キトラ・ボックス

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評判

キトラ・ボックスの評価:

4.15/5点 レビュー 20件。 B ランク

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平均点4.15pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全40件 21〜40 2/2ページ
No.20
(5pt)

顔がわかる魅力的な登場人類たち

キトラ古墳の埋葬者を探求する歴史ロマンと、国家レベルの陰謀の渦巻くサスペンスが、ちょうどよい組み合わせで描かれたエンターテイメントでした。
登場人物たちの学ぶこと、研究することに対する姿勢がとても素晴らしいし、自分の仕事に誠実に取り組む人たちもかっこよかったです。
いろいろな役割を持った人たちがこうして1つの物語を作り上げている光景は感動的でした。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.19
(5pt)

顔がわかる魅力的な登場人類たち

キトラ古墳の埋葬者を探求する歴史ロマンと、国家レベルの陰謀の渦巻くサスペンスが、ちょうどよい組み合わせで描かれたエンターテイメントでした。
登場人物たちの学ぶこと、研究することに対する姿勢がとても素晴らしいし、自分の仕事に誠実に取り組む人たちもかっこよかったです。
いろいろな役割を持った人たちがこうして1つの物語を作り上げている光景は感動的でした。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.18
(5pt)

友愛の星

一気呵成に読んだ。最後は不覚にも涙した。これは見事なエンタメである。

「こんな結果になって驚いていることと思う。また私と君の仲だから悲しんでくれていると思う。これは定まったことではなく、私が選んだ道だ。この国で長寿の果てに身罷るはずもなかったのだが、他ならぬ今というのは私が決めた。人には死ぬのにふさわしい時というものがあって、私の場合はそれが今だった」(147p)

この世界には、これが見つかれば考古学的大発見、歴史が一瞬にして変わるというものが幾つかある。例えば雄略天皇の実在が確定された稲荷山古墳の鉄剣もそれに類似したものだった。しかし何よりも欲しいのは邪馬台国時代の封泥。それによって、8割ぐらいの割合で邪馬台国の場所を確定できる。

もちろんそんなありきたりな物語を池澤夏樹は作らない。ここで出て来たのは、キトラ古墳の被葬者を特定し、なおかつ当時の最大事件である壬申の乱の新解釈を呼び起こし、なおかつ当時の人々の想いさえも再現する超一級の遺物であった。

因みにここで出てくる遺物や遺跡が、あまりにも真に迫っていたので、日月神社の存在、そこから見つかった鏡と銅剣、トルファン出土の禽獣葡萄鏡と大三島の大山祇神社の禽獣葡萄鏡が同じ鋳型だったこと、岡山県美作市の鍛冶屋逧古墳の存在、それらは検索してみたら見事な「ウソ=創作」だった。

​前回の「アトミック・ボックス」​の登場人物が出てくるとは知っていたが、まさかこんなにもゾロゾロ出てくるとは予想していなかった。嬉しい誤算であり、それだけでもワクワクしながら読んだ。

ストーリーはきっちりエンタメ・考古学サスペンスの部類に入るのだが、前回と同様に幾つかの瑕疵があるのを指摘せざるを得ない。中国政府やウィグル独立運動当事者は、ここに描かれているほど甘くはない、と私は思う。しかし、そんなものは私には決定的な瑕疵ではない。

ここにあるのは、あり得たかもしれない歴史の中の「友愛」である。それは信じることができる。それだけでも嬉しい。

2017年10月、日本の歴史の曲り角になる選挙が終わった翌日に読了。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.17
(5pt)

友愛の星

一気呵成に読んだ。最後は不覚にも涙した。これは見事なエンタメである。

「こんな結果になって驚いていることと思う。また私と君の仲だから悲しんでくれていると思う。これは定まったことではなく、私が選んだ道だ。この国で長寿の果てに身罷るはずもなかったのだが、他ならぬ今というのは私が決めた。人には死ぬのにふさわしい時というものがあって、私の場合はそれが今だった」(147p)

この世界には、これが見つかれば考古学的大発見、歴史が一瞬にして変わるというものが幾つかある。例えば雄略天皇の実在が確定された稲荷山古墳の鉄剣もそれに類似したものだった。しかし何よりも欲しいのは邪馬台国時代の封泥。それによって、8割ぐらいの割合で邪馬台国の場所を確定できる。

