罪と罰

評判

罪と罰の評価:

4.32/5点 レビュー 444件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.32pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全449件 241〜260 13/23ページ
No.209
(5pt)

魂を再生させるもの

社会から隔絶し、自分の頭の中で増殖させた論理に引きずられて殺人に踏み込む青年ラスコーリニコフ。その運命と再生への物語。
本人の再生を促すのは、母と妹そしてソーニャの、ラスコーリニコフを一心に思う心情である。

特に、自首に先立って描かれる彼と母親の再会の場面は胸を刺す。息子が心配で胸が張り裂けそうになりながら、不安と疑惑とそれ
でも息子を信じたい気持ちの中で、自らに言い聞かせるように、繰り返し「お前を信じている」と語りかける母の姿。
ラスコーリニコフは肉親の無償の愛の重みにまだ気付かないまま、「なぜこんな自分をここまで大切にしてくれるのか」と何度も
呟く。
シベリア送りのあとに彼の目に映る風景、ソーニャと囚人仲間の心の交流、母の死の報せ・・・・。彼の耳に残り、目に残る生活の断片
が少しづつ心に堆積し、彼は人間のあり方、人間社会のあり方に目を開かれていく。そして、真の改心と再生への涙を流す。

この後も、「悪霊」や「カラマーゾフの兄弟」で繰り返し問われ続けるテーマが、ここではラスコーリニコフという特異な一青年の運命に
託して感動的に描かれている。日々の生活の中にあるさりげない人間の営みや心情、ここにドストエフスキーは人間の真実を見ようと
している。
罪と罰 (上巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (上巻) (新潮文庫)より
4102010211
No.208
(5pt)

ドストエフスキーを最初に読むなら

ドストエフスキーの作品の中で、おそらく最も知られている作品だろう。彼の作品は幾つか読んできたが、中でも理解しやすく読みやすい作品だと思う。物語としてはいたって単純であるからだ。高利貸の婆さんを主人公が殺した。ついでにもう一人の、関係ない女も現場を見られたという理由で殺してしまうのだが、そのあと貧乏なのに綺麗な心を持った女性と出会い、彼女の清い心に感銘して、己の犯した罪に苛まれるという、要は罪に苛まれて苦しむ男の物語だから、話自体はとても理解はしやすい。ドストエフスキーの他の作品のように、ある意味で執拗に神や宗教といった問題に深くのめりこんでいくこともないので、なおさらだろう。
 ドストエフスキーを最初に読むのならこれに限る。少なくともいきなり「カラマーゾフの兄弟」に手を出すよりはずっと楽だ。これでドストエフスキーがどのような作家なのか、どのような書き手なのかというのがよくわかると思う。恋愛要素も詰まっているし、そこに焦点を据えて読んでみるのもいいかもしれない。一見して重苦し題名だが、中身の方は案外あっさりしている。
 新潮か岩波とあるが、私が読んだのはこっちだったので、こちらにレビューしただけで、どちらにするかは自身の感覚にあったほうを選んだほうがいいと思うが、私がこちらを読んだときは、実に読みやすかったのを覚えている。
罪と罰〈上〉 (岩波文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈上〉 (岩波文庫)より
4003261356
No.207
(5pt)

人生は必然と偶然でできあがっている

大学の時以来30年ぶり位の再読でしたが、当然ながらストーリー展開や登場人物はほとんど覚えておらず初読といってもいい感じでした。
この半年ほどでドストエフスキーの五大小説と言われているものを通読しましたが、ストーリー展開が絶妙で一番小説として読みやすいのはこの「罪と罰」。
ただし外見は推理小説としても通用しますが書かれている人物や内容はやはりドストエフスキーならでは。

罪を犯したラスコーリニコフが、捕まる恐怖に常軌を逸した発言や行動をしてしまうところがリアルに身に迫ってきます。
ラスコーリニコフは結局ソーニャの勧めに従う形で、半分納得しかねるまま自首しますが、エピローグでそれがやはり正しい決断だったことを理解します。

