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又蔵の火
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又蔵の火の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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藤沢周平の本がまた読みたくなり、家にない本を購入した。深みのある文が秀逸。 | ||||
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「負のロマン」、あとがきでの著者の云いである。「暗い情念」に引かされた、5篇。主人公に寄り添う、そうした心情にはなれず、正直馴染めないまゝに、終わった。 | ||||
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『又蔵の火』は藤沢初期の中編を集めた作品集で、表題作も又蔵の心の中の“火”がなんとも重いものに感じられましたが、「帰郷」は打って変わって読み終わって爽やかさが残る痛快作に仕上がっています。藤沢作品らしくないといえなくもないとも思うのですが、この作品はその最初の素晴らしい情景の切り取り方から始まって一つ一つの言葉のどれも大事にして読み惚れるほど頭の中に情景が浮かぶ藤沢作品の中でも『蝉しぐれ』と双璧の冴えだと思い読みました。「帰郷」は数多くの情景描写の優れた藤沢作品の中でも、私の中の一押しになりました。 | ||||
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細やかな表現で人の恨み執念を表現した作品に仕上がっているので非常に味わい深い。 | ||||
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文庫などで持っていない作品が収録されているので満足です。少し私には字が小さく感じられますが、藤沢さんのファンなので、ルーペを使って読んだりしています。 | ||||
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これだけ、外箱のに醤油の飛び散った跡があるのなら、その旨を正直に書くべきです。しかも、帯の下や本のカバーのパラフィン紙にまで、汚れているところをみると販売店は承知していたことは明らかですね。 | ||||
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氏の作品は総て持ってます。皆 其々に秀逸ですが長編より短篇に 其の良さが出ている様に思うのですが、人は好き好きですから。 結構 昔に読んだ作品で、其の時は何て暗い小説だろうと思ったのが 「又蔵の火」です。しかし迫力の文章に 全て持って行かれた感じでした。 切り合いの凄さは圧倒的で 救いの無い結末では有っても 其のストーリーの有無を云わせない理不尽こそ 此の小説の 醍醐味だと思うのです。鬼籍に入られた時には本当に落胆致しました。 | ||||
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藤沢周平作品集のなかでも、もんくなしにベスト1、5編ともすばらしく面白い。 | ||||
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座敷牢を破って逃げた放蕩者の兄・万次郎が故郷の庄内藩に連れ戻される途中で斬殺された。兄の敵討ちを決意した又蔵は、江戸に出て剣術を修行し、まだ見ぬ強敵・丑蔵との対決に臨む。 一見すると理不尽な仇討ちのようだが、又蔵には又蔵なりの敵討ちの理由があった。兄は決して遊蕩を楽しんでいたわけではない。兄が見せた苦痛の色。兄に代わって一言言うべきことがある――。 藤沢文学の登場人物は決して善人ではない。根っからの悪人でもない。誰もがささやかな幸せを望みながら、どうしようもない運命の歯車に巻き込まれていく。人間は弱い。その弱さを藤沢氏は否定しない。破滅に向かって突き進む主人公たちに向ける氏のまなざしは温かい。藤沢氏の淡々として抑揚のない簡潔な文章が一層悲哀をかき立てる。 | ||||
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「又蔵の火」は、著者が「暗殺の年輪」ではなく、こちらで直木賞を もらいたかったと言っていた初期の傑作。 明るく突き抜けて、良い意味で、一種大衆小説化した中・後期に比 べて、情念のほとばしるような中身の濃い傑作で、むしろ純文学に近 く、もっとも好きな作品にあげる読者も多いようだ。 最初に読んだ時は、又蔵の理不尽さを感じたが、冨士真奈美の洞察 に満ちた書評を読んで、改めて読み直した所、又蔵の兄弟愛に基づく 心情が改めて理解できた。実話だそうだが、斬り合いの場面など作者 の数多い作品の中でもベストではないかと思う。ちょっと重いが、読 んでみると必ず得られるところがあると思う。今でも無縁になってい ないという二人の墓があるゆかりの寺には、斬り合いの場面の像もあ るとかで、ぜひ行ってみたいものである。 | ||||
