路(ルウ)

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評判

路(ルウ)の評価:

4.38/5点 レビュー 130件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.38pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全259件 181〜200 10/13ページ
No.79
(4pt)

それぞれの人生を紡ぎながら。

大きな盛り上がりもなく、物語は台湾新幹線開通に向けて淡々と進んで行く。それに関わる人達の人間模様。老いも若きもそれぞれの人生を紡ぎながら。葉山と同じような仕事をしているので少しホロッとする。二度ほど台湾へ行っているので、地名で風景を頭に描きながら、旅の記憶を呼び起こすことができる。そんな楽しみ方が出来る作品でした。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.78
(5pt)

きっと何度も読み返す本です

海外に新幹線をというあまり知らなかった話にまず興味が湧いて読みましたが、なかなかに壮大なスケールの話に引き込まれました。その実現までにかかる5年、7年という長い年月と一緒に関わった人々の生活、恋愛、海外での事業の難しさ、etc。何より、台湾という知らない国の空気が目に見えるように描かれていて、はまり込んで読みました。私にとっては、一読目はストーリーを追い、再読の際は、風景や空気感に浸りたい本でした。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.77
(5pt)

きっと何度も読み返す本です

海外に新幹線をというあまり知らなかった話にまず興味が湧いて読みましたが、なかなかに壮大なスケールの話に引き込まれました。その実現までにかかる5年、7年という長い年月と一緒に関わった人々の生活、恋愛、海外での事業の難しさ、etc。何より、台湾という知らない国の空気が目に見えるように描かれていて、はまり込んで読みました。私にとっては、一読目はストーリーを追い、再読の際は、風景や空気感に浸りたい本でした。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.76
(3pt)

あの生ぬるい罪悪感

台湾に行く前日TSUTAYAでガイドブックと一緒に買った臨場読み本。実際は帰ってから読んだけれど、台北と台南とそのあいだを結ぶ新幹線が記憶にあったので、肥沃な大地と純朴な人々を感じながら読むことができた。不思議な土地である。世界中でたいていは疎まれるか軽んじられるかのどちらかの扱いを受ける日本人がこれほど大事にしてもらえるところもない。今回は台南まで足をのばしたが、歩いていると自分の親くらいの人たちが驚くほど自然に近寄ってきていろんなものをくれた。それは台湾式ポカリスエットともいうべき冬瓜茶だったり、あまりにも達筆な書だったり。地球上のある地域を歩いていると、それらはすべて有料、というか市場価格の5倍、10倍、100倍してもおかしくないのだけれど、台湾でそんな目に合うことはなかった。何か売りつけられているのだろうかと思う自分の心の汚さが悲しかった。そう、台湾は日本人にとって母国以上にあまりにも温かくて、懐かしいために、ときに後ろめたさを感じさせる土地だ。この小説に登場する日本人は、誰もが台湾で「素の自分」に戻り、そうでない自分が引き起こすあれやこれやの出来事に罪悪感を感じている。春香は思いを通じた台湾の青年と、そしていまの恋人に対して。安西は思いを寄せる台湾人ホステスと、日本の家族に対して。葉一郎は、かつて幼馴染として育った恋敵に対して。新幹線の話はむしろサイドストーリーで、本書を貫くテーマは生ぬるい「罪悪感」である。悪い意味ではなく、心地いいという意味での生ぬるさ。吉田修一の作品のなかで秀でているとは言い難い作品だが、一度でも台湾に行ったことがある人であれば、読むにつれお馴染みのあの感じが甦ってくるだろう。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.75
(3pt)

