ただ一人の異性
評判
ただ一人の異性の評価:
4.00/5点 レビュー 2件。 - ランク
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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ペット専門の私立探偵、山中は失踪した妻を探して欲しいという依頼を受け最初は専門外だからと渋るのだが依頼者の真実の目的が妻と共に消えた飼い猫の方にあると知って引き受ける事にする。やがて猫の行方を追う内に出会った女性、山吉は彼にとって運命の女であると気づくと共に、猫の失踪を招く元となった犯罪事件の行方がさらに波紋を広げて行くのだった。
私の幾分かは勝手な想像ですが著者は本書で自分なりの「三毛猫ホームズ」を書いて見たかったのではないかなと思うのですね。猫が推理に絡むという困難な命題に対し決して不自然な夢物語ではなく出来るだけリアリティーが感じられるストーリーに仕立てるのが著者の流儀なのではないでしょうか。第3章では「ただ一匹の猫」と本書のタイトルをパロディーで重ね合わせておられるのにもニヤリとさせられましたね。次に著者が仕掛けた第2の要素は、時代劇の史実と虚構を巧みにミックスさせた「時を超えた男女の永遠の悲恋物語」で三百年前から続く2つの家系の男と女が互いに愛し合いながら運命の悪戯で仲を引き裂かれて結局は添い遂げられないほろ苦いラブ・ストーリーを各々それぞれの時代を追って連作短編小説形式で書かれているのがどの話にも最後は胸が痛みながらも圧巻の読み応えでしたね。そして最後は幾分地味目ですが日本の何処かで現実にあってもおかしくないと思わせる犯罪を描いた医学サスペンスの趣向で、こちらは江戸時代の末裔が絡んだりもしますので、少し考え過ぎではありますが、もし実際に何代目かの方がおられたとしたら悪く書かれて気を悪くされるのではないかなとそこは心配ですね。これら3つの趣向はそれぞれに素晴らしくて巧く考えられているなと誠に感心する出来栄えなのですが、唯一つ難を言えばいろいろと詰め込み過ぎたせいなのか肝心要の謎の解明に至るミステリー本来の面白さに心を砕く事がややおろそかになったかなと思える事ですね。でもまあこれだけの凝ったストーリーをヴァラエティー豊かに楽しませて頂けた事に私としましては十分に満足しておりますので、今回は止むを得ない事だと納得しようと思います。最後に本書のラストについては、単に著者の流儀・芸風の問題なのか日本の陰湿な伝統文化である翳り・宿命のムードを表現しようとされたのか、とも想像いたしますがちょっと悲しい気分が残る読後感ではありましたね。