14
(4pt)

生きる事が贖罪

三人にとって、殺人は衝動的に生じたものではなく、

「必然」だったのかも知れない。

殺人は絶対に許される事ではないが、一度目の犯罪である殺人は、

定められた道だったという風に描かれている様に感じる。

当然、少年院を退院した少年達に対する、世間の風圧は強い。

しかし、三人は少年院でいったい何を学習してきたのか?

全く反省の色が無いのが、特に問題だと思う。

罪を深く受け止めて、真っ当に生きる事が贖罪につながると思う。

あろう事か、三人は新たな犯罪へと突き進んでゆく。

それは、ほとんど捨て鉢とも見なされる。

金への執着が強い程、贖罪の道は遠のくという印象だ。

罪は犯していないが、彩の夢は、ハワイに別荘を持つ様な金持ちになりたい、

という下りがあるが、これは、いくつかの点を象徴している。

金は、艱難辛苦を伴う努力の結果として、後から少しだけ付いてくる。

金持ちになる事が夢なんて、目的と手段が逆転した、おかしな夢だ。

三人の金に対する執着の程度が、贖罪に対する意志を語っている。

死ぬ事は卑怯と言われ、生きて贖罪する事を要求される下りは、特に印象的だ。

物語は綿密に練られていて、大変興味深いが、

三人の人格面での特殊性が強過ぎるという印象は持った。

その点で、少年犯罪の本質に迫る社会派作品というよりも、

全体に、三人を題材にした意外性のある物語という印象だった。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.13
(5pt)

瘴気

作品全体を貫く大きなテーマは「瘴気(しょうき)」だ。
瘴気とは、ここでは、得体の知れない鬱屈とした気分、という意味で使われている。
作品は、三人の少年の内面を深くえぐる。
その内容と文体は、非常に粘着質で、これでもかこれでもかという具合に。
そして、突き詰めると、彼らの瘴気に行き着く。
当然、それらを平常心では読めない。
ところで、少年のうち一人の存在意義の象徴が、精密なガンダムのプラモデルだという下りは、
たかがプラモデルが、と思ってしまう反面、共感出来る部分もある。
この部分は特に興味深かった。
作品は、上巻では事件、少年院、下巻ではその後を描く。
一貫している事は、少年院を出ても、三人とも事件を反省していない。
こんなに苛酷かつ壮絶な少年院を出ても、だ。
つまり、瘴気が少年達の心からは消えていない。
この部分に少年犯罪の一端を見る。
下巻では、少年達に、容赦ない世間の洗礼が待っている。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.12
(4pt)

作者の意図は分かりますが?

上巻は非情に生々しい描写の数々に、読んでで胸に詰まります。中学生の3人の少年が起こした事件、殺人、そしてその動機、繋がり、結末と、糸を巧みに取り合わせたような物語の展開に、はっとさせられる方も多いと思います。結果的には、数多い貫井さんの作品群の中でも、秀作の部類に入る上出来の物語です。でも子供を持つ親にとって、この長い物語を読み終えていったい何を感じるのでしょうか?それが作家の本作品における最大の答えなのでしょうが、私にとって、結末までの経過、そしてその答えは、とても重かった。でもそれが少年犯罪関連のミステリーなんだということは十分理解できるが。。。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.11
(4pt)

心の叫びは鳴り止まず・・・

下巻は少年を出た3人が、
社会でなかなか受け入れられず、
またもや新たな犯罪に手を染めてしまうまでを描いています。
一度罪を犯してしまった人間に対して
社会が冷たいのは当然のことで、
彼らは普通の人以上の頑張りが必要となる。
そこを理解せず、社会に反発するように新たな犯罪に手を染める少年達。
あまりに幼い発想。
要は少年を更生させるって、
心や体に覚えこませるのではなく、
人対人で真摯に向き合ってくれる大人の存在なのかもしれない。
葛城と神原の関係の件はいかにも作られた感があったけど、
被害者の父が久藤に語った真実にはハッとさせられる繋がりがあり、
更正への道をはっきりと感じられるラストでした。
少年達の心の叫びは最後の最後まで鳴り止むことなく、
結局3人に欠けていたものは、
注がれることのなかった愛情なのかもしれません。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.10
(4pt)

