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銀漢の賦
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銀漢の賦の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全61件 41~60 3/4ページ
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男の友情を見事に描き切っています。 西国の小藩である月ヶ瀬藩に生を受けた将監・源五・十蔵の三人が出会います。 この小説の中での序盤の印象的なシーンが、3人が星空を見上げるシーンです。 そこで登場するのが、「銀漢」と言う言葉で、銀河の事だと考えればいいのですが、「漢」と言うのは「男」ですから、この3人が「銀漢」として描かれていると考えても良いのでしょう。 彼ら3人は、それぞれの立場から「ふるさと」の地を守ろうとします。 立場の違いから、十蔵を犠牲にせざるを得ない場面もあり、決して「友情」を描いていると言っても、順風満帆な3人の関係を描いている訳ではありません。 それでも彼ら3人には、互いに通じる「心」があったという事でしょう。 脇には、優しい女性群が描かれ、その融和も見事です。 又、一番関心したことは、引用される漢詩の数々が、実に効果的に使用されている事です。 どこから見てもスキのない素晴らしい作品でした。 | ||||
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藤沢周平の「風の果て」を思い出させる、友情と宿命を巡る一編。 青年のころ共に仰ぎ見た銀河を、 はるかな年月ののちふたりはまた見ることになる。 村のために命をかけた百姓は同じ銀河の元にいたもうひとりの友でもあった。 彼の死が2人の運命を分ける。 家老と一介の家士に分かれたふたりは、偶然再会する。 いまさら諍いを繰り返す年齢ではない。 2人は語り合い、藩の汚濁を濯ぐために共に力を合わせる。 しかし、物語はその清々しい友情だけでは結ばない。 著者は権力の本質に肉薄していく。 ひとつの権力を追ったとき、そこにまた別の権力が立ち上がる。 どこが違うのか、いやまるで違わないではないか。 自分が追い詰めた奸物と同じ場所に立っている自分に気がつく。 国と民のためであろうとしたところで権力は常に怨嗟の的となる。 しかし、引き返すことはできない。 力がなければなにひとつ動かすことができないからだ。 | ||||
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蜩の記、いのちなりけりと続きこの本に行き着きました。 この本を手に取ったきっかけは、私の母校にある古い応援歌「白旆の歌」の4番の歌詞に「銀漢」という歌詞があり、それを思い起こしたことからでした。 偶然にも私は葉室先生と母校を同じくしており、また内容が若き日の青春を思い起こしたような内容からそれが無関係とは思えませんでした。 長い間確執が源五と将監を隔てていたものの、再び手を取り合うことができる脈絡のなさは男の友情というのはこういうものだと表現されているように感じました。 | ||||
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とある藩での仇討ちや権力闘争を背景とした人間ドラマ、、、とありがちなストーリィですが、登場人物や事件の背景が単純な善悪や損得で割り切れない描写がされおり、物語に奥深さを出しています。 人の世の矛盾の中で主人公たちが悩み決断・行動して行くその様が、仇討ちや人斬りは無くとも、生きて行く中で様々なストレスにさらされる現代人にも静かなエールに思えてきます。 終盤のイベントが若干ご都合エンターテイメント臭がしますが、まあ小説としてのバランスが取れているのかも。 読了感も爽やか。お勧めです。 | ||||
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登場人物のそれぞれの生きざまが、一筋縄でなく、悪には悪なりの、善には善なりの理屈があり、自分自身も物語に翻弄されてしまいましたが、最後は腹に落ちて、気持ちよく読み終えました。 | ||||
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期待通りの作品で大変面白かったです。 でも川あかりの方がもっと面白かったです。 | ||||
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おそらく、これがベスト、すべての作者の持ち味が凝縮されている。 | ||||