もちろんそんなありきたりな物語を池澤夏樹は作らない。ここで出て来たのは、キトラ古墳の被葬者を特定し、なおかつ当時の最大事件である壬申の乱の新解釈を呼び起こし、なおかつ当時の人々の想いさえも再現する超一級の遺物であった。

因みにここで出てくる遺物や遺跡が、あまりにも真に迫っていたので、日月神社の存在、そこから見つかった鏡と銅剣、トルファン出土の禽獣葡萄鏡と大三島の大山祇神社の禽獣葡萄鏡が同じ鋳型だったこと、岡山県美作市の鍛冶屋逧古墳の存在、それらは検索してみたら見事な「ウソ=創作」だった。

​前回の「アトミック・ボックス」​の登場人物が出てくるとは知っていたが、まさかこんなにもゾロゾロ出てくるとは予想していなかった。嬉しい誤算であり、それだけでもワクワクしながら読んだ。

ストーリーはきっちりエンタメ・考古学サスペンスの部類に入るのだが、前回と同様に幾つかの瑕疵があるのを指摘せざるを得ない。中国政府やウィグル独立運動当事者は、ここに描かれているほど甘くはない、と私は思う。しかし、そんなものは私には決定的な瑕疵ではない。

ここにあるのは、あり得たかもしれない歴史の中の「友愛」である。それは信じることができる。それだけでも嬉しい。

2017年10月、日本の歴史の曲り角になる選挙が終わった翌日に読了。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.16
(2pt)

古代ロマン・考古学ミステリと、現在の中国の民族問題とを併せてサスペンス風物語に仕上げようとの欲張った意匠だったと思うが、何一つ成功していない駄作

「キトラ・ボックス」という題名を見れば、誰でも「キトラ古墳」を想起する。本作はその「キトラ古墳」の謎の被葬者に纏わる古代ロマン・考古学ミステリ風の作品かと期待したのだが、その安っぽい創りにはガッカリさせられた。

上述した「キトラ古墳」の被葬者に関しては、作者のアイデアが一応は披歴されるのだが、作中、唐突に(時間を越えた)"被葬者自身"の語りが入るという、誠に稚拙な技法で披歴されるので、読者にとっての興趣が極めて薄い。後は、ウイグル自治区から民博に留学生として来日した可敦という若き女性考古学研究者の拉致を中心としたサスペンスもどきの物語が展開されるのだが、この拉致事件の真相も薄っぺらで、読み応えに欠ける事著しい。

古代ロマン・考古学ミステリと、現在の中国の民族問題とを併せてサスペンス風物語に仕上げようとの欲張った意匠だったと思うが、何一つ成功していない。古代の「ウイグル-唐-倭」の関係という格好の題材があるのに、それを全く活かしていない駄作だと思った。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.15
(2pt)

古代ロマン・考古学ミステリと、現在の中国の民族問題とを併せてサスペンス風物語に仕上げようとの欲張った意匠だったと思うが、何一つ成功していない駄作

「キトラ・ボックス」という題名を見れば、誰でも「キトラ古墳」を想起する。本作はその「キトラ古墳」の謎の被葬者に纏わる古代ロマン・考古学ミステリ風の作品かと期待したのだが、その安っぽい創りにはガッカリさせられた。

上述した「キトラ古墳」の被葬者に関しては、作者のアイデアが一応は披歴されるのだが、作中、唐突に(時間を越えた)"被葬者自身"の語りが入るという、誠に稚拙な技法で披歴されるので、読者にとっての興趣が極めて薄い。後は、ウイグル自治区から民博に留学生として来日した可敦という若き女性考古学研究者の拉致を中心としたサスペンスもどきの物語が展開されるのだが、この拉致事件の真相も薄っぺらで、読み応えに欠ける事著しい。

古代ロマン・考古学ミステリと、現在の中国の民族問題とを併せてサスペンス風物語に仕上げようとの欲張った意匠だったと思うが、何一つ成功していない。古代の「ウイグル-唐-倭」の関係という格好の題材があるのに、それを全く活かしていない駄作だと思った。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.14
(4pt)

古代日本を感じる

文学界の重鎮が書く考古学ロマンミステリーという感じでしょうか。『アトミック・ボックス』に続く第二弾という位置づけで、登場人物も多数被るようです。前作を未読でも本作は十分楽しめますが、前作の内容が少し語られますので、それが嫌な方は順番に読むことをお勧めします。

