(短編集)

死者の奢り・飼育

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評判

死者の奢り・飼育の評価:

4.53/5点 レビュー 55件。 B ランク

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平均点4.53pt

Amazonレビュー一覧

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全119件 81〜100 5/6ページ
No.39
(5pt)

買いです。

本書のように今まで幾度となく読んだ作品については、正直もはや良いとか良くないとかの判断が非常に難しいことが多いです。20年以上も前の高校生だった時に購入した新潮の「全作品」(思えば、安部公房も倉橋由美子もそのほとんどをこのシリーズで今も読んだりしています)で時系列に沿って読むことに慣れていて、こういった並べ方もかえって新鮮だったりします。また、この時期はまだ文体が完成していない感じで、力みすぎていたり、ある意味洗練されていったりと、その変化を比較的容易に見て取ることができるのも楽しいといえば楽しいです。
死者の奢り・飼育(新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育(新潮文庫)より
B00IP4BY6W
No.38
(4pt)

勢いのある文体

トグロを捲くようなウネった文体に、時代状況が反映した周囲の雑多な環境の中を「僕」という確固たる一人称で持って己を保持していく。
個人的には『死者の奢り』が一番好きです。
幾ら死体解剖をしたとしても、キッチリ給料は貰うよというところに、近代的な合理主義の精神が垣間見られ、それが逆に心地良かった。
まだ読めていないが、大江氏の中期以降の作品とは、明らかに字ずらが違う、若き勢いに満ちた作品群。
死者の奢り・飼育(新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育(新潮文庫)より
B00IP4BY6W
No.37
(5pt)

私の大江健三郎の初体験は、「個人的な体験」でした。そこには世界で戦争が起きていても何よりも自分の子供のことを含めた自分の周辺を何よりも優先するという、ある種のセカイ系世界観が描かれているように思いました。

 この短編集は、大江健三郎の初期の短編を集めたものです。どれもとてもおもしろいです。この短編の人物は、世界から、国家から、社会から、あらゆるものから閉じこめられています。そのちいさな世界のなかで感情がゆすぶられ、吐き気がするほどの嫌悪がほとばしっていきます。彼らは結局のところ、子供なのです。子供であるがゆえに世界からそとにでることができず、そして無力ゆえに激しく悲惨な目にあいます。まるで世界から嫌われているかのような少年が次々登場して、次々悲惨な目にあっていきます。それを乗りこえるのは、けれど成長なのでしょうか。成長したあと、彼らはもう悲惨な目にあわないのでしょうか。きっと、そうではないのでしょう。

 大江健三郎の文章は、やっぱりへんだと思いました。
死者の奢り・飼育(新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育(新潮文庫)より
B00IP4BY6W
No.36
(4pt)

うねった文体

死者の奢りは、仏文科の学生の「僕」は、女学生と共に死体処理室でアルバイトをします。

 アルコール槽の死体を移し替える仕事でした。

 死体は生きている人間よりも「物」の量感があり充実感に満ちていると「僕」は思います。

 作業が終わった時、その仕事が全て徒労であったことを思い知ります。

 現代人の虚無的な徒労感みたいなものを、うきあがらせる感覚的な鋭さがあります。(平野謙氏談)

 私は、この小説は非常に論理的でいてウネリまくった文体で書かれているなあと思いました。異端的です。そして大江さんの小説はマニア的なエロさがあります。女性の○○○についての描写が官能的・・・

 細かい描写ですので、頭にイメージがわき易いですよ。
死者の奢り・飼育(新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育(新潮文庫)より
B00IP4BY6W
No.35
(5pt)

秀逸な短編集。

作者はこれを戦後10年ほどたった頃、学生時代に書いた。
自分と自分を取り巻く雰囲気の対比が鮮やか。
人間の羊、他人の足なんて特に。自分の生きてる世界の「外側」、たとえば道徳とか正義とかを盲目的に信じた思想と、ただ自分のみの世界を生きる主人公の対比の中に滲む虚脱感は、強い共感を感じる。
初期の大江作品の牧歌的で、心理を鋭くえぐるような短編は本当におもしろい。
死者の奢り・飼育(新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育(新潮文庫)より
B00IP4BY6W
No.34
(4pt)