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少年期交流があった二人の武士の生き様が胸を打ち、いつまでも余韻が残ります。 | ||||
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著者の作品3作品目再読、男の友情をテーマに情感たっぷりに書き上げる武士物の傑作。 | ||||
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蜩の記を読んで、気に入ったので思わずこの作品も読んで しまいました。 結果、大成功でした。 男の生き様を描いてします。 銀漢とは? という会話を共にした源五、松浦将監、十蔵。 いつしか道は分かれ、下級武士源五。家老となった将監。 鬼走り十蔵。 裁くものと、裁かれるもの。 彼らの選んだ男の道とは? 松平定信の頃って、所謂頼山陽の頃に結構重なる頃ですよね。 松浦将監って、名前だけは知っていました。 そして男源五。さらに十蔵。 名も無い男の見事な生き様を読ませていただきました。 思わずため息が出ました。 葉室さんの文章って、突然、えって思う記述が出て、読み落と したのかな。と不安になって前を読み返す。読み返しても全然 そんな記載も無い。って感じで読み進めると、その説明が出てくる。 そんな感じに戸惑う時が多々ありますが、慣れれば平気。 おススメします。 男の生き様。蜩の記と並び、文句なし。満点x2、いやx3。 あなたはどの生き様が好きでしょうか。 | ||||
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素晴らしい作品でした。 2人(いや、3人か?)の話をもっと読んでいたかったです。 名作! | ||||
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物語の展開を追いつつ、登場人物の品格に魅せられ、ますます葉室ファンになりました。 | ||||
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面白かったです。男同士の心の繋がり、物言わずして相手の心を知るほどの信頼感。やるときには自分の信念を曲げない男たちの物語が、読んでいて心打たれました。 | ||||
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藩への謀略を阻止する動きを絡めての巧みな物語の運びにすっかり入り込んでしまいました。 前半、源五と将監の回想を交錯させる事で再び二人の友誼が深まる様を描写した流れが自然で、続く彼らのその後を違和感無く追うことが出来ます。また合間、合間に登場する源五の計算高くも憎めない娘婿が添える彩りは、ともすれば重くなりがちな雰囲気を調整していてこれはなかなかに侮れません。 総じて過不足なく語られる情景、心情から映し出された清々しい心栄えが好もしいこの作品に幸福な読書体験をさせて頂いたと思っています。 | ||||
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直木賞受賞作「蜩ノ記」がなかなか読み応えがあったのでこの本を購入しました。男の友情が縦糸で権謀術数渦巻く藩内の政情が横糸でしょうか?歴史小説ですが絡みあった糸を解きほぐす推理小説にような一面もありなかなか楽しめました。 | ||||
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著者の直木賞受賞を知り、受賞作よりも先にこちらを読了。 封建社会である時代を描いた時代小説においては、しばしば悲運で終わる物語があるが、 本著は読後にも爽やかな結末を用意した。 今後の作品も楽しみ。 | ||||
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「蜩ノ記」を読んで、清廉な生き方にこれからの自分を見つめ直すきっかけをつくってくれた。 この「銀漢の賦」では、人との付き合い方を考え直すきっかけをつくってくれた。 生きにくくしているのは自分で、まっすぐに生きていれば人の評価はいらない、真実は自分が知っていればよいだけのこと。 そう思って生きてきたけれど、自信を無くすこともある。 でも、大丈夫と言ってくれた本。 いつも一緒にいるわけではないけれど、いつも思う友人、いざという時に走ってあげられる友人、走ってくれる友人がいるだけでよい。 そして家族へも同じように、人として当然、同じように真摯に向き合いたい。 | ||||
