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うつくしい子ども
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うつくしい子どもの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 21~40 2/6ページ
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9歳の少女殺人事件の犯人は、割と前半で明かされます。 なぜならこの物語は、加害者の家族がその後どう事件と関わっていくかを描き、 かつ事件の背景を探っていくところに主題があるからです。 犯人がだれかは本の背表紙のあらすじにも出てますが、それでも知りたくない人は 背表紙や、帯を見ないようにして本編を読み始めてください。 主人公の三村幹生は、たいした奴だなあと思います。こいつの腹の据わり方は格好いい。 山の上での集会はすがすがしくて好きなシーンです。 一方Mのキャラクター造形はコテコテ過ぎたのが唯一気になった点かなぁ。 | ||||
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少年犯罪を扱った小説です。 無理矢理ジャンル分けすると、ミステリーになるのかな。 本書の読みどころは、 ・少年探偵団の活躍 ・犯罪者とその家族に対する報道姿勢のあり方 だと思います。 少年の犯罪心理については突っ込みが浅い気がしますし(特に親子関係)、少年法の問題点や教育現場の崩壊ぶりも、本書では刺身のツマ程度の扱いです。 まあ、そこまで書き込んでしまうと冗長なストーリーになると思いますので、これくらいがバランスが取れていていいのかな。 マスコミのゆき過ぎた報道と人権問題については、考えさせられるところ大です。 石田さんならではの軽快なタッチで読みやすいですし、中高生にもお勧めできる作品です。 | ||||
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ごく平凡な生活を営む『僕』。だが、ある日、自分の弟が女児を殺害してしまう。そんな事件が起きたあとも、その街で生き続けなくてはならない僕は……、 というようなことが表紙裏のあらすじのところに書いてある。解説でも言及していたが、なんとこの小説、オビと表紙で犯人バラしちゃってるのだ。あらら。普通のミステリーではない、ということがもうこの時点でわかる。でも、ミステリーではなくて純文なのかというとそうでもない。ちゃんとしたミステリーで、読み解かせる部分を持っているのだ。 石田さんは結構いろんな引き出しを持っている作家だと思う。けっこう軽快な語り口をウリにした作品が目立つけど、背後に敷かれたプロットは堅牢なものだ。イキナリ犯人をバラすミステリーが書ける作家であることは間違いない。ラスト50ページはあっという間の、衝撃的な作品。 | ||||
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この作品でいう“うつくしい”とは何だろう? 主人公たち3人組の姿勢 主人公の妹の容姿 いわゆる「伝説の天才」 “うつくしい”には色んな意味が込められているのだろう。 それは時に称賛であったり、皮肉であったりする。 ただ文章にひらがなが多いのは、中学生っぽさを出すため? もしそこまで考えて書いているなら、素晴らしいでしょう・・・ | ||||
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少年犯罪をテーマにしているということもあり、その結末はどう転んでも、もどかしい思いをぬぐい去ることはできません。本書もそういった印象でした。しかし犯罪にまきこまれた被害者と、その周辺にいる人、また犯罪者と、その家族などの心理描写、舞台設定は見事で、現実に起きたある事件を受けて執筆されたという事実を裏付けるようでもあります。 本書は石田氏の他のどのシリーズ(池袋ウエストゲートパークなど)とも違い、小気味の良いテンポ、若々しいリズムなどはあまり感じられませんでした。東野圭吾氏の作品のような、程よいテンポとリズムと重厚さの調和が、読んでいて心地いいようでもあり、その世界に感化されて気分が重くなるようでもあり、読者の捉え方によっては様々な印象をうけるのではないかと思いました。 やはり石田氏の作品ははずれがない。そういった意味で私にとって安心して、本を新たに開くことのできる小説家であると言えます。本書も多分に漏れず、違ったテイストではありましたがとてもおもしろかった。 | ||||
