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桑港特急
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桑港特急の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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人情時代物の名手、山本一力の手による「西部小説」である。昔から「日本で西部ものは売れない」と言われているが、今更のように邦訳されたエルモア・レナード「オンブレ」にしろ本作にしろ、「訳者・村上春樹」「作者・山本一力」の名があってこそだろうと思う。 さて本作、上海、小笠原、コロマという全く繋がりのない土地での物語が、ゴールドラッシュ時代初頭のサンフランシスコで交錯する壮大なお話。帯にある「日本人が書いた尤も面白い西部小説」というタタキ文句も満更ではないかもしれない・・・と後半まではかなりワクワクしながら読み進めた。 しかし・・・・「人情物」を得意とする作者にやはり「アクション」は書けないのだな、と改めて思うとともに、終盤で、それまでのワクワク感が一気に萎えてしてしまった。その理由は2つ。 先ず最初に「結局、誰がメイン・キャラクターなのか?」という点。日系人兄弟にしろ、リバティ・ジョーにしろルーパンにしろ「主役を張れるレベルの『華』」がない。西部小説を謳う割に、元賞金稼ぎで妻の復讐に燃えるガンマンであるジョーにはフランコ・ネロやイーストウッドのような「圧倒的な強さ」がない・・・つまり「ヒーロー不在」なのだ。 二つ目の理由として、「銃」「刃物」「拳(拳法)」と主要人物が繰り出す武器について、それぞれの「間合い」が全く描き切れていない。これは作者に武道や実銃の射撃経験がないためだと思われるが、銃には銃の、刃物には刃物の、拳法には拳法の間合いがある。映画「続・夕陽のガンマン」でも「イップマン」でも、若山富三郎の「子連れ狼」を見てみれば一目瞭然であろう。故に「中国拳法の達人」であるルーパンの「一撃必殺の正拳突き」等々、全く緊張感がないままするっと流れてしまう。クライマックスになるはずの悪党一味との決戦も「え?!こんな終わり方でいいの???」という薄さ、そして後味の悪さが残る。 加えて中国拳法と剣術の稽古をつけてもらっている日系人兄弟の設定も全く生かされていない。 とどのつまり「やはり日本人に血沸き肉躍るウェスタンは書けない」という持論を再確認しただけの結果となった。 | ||||
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