信じられないほど卑劣な方法でソーニャを陥れようとしたルージンや、女性をほとんど道具としてしか扱わないスヴィドリガイロフの方が、ラスコーリニコフよりも本質的に罪深く、彼らは仮に監獄へ入れられたとしても同じような再生はおそらく難しい。
ドストエフスキーの小説を読んでいると、人間は様々、人生は必然と偶然でできあがっている…ということをいつも思ってしまいます。
罪と罰 (下巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (下巻) (新潮文庫)より
410201022X
No.206
(5pt)

人生は必然と偶然でできあがっている

大学の時以来30年ぶり位の再読でしたが、当然ながらストーリー展開や登場人物はほとんど覚えておらず初読といってもいい感じでした。
この半年ほどでドストエフスキーの五大小説と言われているものを通読しましたが、ストーリー展開が絶妙で一番小説として読みやすいのはこの「罪と罰」。
ただし外見は推理小説としても通用しますが書かれている人物や内容はやはりドストエフスキーならでは。

罪を犯したラスコーリニコフが、捕まる恐怖に常軌を逸した発言や行動をしてしまうところがリアルに身に迫ってきます。
ラスコーリニコフは結局ソーニャの勧めに従う形で、半分納得しかねるまま自首しますが、エピローグでそれがやはり正しい決断だったことを理解します。

信じられないほど卑劣な方法でソーニャを陥れようとしたルージンや、女性をほとんど道具としてしか扱わないスヴィドリガイロフの方が、ラスコーリニコフよりも本質的に罪深く、彼らは仮に監獄へ入れられたとしても同じような再生はおそらく難しい。
ドストエフスキーの小説を読んでいると、人間は様々、人生は必然と偶然でできあがっている…ということをいつも思ってしまいます。
罪と罰 (上巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (上巻) (新潮文庫)より
4102010211
No.205
(5pt)

だんだん良く分からなくなる

主人公が自分は神だから殺してOKと思い込んでいるのだけど、自分は単なる人の子じゃん殺しちゃったよ、という過程を事細かに書いています。 たぶんそんな話です。 知っての通り長いです。 同一人物に対して呼び方が沢山あって、紙に名前を書かないと混乱します。 描写が長いうえ、主人公の考えについていけず、だんだんよく分からなくなります。 それに耐え数回読むと、だんだん気持ち悪く感じます。 さらにもう数回読むと、主人公にそこそこ同調できるようになります。 するとどうしようもない気分になれます。 そんなどうしようもない気分になりたい時にお勧めです。 星5つ。
罪と罰〈上〉 (岩波文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈上〉 (岩波文庫)より
4003261356
No.204
(5pt)

やっと読了

こんな読み方がいいのかどうか。昨年末から1カ月弱かけてようやく全3巻を読了。昔の記憶を脇に置き、初見の目でこの大作を読み通して掛け値なしの充実の読後感を得たが、1カ月もかけたため、読後感には散漫さが付きまとっている。第2巻のレビューに「一気読みはヘビー過ぎる」云々と書いたが、やっぱり「こま切れ読み」はよくなかった。 第3巻はいわば「序破急」の「急」にあたり、怪人スヴィドリガイロフの「その後」というよく分からないエピソードなど、ラスコーリ二コフのみならず、多数の準主役・わき役が縦横無尽の饒舌とワイルドな行動を繰り返して、迫力十分。ストーリー展開はむかし読んだときのままだが(当たり前だが)、訳文が非常に分かりやすい一方、構成の緻密さの再確認、訳者の亀山先生の「読書ガイド」が教える「深読み」の面白さなど、再読の楽しさを十二分に味わった。
罪と罰〈3〉 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈3〉 (光文社古典新訳文庫)より
4334751849
No.203
(5pt)

