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風の払暁 満州国演義



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【この小説が収録されている参考書籍】
風の払暁―満州国演義〈1〉
風の払暁 満州国演義一 (新潮文庫)

風の払暁 満州国演義の評価: 4.50/5点 レビュー 30件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全27件 21~27 2/2ページ
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No.7:
(5pt)

改めて知る山本薩夫監督「戦争と人間」三部作の偉大さ

全巻完結し(単行本で)読み始めようかと思っていた矢先の文庫化。嬉しさのあまり直ちに買って一読。(ネタばれになるので)詳述はしませんが、歴史上の事実や裏面史を踏破した上での骨太なストーリーと細部までゆるがせにしない緻密なプロット、主人公である敷島四兄弟のそれぞれの個性と苦闘、謎めいた人物の暗躍(特に間垣徳蔵や奥山貞雄)、「緑林の徒」の生態と戦闘、グッとくる情事の描写などなど、小説の面白さと醍醐味を堪能させてくれる濃厚スープの味わいにあっという間に読了しました。

「どんなに外交努力をしようと無意味なんだ。これは理屈じゃない、世のなかには止められない動きというものがあるだろ? 新聞はそれを煽り立て、国民はそれを熱狂的に支持する。そうなったら何が待ち受けていようと、行けるところまで突進していく以外にないんだと思うよ」(127頁、敷島太郎の言葉)。
「尊皇攘夷と文明開化。このふたつの潮流がときにはぶつかりあい、ときには手を結びながら発展して来たのだ。尊皇攘夷論は日本を盟主とする大アジア主義へと姿を変え、文明開化論は脱亜入欧的な国際協調路線へと向かったのだ。極端に言えば、このふたつは現在、軍中央と外務省の対立となって現われている」(147頁)。
「日・鮮・漢・満・蒙の五つの民族が一緒になって王道国家を創る。それなら、列強から文句を言われる筋合いはどこにもない。・・・ 新国家の実質経営も日本人がやる」(366頁)。
「真沙子が体を離し、寝台を降りた。帯をほどいて小袖の単衣を脱いだ。襦袢はつけていなかった。白い裸身が部屋の白熱灯に曝されている。四郎は仰向けに横たわったままそれを眺めていた。豊かな乳房と発達した太股。股間の茂みと引き締まった足首。そうやって真沙子の裸体を見るのははじめてだった。・・・ 「好き。敷島家のなかで四郎さんが一番好き。四郎さんと一緒だったら、あたし、地獄に堕ちても何の後悔もしない」・・・昨夜は三度、真沙子と営んだ」(284~5頁)。
「夜毎肉欲をぶっつけあう真沙子との爛れた暮し」(378頁)
「「痩せたな、おまえ」「そうですか?」「どうなんだい?」「何がです?」「真沙子の体だよ」・・・ 行為はいつ目撃されたのか? 白昼、居間の長椅子のうえで営んでいるときか?」(382頁)
「夜になると、また真沙子の面影が浮かんで来るのだ。とくに、消灯後が顕著だった。憶いだすのは涙の瞳だけじゃない。吸いつくような白い肌。弾力に溢れた乳房。湿った吐息。それらすべてだ」(445頁)。
「あの眼。あの肌。あの肢体。あの吐息。何もかもがくっきりと焼きつき、頭のなかから離れはしない。・・・ 四郎は夜毎真沙子の幻影を想い浮かべながら自慰に耽る」(520頁)。

それにしても、本書を読むにあたっては、山本薩夫監督の大河的戦争映画である「戦争と人間」三部作で得たこの時代の雰囲気や中国東北部の都市の街並み、荒涼とした風景に関する知識やイメージなどが大いに裨益しました。また、敷島四郎と義母である敷島真沙子の愛欲(肉欲)関係は、同映画における伍代俊介(北大路欣也)と狩野温子(佐久間良子)のそれがモチーフとなっているように思われてなりませんでした。にしても、毎月一冊ずつの刊行だと禁断症状が起こりそうです。せめて今後は月二冊ずつの文庫化を是非!
風の払暁 満州国演義一 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:風の払暁 満州国演義一 (新潮文庫)より
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No.6:
(5pt)

船戸与一の集大成か?