あの生ぬるい罪悪感

台湾に行く前日TSUTAYAでガイドブックと一緒に買った臨場読み本。実際は帰ってから読んだけれど、台北と台南とそのあいだを結ぶ新幹線が記憶にあったので、肥沃な大地と純朴な人々を感じながら読むことができた。不思議な土地である。世界中でたいていは疎まれるか軽んじられるかのどちらかの扱いを受ける日本人がこれほど大事にしてもらえるところもない。今回は台南まで足をのばしたが、歩いていると自分の親くらいの人たちが驚くほど自然に近寄ってきていろんなものをくれた。それは台湾式ポカリスエットともいうべき冬瓜茶だったり、あまりにも達筆な書だったり。地球上のある地域を歩いていると、それらはすべて有料、というか市場価格の5倍、10倍、100倍してもおかしくないのだけれど、台湾でそんな目に合うことはなかった。何か売りつけられているのだろうかと思う自分の心の汚さが悲しかった。そう、台湾は日本人にとって母国以上にあまりにも温かくて、懐かしいために、ときに後ろめたさを感じさせる土地だ。この小説に登場する日本人は、誰もが台湾で「素の自分」に戻り、そうでない自分が引き起こすあれやこれやの出来事に罪悪感を感じている。春香は思いを通じた台湾の青年と、そしていまの恋人に対して。安西は思いを寄せる台湾人ホステスと、日本の家族に対して。葉一郎は、かつて幼馴染として育った恋敵に対して。新幹線の話はむしろサイドストーリーで、本書を貫くテーマは生ぬるい「罪悪感」である。悪い意味ではなく、心地いいという意味での生ぬるさ。吉田修一の作品のなかで秀でているとは言い難い作品だが、一度でも台湾に行ったことがある人であれば、読むにつれお馴染みのあの感じが甦ってくるだろう。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.74
(5pt)

押し付けのない自然な人物・情景描写と大人のきゅんきゅん

やっぱり吉田修一さんはいいなと思いました。
横道世之介でも感じた、ほんとうに自然な描写。こんな人たちの生き方がほんとうにこの世にあったらいいのに、と思える人の美しさ。読んだ後の余韻はほんとひとしおでした。
恋仲が若い人たちにとってのきゅんきゅんストーリーだとしたら、これは、大人のきゅんきゅんストーリーだとおもいます。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.73
(5pt)

押し付けのない自然な人物・情景描写と大人のきゅんきゅん

やっぱり吉田修一さんはいいなと思いました。
横道世之介でも感じた、ほんとうに自然な描写。こんな人たちの生き方がほんとうにこの世にあったらいいのに、と思える人の美しさ。読んだ後の余韻はほんとひとしおでした。
恋仲が若い人たちにとってのきゅんきゅんストーリーだとしたら、これは、大人のきゅんきゅんストーリーだとおもいます。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.72
(2pt)

鉄路ともいうべきテーマに注目しました。

台湾新幹線建設をめぐる時代背景に、関係した人々の人生ドラマ大変興味深いものがありました。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.71
(2pt)

鉄路ともいうべきテーマに注目しました。

台湾新幹線建設をめぐる時代背景に、関係した人々の人生ドラマ大変興味深いものがありました。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.70
(4pt)

あまりに淡々ともせず、といって力こぶを見せるわけでもなく。。。地味だけどいい物語だ!

必ず一定レベル以上の作品の出来栄えで毎回楽しませてくれる吉田作品。今回も期待に違わず楽しませてもらいました。

物語は、総合商社に勤めるOL多田春香が、担当の台湾新幹線の関係で、台湾駐在員として現地に飛び、仕事もさることながら、プライベートでも9年前に台湾で出会った台湾の好青年エリック 劉人豪を探し出し、それまでのすれ違いを乗り越えていく。

また、台湾で育ち、敗戦で国内に戻って引退するまで頑張ってきた葉山勝一郎は、台湾時代からの幼馴染だった妻を最近亡くし、淡々と独り身の生活を送っているものの、彼には若かった頃の台湾人の親友に謝らなければならないと思っていることが引っかかっていた。

台湾新幹線の建設の部分は、物語の触媒として、あくまで物語の中心は、多田春香と葉山勝一郎の思いと行動が中心で、そこに垣間見える今に生きる人の生活の断面が日本人の内面を描いている。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.69
(4pt)

あまりに淡々ともせず、といって力こぶを見せるわけでもなく。。。地味だけどいい物語だ!

必ず一定レベル以上の作品の出来栄えで毎回楽しませてくれる吉田作品。今回も期待に違わず楽しませてもらいました。

物語は、総合商社に勤めるOL多田春香が、担当の台湾新幹線の関係で、台湾駐在員として現地に飛び、仕事もさることながら、プライベートでも9年前に台湾で出会った台湾の好青年エリック 劉人豪を探し出し、それまでのすれ違いを乗り越えていく。

また、台湾で育ち、敗戦で国内に戻って引退するまで頑張ってきた葉山勝一郎は、台湾時代からの幼馴染だった妻を最近亡くし、淡々と独り身の生活を送っているものの、彼には若かった頃の台湾人の親友に謝らなければならないと思っていることが引っかかっていた。