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まずは作者の直木賞受賞を祝いたい。 ようやく葉室麟をかじりだしたばかりの私にも、受賞は嬉しいことだった。 受賞作『蜩ノ記』は未読だが、粗筋を見る限り、自分がこの作家の核心的な部分と思っているもの、 「葉室麟らしさ」の理解は間違っていないと思った。 それは、苛烈な宿命を峻烈な意志で背負うというモチーフである。 そして私にそう思わせたのは、 間違いなく葉室麟の典型的な作品であると確信したこの『銀漢の賦』だった。 当たり前だが、時代小説にもいろいろある。 大別すれば、アクション中心、戦い中心のものと、そうではないものになるだろうか。 もちろんどの小説にも両者の要素がいろいろ入り混じってはいるのだろうから、 その度合いから受ける印象、という程度の話である。 後者の代表のひとりに、藤沢周平があるといえるかもしれない。 この『銀漢の賦』も後者。 実際、宮部みゆきは、その葉室麟評の中で、藤沢周平を思わせると言っているらしい。 ここでもアクションはあって、とくに大団円では大事な要素なのだが、 しかし基本は、もっと心の問題、人と人との絆や、 侍として人間として、人生どう生きるか、というような問題だろう。 精神性にこそ焦点がある。 江戸時代は老中が松平定信であった頃、九州あたりらしい架空の月ヶ瀬藩が舞台である。 中心人物は二人、名家老の松浦将監と、あまり評判のよくない平侍の日下部源五。 当時としては老境に差し掛かった二人、将監が源五を共に加えて、 新田開発の視察をする場面から物語は始まる。 だが今はほとんど付き合いもなく身分も違ってしまったこの二人、 実はかつては親友同士であった。 なぜ二人は仲違いしたのか。なぜこうも身分の差がついたのか。 平凡といえば平凡な謎が、深い意味合いと興味を伴って展開されるのはまさに作家の腕だろう。 何も殺人の真犯人や、迫り来る敵の正体だけが謎ではないのだ。 謎は意外にあっさりと答えが描かれたりするが、またさりげなく別の謎が次々に提示される。 その自然な運びがいい。何しろ二人とも歳はとっているわけで、 するとその人生には外から見ればいろんな謎があるだろう。 言い換えれば、人生とはそういうものではないか。 そういうふうにして、この小説は、 人がひとりひとり生きていくことの重さと深さとを浮かび上がらせる。 もちろん物語として、謎の中身がまた面白いのではあるが。 謎をいうなら、物語の結末に至る展開も謎としてある。 この時代の、侍としての生き方は厳しいものとして描出されているから、 安易な感動狙いの物語にしばしばあるような、 ご都合主義的ハッピーエンドをすぐに予想できたりはしない。 友人同士が斬り合うような展開もありえるわけで、先が見えないのも面白い。 この作家の一面は、「葉室麟」というペンネームからもうかがえるだろう。 スタイルにこだわるのである。 それは題にもはっきり現れている。 そうしたスタイルはまた味のある教養をも伴うもので、 その筆が描き出す人物像にも味わいがある。 しかしけっして高尚で近寄りがたい、というものではない。 むしろ主人公というべき源五の描き方は逆であろう。しかしいい。この人物は実にいい。 百田尚樹の『影法師』を連想させるものがあるかもしれない。 設定なども似ているといえば似ている。だが、あちらの小説が、というより百田尚樹という小説家が、 情感タップリ感を持っているのに比べると、 こちらは重い主題にも関わらず、いかにもさらりとしている。 それは作中にも描かれているような、人生に対する処し方かもしれないのだが。 それが気に入れば、けっこうはまるのではないかと思う。 エンディングも、この作家らしいこだわりのある洒落っ気が感じられてよかった。 | ||||
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第14回松本清張賞受賞ということで読んでみました。責任ある立場になれば、時に情や義理に背を向けて生きていかねばならないこともあるでしょう。全体がよくなるための仕方のない「理不尽さ」とそれを最終的に理解してくれた友とのお話です。銀漢(天の川)にまつわる描写がいいです。藤澤周平が好きな方ははまるでしょう。おすすめです。 | ||||
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一人は文武両道で両親の仇をとるために家老まで登り詰めた将監、 かたや武術に優れているが郷回りのままの源五。 幼馴染であった二人がもう一人の親友、十蔵の死をきっかけに源五が縁を切ったが、 二十年のときを隔て将監の命を懸けた思いを知って、暗殺を命じられたにも関わらず 将監の脱藩を助ける源五。この二人の友情に胸が熱くなる。 主人公たちは50代であるが、そんな年齢を感じさせない志の高さ、 行動力をもっていて、年下の追っ手にも真っ向から立ち向かう姿がなんとも清々しく 骨太さを感じ、読み応えのある一冊。 また友情を示す「天の川」=「銀漢」は燻銀のような彼らにふさわしく渋いタイトルだ。 | ||||
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