(短編集)

写楽・ 考

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写楽・ 考の評価:

4.20/5点 レビュー 20件。 B ランク

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平均点4.20pt

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全25件 21〜25 2/2ページ
No.5
(5pt)

御守りワトスン

作者本人がどこかでぼやいていたように、短編一本分に掛けるコストが通常のよりもずっと大きいことが、明らかにこの蓮杖那智シリーズの一編一編に膂力を漲らせる源泉になっているのは疑いを得ない。いや、作者の力でなら十分長編化できるネタを、短編に用いている(あえて短編サイズに刈り込む)ことで、ソリッドな世界観を構築できているというべきだろう。蓮杖那智のクールさは、実は道化と紙一重だ。彼女自身のパースペクティブによって、「世界」は鮮やかに裏返されるが、かなりアクロバティックな所作がコンパクトに違和感なく提示されるのは、奇矯さを「逆説」を担保にひとつの論理へと昇華させる、作者の絶妙な手腕に他ならない。そう、これこそ「探偵小説」の醍醐味ではないですか! ――で、名探偵が道化を引き受けず超然としているなら、その取り巻きが代行するほかない。かくして、三國クン受難の日々が続くわけです。……巻頭作「憑代忌」は伝奇ミステリに泡坂妻夫風ブラックユーモアの味付けをした怪作(ていうか二話目のタイトルはもろ泡さん宛ではないですか)。後の作品も伝奇に逆説と諧謔の味を加えて間然するところない。――表題作は陶子登場にして、キツネ目さんもレギュラー入りする雰囲気で、ファン心をくすぐります。それにしても、なんて大胆不敵なタイトルだ。
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮エンターテインメント倶楽部) Amazon書評・レビュー: 写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮エンターテインメント倶楽部)より
4106026589
No.4
(5pt)

《蓮丈那智》シリーズ第三弾

◆「憑代忌」
  内藤三國と佐江由美子は、南アルプスの火村家に
  「御守り様」と呼ばれる人形の民俗学調査に訪れた。
  その翌日、人形が土蔵から紛失し、後に発見
  された際には、無惨にも顔が潰されていた。
  そしてその直後、人形と同様に顔面を潰された
  火村家の当主・火村恒美の死体が発見された。
  火村家の御守り様は、恒美に降りかかる災いを我が身に引き受ける形代とは
  ならず、ただその死を予言する、悪しき憑代でしかなかったのか……?
  殺人と人形破壊を逆説的論理で結びつける着想が秀逸。
  オカルティックなロジックや道具立ての背後に、
  世俗的な動機をしのばせる手際もお見事です。
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫)より
4101207232
No.3
(4pt)

写楽という虚像

決して表舞台に出ることなく推論を重ねる表題作。写楽という人物を描き出すための壮大な装置が仕掛けられている。
頭の中で整理されていく歴史は、本物かどうかよりも説得力を持つかどうかという視点で語られていく。
物事はある面から語られているに過ぎないのだ。そしてこの作品は十分に説得力を持っている。
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫)より
4101207232
No.2
(5pt)

人気シリーズ第三作

 美貌の民俗学者、蓮城那智を主人公にしたミステリーの文庫最新作。
 このシリーズは、民族学的な謎と現在の事件とを同時進行的に解決していくシリーズで、民族学的な目で見ても楽しければミステリとしても十二分に楽しめめるという一粒で二度おいしいシリーズ。特に、民俗学は解決のない学問だけに、その仮説は今までの常識や通説を越えたところにあり、知的好奇心を満足させてくれます。ミステリの方も短編ならではの小気味いい展開で解決されていきます。まずもって考古学上の謎があり、それと密接に絡んだ事件があり、ということで普通のミステリ以上に仕込みが大変な作品を惜しげもなく短編として次々に出てくるのですから、このシリーズは価値が高いです。
 またこのシリーズは、主人公の異端の民俗学者、いつも超然として常人では考えつかない発想で論文を発表し続け、こと事件においては快刀乱麻で真相を提示する蓮城那智をはじめ、ほかのキャラクターもずいぶんと魅力的です。助手の内藤三國は、那智のトラブル処理と大学との狭間にたって常に難しいポジションにいながら笑わせてくれます(「ミ・ク・ニ」と耳元で囁かれると硬直して思考停止してしまう彼がとても楽しくて愛すべきキャラクターです)。また、最近では、大学の事務方の「狐目の男」が実はこれまた民俗学者として大変に優秀だった男であることが判明。今作でも事件に絡んできます。キャラ同士のかけあいもこのシリーズの楽しみの一つです。
 また、北森ファンとして嬉しいのは、旗師の冬狐堂が今作でも重要なポジションでゲスト出演されていることです。今月はたまたまのタイミングかもしれませんが、あちらのシリーズも文庫で最新刊が出ていて、なかなか興味深いです。
 評価は5の5、瑕疵を見つけることができない作品です。
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫)より
4101207232
No.1
(4pt)

狐目の活躍

異端の民俗学者として、フィールドワークに奔走し、
そこで出会う殺人事件なども解決する、蓮杖那智シリーズ、第三弾。
連作短編集です。
地元で「お守り様」といわれる人形が破壊され、持ち主の当主も殺害される事件と
憑代についての考察をした「憑代忌」、
湖の底から発見された鳥居に関するごたごたと、鳥居についての考察の「湖底祀」、
評判のいい旧家の執事が殺された事件と、保食神に関する考察をした「棄神祭」、
失踪した資産家の行方をめぐる事件「写楽・考」の四作が収録されています。
あいかわらず助手の三國は那智にふりまわされていますが、
新たに助手由美子がくわわったためか、
那智自身と三國が一緒に行動することが少なくなった気がしました。
かわりに活躍しだしたのが、狐目の事務方、高杉。
だんだん民俗学への想いを復活させた彼は、今回かなりの活躍をしています。
民俗学の謎も、ミステリとしての謎も、ちょっと強引な気がします。
二つを重ね合わせることで、答えが「正解」である感じを
お互いに強めているのでしょうが、証拠が弱い感じ。
けれどおもしろいので、いいのかもしれません。
写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 写楽・考―蓮丈那智フィールドファイル〈3〉 (新潮文庫)より
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