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(短編集)
神さまのビオトープ
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神さまのビオトープの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.13pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 41~53 3/3ページ
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夫の幽霊と暮らす未亡人が、様々な歪んだ愛情を抱く人々とオムニバス形式で交流する話。 読みながら我が身を振り返ったり、過去に思いを馳せられる。惹かれ合ったり愛することに正解はないが、例えばその対象が亡霊(妄想かもしれない)や無生物ならどうだろう。ギリシャ神話のピグマリオンや、吉野朔実の漫画『恋愛的瞬間』を思い出した。 悪役の描き方が類型的だったり、物語が作者の主張に沿いすぎているきらいはあったけれど、幻想的で少し切ない話はどれも綺麗で余韻があった。ロボットの話が特に好き。ネットで流布したドラえもんの最終話みたい。 | ||||
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主人公が関わる一般的観点から見るとちょっと変わった人たちも、彼ら自身の観点から見れば、けっしておかしな考え方をしている訳ではないことをうまく説明してくれるストーリー展開です。 話の展開を"流浪の月"と比較することは適切ではないかもしれなませんが、"流浪の月"よりも静かに穏やかにストーリーが進んでいきます。 読み始めると止められなくなるのは同じです。 ストーリーは全く異なりますが、デミ ムーアのゴーストという映画を思い起こしました。 | ||||
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この著者の作品を、初めて読みました。驚きました!どなたかが『関係性の』物語、と言っておられた気がしますが、そううけとめられるなぁと思いました。自分の常識だけが絶対全てで正しい、と雑音を入れてくる周辺の人間たちとの関係に疲れていたので、泣けてくるぶ部分も有りました。他のこの著者の作品も読んでみたいです。 | ||||
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地元の本屋さんで、書店員さんのPOPに引かれて購入しました。この作家さんの本を手に取るのは初めてですが、凄く描写が好きだなあと思って読み進めました。優しい温もりを感じる文章だけど、テーマは重くて涙腺が崩壊しやすい私はうるっとしちゃうところも(笑)とにかく、主人公夫婦が私はとても好きになりました。さくさく読める作品なので是非手に取って欲しいです。 | ||||
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流浪の月を読んで胸を打たれ、本作品も読んでみたくなり購入しました。レビューでどなたかが書かれてた通り、もしかしたら本作品の方が完成度が高いんじゃないかと感じました。よかったです。 | ||||
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凪良先生はフィクションの中に逃れられない現実を受け入れ生きていく主人公たちをすごく上手く書かれるなぁと思っています。ただうる波と鹿野に思い入れ出来なくて、恋愛前夜のヤコ先生や美しい彼の平良が好きです。 | ||||
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胸にしまっておきたい感情が溢れる作品でした。 なので、あとは、秘密。 | ||||
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読後すごく不思議な気持ちです。 ふとした時に、生きていくのって難しいなと感じます。 生きている限りあと何十回、何百回こんな事を考えるのかと途方にくれるのですが、周りの人も自分とは違った難しさを感じているんだろうなぁとも同時に思います。 だから頑張って生きようとも、自分の悩みはちっぽけだとも思いませんが人は自分が思っているよりも自分とは違うということ。 また逆に以外と自分とは似ている所があるということ。 そういうことを知れた時は生きていて少し面白いし、相手をもっと知りたいとも思います。 でもやっぱり生きているって少し大変で、だけど寝て起きて目が覚めて立ち上がれるから仕事に行ってきっとこれからも日々を過ごしていくのだろうと思います。 そんなことを改めて考えさせられた読後でした。 | ||||
