空白の叫び

【この小説が収録されている参考書籍】

【この小説が載っている参考書籍】

評判

空白の叫びの評価:

4.12/5点 レビュー 49件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.12pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全45件 21〜40 2/3ページ
No.25
(4pt)

重い&思い

単行本で一度読んだのですが、今一度文庫版で読み直しました。
前半は主人公となる三人の少年について、それぞれの人物描写と生活環境の描写、そこに生じた「瘴気」の種になる部分を見せている。
後半、どうなっていくのかが期待大。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.24
(5pt)

描かれる14才

3人が犯罪に至るまでの上巻は、各々のモノローグを中心に話が進んでいくのだが、中学生らしからぬボキャブラリで常に作者の作為を感じさせてしまい、キャラクターもやや極端でリアリティに欠ける。また中学生の内面を描写するせいか相対的に大人が薄っぺらい。

正直読み進めるのがかったるくさえあったが、少年院に舞台が移る中巻から一転して面白くなった。基本的に各々の心理描写で話が進んでいくのは変わらないが、3人が出会うことで化学反応が起きるというか、関係性に興味が湧く。たとえば我流の将棋を唯一の特技とする久藤と、ルールを知ってる程度だが天才的な頭脳を持つ葛城との将棋勝負などは読んでいてワクワクした。上巻で描かれた土台がけっして無駄ではなかったことに得心する。
少年院という閉鎖空間、そこで出会う3人以外の少年たち、教官らもまた興味の対象である。管理側・少年たちのどちらにも理不尽さを感じるので、いったいどう取材したんだろうかとも思った。「愚行録」で大学や会社の実名を出しながらあまり好意的とはいえない描写をしていたりと、このあたりの遠慮ない率直さも作者の特徴なのかもしれない。

下巻は、少年院を出てから行き詰まった末にまた少年たちが集まることになる。いったい少年たちにどのような結末が用意されているのか、さまざまに張り巡らされた伏線をどうまとめるのか、そういった興味が読み進める推進力となる。

総じてこの作品において大切なのは、少年犯罪を肯定はしていないということ、また単純に正義の鉄槌を振りかざしもしないことである。
人命を奪うことの重大さについて、「ぼく」から意識が広がらず他人に感情移入できない神原との対比を交えつつ、久藤、葛城の内面から語られていく。
話のまとまり方は作者らしくキレイで、「因果応報」も論理的にカタがついている。

ラストシーンは案外に情景的だった。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.23
(4pt)

孤独な魂

三人三様の理由で殺人を犯すに至った三人の中学生の物語。

それぞれがやむにやまれぬ事情で殺人に追い込まれていく状況がリアルに描かれている。
(ただし、神原の動機になった母による叔母への嫌がらせはちょっと現実味がない。遺留分減殺請求権を行使すればいいのだから。)

印象に残るのは久藤の説明しようのない「しょう気」だ。

葛城は老成しすぎていてちょっと不気味だ。

また、一番素直ないい子にみえた神原が一番食わせ物だったり、葛城と神原の関係があっと驚くものであるのも(ただ、次子の容貌を描くところで、葛城の父親との関係は想像できたのだが)、面白い仕掛けだ。神原は『神のふたつの貌』の主人公と重なる。名前にも神が入っているし。

人物造形が優れていると思うのは、名門女子校に通いながら自分の身体を提供してまでよそを泊まり歩く女子高生の孤独とか、久藤をからめとろうとする女性教師。

その反面、聡明なはずなのにマルチ商法にはまる葛城の恋人や、久藤への嫌がらせを金で引き受ける高校生など、今ひとつ説得力がない人物もいるが、3巻本を読み通して飽きさせない作者の筆力はさすがである。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.22
(4pt)

巨作にも関わらず

物凄くすいすい読めました。第一部、第二部はただただ圧倒! 第三部でどう収集がつくのか、と期待に胸を膨らませていました。結果から言いますと、良かったのだけれど、惜しい、です。葛城の設定に取って付けた諸刃のつるぎ感があった。ガンダム、英会話……もう少し最後に活きてきて欲しかった。最後が良かっただけに惜しいです。それさえ纏まれば、文句なしで星5つでした。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.21
(4pt)

そうきたか!