台湾新幹線の建設の部分は、物語の触媒として、あくまで物語の中心は、多田春香と葉山勝一郎の思いと行動が中心で、そこに垣間見える今に生きる人の生活の断面が日本人の内面を描いている。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.68
(4pt)

シビレる場面あり。

台湾には1度だけ行ったことがあります。
怖がらずに屋台でもっと食べておけば良かったと思いました。
景色から始まり、温度、湿度、時には明るさ、匂いまで台湾を感じられる時が嬉しかったです。
それぞれのストーリーが浅いとレビューがあり、少し解る気がした自分に残念でした…。
読みやすいサイズなので良かったですが、言われてみれば他の技術、経済の内容を濃くしてくれても飽きないで読めたかも。
ちょこちょこシビレる場面があり、読み終わって表紙を撫でてしまいたい気持ちになりました。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.67
(4pt)

シビレる場面あり。

台湾には1度だけ行ったことがあります。
怖がらずに屋台でもっと食べておけば良かったと思いました。
景色から始まり、温度、湿度、時には明るさ、匂いまで台湾を感じられる時が嬉しかったです。
それぞれのストーリーが浅いとレビューがあり、少し解る気がした自分に残念でした…。
読みやすいサイズなので良かったですが、言われてみれば他の技術、経済の内容を濃くしてくれても飽きないで読めたかも。
ちょこちょこシビレる場面があり、読み終わって表紙を撫でてしまいたい気持ちになりました。
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4167903571
No.66
(1pt)

全く響かない

絶賛の帯と高評価レビューに惹かれて購入。
が、正直全く面白くなかった。
オムニバス形式で、台湾における新幹線敷設に関わる人物の人生模様が描かれているが、それぞれの物語が浅すぎる。最後まで特に何の盛り上がりもなく終わってしまう。
どうせなら山崎豊子氏のように徹底した取材に基づいて新幹線プロジェクトを巡る欧米チームとの戦いを掘り下げる、または、敗戦によって台湾から引き上げざるを得なかった当時の「一等国民」と、彼らに置き去りにされた「二等国民」の人々の物語にフォーカスした方が良かったと思う。
台湾新幹線を抜いてもほぼ成立してしまう小説で、大変残念。著者の作品は「悪人」は大変面白かったのに、「平成猿蟹〜」レベルでつまらなかった。読み終わってすぐにBOOKOFFに持ち込んだ。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.65
(1pt)

全く響かない

絶賛の帯と高評価レビューに惹かれて購入。
が、正直全く面白くなかった。
オムニバス形式で、台湾における新幹線敷設に関わる人物の人生模様が描かれているが、それぞれの物語が浅すぎる。最後まで特に何の盛り上がりもなく終わってしまう。
どうせなら山崎豊子氏のように徹底した取材に基づいて新幹線プロジェクトを巡る欧米チームとの戦いを掘り下げる、または、敗戦によって台湾から引き上げざるを得なかった当時の「一等国民」と、彼らに置き去りにされた「二等国民」の人々の物語にフォーカスした方が良かったと思う。
台湾新幹線を抜いてもほぼ成立してしまう小説で、大変残念。著者の作品は「悪人」は大変面白かったのに、「平成猿蟹〜」レベルでつまらなかった。読み終わってすぐにBOOKOFFに持ち込んだ。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.64
(5pt)

生きるということはとてもシンプルだ。シンプルだからこそ、とても力強い。

台湾の人々が持つ日本に対する思いと、日本の人々が台湾に対して持つ思いには、大きな隔たりがあるのではないかと常々思っていましたが、やはりそこはそのとおりなようで、本書を読むと、台湾の人々がもつその思いにもっとしっかり答えてあげないといけないんじゃないかとの思いを持ちます。
 たとえば東北大地震の際には多くの台湾の人々が日本を心配し多額の寄付金を送付してくれたにもかかわらず、それに対する日本での報道の取り上げ方や日本からの感謝の言葉は、それに見合ったものだったでしょうか。
 日本に対する風当たりの強い中国本土と一緒くたにとらえてしまっているのかもしれません。
 2007年1月、台湾に日本の新幹線が走るというニュースも、台湾におけるとらえられ方に比べるとあまり大きく取り上げられなかったように思います。