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凪良さんのBL小説の文章が好きで表現も好きで、一般小説も試しに買いました。 でもいつもなら一気に読めてしまうのに、まだ途中で止まっています。 理由はBL小説、一般小説関係なく「霊」の扱いが受け入れられずモヤモヤするからです。 細かいことで言うと、P.130の鹿野くんのセリフ「エクトプラズムになって~略~ロボットの中に入って~略~」が引っ掛かります。 エクトプラズムは生きている人から出るものであって、幽霊の鹿野くんには無理な話です。 それから物語の根幹になってしまうのですが、死んで幽霊になった鹿野くんは永くこの辺にいてはいけないです。 いわゆる未浄化霊で、気の毒な存在に見えてしまいます。 ファンタジーとして「霊」を扱っているとは思いますが、私の中では「妖怪」「おばけ」「魔法使い」がファンタジーで、 「霊」は身近でリアルなものです。だって私たちも生きている霊なのですから。 凪良さんの小説が好きなだけに、とってもモヤモヤして残念でした。 | ||||
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凪良先生大好きなので楽しみに購入しました。 読みやすくてでも内容は深かった、 | ||||
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小説は、書き手の知見を超えられません 凪良さんは多くのBL小説を手がけられており、 そのいくつかを読んだことがあります どの作品も即物的な恋愛でも性愛でもなく 過去のトラウマやマイノリティである負い目のようなものの中で 悩み、足踏みをしたりする登場人物たちの心情が 優しく、繊細に描かれていました この作品は死別した旦那の幽霊とともに生きる女性・うる波の視点から マジョリティではない愛が描かれています 下は小学生、上は老齢の、あまじょっぱいものから、法で裁くこともできる愛の形です うる波は、旦那は他人事だと割り切るのに対し、正面から向き合い 同時にそれを通して自分たちの関係とも向き合います 読み終わった後は、爽やかな嬉しさ、どこかものさみしい感じ、安寧 様々な感情が入り混じった読後感がしました 他作品と同様に随所に深い観察眼に基づいた人々の心の機微、そして強い作者の意思が描かれ 凪良さんの知見の深さには感嘆します | ||||
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筆力のある作家ですが、ライトノベルに分類するには、もったいないくらい傑作と思います。 内容は非常に重いです。状況も、厳しいし、現実も非情です。それが、この作家にかかると、ここまでさわやかになるし、人間愛にあふれたものになると、驚きました。 講談社の編集部に対しても、作家の持ち味をよく引き出して、ここまで冒険させてくれたことに感謝します。 特に、結末が素晴らしいと思いました。 最後の最後まで読んで、神様のビオトープというイメージが、しっくりきました。 こうした本をたくさん出してほしいと、心から思いました。感謝です。 | ||||
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「ビオトープ」=動物や植物が恒常的に生活できるように造成または復元された小規模な生息空間 環境事業関連でしばしば聞く言葉ではあるけど、小説のタイトルに使われるのはちと珍しい。 しかもリアルな生物学関連用語に「神さま」と引っ付けば「凪良ゆう」なる作家の名前に覚えは無いが 興味を惹かれて拝読してみることに。 物語は結婚して二年目の夫、鹿野くんを事故で亡くした日から一夜が明けた鹿野うる波が目覚めた場面から始まる。 自分のお葬式も一緒に出してほしい、と願ってやまない程に重い体を引きずるようにして葬儀を済ませたうる波だが、 十五でシングルマザーで自分を育てた母親に捨てられ、その後育ててくれた祖父母も亡くなった今、身内と言えば 母の妹に当たる叔母だけ。 「変な気を起こしては駄目よ」とうる波同様天涯孤独だった鹿野くんが両親から引き継いだ古い日本家屋に 姪を残して叔母が去っていく。独りになると同時に眠れぬ数日間の反動を受けたかのように床に崩れ落ちる うる波だったが、三十分ほど泥の様に眠った彼女が目にしたのは縁側に座って煙草をふかす見慣れた鹿野くんの背中。 驚き過ぎて声も出ないうる波に「あの叔母さん色々と雑なんだよね」と苦手意識を隠そうともしない鹿野くんを前に 叔母に「鹿野くんって本当に死んだ?」と電話で話してしまううる波。 ただ事ならぬ姪の様子に「次の駅で折り返す」という叔母の声にうる波は鹿野くんは叔母が苦手だから戻ってこられたら 鹿野くんが消えてしまうかもしれない、と叔母に「戻ってこなくていいから」と伝える事で大きな選択をする。 生前と変わらぬ「卵焼きの端っこ」を欲しがりながら食べた様に見えても消えない卵焼きが示すように 夫を失った寂しさが見せている幻覚かもしれない亡き夫を前にうる波は鹿野くんと二人きりの人生を歩むことを決意。 そして二年の時が流れて二十代の終わり近くを迎えたうる波は再婚を勧める叔母や「夫を失ったのに割と平気なんだ」と ある種の蔑視を向けてくる周囲の人間に「鹿野くんはここにいる」と言う事も出来ないまま過ごしていた。 