天使の囀り
評判
天使の囀りの評価:
4.12/5点 レビュー 342件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全676件 181〜200 10/34ページ
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天使の囀りの評価:
4.12/5点 レビュー 342件。 A ランク
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特に心に残ったエピソードを挙げてみます。
まず、『天使の囀り』そのものが発生するシーンです。
私は時折、入眠時幻覚というものを体験するのですが(ほぼ幻聴です)まさにこれそっくりの現象として描かれているので、ゾッとしました。
何者かが、意味不明な言葉の羅列で語りかけてくる感じが酷似しているんですね。作者も体験したことがあるんでしょうか? 再現性の高さが頭の中を覗かれたみたいで気味悪い。
さらに後々『天使の囀り』の仕組みが明かされる段に至っては、耳の中を洗いたくなるほどのおぞましさでした。
こんな調子で、事あるごとに心身の内側をまさぐられたあげく、ストーリーと自分がべっとり癒着したかのような心地にさせられるんです。おおいに感覚を乱されます。
ここまでの生々しさ、リアリティを醸成しているのは、作者の取材力の賜物でしょうか。
そして、舞台装置、設定、環境の描写にも惜しみなくページ数を割いているためでしょう。
その入念な様は、今後のグロテスクシーンの臨場感につなげたいわけだったのかと、二度目の読書で意図に気づき、さらに気分が悪くなるといった二重構造まであります。
とりわけ、嫌になるくらい手が込んでいたのは、被害者たちの破滅の模様です。
様々な悩みを抱えた人々の、実に人間臭くてデリケートな深層を暴いて、同情に持っていく、という前振りからしてすでに嫌な予感満載。
ここから偽りの救済、人格崩壊、破滅の模様をショッキングに見せつける流れは、もう、わかっていても、エゲツなさの権化と言っても過言ではないでしょう。
神話や民間伝承さえも、抜かりなく不気味演出の材料にされます。
皆さんご存知のギリシャ神話が、この作者にかかれば、一気に陰惨なサスペンス風味に彩られるのです。
まるで、その神話が誕生した背景には、実際にこのような事件があったのではないか……? と、妄想を呼び起こす筆致で。
テュポーンとか昨今のゲームで頻出するキャラクターじゃないですか。もうこれからどんな目でテュポーンを見ていけばいいのか……
散々書き殴りましたが、これらは全て賛辞と受け取っていただければ幸いです。
それから、感想なので特にグロテスクさを列挙しましたが、全編にわたってこうしたシーンのオンパレードというわけではなく、精神科医である主人公の視点から、異常な事件を理性的に追及していく、といった堅実な構成になってます。
現実生活の厳しさと、救いを求める人々の儚さ、といった哀切もそこはかとなく内包しているように感じました。
特に派手さはないものの、コツコツと石を積み上げるようにして描かれる地道なホラー演出、ネッチョリと心身に侵入されるような不気味さが持ち味の作品です。
上記をお求めの方には、満足いく内容となるでしょう。