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夢見が丘中学校に通う主人公は14歳。子供らしい日々を送る中学校生活の中、8歳の女の子が行方不明になるという事件が発生。その後、女の子は絞殺死体として発見される。街中が大騒ぎになる中、なんと犯人として主人公の13歳の弟が逮捕される。 (どうして弟は、こんな事件を起こしてしまったのか?) 葛藤の渦中に投げ込まれた主人公が、迫害と無遠慮な嫌がらせに耐えながら、文字通り必死で深層に迫っていく。 紋切り型、の理解を拒否して、新しい視点を投げかけつつ、ドラマは重苦しさを残して終わる。ちょうど、人生がそうであるように。心の深みという点では惜しい面もあるように感じるけれども、文学作品として、真摯にきちんと書かれた本であると思う。 諦めちゃいけない。ぼくは決心したはずだ。 いつか灰色の港に着く日まで、あの灰色の海を力の限り漕ぎ続けると。 ―石田衣良、『うつくしい子ども』 灰色の海は、僕らもまた生きているこの世界だ。 主人公の少年に触発されて「僕もまた力いっぱい生きよう」と考えるのは浅薄に過ぎるだろうけれど、灰色の海に対する態度、を自分なりに決めるということが、この作品への敬意になるような気がする。 タイトル「うつくしい子ども」は文中で描写される子ども達への、美しさの視点の転換を迫る象徴的なフレーズ。一読すれば分かると思いますが、念のため。 | ||||
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石田衣良さんの小説を3冊ほど読みましたが、総じて「浅薄」という印象です。本作について言えば、ところどころで主人公の少年の心の動き1つ1つに心を揺り動かされることもありましたが、読み終えてから振り返ると、何故だか「良い本を読んだな」と余韻に浸ることが出来ませんでした。 読み始めてから読み終えるまでの過程で瞬間、瞬間に感じる「瑞々しさ」のようなものは好きですが、読み終えたときの喪失感はやるせない気持ちにさせます。 読み手がどちらを重んじるかで評価が分かれるのではないでしょうか。 | ||||
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リアルじゃないと思う。 九歳の少女を残虐なやり方で殺した十三歳の少年。その家族のさらされる痛み、苦悩、恐怖はこんなものじゃないだろう。 次々と起きる新たな事件に、どんな出来事も世間はすぐに忘れていくけれど、只中にある時の攻撃力は、地元に留まっていることを絶対に許さないくらいのものではあるはず。まあ、残ってないと話が展開しないから仕方ないんだけど。 加害者兄の友人たちも、理解がありすぎて優しすぎて、ほんとに?と違和感を感じてしまう。 結末のつけ方にいたっては、マンガのよう。こういう展開はありえないとは言わないが、もっと深みのある、人間の存在やあり方に真に迫る内容にしてほしかった。これじゃ、あまりにつくりものすぎる。どっかでひろってきたオチでしかなく、作者の「これが書きたかった。訴えたかった」というような確固としたものを感じない。 なぜ人は人を殺すのか。 染色体に異常があるわけじゃない、親に虐待されたわけじゃない、深刻なトラウマがあるわけじゃない、ただ、人を殺すのが好きだという人間がこの世にはいる。それを私たちはどう捉えればいいのか。 少年の猟奇的犯罪を描くのなら、多少なりとも何かを考えさせられる内容がほしい。 | ||||
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これまで石田作品でハズレたことはなかったが、 今回は唯一の駄作だなと思った。 本の帯には殺人犯の犯人の名が書かれている。 13歳の弟の真相を知りたいと、 中学2年生の兄が調べ始めるんだけど、 この兄が現実にはあり得ないぐらいできすぎている。 だから物語からリアリティがまったく感じられない。 嫌がらせをされても耐え、警察で調べられなかったことを、 いとも簡単に調べ上げ、そして「真犯人」を突き止めるのに、 彼らが自殺するとその秘密を守ってあげる。 そんなこと、あり得るだろうか? さらに、この作品が最もダメなのが、 「真犯人」の存在である。 真犯人は実際には手を下しておらず、 弟の犯罪は許さざるべき残虐なものなのに、 無実の兄が犯罪をそそのかした「真犯人」を発見することで、 まるでその真犯人すべてが悪いような物語に結果としてなっている。 結局それじゃ、誰か悪者を作ってバッシングする、 本書で批判するマスコミと何ら変わりないだろう。 | ||||