日本の満州侵略以降のアジア侵略史を、4人の兄弟を狂言回しとして描いた傑作。重要な出来事はすべて史実に基づいているので、歴史の教科書としても使えるだろう。最後の第9巻の発刊が待ち遠しい。
風の払暁―満州国演義〈1〉Amazon書評・レビュー:風の払暁―満州国演義〈1〉より
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No.5:
(5pt)

今 5巻目の226事件ですが1巻のレビューを

面白い、日本人にとってはロマンなんでしょうね
まず明治後から第二次世界大戦までの時系列の知識そのものが現代人に非常に不足してると感じています。
戦前の本はまさにさまざまなものがありますが、事実を列挙する教科書風のものか、特定の人物に焦点をあてて陰謀論に近い妄想を加えて書いた小説とかが多いと思いますが
この小説ははっきりと4兄弟の致し方以外を事実に即して書いています。
もう少し、陸軍中央部の政治絡みの動きをする人間が居ると面白かったと思うけれどそれを入れたら煩雑すぎるし、もう2巻ほど足さないといけないでしょうw
一部大陸で活動する特務の方の動きがスーパーマンすぎるし、憲兵隊の三男が事件の節目に顔を出すのが小説ですが、、
あまり知られていない、満州国の主たる財源がケシだと、頻出しているのも善悪抜きで面白い

明治後の日本の、人口増加、日本の有史以来の最大の領土拡張期、社会主義の台頭、現在の日本と同じように、マスコミの紙面売り上げ増加の思惑に沿って国威発揚庸徴に流される世論
さまざまな問題をはらみつつこれから5巻読みますw
風の払暁―満州国演義〈1〉Amazon書評・レビュー:風の払暁―満州国演義〈1〉より
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No.4:
(5pt)

大変おもしろいと思うので

著者の作品はだいたい読んで来ました。この作品もおもしろいと思うので読むのが楽しみです。
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No.3:
(5pt)

待ちに待った満州国の歴史絵巻スタート

満州を舞台にした小説が好きでした。
でもその多くは、敗戦前から始まり、敗戦までの栄華と敗戦の時の混乱。
ひして、引き上げまでの大変さを描くものが多く、どのようにして、
日中戦争から敗戦にまで至ったのかを書いた小説には巡り合えていなかったため、
サブタイトルの「満州国演義」にはしびれました。

昭和3年からの満州を描き切ります。

期待に違わず、重厚な内容で、敷島4兄弟が歴史に翻弄されながら、時代が進むという展開に、はまっております。
次は2巻目。早く次が読みたい、こんな気持ちにさせられた小説は、久しぶりです。
風の払暁―満州国演義〈1〉Amazon書評・レビュー:風の払暁―満州国演義〈1〉より
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No.2:
(5pt)

『ノンフィクション』に『フィクション』をコラージュした、新しいテーストの歴史小説

著者・船戸さんも時々訪れる、とある荻窪の『居酒屋・女将』から推奨され、本作品1〜4巻までを読んだ。40年以上船戸さんを知る『女将』が、初めて褒めた作品だそうである。
 嘗て、ゴルゴ13の脚本なども手掛けた著者は、男の好奇心を擽る『フィクションの世界』を描かれた。しかし本作は、日本人であれば小学生でも知りうる『ノンフィクションの世界・満州』に『フィクションの世界』をコラージュ(糊付け)したものである。しかも、『ノンフィクション:満州国の歴史に名を刻んだ人物』は、作品中、台詞を発しない。ストーリーを創るのは、コラージュされた『ノンフィクション:敷島4兄弟およびそれを取り巻く人々』である。多くの歴史小説が、『史実の人物』に語らせるなかで、本作は、『フィクション』をコラージュし、『フィクションの人物』が語ることで、『史実』を躍動させる。この構成が何より面白い!
 『国民』が存在しなかった『満州国』という『国家』が、何故、存在しえるのか。官僚・馬賊・軍人・アナーキストという立場を異にする、敷島4兄弟が、『満州国』を巡って、『追従』『無関心』『肯定』『否定』という4機軸でストーリーを展開する。それは、肯定・否定・昇華という弁証法的アプローチで『満州国』を描き、読者に『満州国』の存在感をよりリアルに感じさせる。
 さて、本作品はまだまだ続く。異なる4機軸・敷島4兄弟が『風車』のように回転しながら、『ノンフィクション』の世界を駈け巡る。この『風車』の中心は何か。それは、今後の作品進行のなかで明らかにされるであろう。肯定・否定を繰り返す中で、『昇華』される『真理』は何か。新鮮なテーストの歴史小説を発見した喜びに、私は浸っている。
風の払暁―満州国演義〈1〉Amazon書評・レビュー:風の払暁―満州国演義〈1〉より
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No.1:
(5pt)

張作霖爆殺決行

昭和初期の満州を舞台にした歴史小説

主人公は敷島家の四人の息子たち。
長男:満州駐在の外交官
二男:満州で暴れる馬賊のボス
三男:満州に駐屯する関東軍の軍人
四男:東京で無政府主義運動に加わる早稲田大学の学生

この4人それぞれの立場で満州を中心に昭和初期の日本を描くスケールの大きいストーリーが展開されます。

第一巻は、張作霖爆殺事件の前後。

軍人、外交官、馬賊、学生ぞれぞれの立場で昭和初期の日本・中国・世界を描いているのが面白いです。
風の払暁―満州国演義〈1〉Amazon書評・レビュー:風の払暁―満州国演義〈1〉より
4104623024

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