正直、一番興味があったのは銀行強盗の場面。
拳銃や刃物を突きつけて、「金を出せ!」は、ないだろうと思っていたが。
よく考えた方法だと感心。
さて、人を殺したことで出会った3人は、世の中をあっと言わせる為に、銀行強盗を企てる。
貫井さん特有、思い込んだら一直線!(柏木×久藤なんて、まさしくそれ)
神原君が受け取った手紙には、葛城君ちのお父さんが息子に語った内容が書かれていたのだろう。
このオチは、かなり驚いたが、久藤君のはヒネリがないねぇ。
殺人を犯した3人を恨む気持ちは分かるが、恨んだ人たちの行動は、犯罪である。
少年犯罪に関わらず、殺人という行為は、死んだ人は2度死ぬし、遺族も死ぬ。
少年院は、果たして「更正」でいいのか?
罪を償う所ではないこと、犯罪を犯した子供たちの経歴に一切傷か付かないこと。
本当にそれでいいのだろうか?
少年法の改正に反対の人たちは、被害者になった時、初めておかしいと気付くんだろう。
案外、法を犯した少年たちも少年法に守られていることを知っている人が多いようで、
確かに若かりし頃(未成年)の過ちは、全うに生きる為のチャンスを与えるのはいいかもしれない。
けど…、と終わりのない気持ちが次々と沸いてくる。
東野圭吾の「さまよう刃」同様、やるせない気持ちになる。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.20
(5pt)

未だに答えの出ない少年法のあり方についてどう思うか

少年犯罪をテーマとした小説は数多く出ているが、本作はその中でも犯罪を犯す少年の心の軌跡を、かなり深く掘り下げた作品であると言える。文庫にして3冊に分かれる巨編であるが、その展開に目が離せず、ほとんど一気に読んでしまった。
本作に出てくる3人の少年はそれぞれ全く異なる境遇で、全く異なる理由で殺人を犯してしまう。
本書の第1部の、彼らが殺人を犯してしまうまでの心理状態の描写は圧巻である。その追い詰められ方はあまりに痛々しい。
第2部で3人の少年は少年院で出会う。その展開はいささか漫画じみている嫌いはあるが、3人がそれぞれ同じ14歳の「殺人者」をどのように評価しているかがここで初めて描かれる。その客観性が彼らの個性をより強く浮き彫りにし、彼らの交流により物語はより強い輪郭を持ち始める。
第3部では出所後の彼らが描かれる。殺人者である彼らを受け入れる社会など存在しない。そうやって再び追い詰められた彼らは、新たな犯罪を犯す。そして各々の結末を向かえるのであるが…。
3人の少年について私なりに感想を述べる。久藤と葛城は非常に頭の良い人間である。自分の中にある「瘴気」を常に意識し、懸命にあがらい続ける彼らの姿は読んでいるだけで辛く感じる。しかし、二人とも殺人を犯してしまったことの意味を理解している。そんな彼らだからこそ、今後社会に受け入れられることのない事実を理解し、それを踏まえた上での自分の生き方を必死に模索している。
対して神原は、初めの気の弱そうなイメージから恐ろしく変貌する。もちろん環境がそうさせたのだが、彼は全ての元凶を外の世界のせいだとみなし、あらゆるものを疑い、堕ちるように悪の道を突き進む。そんな彼の変貌ぶりやその末路には、ただただ哀れみを感じるばかりだ。
本書を総評すると、ミステリー要素もあるが、あくまで少年犯罪をテーマとした社会派小説である。そしてこの物語は読者に感動をもたらすものではない。物語の決して救われない結末は、私達が生きているこの現実社会をそのまま表している。途絶えることのない少年犯罪に対して、否が応でも考えさせる作品である。これは貫井さんなりの問題提起だ。少年法で守られた子供達は犯罪を犯し続ける。私達大人ができることは何か。原因は犯罪者の親にあるのか。本人自身にあるのか。被害者の遺族のために刑罰を重くするべきか。考えさせられることは山のようにある。子供から大人まで、あらゆる年代の人に読んで欲しい小説だ。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.19
(5pt)

面白かったです!

上下巻の長編作品にかかわらず一気に読めました。
「普通の中学生」がなぜ殺人者になったのか
3人の男子中学生がそれぞれに殺人を犯すまで、そして少年院での生活、少年院を出てからの生活、
どれもがリアルな現実感を伴って興味深く、時には切なくなりながら読み進みました。
3人の少年の顔が頭の中では実像となって現れた程でした。
読み終わった後、なんとも言えない気持ちになりましたが、読んで良かった。心に響く作品でした。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.18
(5pt)

