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(短編集)
夜の橋
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夜の橋の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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直木賞受賞後数年の間の短篇集。それも自選とある。尾崎秀樹氏が「解説」に記すように、「今後の多彩なひろがり」や「新しい可能性を期待させ」る、即ち暗い内容の中にも明るさを、市井もの・武家ものに込められた新しさを、感じ或いは見出させる8篇、と云えよう。 | ||||
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この短編集は昭和50年代の初めの頃に書かれたものを2006年に新装改版したもので、作風もどちらかといえばまだ暗く重いものですが、いずれも、巧みなプロット設定と確かな登場人物の造形に加え、周平調ともいうべき清潔で格調高い文章を味わえるものばかりです。 冬の足音 ―― 錺職人兼蔵の娘、お市はやがて二十になるが、三年前に突然飛び出していってしまった兼蔵の一番弟子、時次郎のことが忘れられない。瑕物だがといって時次郎がくれた珊瑚をあしらった銀簪をいまだに大事にしている。叔母のもってきた見合い話を断りきれなくなって、お市は時次郎に会ってみようと決心する。この短編はお市が時次郎からもらった簪を橋の上から暗い川に投げ捨てて終わるのですが、一途であった娘の哀れさがいつまでも漂う幕切れです。 「暗い鏡」は、幼い頃両親に死別したために面倒を見てやっていた姪のおきみは、実は私娼で客との金のいざこざで殺される。 遺品からは政五郎が与えてやった手鏡がでてくる。たった一人の身寄りに注いでやった愛情が薄かったことにやりきれない気になった政五郎は、おきみを苦界に引きずりこんだ渡世人亀次郎を探しだし老いの身をかえりみず殴りかかっていく。 私がこの9編のなかで一番好きなのは「鬼気」。いずれも腕に自慢の若侍が藩内一の使い手は誰かということで詮索する話です。その当人の細谷久太夫については刀を抜かぬまま決闘を仲裁したとか、いくつか非凡さを物語るエピソードが紹介されるのですが、ほんの最後まで当人はほとんど登場しないまま物語は終わり、それでいて読者もすごい使い手だったのだろうなと納得させられる構成となっています。練りに練られた芥川龍之介やあるいはロアルド・ダールの短編のような趣があります。(ロングバージョンのレビューは [...]のレジャー→エンタメでどうぞ) | ||||
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