娯楽小説であり純文学である

いろんな出版社からいろんな翻訳で出てますが、ぼくは『罪と罰』をこれで初めて読みました。こんな重いタイトルだし、しかも全三冊だしと、さぞかし読むのも時間がかかるだろうと思っていたのだけれども、いざ読み始めるさらっと読めてしまうじゃありませんか。まず翻訳がすばらしい。わかりやすくて、テンポがいい。100年前のことなのに、今のように感じられる言葉遣い。注釈もすばらしい。わからない単語の説明はもちろん、舞台となるペテルブルグの詳細な地図や、背景となる時代や宗教や物価まで丁寧に解説してくれている。さらに、目の離せない物語の展開が、読むスピードをぐいぐいと早めてくれる。もう、マンガ読んでるみたい。浦沢直樹の『 MONSTER』ぐらいどんどん読み進めていったもんね。推理小説、犯罪小説というのは、読んでいる間は楽しいのだけれども、読了後は何も残らないと、いうことが多いのだけれども、さすがは、ドストエフスキー、読んだ後に「人間とは何か?」「愛とは何か?」的な考察しちゃいますよね、もう、それは、純文学並に。『罪と罰』が読み継がれ、名作とされているのは、この娯楽小説でもあり純文学であるそのバランスが見事からじゃなかろうか。最後に手塚治虫の言を。「ボクの長編の基本は『罪と罰』なんです」と。
罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)より
4334751687
No.202
(5pt)

勢いで第2巻

断続的に光文社古典新訳を読み継いで、やっと第2巻も読了。この長編は一気読みするにはへヴィ過ぎる気がするので、章ごとに少しずつ読み進んでいるが、それでも物語の密度の濃さ、登場人物の饒舌を貫いている緊迫感の描写はつくづくすごいと思う。金貸しばあさんとその妹を殺害したラスコーリニコフの犯行後数日の彷徨を描いている点は「1」とさほど変わらないものの、犯した「罪」に対する「罰」の行方を考察させる文豪の語りの凄みはいよいよ冴えわたり、さて、いよいよずるずると第3巻へ。巻末の「読書ガイド」ほかも、読みでがあった。
罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈2〉 (光文社古典新訳文庫)より
4334751733
No.201
(5pt)

再読、陶然と

思い立って全3冊を購入し、年末年始休みを利用してとりあえず第1巻を読了した。遥かな昔に一度は読んだはずだが、当時は工藤精一郎氏が訳した新潮文庫版(だったか?)で、今回は活字の大きな、亀山郁夫氏の光文社古典新訳文庫。ロシア文学好きなら誰もが知っている外形的なストーリーはともかく、プロットの組み立て、登場人物の呆れるばかりの饒舌、酒臭さと生臭さが漂う夏のペテルブルクの雰囲気など、確かにかつて触れた世界だと懐かしみながら、陶然と読み終えた。陶然と、という形容はドストエフスキーには合わないが、他に言いようがないので。さて、第2巻へ。
罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)より
4334751687
No.200
(5pt)

誰でも楽しめる

中学生でも楽しめる、でもどんな大人も完全に理解することは難しい、そんな奥の深い作品です。 ジャンルは何?と聞かれると困ってしまいますね。 僕なら、結構考えて、あえて恋愛と答えると思います。 でももう1回読むとまた印象が変わってしまうかもしれません。 そういうそこの見えない深さがあります。
罪と罰〈上〉 (岩波文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈上〉 (岩波文庫)より
4003261356
No.199
(5pt)

吐き気がする だからすごい

主題やテーマに関しては他の人がこれでもかというぐらい書き込んでいるので私はあえて書かない。私は決して小説を読まない人ではないが、やはりこれだけ重厚な文章にされると身構えてしまう。しかし、ひとたび活字の渦に飲み込まれてしまったら、足が抜け出せなくなる。いや、気が付いたら腰まで闇の泥にはまっていた。上巻、母からの手紙。長い、長すぎる。私の読解力ではそこに至るまでで数時間を要していたところに、あの大量の母からの一方的な手紙。私はいったん本を閉じて、翌日の仕事を済ます。帰りの新幹線の中、再び本を開いた。そして母の手紙を一字一句追いかけていった。気が付けば、自分はその手紙を読みながら主人公の気持ちを追いかけていた。10ページ以上にも及ぶ母の手紙を終え、そのあとの主人公の行動。わたしも、読み終えた瞬間に嫌な笑いと同時に指定席を立ちあがっていた。ああ、俺、いま、ラスコーリニコフになってたんだ、って思った。目的駅の近くまで新幹線が来たとき、凶行に及ぶ場面だった。吐き気がした。身体が動かなかった。でも、それもありだよなと思った。立ち上がるとき、本当に腰が抜けた。ああ、こんな、物語があるのかと、思い知った。
罪と罰 (下巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (下巻) (新潮文庫)より
410201022X
No.198
(5pt)