愚かな大人と、幼すぎる子どもたち

 これでもかと悲惨な話を展開させながら、最後まで読者を引っ張っていく力は、さすがだ。もう年齢的に入ることのできない(笑)少年院の内情など、なかなか興味深いし、一度罪を犯した者への社会の厳しさも、十分に描けていると思う。
 私自身がそうだったから思うのだが、偏りのある愚かな大人のもとで育った子どもは、大人びて見えて、実は例外なく年齢より幼い。主人公の3人、あるいは被害者もそういう育てられ方の犠牲者であり、そのあたりを知り尽くして書かれた本だ。いつもながら人間観察力の鋭さには脱帽する。
 読後感が悪いと定評のある著者だが、無意識であっても自分自身の偏りを自覚していればこその後味の悪さなのだから、それで正解なのではないか。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.17
(5pt)

14歳は、オトナではない。

感心したのは、この3人の少年に、まるで共通点がないこと。
どんな少年でも、子供がゆえの考えのなさで、人を殺してしまうところ。
14歳は、オトナではない。
頭が良かろうが、悪かろうが
家が、金持ちだろうが、貧しかろうが
女にもてようが、もてまいが、
学校で、優等生でも不良でも
この3人にすべて集約されてしまう。
その3人がひとを殺してしまい
少年院出所後、平等にって言うのも変だけど、女性の存在も現れたりする。
更生しようと試みるのに、世の中の偏見に結局負けてしまったり
素直さゆえに、悪に染まっていく神原尚彦とか・・・すごいです。
3人の少年の視点で、場面がくるくる変わるんだけど、どの少年の視点の話も気になって仕方ない。
3人の更生を邪魔する影の存在が、どんどんリンクしていくのに
3人の犯罪に共通点がない。
いったい誰が、どういう理由で3人を悪へ導くのか。
長いけど、場面がくるくる変わるせいか、全然長さは感じなかった。
ラストも若干、後味は悪いし、尻切れなカンジも否めないけど
読み終わったあとに、貫井さんらしい「え?そうなの??」ってどんでん返しがあって
前に戻って、うひゃー、こんなとこから伏線が張ってあるよ・・・と感心仕切り。
刑務所は、「罪を償う場所」だけれど、少年院は「更生施設」だから
少年院を出ても、罪を償ったことにはならない。
罪は、つらい現実を生きて償うって結論も、共感。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.16
(5pt)

少年犯罪を考える

久藤、神原、葛城。
この三人を主人公に物語が展開されるが、その他多くの人物が出現し、
それらすべての人たちが、強く関わっている。
ストーリーを読み進めれば、これらの関係が分かるが精読しなければ、
相関関係を見失いそうである。
しかし、関係を無視することはできないので、思わず確認するために読み返してしまう。
それだけ本書は、読書を惹きつけている、と考えられる。
また、「物語の順序」がよく考えられていることも、前述したようになる理由であろう。
「生き続けること」が、罪を償うことになるという点はなるほどと感じた。
人を殺すことが、どれだけ重いことなのか知ってもらうことは悪くない。
そういったことを葛城自身が、何らかの方法で本当に伝えることができるのであれば、
「罪を償う」ことが、できたと言えるかもしれない。
「罪を償う」ことの一部だと言えるかもしれない。
葛城、神原は幼少の頃から心の傷を負っていたと言えよう。
やはり、生育環境が彼らが罪を犯した根っ子の原因だと考えられる。
また、本書を通して、少年が非行に走るには、私たちが理解できないくらい、
深い深い根底があると感じた。
黒沢が、更生できそうな場面があったが、結局銀行強盗に荷担した。
更生しようと思っても、うまくいかない状況に直面するという現実も理解できた。
黒沢のような方法で社会からはじき出され、再犯するというケースも十分考えられ、
立ち直ろうと本気で思っていても、できないこともあると感じた。
昨今では少年法も改正され、多くの注目を浴びた。
いまや、少年犯罪は多くの人から目を向けられることである。
少年犯罪を考えるために読み、一つの観点として読むことも可能だろう。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.15
(5pt)

