応家の人々
評判
応家の人々の評価:
3.50/5点 レビュー 4件。 - ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1〜4 1/1ページ
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日影丈吉は、1908年生まれ、1991年没。1943年、近衛捜索連隊として台湾に駐屯、そのまま終戦を迎えたという。この作品の単行本は、1961年5月に、東都書房から出版された。松浦寿輝の解説によれば、日影丈吉の多くの作品がミステリというジャンルに属している。そして、その小説世界は、大人の風格をまとっており、彼の文章は静謐かつ上品で、そのような文章に価値を認める読者は、そう多くはないが、一定数いるはずだ。
このミステリは、と書き始めたいところであるが、私はミステリの出来はあまりよくわからないし、謎解きの箇所は全く感銘を受けなかった(この点は、ミステリを熱心に読んでいる読者の方の感想を読んでみたい)。それよりも、この本は、日本統治下にあった、昭和14年頃の台湾の人々や風物のスケッチとして読むことができた。例えば、纏足の老婦人が出てくるシーンがあり、「台湾ではもう、よほど高齢の良家の人でないと、纏足は見られなくなった」というさりげない一文があるが、昭和14年当時は、この習俗は途絶えつつあるが、まだ残っていた時代だったということに気づかされた。また、かつて日本が植民地を有していたということは、なにがしか日本文学に影響を与えている、そうした発見があった。
そのように、往時の台湾のことを知り、日本文学と植民地の関係を考えるきっかけにはなったが、さらに、ところどころ感嘆する美しい文章に出会ったが、ただ、全体としては、あまり面白みが感じられなかった。残念ながら、私は、日影丈吉の作品に魅力を感じる文学的感性を持ち合わせていないようである。また、文章中に使われている漢語や漢字が難しく、ルビをもっと増やせば読みやすいのにとも思った。「標準点」としての☆3つと評価した。これは、私の書いた16番目のレビューである。2021年3月8日読了。