吐き気がする だからすごい

主題やテーマに関しては他の人がこれでもかというぐらい書き込んでいるので私はあえて書かない。私は決して小説を読まない人ではないが、やはりこれだけ重厚な文章にされると身構えてしまう。しかし、ひとたび活字の渦に飲み込まれてしまったら、足が抜け出せなくなる。いや、気が付いたら腰まで闇の泥にはまっていた。上巻、母からの手紙。長い、長すぎる。私の読解力ではそこに至るまでで数時間を要していたところに、あの大量の母からの一方的な手紙。私はいったん本を閉じて、翌日の仕事を済ます。帰りの新幹線の中、再び本を開いた。そして母の手紙を一字一句追いかけていった。気が付けば、自分はその手紙を読みながら主人公の気持ちを追いかけていた。10ページ以上にも及ぶ母の手紙を終え、そのあとの主人公の行動。わたしも、読み終えた瞬間に嫌な笑いと同時に指定席を立ちあがっていた。ああ、俺、いま、ラスコーリニコフになってたんだ、って思った。目的駅の近くまで新幹線が来たとき、凶行に及ぶ場面だった。吐き気がした。身体が動かなかった。でも、それもありだよなと思った。立ち上がるとき、本当に腰が抜けた。ああ、こんな、物語があるのかと、思い知った。
罪と罰 (上巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (上巻) (新潮文庫)より
4102010211
No.197
(5pt)

未来への希望

僕は最初からずっとラスコーリニコフは自分に思考回路が似ていると思って読み進めた。それは誰にも心を許せない猜疑心だと思う。
最終的にラスコーリニコフは、何に救われたのか。それは生活のなかに未来を見れるようになったということ。そうそれだ。毎日の生活を送るなかで、未来を見たときに希望を見いだせること。その中に、ソーニャの果たした意義は大きい。ずっといてくれるということと、逆にずっといてあげるということ。これは重い責任であり、それこそが未来への希望だ。このつながりこそが未来への希望だと気付いたということにラスコーリニコフは救われた。
罪と罰 (下巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (下巻) (新潮文庫)より
410201022X
No.196
(5pt)

未来への希望

僕は最初からずっとラスコーリニコフは自分に思考回路が似ていると思って読み進めた。それは誰にも心を許せない猜疑心だと思う。
最終的にラスコーリニコフは、何に救われたのか。それは生活のなかに未来を見れるようになったということ。そうそれだ。毎日の生活を送るなかで、未来を見たときに希望を見いだせること。その中に、ソーニャの果たした意義は大きい。ずっといてくれるということと、逆にずっといてあげるということ。これは重い責任であり、それこそが未来への希望だ。このつながりこそが未来への希望だと気付いたということにラスコーリニコフは救われた。
罪と罰 (上巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (上巻) (新潮文庫)より
4102010211
No.195
(5pt)