 そんな台湾における新幹線事業を背景に、それに何らかの形で関わることとなった台湾・日本それぞれの人々の人生の一部を切り取った群像劇が本作になります。
 群像劇の一つが、商社に勤める多田春香が、得意とする中国語を生かし台湾で活躍する物語。
 彼女の生き方はポジティブで気持ちがいい。
 台湾の旨い料理をもりもり食べ、しっかり働き、その目でしっかり物事を見ようと意識している。
 そんな彼女には数年前の台湾旅行で運命的な出会いをした台湾人男性がいるが、結局再会できないままでいる。
 会いたくても会えない、そんなかなえられない思いというのは、日を重なるごとに美化されていくものなのか、心にあいた穴が大きくなっていく。
 一方、そんな春香に対して運命を感じた台湾人の男も同様春香のことが忘れられず、その後日本にやってきて日本語を学び日本の会社で働くようになっている。

 この二人の物語のほかに、台湾で生まれ日本に戻り、会社も退職してのんびりとくらす葉山勝一郎の物語や台湾に住む若者陳威志(チンウェイズー)の物語、春香の同僚安西の物語など、それぞれの物語がそれぞれに進展し、ふとどこかで交差したりする構成となっていますが、極端にドラマテックな展開をみせるのではなく、どちらかというと淡々とした印象もあるものの、読後感がすがすがしい、そんな印象の本作でした。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.63
(5pt)

生きるということはとてもシンプルだ。シンプルだからこそ、とても力強い。

台湾の人々が持つ日本に対する思いと、日本の人々が台湾に対して持つ思いには、大きな隔たりがあるのではないかと常々思っていましたが、やはりそこはそのとおりなようで、本書を読むと、台湾の人々がもつその思いにもっとしっかり答えてあげないといけないんじゃないかとの思いを持ちます。
 たとえば東北大地震の際には多くの台湾の人々が日本を心配し多額の寄付金を送付してくれたにもかかわらず、それに対する日本での報道の取り上げ方や日本からの感謝の言葉は、それに見合ったものだったでしょうか。
 日本に対する風当たりの強い中国本土と一緒くたにとらえてしまっているのかもしれません。
 2007年1月、台湾に日本の新幹線が走るというニュースも、台湾におけるとらえられ方に比べるとあまり大きく取り上げられなかったように思います。

 そんな台湾における新幹線事業を背景に、それに何らかの形で関わることとなった台湾・日本それぞれの人々の人生の一部を切り取った群像劇が本作になります。
 群像劇の一つが、商社に勤める多田春香が、得意とする中国語を生かし台湾で活躍する物語。
 彼女の生き方はポジティブで気持ちがいい。
 台湾の旨い料理をもりもり食べ、しっかり働き、その目でしっかり物事を見ようと意識している。
 そんな彼女には数年前の台湾旅行で運命的な出会いをした台湾人男性がいるが、結局再会できないままでいる。
 会いたくても会えない、そんなかなえられない思いというのは、日を重なるごとに美化されていくものなのか、心にあいた穴が大きくなっていく。
 一方、そんな春香に対して運命を感じた台湾人の男も同様春香のことが忘れられず、その後日本にやってきて日本語を学び日本の会社で働くようになっている。

 この二人の物語のほかに、台湾で生まれ日本に戻り、会社も退職してのんびりとくらす葉山勝一郎の物語や台湾に住む若者陳威志(チンウェイズー)の物語、春香の同僚安西の物語など、それぞれの物語がそれぞれに進展し、ふとどこかで交差したりする構成となっていますが、極端にドラマテックな展開をみせるのではなく、どちらかというと淡々とした印象もあるものの、読後感がすがすがしい、そんな印象の本作でした。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.62
(5pt)

日本と台湾を考える上での必読書

台湾の新幹線、高鐵建設の話だというので読んでみました。読む前は、高鐵建設にからむ苦労話みたいな企業小説、ビジネス成功小説みたいなものを予想していたのですが、いい方に裏切られました。

吉田修一さんは純文学寄りの作家で、ひとくせもふたくせもある男女の小説が多くて、私の好きな作家のひとりなんですが、彼がそういう単純な企業小説なんか書くわけがないということは感じていたので、読む前から違和感は感じていました。そして当然のごとく、単純な企業小説ではありませんでした。建設秘話といったたぐいのことや、他企業とのかけひき、いかにして苦境を乗り越えたかというような話は全く出てこなくて、高鐵ににからめて様々な人物の日本と台湾への思いがテーマになっています。

主な登場人物は、高鐵建設を請け負った日本の商社に勤める女性。彼女は鬱の恋人を日本に残して台湾で働いています。彼女は学生時代に台湾旅行をしたときに1日だけつきあった台湾人の男子学生が忘れられません。ところがその連絡先をなくしてしまって、台湾で彼を探し始めます。その台湾人の男子学生は神戸の震災の知らせを聞き、彼女を心配して日本に来てしまい、その後改めて留学して今では日本の建築会社で働いています。