少年

本書では、三人の人物を主人公にして物語を展開している。
第一章では、三人の生活について淡々と書かれている。
しかし、後半になると三人の少年が思いがけない事件を勃発させる。
あまりの急展開に驚きを隠せなかった。
しかも、三人の少年について、パラパラと書かれているのに、
第一章の最後の方で、三少年が事件を起こしたことが書かれているので、
読者はこの場面でいっきに、小説の世界にグッ引き込まれる。
第二章では、この三少年が少年院で一緒になるのだからさらに驚いた。
特に、先のことを考えることなく読んでいたからか、驚きを隠せなかった。
このように、文章、物語の一部分をどこに配置するかで、
読者に与えるインパクトはかなり変わるということが分かった。
運動能力強化運動は午前中に実施されるが、本当にこういった生活習慣なのか?
と、疑問に思ったりもしたが、腹筋をする場面では、
ある少年が優しさを見せる場面もあったりして、
人の心のすべてが廃頽しているわけでもないと感じた。
本小説での少年院での生活は過酷である。
運動能力強化運動もそうではあるが、「精神的な苦痛」は計り知れない。
院内での罵倒であったり、無視だったり。
こういった、下劣なやりとりは見るに耐え難い。
と、同時に「心」の在り方を考える契機ともなった。
少年が事件を起こすと、法により処罰されるのではあるが、更生は難しそうである。
14歳の少年が、罪を犯した場合、14年間の生活、その他諸々の積み重ねが
事件を引き起こしたと思われるので、更生にも14年、もしくはそれ以上の年月が
かかるのではないかと思う。
少年がどのように事件を引き起こすのか、こういった経緯を経て
犯罪を犯す可能性はじゅうぶんにあり得ると感じた。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.14
(4pt)

場面転換のうまさが光る

貫井特有の場面転換のうまさはこの作品においても秀逸。
また、近年多発する少年犯罪において「なぜ殺人にまでいたったのか」という動機を犯罪者の内面にまで突っ込んで、独特の世界観(少年の目線に近い感覚)で書き綴っている。
ただし、少し人間関係を広げすぎて、最後に「しめる(人間関係を結びつける)」段階でしめ切れない部分がある点が悔やまれる。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.13
(5pt)

すべての少年が殺人を犯す可能性

 三少年の意図的な人物造詣が、たくみである。すべての家庭環境を象徴していてるのだ。整理すると次のようになる。
1 一人は、何も特徴を持たない凡庸な少年。平均的な家庭で、両親から平均的な愛情と干渉
 を受けている。唯一の特徴は、女の子ともとれるような凝った実名。
2 もう一人は、実の母から養育放棄された、貧しい環境。愛情に飢えた、何も持たざる少 
 年。でも、心の通う幼馴染はいる。経済的に最下層である。
3 全てを持つ少年。親の経済力と知力と美貌を兼ね備えている。ただ、身勝手な父親が次々
 と妻を取り替える。
 この三様の少年達が、そろって人を殺してしまうのだ。つまり、ある共通の条件が殺人という極限の罪を犯させるのではなく、どの少年にだってあり得ることだという状況を描いているわけだ。本作の寒々しい読後感の根元は、おそらくそこにある。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.12
(4pt)

生きる事が贖罪

三人にとって、殺人は衝動的に生じたものではなく、

「必然」だったのかも知れない。

殺人は絶対に許される事ではないが、一度目の犯罪である殺人は、

定められた道だったという風に描かれている様に感じる。

当然、少年院を退院した少年達に対する、世間の風圧は強い。

しかし、三人は少年院でいったい何を学習してきたのか?

全く反省の色が無いのが、特に問題だと思う。

罪を深く受け止めて、真っ当に生きる事が贖罪につながると思う。

あろう事か、三人は新たな犯罪へと突き進んでゆく。

それは、ほとんど捨て鉢とも見なされる。

金への執着が強い程、贖罪の道は遠のくという印象だ。

罪は犯していないが、彩の夢は、ハワイに別荘を持つ様な金持ちになりたい、

という下りがあるが、これは、いくつかの点を象徴している。

金は、艱難辛苦を伴う努力の結果として、後から少しだけ付いてくる。

金持ちになる事が夢なんて、目的と手段が逆転した、おかしな夢だ。

三人の金に対する執着の程度が、贖罪に対する意志を語っている。

死ぬ事は卑怯と言われ、生きて贖罪する事を要求される下りは、特に印象的だ。

物語は綿密に練られていて、大変興味深いが、

三人の人格面での特殊性が強過ぎるという印象は持った。

その点で、少年犯罪の本質に迫る社会派作品というよりも、

全体に、三人を題材にした意外性のある物語という印象だった。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.11
(5pt)

瘴気

作品全体を貫く大きなテーマは「瘴気(しょうき)」だ。
瘴気とは、ここでは、得体の知れない鬱屈とした気分、という意味で使われている。
作品は、三人の少年の内面を深くえぐる。
その内容と文体は、非常に粘着質で、これでもかこれでもかという具合に。
そして、突き詰めると、彼らの瘴気に行き着く。
当然、それらを平常心では読めない。
ところで、少年のうち一人の存在意義の象徴が、精密なガンダムのプラモデルだという下りは、
たかがプラモデルが、と思ってしまう反面、共感出来る部分もある。
この部分は特に興味深かった。
作品は、上巻では事件、少年院、下巻ではその後を描く。
一貫している事は、少年院を出ても、三人とも事件を反省していない。
こんなに苛酷かつ壮絶な少年院を出ても、だ。
つまり、瘴気が少年達の心からは消えていない。
この部分に少年犯罪の一端を見る。
下巻では、少年達に、容赦ない世間の洗礼が待っている。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.10
(4pt)

作者の意図は分かりますが?

