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日輪の遺産
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日輪の遺産の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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<ネタバレ注意> 昭和20年終戦直前と現代(平成初期)を交互に話は進む。 日本軍がマッカーサーから奪った時価250兆円にもなる金塊の行方云々とあって、一見冒険小説のようだが、そうではないことはなんとなく知っていた。ましてや宝探し小説でもない。 歴史秘話を絡めた現代に生きる主人公たちの再生物語と言えばよいか。 戦中パートの中心となる軍人三人が比較的リベラルな好漢に設定されているので安心して読んでいたら、もっとも<ネタばれ>"お国のために"洗脳されていたのが女学生たちだったという哀しいサプライズ。 サプライズと言えば、中盤まではマルキン金原の立ち位置についても仕込まれているのだが、ここのサプライズはかなり早い段階で気づいてしまった。ただし金原がなぜビジネスに巧みだったのかは、<ネタばれ>なし崩しに土地の資産家の入り婿の立場になって土地を転がせたというだけでは説明は足りないw 冒険小説としての爽快感など皆無の割に、一気に読み終えたということはそれなりに面白く読んだと言えないこともないのだが、随所に引っ掛かりを覚えて十分に愉しめなかったというのが正直なところ。 著者のかなり初期作品にあたることもあって、上のような描写不足も多少は関係しているだろうが、引っ掛かったのは別の点だ。 以前読んだ『壬生義士伝』は数ある新撰組ものの中でも一頭抜きん出ていたし、著者は自衛隊上がりということもあって、それほどおかしな歴史観ではない筈だと信じて読んだのだが、うーん、さすがにサヨク思想の垂れ流しではないものの、残念ながら、GHQに誘導された戦後の歴史観にまんまと従っている。 そのうえで、暴走した日本軍の中にも立派な人だっていたんだよ。日本人も卑屈にならなくてもいいんだよといったところ。 バブルが弾けてから世に出た小説なので、応援歌の意味合いもあったのかもしれない。 しかし情けない事にGHQ史観なので……。 特に後半の主要人物のひとりであるダグラス・マッカーサーには、不満と言うより、あまりにヨイショした造詣でやや気持ち悪いくらいだ。 完全に常人を超えた偉人として造形されている。 同じく後半の主要人物のひとりで、視点人物でもあるマイク・イガラシは、日系二世の属性に従って、ニュートラルな感性でマッカーサーに会うが、たちまちマッカーサーに魅了されて、地上で最も尊敬する人物だと言わしめている。 本書のすぐ前に読んだのが『変見自在 マッカーサーは慰安婦がお好き』だから、多少は毒舌による知識を薄める必要はあるかもしれないが、フィリピンでマッカーサー親子二代で集めた金銀財宝が、来たるべきフィリピン独立のための資金だったというのは、トチ狂い過ぎだろう。 父のアーサー・マッカーサーは、アメリカに歯向かったみせしめとして、フィリピンの老若男女を大量に殺しましたけど……。 息子はたしかに、後に米議会で日本の戦争は防衛戦争だったと証言したけれど、少なくとも本書のように、昭和20年の赴任早々から日本のことを、世界一勤勉で、勇敢で、優秀な民族だと思っていたはずがないし、クライマックスの彼の行動には到底納得できない。 敬虔な彼にとっては、異教徒の怨念など物の数ではなかったのでは? 本国ではブタの餌のトウモロコシを日本に有償で支給して、がっぽり稼いだ男だしww もう一点だけ、ストーリーのダメだしを。 <ネタばれ>現代パートに繋がらない小泉中尉には、代わりにマッカーサーに直談判する見せ場が用意されているが、彼の日本経済建て直しの“天才的な秘策”は、四年後に実施されたドッジ・ラインをそのままパクっている。 補助金の廃止や1ドル=360円の固定相場を導入したこれら一連の施策は強力なデフレ誘導である。 これが上手くいったのは、翌年に始まった朝鮮戦争による特需があったからで、昭和20年の段階で安易に導入されていれば、その混乱はとんでもないものになったであろう。 彼の秘策は、決して天才的ではない。 最後に生き残った双方の関係者が顔を合わせながら、多くを語らない叙情的なラストは、さすがは著者の力量を感じるが、設定的に多くの無茶や無知があって残念。 | ||||
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途中で厭きた。 | ||||
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荒い。特に人物描写が荒い。 最後のマッカーサーの決断を読者に納得させれるか否か。 ここが最大のポイントだろう。 ストーリーが過去と未来を跨ぐ壮大なミステリー仕立てであり、 相当な力量がないと書ききれない内容だ。 「著者自身が大幅に書き直したいが、、」と 正直に告白している気持ちがよくわかる。 後進の作家へ向けてのメッセージと取るべきか。 それでもこの長大な文章に読者が飽きることはなく、 最後まで面白さを保ち続ける。 この作家が選ばれし特別な能力を持っている証拠であろう。 | ||||