ウイグルと西日本を結ぶ鏡と、可敦という中国人女性研究者の正体の2つ謎がメインとなります。大化の改新後の勢力闘争や大陸との関わりが、前者の謎と絡み、もう一つの謎は中国の自治区独立運動という政治情勢に取り組んでいます。大きなテーマながら、エンターテインメント性を重視し、敢えて読みやすくサラリと書かれているとこは、上手いと思ってしまいます。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.13
(4pt)

古代日本を感じる

文学界の重鎮が書く考古学ロマンミステリーという感じでしょうか。『アトミック・ボックス』に続く第二弾という位置づけで、登場人物も多数被るようです。前作を未読でも本作は十分楽しめますが、前作の内容が少し語られますので、それが嫌な方は順番に読むことをお勧めします。

ウイグルと西日本を結ぶ鏡と、可敦という中国人女性研究者の正体の2つ謎がメインとなります。大化の改新後の勢力闘争や大陸との関わりが、前者の謎と絡み、もう一つの謎は中国の自治区独立運動という政治情勢に取り組んでいます。大きなテーマながら、エンターテインメント性を重視し、敢えて読みやすくサラリと書かれているとこは、上手いと思ってしまいます。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.12
(5pt)

面白い!

想像とは少し違った内容だったが、十分に面白い作品。映画化すればヒットするかも。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.11
(5pt)

面白い!

想像とは少し違った内容だったが、十分に面白い作品。映画化すればヒットするかも。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.10
(2pt)

過去の謎も現在の謎も消化不良で今一歩

本書は、キトラ古墳にまつわる謎解きと、主人公の一人であるウイグル人の女性のバックグラウンドに関する謎解きが並行して走る構成になっており、かなり魅力的な設定だと思うのだが、前者の方は一応楽しめたが盛り上がりに欠けたし、後者に関しては中国のウイグル自治区の問題を軽く触ったという感じの浅薄な内容で、この程度かと正直がっかりした。

以前、松本清張氏の「火の路」という古代イラン文化が日本に与えた影響を題材にした作品を読んだが、題材の掘り下げ具合から、日本の学会への鋭い批判まで盛り込まれた社会性といった観点まで、本書と段違いの内容であった。マニアック過ぎて読みにくい部分はあるが、古代ロマンに興味のある方には一読をお勧めしたい。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.9
(2pt)

過去の謎も現在の謎も消化不良で今一歩

本書は、キトラ古墳にまつわる謎解きと、主人公の一人であるウイグル人の女性のバックグラウンドに関する謎解きが並行して走る構成になっており、かなり魅力的な設定だと思うのだが、前者の方は一応楽しめたが盛り上がりに欠けたし、後者に関しては中国のウイグル自治区の問題を軽く触ったという感じの浅薄な内容で、この程度かと正直がっかりした。

以前、松本清張氏の「火の路」という古代イラン文化が日本に与えた影響を題材にした作品を読んだが、題材の掘り下げ具合から、日本の学会への鋭い批判まで盛り込まれた社会性といった観点まで、本書と段違いの内容であった。マニアック過ぎて読みにくい部分はあるが、古代ロマンに興味のある方には一読をお勧めしたい。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.8
(3pt)

いまひとつおもしろくない

エンターテイメントとして、いまひとつ面白くない。
わたしは池澤氏の熱心な読者ではありませんが、何冊か読んではいます。
それでおおざっぱな感想なのですが、
なんだか文体に色香がないんですよね。
だからなのか、登場人物が魅力に乏しい。
可敦さんなんて、辻原登氏が描けば、もっと魅力的なキャラになったと思うし、
脇役の行田だって、大沢在昌氏が描けばどんなふうだろうと考えちゃう。
ちょっと贅沢な不満ですが…。

二つの謎が絡みながら物語は進んでいきますが、それを物語の進行とともに
一緒に追っていく楽しみはありません。
考古学上の謎は、古代日本の物語を現代と並行させて描くことで読者には謎でなくなります。
それはまあいいのですが、
美汐が可敦に対して抱く疑念は、具体性に欠いていています。
いったい可敦のどういった点に不信感を抱き、その不信がどんなふうに膨らんでいったのか、
それを読者も一緒に体験するように描いてくれれば、
もっとスリリングな気分で読み進んで行けたような気がします。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.7
(3pt)