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女児を殺した犯人は「ぼく」の弟であったと内容が紹介されているように,この作品は犯人を探すことを主旨としているのではなく,なぜ弟が犯罪を犯したのか突き止めていくという一味違ったミステリーとなっています。ジャガというあだ名の「ぼく」は弟の心の闇と向き合うため,自分なりのやり方で事件を紐解いていきます。そして物語が進むにつれて弟がなぜ犯罪を犯したのか,その背景に「誰が」という影がちらつき,その人物こそが弟の闇を代弁する形になっています。 物語は一人称で語られるジャガの視点と,三人称で語られる山崎という新聞記者を中心とした視点の二つが交互に描かれており,それがより一層物語の内容を立体的にしています。山崎は報道関係者側でありながらも,このような事件を書き立てることに批判的な立場として描かれており,自分なりの記者としてのあり方を模索している姿がジャガの事件に立ち向かう姿と重なります。「自分なりの」という個性が覆われてしまう現代,彼らの在り方が清々しかったです。 加害者家族であるジャガの立場はかなり辛いものですが,それでも仲の良い友人との会話や,彼の素朴な人柄が話を全体的に暗いままにせず良かったです。ただもう少し弟の心の闇について詳しく描いてほしかったです。人と人とが繋がることについて考えさせられる作品でした。 | ||||
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山の中で少女が殺害された。 猟奇殺人犯は13歳の弟だった! 本書が出版されたのは1999年。 あの「酒鬼薔薇事件」(1997年)に触発されて書かれた少年犯罪モノだといえます。 なぜ弟は殺人を犯したのか?弟の心の闇を兄は理解してあげることができるのか? そうした問いかけが本書の大きなテーマとなっています。 とは言っても、実際には青春推理モノとして書かれており、内容の重さに対してかなり軽めの文体でサクサク読めるようになっています。 謎解きの要素もふんだんに含まれていて、小説として飽きさせない作りになっているのは、さすがは石田衣良といったところでしょう。 その一方で、メインテーマである少年犯罪に関しても、他の作品に比べより冷静にその本質を描き出すことに成功していると思います。 ただ最近は多様な犯罪の低年齢化が進み、「少年犯罪」という言葉の持つインパクトもだんだん薄れてきてしまっていますね。 そういう意味では、今読むのにはちょっと向いていない本かもしれません。 (むしろ高齢者同士での事件が増えてきていることの方が問題だし・・・) | ||||
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もし、自分の身内が犯罪者になってしまったら・・・と考えてしまう話です。 普通の家族だったのに、どうして人を殺してしまったのか。 主人公の少年は弟の心や動機を知ろうと行動する。 いじめやひどい仕打ちにも負けず、生き抜こう、生活していこうとするのですが、その姿が痛々しくも、たくましさに感動します。 14歳と言う年齢だからできたことでしょうか、勇気が出せたんでしょうか。 そして、とうとう突き止めた新事実、その結末に考えさせられます。 どうして、そこまで心が壊れしまい、犯罪を犯してしまったのか。 それを防ぐのにはどうするればいいのか。 今の社会のテーマですね。 | ||||
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石田衣良という作者に興味があって読んだ。『4ティーン』に続いて二作目。こちらのほうが面白かった。 なぜこの作者に興味があったかというと、朝日新聞で『いじめられている君へ』という文章を読んだからだ。石田氏は、いじめられている子どもに対して何もしてあげられないと言う。(個人的にそんなことはないと思った。ペンと発表の機会と読者を持つ、影響力の大きい人だから)しかし自殺することは禁ずると書いていた。一体何を考えてそんな残酷なことを書くのか全く理解できなかったので、『4ティーン』を読んだんだが、『うつくしい子ども』のほうが作者の人となりがよく分かった。分かったというのは、「こういう人なのか」という漠然とした感じで、共感を感じたということではない。 大変面白いと思いながら読み進んだが、最後のほうではガッカリした。あ、なんだ、『デスノート』みたいなものでしたか。みたいな。 深く考えさせてくれそうな予感を与えつつ、やはりそうでもありませんでした、という本では松岡圭祐の『カウンセラー』を思わせた。なにが物足りなかったのか。異常心理の深みかな。 | ||||
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この作品、最近の子どもたちで起きている事件の描写のようなリアル感があります。 さまざまな子ども達の、性格・せつなさ・やるせなさ・納得できない感じ・抑えられてる苦しさ・・・けど、乗り越えようとする勇気 などたくさん盛り込まれています。 大人たちの作った環境・都合の影響を考えさせられ、また、逆に いつの間にか、その苦しさを利用してしまう歪んだ自己表現 たくさん考えさせられます。 こどもたちは、繊細だし本能で何かを嗅ぎ取る能力があると思います。 できれば、その能力を自分の糧にして、悪い方に敏感よりもっと良いものに敏感に 嗅ぎ取って、乗り越えていってほしいです。 | ||||
