夜よりほかに聴くものもなし
評判
夜よりほかに聴くものもなしの評価:
5.00/5点 レビュー 7件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1〜9 1/1ページ
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夜よりほかに聴くものもなしの評価:
5.00/5点 レビュー 7件。 B ランク
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山田風太郎は様々なジャンルの作品を膨大に書いていますが、彼の持ち味はやはりリアリズムではなく、その奇想性にあるのだと思います。ケレン味たっぷりの一連の忍法帖シリーズのような伝奇小説こそが彼の本質なのでしょう。本作は松本清張がブームを起こした社会派推理の要素を取り入れた、彼の本質からは少し外れた内容ながら、物語の醍醐味を味わせてくれるすぐれた連作短編集です。どの作品も、当時の世相をうまく取り込みながら読み応えのある佳品に仕上がっていますが、通底しているのは、やや神経質なくらい物事を考え込んでしまう人たちの陥ってしまう悲劇だと思います。殺人にまで手を染めずとも、こういう人たちは現実に存在します。いや、自分の中にもかなりこういう要素はあるので、空恐ろしい感じがしました。気を付けなければ―と。
それにしてもどの作品もバラエティに富んでいて、今の作家だったらこの中の一つの短編と同じテーマで、多分500ページ以上の作品を書いてしまうのではないでしょうか。終幕の言葉が毎回同じなのは、やはり「読み物・作り話」としての体裁を統一しているからなのでしょうが、それぞれの作品のテーマは現代でもまったく通用することばかりです。人間はいつの時代もあまり変わらない生き物なんだな、ということを痛感させられます。私の一番のお薦めは「敵討ち」ですね。この怖さと物語としての巧みさは群を抜いていると思います。