上巻は非情に生々しい描写の数々に、読んでで胸に詰まります。中学生の3人の少年が起こした事件、殺人、そしてその動機、繋がり、結末と、糸を巧みに取り合わせたような物語の展開に、はっとさせられる方も多いと思います。結果的には、数多い貫井さんの作品群の中でも、秀作の部類に入る上出来の物語です。でも子供を持つ親にとって、この長い物語を読み終えていったい何を感じるのでしょうか?それが作家の本作品における最大の答えなのでしょうが、私にとって、結末までの経過、そしてその答えは、とても重かった。でもそれが少年犯罪関連のミステリーなんだということは十分理解できるが。。。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.9
(4pt)

心の叫びは鳴り止まず・・・

下巻は少年を出た3人が、
社会でなかなか受け入れられず、
またもや新たな犯罪に手を染めてしまうまでを描いています。
一度罪を犯してしまった人間に対して
社会が冷たいのは当然のことで、
彼らは普通の人以上の頑張りが必要となる。
そこを理解せず、社会に反発するように新たな犯罪に手を染める少年達。
あまりに幼い発想。
要は少年を更生させるって、
心や体に覚えこませるのではなく、
人対人で真摯に向き合ってくれる大人の存在なのかもしれない。
葛城と神原の関係の件はいかにも作られた感があったけど、
被害者の父が久藤に語った真実にはハッとさせられる繋がりがあり、
更正への道をはっきりと感じられるラストでした。
少年達の心の叫びは最後の最後まで鳴り止むことなく、
結局3人に欠けていたものは、
注がれることのなかった愛情なのかもしれません。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.8
(4pt)

なぜ中学生が人を殺すのか

第一部は3人の少年が殺人を犯すまでの経緯、
そして二部は読むに耐え難い過酷な少年院生活を描きます。
少年達を突き動かしたのは「敗北感」や「絶望感」だった。
自分という「個(または自分の愛するもの)」を激しく踏みにじられた瞬間の爆発。
彼らはまだ幼く、傷つくことや負けることに慣れていない。
経験したことのないショックが、怒りへ直結する。
少年院の生活においてもそう。
分別の付かない子供の集まりだから、抑制が効かない。
少年院に入る少年達の心の汚れも問題だけど、
理穂の汚れのなさも現在人の私達には脅威である。
まるで水と油のような久藤と理穂がが分かり合えるはずもなく、
破滅へ進むしか道がないのは、わかる気がした。
第二部を読むのは途中でリタイアしたくなるほどつらい。
読むのには覚悟が必要です。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293
No.7
(5pt)

重い結末。

少年院から出た一見平和な日常から始まる下巻ですが、
殺人を犯した少年たちは、静かに生活させてもらえないのですね。
追われるようにまた、重大な犯罪を犯してしまいます。
そこまでの描写は、少し長くてテンポが遅いように感じましたが、
最後の謎解き部分は思いも寄らない内容で、
一気に読み終えました。
特に被害者の父の独白部分は、残されたものの悲しみがにじみ出ていて秀逸です。
ところどころ少年の心の声が挟まれているのですが、
両者の深い溝を埋めることのできないもどかしさを感じてつらかったです。
どの登場人物に感情移入するかでいろいろな見方の出来る小説だと思います。
いろいろな世代の方にオススメしたいです。
空白の叫び 下 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 下より
4093797307
No.6
(5pt)

つらい現実。

最初はメインの登場人物三人をとても丁寧に描いています。
全く似通った所のない三人がいったいどこでつながるのか、とても想像が付きませんでした。
まさか、少年院でであうとは。
そしてそこでの生活がなんと悲惨なことか。
下巻がこのまま少年院での様子を描いていたら、
きっと最後まで読む事は出来なかった思います。
そのぐらいつらいストーリーでした。
空白の叫び 上 Amazon書評・レビュー: 空白の叫び 上より
4093797293