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実にしんどい物語だった。 そして 結末は まったく違った 結末だった。 マッカーサーの遺産。 それが 戦争の敗北が目前ななかで どう 隠そうとし どのような過程を得て 隠されるのか。 それは いまだに米軍の管理している基地に隠されている。 それを 探そうとする 試みがなされるようでなされない。 戦争を終えたときに 祈りに近い 女子たちの想い。 そんなものが たっぷりと横たわっていた。 「どうしようもない終わり方」で 終わったことで いったい何を問いかけるのか? そのことを考えさせられたのである。 | ||||
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話のテンポが気に入らない。浅田次郎は好きですけどね。もう少し期待してたが。 | ||||
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日本人の涙をこれだけ振り絞らせた作家はあまりいないと思うのですが、この作品はもう一つ。 93年作品なので鉄道員、蒼穹の昴、壬生義士伝などよりは先行した作品です。 得意の語り手を切り替えながら、「今」と「過去」を立体的に浮かび上がらせる手法はそれなりに成功しているのだと思います。 ただ、現代側が「軽くて薄い」印象を受けます。 また、終戦時の少女たちの行動の理由が、今を生きる私たちにとってはどうにも伝わりにくい部分だろうと思うので、そこはもう少し引き込む描写が必要だった気がします。 マッカーサーが財宝の奪還をあきらめる理由も、もひとつ釈然としない。 それくらいなら強引に持って行ってしまうのじゃ?と思ってしまって、腹に落ちにくい。 面白いが、心は震えませんでした。 | ||||
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戦争の本としてよりも、小説として展開がとても面白い本です。歴史の弱い私にはぴったりで、戦争の現実を垣間見たいなら苦も無く読めますが、ただ読み終わった後に何だかしっくり来ないものがあります。それがなんなのか・・・・。少女たちの死にも疑問がわきますし(本当にそんな場面で子供たちが死を選ぶ?)、憲兵の謎も残ります。戦争を知らない時代に生まれた世代ですから、もっと日本人として読むべき本を読まないとと思っています。色んな方向から戦争を見つめられる様に、『少年H』・『17歳の硫黄島』・『ビルマの竪琴』・『ヒロシマ ナガサキ二重被爆』・『八甲田山死の彷徨』・『子供たちに残す戦争体験』・『軍犬ローマ号と共に』・『硫黄島からの手紙』等をお勧めします。今、私は 『語られざる特攻基地串良』 にかかっています。最近の戦争映画は、恰好良い俳優が恰好良く演じていますが、生きると言うこと、人の命を奪うと言うこと、戦争が人を鬼に変えてしまうと言う事をもっと弱い部分から若い人に知って欲しい。その入門書として、この本はお勧めです。 | ||||
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戦争の“悲劇”を描いた物語。 登場してくる彼女達へのやり場の無い悲しさが、身に詰まされます。 “いい作品”だと思います。 が、実話じゃないから‥と思いつつ、 さらには現代を絡めた話が妙にうっとおしくて、 悲劇感を押し付けられたような感じもしたところがちょっと残念。 作者自身があとがきに『若書き』と書いてありましたが、 そういうことなのかも。 | ||||
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著者本人が文庫版後書きで記しているように、「若書き」の感は否めない。 今の浅田次郎だったら、同じ題材でもっと面白い完璧な物語を紡いだことだろう。本作の欠点は誰より著者本人が十分分かっているはず。それでも題材の面白さで一気に読ませる。 歴史を材に小説を書く場合、「現実はこんなに甘くはないよ」と読者に思われたら失敗だろう。 中原の虹 (1) (講談社文庫) に登場する張作霖など、 これはあくまで浅田次郎の創り上げた人物像だと分かっていても、こんな張作霖もあっていいじゃない、と思わせるほど、人物造形が魅力的だ。(私は読みながらほとんど恋していました) しかし本作のマッカーサーは、ま、こんなマッカーサーもあっていいか、とはならない。 恐らく現実のマッカーサーなら、財宝を前にして屍を蹴散らさないまでも、 適当に避けて崩して、目的のものをゲットしそうな気がする。 人情家の浅田氏は、なんとなく甘いんだよね、きっと。 乙女たちが最後に選択した行為も、ことさら美化したりするのはよくないと思う。 ただ私が感嘆するのは、全力投球の腕試しといった本作から、そう時を経ずして あの 蒼穹の昴(1) (講談社文庫) をモノしてしまう 作者の天稟である。 最後に、北上次郎の解説はいただけない。 ある程度評価の定まった単行本が、時を経て文庫版になるせいか、 文庫版の解説というのは、ときどき読み応えのある大変いいものがある。 たまに語られる作品より面白かったりする。 文庫を読む楽しみのひとつだ。 プロの書評家というのは、ただ書物に淫してます、ってだけじゃ駄目だと思う。 よくトレーニングされた知性と、表現力が不可欠。 厳しい言い方かもしれないが、北上氏の書評って、それがない。 | ||||