閉塞した人々の倦怠感

私は実際、あまり小説を読まない類の人間なのだが、最近この本に興味を持って以来、進んで小説を読むようになった。
大江健三郎はノーベル賞受賞作家だけあって、内容は深くシビアで重苦しい。なかなか読破するまでに時間がかかる。
しかし重苦しいだけの話ばかりではなく、例えば「他人の足」のようなちょっぴり風刺の効いた小話も収録されている。
私はあの話が結構気に入ってるので、(もちろん「飼育」も面白かったが)大江さんは難解なストーリーに親しみ易いユーモアを挿入してバランスを取っている作家なのかな、と思った。
やはりこの短編集でズバ抜けて面白かったのは「不意の唖」ですね。
話は「飼育」の後日談の様なものなのだが、淡々とした日常の描写はこちらの方がきめ細かく描かれていて、読後は不思議な後味の悪さと充実感で満たされました。
少し観念的過ぎかな、という話も多いですが、この作者の中では読み易い部類の本だと思います。
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B00IP4BY6W
No.33
(5pt)

「純文学」の凄み!

もう10年以上前だ。
大学の時にこの短編集を読んだ衝撃は今だに忘れられない。
「傍観者の欺瞞」といったキャッチだったが、その凄みと痛みは
読む者の魂を鷲づかみする圧倒的な力だった。
バスの中での恥辱をえぐられる男性。療養所の少年への扇動と裏切り。
その完成度も含め、脱帽だった。
畑正憲氏(ムツゴロウさん)が、東大在学中に大江の初作が東大新聞に
掲載され、「同じ大学にこんな凄い奴がいる」と、それを読んで作家を
あきらめた、と奥様との書簡集に書かれていたが、その気持ちがよくわかる。
ノーベル文学賞受賞からやけに「貴重品扱い」され、ここ10数年の
文体の変化でとっつきにくさが大江健三郎が纏うイメージだが、
本当の原点に立ち戻って、ドストエフスキーと拮抗する位のど偉い長編
を書いてほしい。
本当に才能ある「作家」なのだから。
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B00IP4BY6W
No.32
(4pt)

まず一冊読むのに薦められる作品

読んでいると何かが粘液のように重くまとわりつき、口の中が乾いてくるような生理的な居心地の悪さを感じてしまう。嫌悪感と言うよりは、やりきれない後ろめたさの感じである。「後ろめたさ」とは自分でも意外だが、とにかく大江の作品はどれを読んでもそう感じてしまう。
追いつめられた状況、逃げられない異常な環境の中での行動を描くとき、作者は意図することのなく、より緻密な描写をしてしまうに違いない。心だけでなく体までが重くなってくるようなリアルな感じがある。
芥川賞受賞時代の短編で構成される作品集である本書で、大江はすでに十分に大江健三郎である。まず一冊読むのに進められる作品だ。読んでみて、自分の体質に合うか考えて下さい。
死者の奢り・飼育(新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育(新潮文庫)より
B00IP4BY6W
No.31
(5pt)

重く静かで胸騒ぎ

状況は異なるが本書のストーリーでの心情的展開は現代の私にも通じるものがあり胸騒ぎがした。戦争の時代の捕虜とのやりとり(飼育)の中で独特のその場ならでは味わることの出来る感情があぶり出されているところがずっしりと重く、生々しく臨場感があり惹き込まれた。大江健三郎の作品は初めて読んだがこんなにしっくりと読めるとは思わず、出会えてよかった。また度々その読後の感慨にふけることになる作品群になることは間違いない。
死者の奢り・飼育(新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育(新潮文庫)より
B00IP4BY6W
No.30
(4pt)