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石田衣良の作品は初めてだった。 「人を追い詰めるには、本人よりまず周りから」ということ。「中学生ぐらいの年だとちょっとしたことで思想をコントロールできる」可能性があるということ。 催眠術とかマインドコントロールとか、なにが本当の自分なのか、周りの人にとやかく批判されたとき自分は本当は何がしたくて何を感じているのか。何が正しいのか。 そんなことを考えさせられる作品。キャラクターもそれぞれが生き生きとして、危うさもすべてひっくるめて青春!を思い出しました。 | ||||
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わたしがこの本を読み始めたころ、ちょうど小学生の女の子が 行方不明になり、遺体が見つかるという悲しい事件が立て続けに 起こり、世間を震撼させていました。 逆に少年達が加害者になる事件も起こっていました。 そのためか、読んでいてとても怖くなりました。これは 単なる作り物の話(神戸の事件がモチーフですが)ではなく、 現実として起こっている。しかも多発している、、、 という現実が、小説の内容をよりリアルに、胸を突き刺しました。 狂った世の中・人間、無垢だと思っていた少年達に棲む黒い心が 本当に現実問題としてすごく怖いと思いました。 ただこの本はとても読みやすく、テンポ良く読めますし、 主人公のしっかりとした精神力や心に救われるような 気がします。 | ||||
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カズシや夜の王子←現実にこんな子供が大きくなったら..そんな大人が増えたら..と考えると少し恐ろしくなります。 主人公(ジャガ)やその仲間はずいぶんしっかりした中学生だと思いました。 神戸の事件を題材に事件・事象を捉えるときにはマスディアの情報を鵜呑みにするだけではなく自分の頭で考えて複数の視点で見るべきだとのメッセージがこめられていると思います。 中高生なんか特に読んで欲しいと思います。 | ||||
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被害者の家族の悲しみは計り知れない。しかし加害者の家族の悲しみも想像できないほど深い。朝起きたら[加害者少年の兄]になっていた少年は何を感じるのだろう。複雑な社会だからこそ中高生、子を持つ親、全ての人に読んでもらいたい本。 | ||||
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読みやすかった。 ずんずん読めた。その感じはすごくいい。 子供たちの描写部分もなんだかありがちなんだけど続きが世みたい感じにさせてくれる。 でもどうして殺人を行うことになったのか、その理由の部分が急にファンタジー路線?みたいになって えー、こうなるわけー・・という感じ。 いっそのこと児童ファンタジーにすればいいのに。 なんだかラストがあまりに現実離れしていて、 そこいらの少年誌の漫画みたいな展開だったので、 それならば新聞記者の存在、いらないんじゃないか?と思いました。 完全に「おとぎ話」として作ってしまえばよかったのに。と。 あばた面の主人公のキャラ設定は非常にうまくできており、 見た目はよくなくても心の綺麗な少年というのをひしひしと感じる作り。それも無理なく。そしてリアルに。 でもそんな少年がラストに向かって急に眼光鋭くキレるようになるようなシーンは なんだか無理があるような気もする。 とはいえ、最後までよみとげられて、「コレを読んだ」という意識が残るということは、読んで損のない作品だと思う。 主人公の心の綺麗さが私の心を打った。 | ||||
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ストーリーは一人の中学生が小学生を殺害するという衝撃的な事件が軸となっているのだが、殺人事件を起こした犯人の兄という内側と新聞記者、警察、地域社会という外側からの両面から見事に描き出している。 IWGPシリーズで著者が見せた軽快な一人称と山崎という新聞記者を中心とした三人称がうまく絡み合い、今の日本の一方通行の報道、メディアに対する著者の批判と苛立ちが痛切に胸にしみた。 話の中心は少年犯罪だが、弟の事件を通して成長する兄とその仲間の青春物語が盛り込まれているのも石田さんらしい。少年犯罪をこういう形で表現できる石田さんはやはり素晴らしい。 | ||||
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