エンターテーメントとして秀逸、そして信仰の物語

実に30年ぶりに読みなおしました。前回読んだのは高校生のときだったなぁ。
選ばれた非凡な人間、たとえばナポレオンのような人間はおのれの偉業のために、一方で種の存続のためにあるような平凡な人間を犠牲にすることは許される。
そういった思想にその若い偏執的な環境の中でとりつかれ、とうとう自分の偉業のために、人を殺めてしまう。
が、計画にはなかった老婆の妹を殺してしまったこと、また、殺人を犯したその行為そのもに対して動揺し、自分を保てなくなっていってしまう。
このラスコーリニコフの思想と動揺、自首してもなお罪を悔やむのではなく自首してしまった自分の弱さと思想のゆらぎを悔やんでいた彼が最後に変わっていくその姿が以前は不満でした。
高尚な思想に基づき行動したのに、なぜ逡巡してしまい悔恨してしまうのか、高校生の時は共感できにくかったことを思い出す。
この作品の面白さは卓越した一気に読ませるストーリーももちろんだが、それぞれの登場人物のいきいきとした描写、ペテルブルクの暑さまで伝わってくるリアルな風景であろう。
ラスコーリニコフの未熟な怒りや思想ももちろんだが、怪人スヴィドリガイロフ、自首を勧めるポルフィーリイ、今でも近所にいそうな家主やカテリーナ、そしてソーニャや妹のドーニャ、中でもポルフィーリイとの犯罪がばれそうなぎりぎりの会話、カテリーナの狂信的なふるまい、スヴィドリガイロフのドーニャに対する愛と絶望、この生き生きとした人々の行動が我々を惹きつける。
これら周辺の人物の魅力と、青年の屈折した追い込まれた思想、その悔恨と再生。
ソーニャはなぜあそこまで身を呈して自分を大事にしないひとりよがりなラスコーリニコフについていったのか?
愛というよりは献身であろう。ここの流れは現代の我々には理解に苦しむところがあるし、最後に愛がすべてを救ってしまうのはなんだがご都合主義的なにおいもして、素直には受け入れ難いが、全編に通じて感じるドストエフスキーの人への興味と時代の批判を味わえる傑作である。
ノンストップなエンターテーメント、永遠の傑作。
罪と罰 (下巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (下巻) (新潮文庫)より
410201022X
No.194
(5pt)

エンターテーメントとして秀逸、そして信仰の物語

実に30年ぶりに読みなおしました。前回読んだのは高校生のときだったなぁ。
選ばれた非凡な人間、たとえばナポレオンのような人間はおのれの偉業のために、一方で種の存続のためにあるような平凡な人間を犠牲にすることは許される。
そういった思想にその若い偏執的な環境の中でとりつかれ、とうとう自分の偉業のために、人を殺めてしまう。
が、計画にはなかった老婆の妹を殺してしまったこと、また、殺人を犯したその行為そのもに対して動揺し、自分を保てなくなっていってしまう。
このラスコーリニコフの思想と動揺、自首してもなお罪を悔やむのではなく自首してしまった自分の弱さと思想のゆらぎを悔やんでいた彼が最後に変わっていくその姿が以前は不満でした。
高尚な思想に基づき行動したのに、なぜ逡巡してしまい悔恨してしまうのか、高校生の時は共感できにくかったことを思い出す。
この作品の面白さは卓越した一気に読ませるストーリーももちろんだが、それぞれの登場人物のいきいきとした描写、ペテルブルクの暑さまで伝わってくるリアルな風景であろう。
ラスコーリニコフの未熟な怒りや思想ももちろんだが、怪人スヴィドリガイロフ、自首を勧めるポルフィーリイ、今でも近所にいそうな家主やカテリーナ、そしてソーニャや妹のドーニャ、中でもポルフィーリイとの犯罪がばれそうなぎりぎりの会話、カテリーナの狂信的なふるまい、スヴィドリガイロフのドーニャに対する愛と絶望、この生き生きとした人々の行動が我々を惹きつける。
これら周辺の人物の魅力と、青年の屈折した追い込まれた思想、その悔恨と再生。
ソーニャはなぜあそこまで身を呈して自分を大事にしないひとりよがりなラスコーリニコフについていったのか?
愛というよりは献身であろう。ここの流れは現代の我々には理解に苦しむところがあるし、最後に愛がすべてを救ってしまうのはなんだがご都合主義的なにおいもして、素直には受け入れ難いが、全編に通じて感じるドストエフスキーの人への興味と時代の批判を味わえる傑作である。
ノンストップなエンターテーメント、永遠の傑作。
罪と罰 (上巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (上巻) (新潮文庫)より
4102010211
No.193
(4pt)