これから大江が始まる

これこそ原点で始まり、書くべきして書ける ロリに死に何でもありの大江作品、読ませるし色褪せない そりゃノーベル賞も取るよ と思わせるテーマ取りと変態性、革新性 美しさより過激や斬新、過激などという言葉よく似合う 現代でも面白いし読みやすいから本好き高校生くらいにもお薦め
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4101126011
No.29
(5pt)

小説らしい小説

読ませてくれる文章でした。
装飾過多に感じて所々わかりにくい表現もあるのですが、文体から情景やにおいが立ち昇ってきます。
暴力的な表現はありますが、驚くほど残虐というような描写はありません。
性表現も直接的なものはないです。
死者の奢りや飼育もおもしろかったですが、個人的にはその他の収録作のほうが好きです。
小説としての完成度が上がって行く感じがしてとてもよかったです。
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.28
(4pt)

心地の良い気色の悪さ

しなやかな描写と大江らしさが心地よく響いてくる。その為気色の悪さすらとても面白く感じる。なんとも言えない読了感、不思議な読書体験であった。
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4101126011
No.27
(4pt)

アメリカ兵が日本人の本性を炙り出す

1957年と58年に書かれた短編六篇を収録している。
『死者の奢り』は死体置き場でアルバイトする学生の話で、『他人の足』はサナトリウムで暮らす少年の話だ。
閉塞感がみなぎり、厭な感じの迫力がある。

『飼育』落下傘で降下した黒人兵を村人たちが「飼う」。異邦人におっかなびっくりで対峙する村人の姿が笑える。
子供たちは黒人を純粋に面白がっている。つまり歪な偏見は持っていない。ノンフィクションかと思うほどリアルだ。
続く三篇は、すべて進駐軍が重要な役を演じる。
彼等の存在は旧来の価値観を根底からぶち壊すカルチャーショックであり、軽視すべきではない。
日本は敗戦国で、占領を受け入れたのだ。この事実は忘れてはならない。

あるいは隷属し、あるいは仲介の通訳に憎悪をぶつけ、あるいは脱走を助けようとする。
町中に外国兵が跋扈している状況は、人間の本性をむき出しにする。
現代文学として重要なテーマだと思うが、あまり他では読めない。貴重な一冊だ。
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.26
(4pt)

皮膚感覚や臓器感覚に訴えてくる表現

大江健三郎(1935-)の初期短篇。人間の孤独や政治の欺瞞の在りようが、読み手の五官の神経(特に触覚と嗅覚)や臓器感覚に訴えかけてくるような独特な表現を通して、描かれている。

収録は以下の6作。
「死者の奢り」(1957)
「他人の足」(1957)
「飼育」(1958)
「人間の羊」(1958)
「不意の啞」(1958)
「戦いの今日」(1958)

特に「死者の奢り」「他人の足」2作が、その情景の美しさもあって、印象に残っている。

□「死者の奢り」

死んでしまった《物》と生きている《人間》と、その二者に間にはどれくらいの距離があるのか。死体を前にして、青年は観念的に、妊娠している女子学生は胎児を下腹に感じながら、死体処理歴30年の管理人は自分の子や孫を想像しつつ、それぞれが死と生との距離を測ろうとしているように見える。《人間》はいずれはみな死んでしまうのだから、《物》との距離は然程遠くはないのか。しかし、意識を備えている《他者》は、《物》とは異なり、別の意識の持ち主である《私》が発する眼差しや思惑を撥ねつけ調和を拒もうとする。生は希望のない徒労のようなものなのか。冒頭の死体処理室の描写が妙に美しく感じられ、アニメーションで観てみたいという気持ちになった。