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作者の初期の短編集。直木賞受賞前後の作品だが、非情と暗さが漂う短編集となった。 タイトル作「又蔵の火」は中編と言って良い分量で、放蕩の末に脱藩し、挙句の果てには親族に討たれた兄の仇を討とうとする又蔵の姿を冷徹に描く。庄内地方に残存している文献をベースに書いたかと思う程、リアリスティックな描写が胸に迫る。兄の放蕩の理由は一切説明されない。又蔵も兄には批判的なのだが、"兄の一分"を通したいと考えている。そして、兄の死を知った時、又蔵の心に"火"がつくのである。軍鶏の闘いと又蔵の闘争心を重層的に描く場面が唯一の作為的手法と言え、後は記録文学風の写実に徹した描写が非情な運命を浮き彫りにする。「帰郷」は親分の罪を被って故郷を捨て、今では人生も捨てている昔気質の老渡世人の宇之吉がフト起こした里心が起こす人間模様を描いたもの。宇之吉の出奔後に生まれた娘がいて、しかもその娘にかつての仇兄が横恋慕していると言う設定の中、宇之吉の心にも"火"がつく。宇之吉と娘を中心とした陰影に富んだ人物描写と木目細かい自然描写が荒涼とした物語を一段と深い味わいにしている。「賽子無宿」は江戸に舞い戻った情に篤いイカサマ壷振師のドンキホーテ的言動が、現実と乖離している様を非情に描いたもの。しかし、壷振師(=作者)の気合いが空回りし過ぎていて、物語に浸れない。「割れた月」は島帰りの男が、更生の志を持ちながら転落行く様を描いたものだが、余りにも定型通りで頂けない。「恐喝」は恵まれぬ過去を持つヤクザの意外な義理堅さを描いたものだが心に響くものがない。後半三作は主人公もストーリーも代わり映えがしなく、作者の工夫不足は否めない。 後年の硬軟自在の筆運びを知っている身としては、「暗くて硬い」方向に傾き過ぎた感があるが、初期の実直な作風を味わえる短編集。 | ||||
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運命のいたずらか。 運命を感じさせる重い作品が5編。 「割れた月」、「恐喝」の二作は特に運命を感じさせる作品になっていて、こんなことがッて気にさせられた。 「又蔵の火」は斬り合いがすさまじく、読み応えあり。 | ||||
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夢の中まで侵入し 悩ます 藤沢周平。 ハチャメチャ(放蕩悦楽)な兄、それをしっかりみていた弟虎蔵。 「家」をまもるために、兄は座敷牢にいれられた。虎蔵は 兄を救済し、一緒に脱藩し江戸に向かった。 兄は故郷にもどり 復讐戦を開始する。 「家」は すでに 婿養子をとり「家」をまもる体制とととのえていた。家の新しい主は劔の使い手でもあった。 兄は無謀であり非常識。「家」を守るために 新しい主は 兄をとらえ座敷牢に戻そうとした。 しかし、兄は反逆。お互い殺されるかどうか修羅場の世界。兄を殺すことによって 「家」はまもられた。 虎蔵はちがった。兄の哀しみを怒りを 我が身のこととして受けとめる感性の持ち主。 兄を殺した者を 殺害するために行動を始める。しかし、養子の主は 「家」をまもるために冷静に対応した。 「始末をつけねばならん。土屋の家の体面を傷つけず、おぬしの意趣も通るような始末をな」 差し違え。 こんな 武家の「家」の存続の問題。詳細に語られている。 なにを 感じるかは 読み手によって異なるだろうが、このうとましい話を知らないで生きている者を私は日本人とは認めたくない。 | ||||
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全ての短篇の結末は絶望的なもので、主人公も一筋縄ではいかない人間ばかりだ。実話と言う「又蔵の火」にしても、兄のあだ討ちの理由に納得いかず、主人公にいまいち感情移入できなかった。 ただ、彼らが最後に見せる人間らしい部分には共感を覚えるし、それは後期の藤沢作品まで共通するところだと思う。また、作品の持つリアリティーは高く、「又蔵の火」以外の作品も実話かと思わせるほどだった。 とは言え、読後感は重く暗いもので、万人にお勧めできるものではない。自分も、読み終えてすぐ次の短篇を読みたいとは思わなかった。 | ||||
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藤沢作品の初期の短編集。特に、「又蔵の火」に関しては、『藤沢周平 ―負を生きる物語― 高橋敏夫著(集英社新書)』で、絶賛されていた。 主人公を取り巻く闇、そしてその闇に生き、死んでいく彼ら・・・・。 人生は、自分でどうしようもできない方向へ流れて行くこともある。何がどう転ぶのかわからないもの・・・・。彼らは、決して歴史の表舞台に華々しく出るような人ではなく、地味な人間であるが、そこには人知れずドラマがあるのだ。最近は、環境のせいか、サクセスストーリーよりも、このような負の面を描く物語を好んで読むようになったと気付く。自分が乗っているときには、サクセスストーリーも良いけれど、そればっかりではない。 表題の「又蔵の火」は、歴史上の実話がもとになっているそうだ。 地味で、輝かしい「勝ち組」の人ではないが、彼が命を燃やす仇討ち、それを淡々と描いている。その死闘の描写は、読んでて息苦しくなるようなほど。人の評判だけでは、人間白黒はつかないもの、屈折する心にもどこか切ないわけがある。 その他の話も、全話が渡世人の物語で、闇・負というイメージが強い。 けど、その中で心にそっと触れられるような人情物語で、みんな最後は死に至るが、その描写が何とも切ない・・・・。 | ||||
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