囚われの山

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評判

囚われの山の評価:

4.19/5点 レビュー 32件。 C ランク

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平均点4.19pt

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未読の方はご注意ください

全25件 21〜25 2/2ページ
No.5
(5pt)

ユーモアすら感じられる拡がりのある八甲田山の話

私も40年近く前に、新田次郎氏の「八甲田山死の彷徨」を読み、群像劇に感動したものです。同時に、実は読んだ時が交通事故で入院先のベッドの中だったので、八甲田山で遭難された方々に、事故った自分に重ね合わせ、ズンと沈んでいたものです(笑)。
 「囚われの山」を読み始めた時は、この新田次郎氏の内容に近いのではないかという感覚でした。ご存知のように新田次郎氏は晩年は歴史小説家としても有名ですが、山岳文学の分野で歴史小説以上に有名な作品を幾つも残していらっしゃいます。その山岳文学と歴史小説の分野2つの強みが合体した新田次郎氏の最高傑作が「八甲田山死の彷徨」だと思っていました。
 その名作に果敢にチャレンジされた伊東潤氏のこの「囚われの山」は、群像劇に加え、新たな真実を発見する現代の若い記者がそれを見つけるまでの取材プロセスの描写や、現代の出版業界のリアリティが、更に話に拡がりと味わいを持たせています。
 ともすると深刻な思いで読み終わるこの山岳遭難の話。「囚われの山」はユーモアすら感じられる内容に仕上げられていることに読まれた方は驚くでしょう。
 是非ご一読ください。
囚われの山 (単行本) Amazon書評・レビュー: 囚われの山 (単行本)より
4120053148
No.4
(5pt)

自然の猛威

八甲田山雪中行軍遭難事件を元にしたサスペンス。地獄のような寒さの中、事件の過程で何があったのか?そこに現代の雑誌編集者が疑問を持ち解き明かそうと現地に踏み込む…。寒さと言うより痛みを感じる物語。肉体的にも精神的にも。人が何かに囚われ、もがき苦しむ様が普段の我々の生活にもあり、読者もその一人だと考えさせられる。
囚われの山 (単行本) Amazon書評・レビュー: 囚われの山 (単行本)より
4120053148
No.3
(5pt)

『八甲田山死の彷徨』を読んだ人にもおすすめ

八甲田山遭難事件といえば新田次郎『八甲田山死の彷徨』が、それを原作とした映画と共にあまりにも有名ですが、そちらで知っている人にもおすすめ。
 新田作品による強い印象が定着している題材ですが、こういった切り口でも描けるのかと感心しました。そしてその有名な遭難事件に「謎解き」要素を組み込み、しかも「本当にあったのでは」と思わせるだけの見事な創作部分が本当に巧みです。ネタバレになる話を避けて紹介すると。ほとんどの人が「誤記か、それほど重要な意味はない」と考えてしまいそうな「一次史料の食い違い」に注目して一気に想像を広げた作品と言えるでしょう。
 そしてここに単に想像・創作と思えない凄さがあります。「なぜ軍は7月まで捜索を続けたのか?」。新田作品では全遺体収容後も2挺の銃が見つからず(実は他部隊が持ち去った)、それらの捜索が続けられる描写がありますが、現在ではこの2挺の銃はすぐに返還されていたことが明らかになっています。「では一体、軍は何を探していたのか」がこの作品の鍵となっています。
 主人公の周囲を描いた現代部分は史実重視派にとっては退屈かもしれませんが、よく読むと各所に作者のこだわりと遊び心(多分)が散りばめられており、それを探す楽しみもありかと。
囚われの山 (単行本) Amazon書評・レビュー: 囚われの山 (単行本)より
4120053148
No.2
(5pt)

歴史とは現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話

標題は、イギリスの歴史家E・H・カーの言葉ですが、『横浜1963』、『ライトマイファイア』、『真実の航跡』と続いてきた伊東潤の現代史小説に、私はカーの言葉と同じ精神を感じます。
伊東潤は、決して現代の価値観で過去を裁断しません。登場人物を現代の価値観に合わせて行動させたりもしない。あくまで、その時代の当事者の価値観と感情に寄り添う。それでいて、作品の根底には著者の現代日本に対する問題意識が一貫して流れている。司馬遼太郎、大岡昇平が残した優れた歴史小説も、また、そのような作品でした。
著者には幕末・明治維新が舞台の『武士の碑』・『走狗』・『西郷の首』という傑作があります。『囚われの山』は、これら三作品と『真実の航跡』(舞台は太平洋戦争)をつなぐ置石と感じています。
置石が線で結ばれ、骨太な伊東潤・日本近現代史観が完成するのを心待ちにしています。
囚われの山 (単行本) Amazon書評・レビュー: 囚われの山 (単行本)より
4120053148
No.1
(5pt)

暗闇の白い地獄

映画で固定していたイメージを
動かしてくれた。

雪を踏みしめる音を想像しながら読む。

伊東作品で描かれる地獄の風景…、
今度は冬の山にあった。
暗闇の白い地獄。
涙も凍る
人の作り出す地獄なのだ。

私は好きだ。
好きだからそれで良い!
囚われの山 (単行本) Amazon書評・レビュー: 囚われの山 (単行本)より
4120053148