いまひとつおもしろくない

エンターテイメントとして、いまひとつ面白くない。
わたしは池澤氏の熱心な読者ではありませんが、何冊か読んではいます。
それでおおざっぱな感想なのですが、
なんだか文体に色香がないんですよね。
だからなのか、登場人物が魅力に乏しい。
可敦さんなんて、辻原登氏が描けば、もっと魅力的なキャラになったと思うし、
脇役の行田だって、大沢在昌氏が描けばどんなふうだろうと考えちゃう。
ちょっと贅沢な不満ですが…。

二つの謎が絡みながら物語は進んでいきますが、それを物語の進行とともに
一緒に追っていく楽しみはありません。
考古学上の謎は、古代日本の物語を現代と並行させて描くことで読者には謎でなくなります。
それはまあいいのですが、
美汐が可敦に対して抱く疑念は、具体性に欠いていています。
いったい可敦のどういった点に不信感を抱き、その不信がどんなふうに膨らんでいったのか、
それを読者も一緒に体験するように描いてくれれば、
もっとスリリングな気分で読み進んで行けたような気がします。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.6
(5pt)

池澤夏樹が墓を塞ぐ大きな石を転がしてみせた

「キトラ」という語にはなにか異国情緒を感じていたが、「北浦」が転じたという有力な説があるようだ。奈良のキトラ古墳。

 最初に耳にしたのは小学校の授業で習う仁徳天皇陵といわれる前方後円墳。これら古墳の中はどうなっているのだろうか。誰の遺体があり、まわりにどのようなモノが置かれ、どのくらいの広さで、天井には何が描かれているのだろうか。考古学者やその周辺の人か、あるいは盗掘者でもない限り、直接見る機会はまずない。それ以外の者は、許可を得たカメラを通しての写真や映像に頼るしかない。

 けれども、池澤夏樹は墓の入口に横たわる巨大な石を転がしてみせた。イエスが死後三日目に復活したときの天使のように。時間と空間の境を越えることによって。さらには、死と生の境を越えることによって。

 文学とは越境することだ。読書もまた越境だ。ならば、ぼくたちも、思考と想像によって、古墳の中にお邪魔することは可能ではないか。盗掘などはしないけれども。

 近畿。ウィグル。瀬戸内海。この三箇所から、千数百年前の同じ鏡、つまり、同じ型から生まれた鏡が出てきた。三枚の鏡の生家はどこで、その後そこを発ちそれぞれはどのような旅をして、この三箇所にいたったのだろうか。鏡もまた時空と生死を越える。

 ならば、人はどうなのだろう。大阪・千里の国立民族学博物館の若いウィグル人女性研究員が、瀬戸内の神社の境内で何者かに拉致されかける。ウィグル人、漢人、日本人は、たがいに垣根を越えて、友となることはできないのだろうか。

 池澤には「アトミック・ボックス」という前作があり、そこでは、若い女性社会学者が原爆開発という日本国家の秘密計画を知り、権力と闘うのだが、今回の作品にも、この社会学者が主役女性のすぐ脇役として登場したり、主役も国家の闇に苦しめられたりし、テーマが継続されていると言えよう。とうぜん、第三作が期待される。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.5
(5pt)

池澤夏樹が墓を塞ぐ大きな石を転がしてみせた

「キトラ」という語にはなにか異国情緒を感じていたが、「北浦」が転じたという有力な説があるようだ。奈良のキトラ古墳。

 最初に耳にしたのは小学校の授業で習う仁徳天皇陵といわれる前方後円墳。これら古墳の中はどうなっているのだろうか。誰の遺体があり、まわりにどのようなモノが置かれ、どのくらいの広さで、天井には何が描かれているのだろうか。考古学者やその周辺の人か、あるいは盗掘者でもない限り、直接見る機会はまずない。それ以外の者は、許可を得たカメラを通しての写真や映像に頼るしかない。

 けれども、池澤夏樹は墓の入口に横たわる巨大な石を転がしてみせた。イエスが死後三日目に復活したときの天使のように。時間と空間の境を越えることによって。さらには、死と生の境を越えることによって。

 文学とは越境することだ。読書もまた越境だ。ならば、ぼくたちも、思考と想像によって、古墳の中にお邪魔することは可能ではないか。盗掘などはしないけれども。

 近畿。ウィグル。瀬戸内海。この三箇所から、千数百年前の同じ鏡、つまり、同じ型から生まれた鏡が出てきた。三枚の鏡の生家はどこで、その後そこを発ちそれぞれはどのような旅をして、この三箇所にいたったのだろうか。鏡もまた時空と生死を越える。