「あれは生きている人間だ。そして生きている人間、意識を供えている人間は躰の周りに厚い粘液質の膜を持ってい、僕を拒む、と僕は考えた」

□「他人の足」

物語の冒頭、脊椎カリエス療養所は、少年たちにとってまるで母の子宮であり、彼らはその羊水のなかを揺蕩っているような、生活への不安も「健常」への強迫観念もない、無時間的で、重ぼったく惚けたような安逸に包まれた、或る種のユートピアのように描かれる。「僕らには外部がなかったのだといっていい」。しかし、如何なる自閉的な《内部》に退却してみようとも、《政治》から逃れることはできない。《他者》としての学生が闖入して以来、「凡てが少しずつ、しかし執拗に変り始め、外部が頭をもたげたのだ」。そこには《政治》にまつわる欺瞞もあれば、正義の名のもとの全体主義化だって起こり得るだろう。我々はどこにいても《政治》に対して無垢では在り得ない。この意味では、我々には《政治の外部》はない。

世界とは、あらゆる《外部》性の閉包であり、それ故にもはや《外部》の余地が残されていないもの、と云えるのではないか。

「この男は外部から来たんだ、粘液質の厚い壁の外部から、と僕は思った。そして、躰の周りには外部の空気をしっかり纏いつかせている」
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.25
(5pt)

言い表しようのない力強さ

死体処置室のアルバイト学生「死者の奢り」、拿捕された外国人兵士をペットと化す少年「飼育」他、人間の恥部をさらけ出したような、読んでいて厭な気分にさせられる作品集。

嫌悪感を覚えながらも、心の行き場のなさを突き付けてくるような、言い表しようのない力強さを持っている。

「飼育」は、隔絶された村落を舞台に、拘禁された黒人兵への少年の異様な愛着が一変するシーンが鮮烈だ。劇薬に近い幕引きとなるこの物語は、ビルドゥングルロマンというべきものであり、少年の姿に諦観や諦念という言葉を想起する。
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.24
(5pt)

濃厚そのもの

チョコレートのように濃厚な言葉と、こころの海。非常に身近な行為や感情によって発生しているはずの体や心の変化を、それを初めて経験する子供時代に帰ったかのように、常に再認識させられる。このようなコンテンツを手に入れられる、いや、拝見できること自体に喜びを感じる。一方、書き手から見た場合、非常に高く硬い壁なのではないかと感じる。再現する、近いものを作る方法に全く想像ができない。
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.23
(5pt)

初期の大江さんの短編集、いけるよー

大江さんの初期作品ですが、興味ぶかい短編ばかりで、面白く読めました。
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.22
(5pt)

読む手が止まらない

最高に面白かった
特に 「他人の足」と「人間の羊」が良かった
読後感は悪いが、現実の社会の覆い隠されている部分を
ばらして、がっつり見せつけられたような。
それはまぎれもない真実という感じで
教訓を与えてもらえたような読後感がある
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.21
(5pt)

臭ってくる程の描写力

初めて読んだ大江作品です。
 一発目の「死者の奢り」でいきなり衝撃を受けました。
 その場に居合わせているような臨場感。濃褐色のプールに漂いひしめき合う死体。変色しつつも引き締まり、しっかりと形を保つゴムのような弾力を伴う死体。そんな映像が鮮明に浮かんでくるのです。文章を読むことで、ここまで鮮明な生々しい映像が浮かんできたのは初めての経験でした。また活字を読むことで、ここまで明確に嗅覚を刺激されたのも初めてです。
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011
No.20
(5pt)

ユーモラスで最高な芥川賞で文壇へ。

私が記述したいことは、他のレビューに書いてありますので、
芥川賞の受賞作「飼育」の登場の仕方を紹介します。

大江健三郎は、サルトル流の実存主義者であった。
落下傘(パラシュート)で降りてくる黒人兵。それは、大江健三郎だ!
かつて見たことのない文壇の登場の仕方でありながら、芥川賞のみ
ならず、のちに、ノーベル文学賞を取り、海外に翻訳され、羽ばたいた!
死者の奢り・飼育 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 死者の奢り・飼育 (新潮文庫)より
4101126011