なぜ中学生が人を殺すのか

第一部は3人の少年が殺人を犯すまでの経緯、
そして二部は読むに耐え難い過酷な少年院生活を描きます。
少年達を突き動かしたのは「敗北感」や「絶望感」だった。
自分という「個(または自分の愛するもの)」を激しく踏みにじられた瞬間の爆発。
彼らはまだ幼く、傷つくことや負けることに慣れていない。
経験したことのないショックが、怒りへ直結する。
少年院の生活においてもそう。
分別の付かない子供の集まりだから、抑制が効かない。
少年院に入る少年達の心の汚れも問題だけど、
理穂の汚れのなさも現在人の私達には脅威である。
まるで水と油のような久藤と理穂がが分かり合えるはずもなく、
破滅へ進むしか道がないのは、わかる気がした。
第二部を読むのは途中でリタイアしたくなるほどつらい。
読むのには覚悟が必要です。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.9
(5pt)

重い結末。

少年院から出た一見平和な日常から始まる下巻ですが、
殺人を犯した少年たちは、静かに生活させてもらえないのですね。
追われるようにまた、重大な犯罪を犯してしまいます。
そこまでの描写は、少し長くてテンポが遅いように感じましたが、
最後の謎解き部分は思いも寄らない内容で、
一気に読み終えました。
特に被害者の父の独白部分は、残されたものの悲しみがにじみ出ていて秀逸です。
ところどころ少年の心の声が挟まれているのですが、
両者の深い溝を埋めることのできないもどかしさを感じてつらかったです。
どの登場人物に感情移入するかでいろいろな見方の出来る小説だと思います。
いろいろな世代の方にオススメしたいです。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.8
(5pt)

つらい現実。

最初はメインの登場人物三人をとても丁寧に描いています。
全く似通った所のない三人がいったいどこでつながるのか、とても想像が付きませんでした。
まさか、少年院でであうとは。
そしてそこでの生活がなんと悲惨なことか。
下巻がこのまま少年院での様子を描いていたら、
きっと最後まで読む事は出来なかった思います。
そのぐらいつらいストーリーでした。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.7
(4pt)

幼すぎる3人の結末

少年院から出てきた3人が、銀行強盗に手を染めるまでのこの下巻。
14歳という年齢の為罪に問われなかった3人は、社会に受け入れてもらえるのか。
少年院での10ヶ月が3人にもたらしたものは何なのか。
人を殺すという行為は、犯罪に手を染めた人間の人生を狂わせてしまうことを3人はじわじわ経験させられてゆく。心の中に住みつく「瘴気」をどうするのか、封じこめるか、育てるか。
その選択の違いが3人から見せてもらえる。
殺されても仕方がない人間なんて、人が人を裁く難しい問題だが、人が人に抱くイメージの曖昧さを考えてしまった。殺されてしまった娘を思う父親の胸に残る娘と、殺さずにはいられなかった犯罪者の胸に残る女は、まるで別人のようだ。何故殺さなければならなかったか、その気持ちはどれ程言葉を費やしても、抱く人間像のギャップからも溝は埋まることはない。
力量の作品だけに、上下読むと読み応えはある。が、重い。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.6
(4pt)

幼すぎる14歳の世界観が、あまりにも辛い

第1部胎動と第2部接触が収まっている上巻は、前半と後半で環境ががらりと変化してしまうので、気持ちの切り替えが必要に思います。
14歳の年齢だけ共通の3人が交互に犯行に到るまでの生活は、日常生活に潜む狂気として少年犯罪について考えさせるものがあります。が、後半は少年院で人としての尊厳を踏みにじられてゆきます。
この少年院で、感情の抑圧が効かない幼い少年たちの陰湿ないじめが、ラスト人として越えてはならない境界をも越えてしまいます。
2度と戻りたくない場所にしないと更正出来ないから、ここまで酷いことをする。その少年院からの抑圧で歪む院生たち。あまりにもの悪循環な世界。
14歳は本人が気付いていない幼い世界観が、あまりにも辛い上巻だった。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.5
(3pt)