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大変面白く読み終えました。 マッカーサーの遺産の行方に対しての書き方がさすが 「浅田次郎」 グイグイ読ませてくれます。 遺産にまつわる悲劇の話などは、涙なくては読めませんでした。 ただ、現代 側の主人公の書き方が どうも 物語としっくりあってないと感じるのは私だけでしょうか? 特に倒産しかけている不動産業の社長の方は、物語最初の方はとてもいい味だと思っていましたが、物語最後の方では、もてあそんでしまっていると感じました・・・・。 しかしながら、ストーりーとしてはとても面白く、本当にあったかのような話となっており、 その話の展開の仕方にさすが「浅田ワールド」と感じました。 浅田次郎作品を今後もますます読んでいきたいと思いました。 | ||||
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帝国陸軍が奪ったマッカーサーの財宝を、終戦直前に隠すという使命をえた身分も年も違う人達の運命と、50年経った現在を生きる者のなんともいえない一体感のような・・・そんな話・・・かな? 戦時の歴史をよく知らないし、人物も名前は聞いたことあるかな〜程度だったのでうまく説明は出来ませんが、その当時の人達の気持ちとか考えると胸が詰まるような感じがしました。 かなり日本人が読んで気持ちのいいものになっていたとは思いますが、本当の人の気持ちは誰にも分からないので、そうだったらいいなと思いました。 今回は、姉が面白かったというので貸してもらって読みました。 私は浅田さんというと「鉄道員」しか知らなかったもので、この本は新刊なんだと思ってたら1993年に刊行されたものの文庫でした。 どうりで読んでいて年齢がおかしいな・・・と(^^;) 私はひねくれてるので、ベストセラーでも「感動した」とか言われるものは『ケッ!』っていう感じで読む気にならなくて、浅田さんもそんな作品ばっかり書いてるのかな、とか思ってました。 「鉄道員」の印象しか無かったから・・・読んでないけど。 なかなか読みづらい所もあった作品ですが、読後感は爽やかな気持ちとやりきれない切なさでいっぱいになりました。 | ||||
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さすが浅田次郎と言う感じで、ドラマチックであり人間味あふれ、面白い作品でした。 第二次世界大戦末期の混乱の様子が非情に興味深い。 意外に、マッカーサの事なんかでも知らない事が多く、更に話題になるA級戦犯や、終戦時の自刃した閣僚や軍のトップの印象がずいぶん変わりました。彼らもやはり一個の人間であり、時代と社会の大きなうねりに翻弄され、それぞれは各人なりの誠実さで生きて死んで行ったんだなぁ、と。このあたり、改めてきちんと勉強しないとずいぶん(学校の歴史では)知れない事が一杯ありそうです。 そんな昭和史のドラマ中のドラマの出来事、終戦、を境にした大金探しの謎解きと矜恃を持った人たちの生き様が描かれている。 ただ、浅田作品としては、普通と言うか少し劣るか。 終戦時の出来事と現在の出来事が交互に描かれているが、終戦の頃の方は非常に生き生きしているのに比べ現代の部分は、何と言うか饒舌に過ぎ軽い。斬新さを狙った構成かも知れないけど、現代の部分が足を引っ張っている。そんな印象です。 また、マッカーサが出てきてからも微妙に、何と言うかな日本人が米国人の心の内面を書くからか、ちょっと違和感があります。 あれかしら、浅田作品は、泣かせないとあかんのかなぁ。 | ||||
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戦争を知らない主人公が、競馬場で出会った老人に託された手帳には終戦直前に日本軍によって奪い、隠されたマッカーサーの財宝について記されていました。 財宝を隠すために集められた少女達。 少女達を指揮し、そして守ろうとしたのに守れなかった3人の軍人。 米軍の英雄。彼にあこがれる二世軍人の通訳。 そして、生き残った者たち…。 物語は財宝が隠された時代と現代を行ったりきたりしながら、綾をなすように、徐々に絡み合っていきます。 戦争の傷跡。 そして、現代の日本人が忘れてしまった日本人の美徳。 うまくいえないけれど、この本を読んで、「日本人はそんなに捨てたものじゃないのだな、日本人でよかったな」と思いました。 | ||||
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何だか当時の浅田次郎の「照れ」みたいなモノを感じてしまった。 重い時代背景、扱うテーマは非常に文学的、構成もよく考えられているのだが、この作品以前の浅田次郎のイメージを良くも悪くも引きずっているような気がする。その辺りに「照れ」を感じてしまう。そういった意味では多少半端ではあるのだが、それも『蒼穹の昴』を読んだ今となってはの話。恐かったのか、それともサービス精神旺盛な人なのか、は不明だが(ぼくは後者だと思うけど..)、マッカーサーをめぐる通訳・副官等の会話、金原老人と手帳 を預かってしまった二人の人物造型と彼らのやりとり、は多少脱線しながらも浅田次郎の面目躍如だと思う。 巻末の「文庫版あとがき」によると、ユーモア・ピカレスクの痕跡は手直ししたかったようだが、そんなことないですよ>浅田さん。 日米の文化(特に食文化)の違いをユーモアたっぷりに描写するくだりには大笑 いしてしまった。ああ、こういうことか。こういうくだりはたくさんあったが、余計なのかなぁ。。 『鉄道員』で直木賞を取ってしまったが、正直言うと『日輪の遺産』~ 『蒼穹の昴』の傾向で取って欲しかった。ぼくだけだろうか? | ||||
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