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銀漢の賦
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銀漢の賦の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全61件 61~61 4/4ページ
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本格派の時代小説を読んだという感慨があります。作者は50歳から文筆活動に入られ、文壇デビューは54歳だそうですが、デビュー作で歴史文学賞、本作が14回松本清張賞を受賞している実力派です。 物語はとある藩で幼少時に同じ剣道場にかよい、竹馬の友であった3人が様々な変転を経て、一人は功なり名を遂げ名家老とまでいわれるようになる松浦将監、一人は無骨者で郡方にあまんじている鬼源五こと日下部源五、百姓なのに刻苦しそれ故に一揆の惣代となり処刑される笹原村の十蔵、この三様の生き方を現在過去をカットバックしながらたくみに描き尽くしています。一揆の討伐に選ばれた銃の名手源五は、相手が十蔵であることを知りわざと狙いを外して十蔵達百姓の言い分をきき将監につたえます、この騒動は思わぬ展開から将監を家老に抜擢させることになります。その後の十蔵に対する将監の過酷な処置を契機に源五は絶縁を申し出て何十年たち、五十を超えてからこの二人はお家騒動に巻き込まれ皮肉な巡りあわせにより再びまみえることになります。 将監追い落としの一派は剣や銃の使い手である源五を利用して、将監を上位討ちにしようとしたのです。領主を時の幕府幕閣に登用するかわりに、領地替えをさせようとする幕臣達の画策を見抜いた将監が領主に公然と異を唱えたからです。逆命利君、あえて命令にそむき結果的には君主のためになるようにする、ただ自らの保身に汲々として位階人臣をきわめたと思っていた将監が真に国を憂えていたことを知って、源五はいずれにしろ余命の短い将監を自らの命を賭して藩外に脱走させ、時の権力者である松平定信にこの幕府のたくらみを中止させようとします。 何十年をへても変らぬ男の友情が骨太に描かれています。 剣戟シーンのリアル感も読者をうならせるでしょう。映画にたとえれば黒澤明作品のように緊迫感のあふれるものとなっています。お勧めの本格派時代小説です。 | ||||
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