 ならば、人はどうなのだろう。大阪・千里の国立民族学博物館の若いウィグル人女性研究員が、瀬戸内の神社の境内で何者かに拉致されかける。ウィグル人、漢人、日本人は、たがいに垣根を越えて、友となることはできないのだろうか。

 池澤には「アトミック・ボックス」という前作があり、そこでは、若い女性社会学者が原爆開発という日本国家の秘密計画を知り、権力と闘うのだが、今回の作品にも、この社会学者が主役女性のすぐ脇役として登場したり、主役も国家の闇に苦しめられたりし、テーマが継続されていると言えよう。とうぜん、第三作が期待される。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.4
(5pt)

これぞ池澤流エンターテインメント

「アトミック・ボックス」に引き続き、またまた池澤先生がエンターテインメント分野でやってくれました。今度はキトラ古墳の謎に迫る考古学ミステリー。中国国内での民族紛争の問題を絡めて、時間と世界を股にかけたスケールの大きな物語に仕上げられています。ウイグル出身の女性が主人公ですが、「アトミック・ボックス」の美汐や三次郎らも再度登場します。巨大な国家権力と一人の女性の対峙という図式は前作と共通するところがありますね。国際的視点や科学的視点などを織り交ぜた小説構成は、まさに池澤氏の本領発揮といったところでしょうか。
瀬戸内海を舞台に活劇が繰り広げられるあたり、谷崎潤一郎の「乱菊物語」も連想させますね(池澤氏の日本文学全集に取り上げられています)。文学界の大御所による一流の娯楽小説、ぜひご堪能ください。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.3
(5pt)

これぞ池澤流エンターテインメント

「アトミック・ボックス」に引き続き、またまた池澤先生がエンターテインメント分野でやってくれました。今度はキトラ古墳の謎に迫る考古学ミステリー。中国国内での民族紛争の問題を絡めて、時間と世界を股にかけたスケールの大きな物語に仕上げられています。ウイグル出身の女性が主人公ですが、「アトミック・ボックス」の美汐や三次郎らも再度登場します。巨大な国家権力と一人の女性の対峙という図式は前作と共通するところがありますね。国際的視点や科学的視点などを織り交ぜた小説構成は、まさに池澤氏の本領発揮といったところでしょうか。
瀬戸内海を舞台に活劇が繰り広げられるあたり、谷崎潤一郎の「乱菊物語」も連想させますね(池澤氏の日本文学全集に取り上げられています)。文学界の大御所による一流の娯楽小説、ぜひご堪能ください。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255
No.2
(5pt)

ロマンだなあ

「アトミック・ボックス」に続く設定の中で、今度は考古学をめぐる冒険物語になっています。池澤ファンなら心くすぐられますね。
ひとつの軸は、7世紀のウイグル~中国~日本にまたがって、最終的に壬申の乱にまつわる歴史上の人物たちが繰り広げる物語。歴史ロマンの要素も感じさせます。
そこに考古学や中国とウイグルの政治状況など、現代の物語がからまり盛り上がっていきます(現代の物語がメイン)。
もともとの知識の幅広さと深さがあるため、本を書くために付け焼刃の知識で書きあげた、という感じがありません。さすがですね。

欲張りなファンが気になるのは、シリーズの第3弾があるのかどうか・・・。
キトラ・ボックス (角川文庫) Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックス (角川文庫)より
4041080312
No.1
(5pt)

ロマンだなあ

「アトミック・ボックス」に続く設定の中で、今度は考古学をめぐる冒険物語になっています。池澤ファンなら心くすぐられますね。
ひとつの軸は、7世紀のウイグル~中国~日本にまたがって、最終的に壬申の乱にまつわる歴史上の人物たちが繰り広げる物語。歴史ロマンの要素も感じさせます。
そこに考古学や中国とウイグルの政治状況など、現代の物語がからまり盛り上がっていきます(現代の物語がメイン)。
もともとの知識の幅広さと深さがあるため、本を書くために付け焼刃の知識で書きあげた、という感じがありません。さすがですね。

欲張りなファンが気になるのは、シリーズの第3弾があるのかどうか・・・。
キトラ・ボックス Amazon書評・レビュー: キトラ・ボックスより
4041037255