もう一人の若い主人公は後に高鐵の整備工場の用地になる村の近くで育った青年です。彼は人生の目標をとらえきれずにいましたが、高鐵の整備士募集に応募することから人生が地に足のついたものとなっていきます。

私が感じたもっとも重要な登場人物は退職した日本の老人です。彼は戦前の台湾に育ち日本の敗戦を機に日本に引き上げ、その後台湾に戻ることなく日本で暮らしていました。それが、同じ台湾育ちの妻を亡くし、先の台湾人の建築会社員と知り合い、高鐵の完成を機に戦後初めて台湾を訪れることになります。

これらの人物を通して、日本と台湾の関係が本当に上手に描かれています。戦後、台湾が一方的に日本に恋しているような状況と同時に、若い世代が逆に台湾に魅かれていくような部分は本当にうまく描かれています。

また台湾の若者を描くことでおおらかな大地に根差した台湾の魅力も伝わってきます。

日本人の老人は最後に台湾の友人と会い、非常に大きな決断をしますが、そのあたりの場面になると読んでいて自然と涙があふれてきました。

決して大きなドラマが起こるわけではないけれども、その世界に引きずり込まれ一気に読まされる上質の物語です。日本と台湾の関係を知り、考える上で必読の一冊です。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905
No.61
(5pt)

日本と台湾を考える上での必読書

台湾の新幹線、高鐵建設の話だというので読んでみました。読む前は、高鐵建設にからむ苦労話みたいな企業小説、ビジネス成功小説みたいなものを予想していたのですが、いい方に裏切られました。

吉田修一さんは純文学寄りの作家で、ひとくせもふたくせもある男女の小説が多くて、私の好きな作家のひとりなんですが、彼がそういう単純な企業小説なんか書くわけがないということは感じていたので、読む前から違和感は感じていました。そして当然のごとく、単純な企業小説ではありませんでした。建設秘話といったたぐいのことや、他企業とのかけひき、いかにして苦境を乗り越えたかというような話は全く出てこなくて、高鐵ににからめて様々な人物の日本と台湾への思いがテーマになっています。

主な登場人物は、高鐵建設を請け負った日本の商社に勤める女性。彼女は鬱の恋人を日本に残して台湾で働いています。彼女は学生時代に台湾旅行をしたときに1日だけつきあった台湾人の男子学生が忘れられません。ところがその連絡先をなくしてしまって、台湾で彼を探し始めます。その台湾人の男子学生は神戸の震災の知らせを聞き、彼女を心配して日本に来てしまい、その後改めて留学して今では日本の建築会社で働いています。

もう一人の若い主人公は後に高鐵の整備工場の用地になる村の近くで育った青年です。彼は人生の目標をとらえきれずにいましたが、高鐵の整備士募集に応募することから人生が地に足のついたものとなっていきます。

私が感じたもっとも重要な登場人物は退職した日本の老人です。彼は戦前の台湾に育ち日本の敗戦を機に日本に引き上げ、その後台湾に戻ることなく日本で暮らしていました。それが、同じ台湾育ちの妻を亡くし、先の台湾人の建築会社員と知り合い、高鐵の完成を機に戦後初めて台湾を訪れることになります。

これらの人物を通して、日本と台湾の関係が本当に上手に描かれています。戦後、台湾が一方的に日本に恋しているような状況と同時に、若い世代が逆に台湾に魅かれていくような部分は本当にうまく描かれています。

また台湾の若者を描くことでおおらかな大地に根差した台湾の魅力も伝わってきます。

日本人の老人は最後に台湾の友人と会い、非常に大きな決断をしますが、そのあたりの場面になると読んでいて自然と涙があふれてきました。

決して大きなドラマが起こるわけではないけれども、その世界に引きずり込まれ一気に読まされる上質の物語です。日本と台湾の関係を知り、考える上で必読の一冊です。
路 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 路 (文春文庫)より
4167903571
No.60
(4pt)

時間ができた時、ゆったりとした気持ちで読む、

まるで、映像のように流れる文章、ゆっくり、ゆっくり、物語は進んでいく、少したよんない気もするが、群像小説の傑作。
路(ルウ) Amazon書評・レビュー: 路(ルウ)より
4163817905