読むたびに違う視点、考え方が見えるんですね。。

久々に少し読み返して見ると、高校生の頃に読んだ印象と全く違う事に驚きました。あの頃は単純に当時かっこいいと思っていたスーパーモデルがドストエフスキーを愛読していると知り、感化され読んでみたもの、主人公のラスコーリニコフの壮絶なる苦悩と葛藤、敏腕予審判事のポルフィーリィとの壮絶な心理戦と頭脳戦に心身ともに疲れました。ラスコーリニコフの考え方にこっちまで発狂しそうになりました。。若かったからでしょう、今は冷静に受け止める事が出来ます。やはり、考えすぎるのは良くない。。ですね。
罪と罰 (下巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (下巻) (新潮文庫)より
410201022X
No.192
(4pt)

読むたびに違う視点、考え方が見えるんですね。。

久々に少し読み返して見ると、高校生の頃に読んだ印象と全く違う事に驚きました。あの頃は単純に当時かっこいいと思っていたスーパーモデルがドストエフスキーを愛読していると知り、感化され読んでみたもの、主人公のラスコーリニコフの壮絶なる苦悩と葛藤、敏腕予審判事のポルフィーリィとの壮絶な心理戦と頭脳戦に心身ともに疲れました。ラスコーリニコフの考え方にこっちまで発狂しそうになりました。。若かったからでしょう、今は冷静に受け止める事が出来ます。やはり、考えすぎるのは良くない。。ですね。
罪と罰 (上巻) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰 (上巻) (新潮文庫)より
4102010211
No.191
(5pt)

非常に面白い

亀山版「カラマーゾフの兄弟」を読み、安岡版「貧しき人々」を読み、今回本書を読みました。
誰が訳したかなどという議論は置き、面白さを堪能できました。
てんこ盛りの小説です。嘗て檀が長編は長すぎたら前と後をちょん切ればよいと言っていましたが、本作は緻密な構成で無駄がありません。
訳者には失礼かも知れないが、老眼が入り始めた私には一頁当たり米川岩波版817文字に対して、亀山光文社版は570文字。
そう、字が大きいのです。
これだけでも選択理由になります。
確信犯として斧を振り下ろして「越えて」いけると考えた23歳の青年が彷徨う青春記です。
矢張根底にはキリスト教がありますが、「カラマーゾフの兄弟」ほど、知る必要なく読了できます。
 
 第三巻を読んでる最中にふと坂口弘の事を考えてしまいました。
二つの家族、二人の犯罪者、友人たちが徹底的に話をてんこ盛りにしてくれます。
亀山氏に教えを請うていた外大を卒業したての青年に「おい、次はいつ出るんだ。」と訊いたところ、「翻訳でバッシングに遭い、学長にもなって忙しくなったので、もう出版しない。」て言ってましたよ。と聞いたが、実は今年の9月に「悪霊」が順次出版されるらしい。
実に楽しみです。
ドストエフスキーだからとか亀山訳だからで読むのではなく、面白さてんこ盛りの小説として「罪と罰」をお読み下さい。
これが亀山氏の功績です。
罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)より
4334751687
No.190
(5pt)

読みやすいです

初めて罪と罰を読んだのは中学生の時。
その時は新潮社版でしたので面白いけれども読みにくいな
と思いながら読んだ覚えがあります。
その新潮社版と比べるとこの新訳版はとにかく読みやすい。
すらすらと内容が頭に入ってくるので
罪と罰という小説を純粋に楽しむことが出来ました。
気楽に罪と罰の世界を楽しみたい方にお勧めです。
私はエピローグが大好きでここばかり何度も読み返していますが
ラスコーリニコフが悪夢を見たあと
人間として心が甦っていく描写が本当に素晴らしい。
何度読んでも心を打たれます。
罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫) Amazon書評・レビュー: 罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)より
4334751687