愚行録
評判
愚行録の評価:
3.60/5点 レビュー 104件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全111件 101〜111 6/6ページ
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愚行録の評価:
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様々な友人たちが一人称で語って聞かせる形式は、宮部みゆき「理由」、恩田陸「Q&A」「ユージニア」など話題作で幾度か目にしていますが、本書でもまだまだ有効に用いられていると感じます。
被害者たちの人生は友人たちのフィルターを通した途端に、「真実」と私たちが名づけるものからはどんどんと離れていく可能性があります。それがどれくらい離れているのかは、まさに死人に口なし。私たちが他者を「知る」というのは、実は「他者像をこしらえる」という作業と紙一重でしかない虚しさを感じます。
さらに言えば、彼らの来し方に散りばめられた愚行の数々、---ちょっとした意地悪や軽い嫉妬、利己的な恋愛感情や、苦笑するほどの執着心---そうしたものは私たちの人生にも大なり小なりこぼれ落ちているものです。誰の身にも覚えがあるそんな行為の数々は、歳月とともにやがて忘却や諦念にくるまれて記憶の引き出しにしまいこまれてしまうものでしょう。それが生きる上での大人の知恵であるともいえます。
しかしそんな行いの一つ一つが、ひとたび一家が惨殺されたことによって、この一家が万死に値するか否かを問うための材料へと、にわかに変貌を遂げてしまいます。
「あの人たちは何も悪いことをしていないのに…」。目を覆いたくなるような残虐事件の直後に、被害者を知る人たちがメディアのマイクに向かってこの言葉を口にすることがあります。この言葉に頷く私たちの心の裏には、一方で「殺されても仕方がないような行い」がこの世には確かにあるという共通認識が巣くっているのです。
そんな心を見透かすような結末に、うら寂しい思いを感じるのは私だけではないはずです。