そんなうる波をある日、鹿野くんが卒業した美大の後輩にあたる佐々くんと、その彼女の千花ちゃんの訪問を受けるが… …読み終わって感じたモノにどうにも名前を付けられない。 「痛み」とも言えるし、「寂しさ」とも言える。でもそこに「ふしあわせ」は無く、むしろ「安らぎ」すら覚える。 「人は分かり合える」、「誰にでも分かる幸福がある」という言葉がおためごかしでしか無い事は、 ある程度年を重ねれば誰でも分かってしまう事ではあるのだけど(気付かない人間は本当に厄介) 「分かってくれる人はほとんどいないが、誰に分かって貰う必要もない」と 自分の幸福は自分だけが分かっていれば良い、という割り切った態度、時に「ドライ」と批判されがちな 生き方を選ばざるを得ない類の人間は割と普通に居る。 主人公のうる波をはじめ、本作を構成する四編の連作短編に登場する登場人物は下は小学生から上は高齢の夫婦まで 誰もが人に分かって貰う事が難しい、時には口にする事も世間的には憚られる様な秘密の「愛」を抱えている。 主人公のうる波は二年で死別せざるを得なかったが、葬儀を終えた翌日に普通に家にいた夫の鹿野くんと、 ひょっとしたら寂しさのあまり自分が生んだ幻覚かもしれない亡き夫と二人だけで暮らすことを選んだのだけど、 当然世間はそんなうる波に理解を示してくれる事はなく距離を置いて「可哀想な人」という目を向けてくる。 しかし、うる波にしてみればそんな狭量な「常識」に縛られた世間なんてのは自分から鹿野くんを奪っていく 生きるに値しない世界であって、他人と距離があろうとも自分の傍に鹿野くんが居てくれる小さな世界こそが 生きるに値する世界=うる波にとってのビオトープなのである。 その決然たる姿勢は第一話で長年付き合っていながらちょっとした隙間風の様な疑惑が元で、 恋人の佐々くんに取り返しのつかない事をしてしまった千花ちゃんが うる波同様「佐々くんがそこにいる」と言い始めた時に見せたうる波の姿勢によく出ている。 自分を守るための方便としての「幸せな夢」に浸ろうとして、うる波を鹿野くんともども 「共犯関係」に引きずり込もうとした千花を「夢は一人で見ればいい」とバッサリ切り捨てたうる波の姿には 「正しい」世間に合わせる事を拒絶した上で鹿野くんと生きるという決意の強さ・悲しさが滲み出ていた。 本作の登場人物は同様に「誰にも理解して貰えないが否定する事もできない気持ち」としての「愛」を抱えている。 工学者である父の作ったロボットを無二の親友として、 「いつかロボットが人と同じ様に付き合える世の中を作る」と幼いながらに社会を変えようとする少年。 小学四年生の女の子しか愛せず、それが世間から許されない事だと覚悟した上で 「絶食男子」として生きる事を悲しい笑みとともに引き受けている大学生。 幼い頃から想いを抱いて来た幼馴染に認めてもらうために壮絶なダイエットを敢行して 女王の如き美貌と風格を手に入れたが、その結果真の姿を晒せなくなった女子高生…皆一様に、孤独である。 でも彼らは孤独である事に「ふしあわせ」を感じてはいない。 自分を歪めて狭量な世間の中に居場所を求めるよりも、人に言えない自分の想いを秘密として抱えたまま 自分なりの生きていける世界を、ビオトープとして作り上げているのである。 そのビオトープを抱えた彼らをうる波が無条件に肯定する訳では無い。特に触る事もできない幼女を愛する青年には 生理的嫌悪感を隠そうともしないし、認められてもいない。しかし自分に似た生き方を選んだ相手を拒絶すれば それは同時にうる波自身を傷付けるのである。孤独な者同士が身を寄せ合えるわけでは無い。 そんなご都合主義はどこにも無い。 しかし自分を殺して生きるよりはましだ、という割り切りはある。 誰がどんな秘密を隠し持っているか、誰がどんな幸福を求めているか、そんな事は知りようもないし、 そんな秘密を抱えて生きる人間は世の中にゴマンといる。その秘密を知らなくても世の中は回っているし、 それなら孤独を「ふしあわせ」などと思う必要もない…ちょっぴり寂しいがそれでオーケー。 そんな生き方を認められないという読者もいるかも知れないが、他人に認めて貰えない幸福の中に生きる人間を 本作は見事に描き切っている。 読み終わってから改めて作者の凪良ゆうさんについて調べさせて貰ったが、本来はBL分野で活躍されてこられた方らしい。 なるほど、と思う。BL趣味というものが閉じた世界で語り合うものだから、誰にも分かってもらえない愛を描くのは ある種の必然かもしれない。しかし、閉じたBLの世界でなく一般向けにその理解を諦めた愛の世界を描けるという意味で 本作は作者の才能が同じ趣味を持つ読者だけに限ったものではない事を証明したと言えるだろう。 「人は分かり合える」という世間の噓臭さに首を傾げ、人に理解してもらえない何かを抱えている方にこそ 本作は読まれるべきである。久しぶりに骨に響くような一冊を読ませて貰った。 | ||||
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