心は空白のままか・・・

どこにでもいるような少年たち。なぜ彼らが人を殺したのか?読めば読むほど戦慄を

覚える。実際にも充分あり得る話だと思った。彼らが殺人に至るまでの過程は、読み

手を引きつけて離さない。上巻の、殺人までの心理の軌跡や少年院での出来事は

圧巻だった。ただ下巻になるとちょっと現実味が薄れてくる。少年たちをつなぐ糸は、

作者の懲りすぎではないか?それでも、充分に楽しめる内容ではあったが。

いろいろな少年たちが登場したが、一番怖いと感じたのは神原だった。見た目と心の

アンバランスが、不気味な存在となっている。彼らの心の中の空白は満たされるの

だろうか?満たされないままさ迷い歩く姿しか想像できない。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.4
(3pt)

小説は事実より奇なり・・で有って欲しい

『模倣犯』以来の上下分冊を読み終えた。上巻よりも三人の再会後を描いた下巻に興味が湧いた。しかし昨今の異常な少年犯罪の拡がりを見るにつけ、フィクションの世界ならではの事実を凌駕するような内容を期待してしまう。上巻に於ける各人の幼い故のせっぱ詰まった犯行は納得出来る(小説として)が、再会するべくして再会した後の犯行はもう一ひねり有っても良かったのではないか。上下巻を読ませる力は十分に感じるのだが事件慣れしてしまっている読み手をもう一押しして欲しかった。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.3
(4pt)

空白は埋まるのか

3人の少年が犯罪を起こす。
犯罪を犯してやろう、として犯した少年は誰もいない。
「症候群シリーズ」や「慟哭」などの貫井ミステリとは違い、犯人は判っている。その背景も、動機もまた。
しかし、いわゆる"動機"というほど確固たるものでもないということが、まさにこの作品の肝でもある。
ただ、獏とした不安や、もやもやとした気持ち。
なにも理不尽に相手を殺害したのではなく、理不尽なのはむしろ、彼ら自身を取り巻く運命だったのかもしれない。
洋画「ファイナル・ディスティネーション」では、一度逃れたはずの"死"に徐々に追い詰められ、死神に絡め取られていく高校生の姿が描かれていたが、彼らもまた、逃れられない"殺人者"の道へ、少しずつ積み重なった小さな出来事によって突き落とされていく。
前半早々に道から突き落とされた彼らの、少年院生活、退院後に大きく焦点を当てて描き出されるのは、まさに埋めきれない"空白"だろう。
石田衣良の「うつくしい子ども」も弟の犯罪後、兄が弟の心理を読み取ろうと奮闘する異色ミステリで、読み応えのあるものだったが、本作は「うつくしい子ども」をも超えた。
石田作品で、淡々と"理解"のために動いた主人公とは違い、必死に"叫び"を放っているのが本作である。
この"叫び"は、少年を描いた"犯罪後小説"として、一つのターニングポイントとなるだろう。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.2
(5pt)

誘引力

読後感は、爽快ではない。誰もが持つ、罪の世界へ転落しそうになった記憶や、罪を犯した経験の記憶が押し寄せてくるからだろうか。心が捻じ曲がっているわけではない人々が罪を犯したことによる境遇が、あまりに悲惨であるからだろうか。この作者の作品は、読んでいる最中には、ひきつけて離さない、強烈な誘引力があるが、この読後感だけは、なんともやりきれない。しかし、そのおどろおどろしさを、また味わいたくて、また作品が世に出る度に、読まずにいられない。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.1
(5pt)

境目のあざとさ

決して心根が捻じ曲がっているわけではない登場人物が、堪え切れぬ一線を超えた時に、この世界のしきりから転落してしまう、この転落するか否かの境目のあざとさを、なんと微妙に、繰り返し、さまざまに、描いていることだろうか。どちらに転ぶか、どこで転ぶか、当然ながら読者は、その世界から、一歩さがって俯瞰して達観した世界で読んでいるがゆえに、味わえる感覚を呼び起こしてくれる。犯罪小説は数あれど、その端境にフォーカスした数少ない作品と言える。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293