(短編集)

ダック・コール

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評判

ダック・コールの評価:

4.37/5点 レビュー 27件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.37pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全60件 41〜60 3/3ページ
No.20
(5pt)

充実の読書体験ができました

第4回山本周五郎賞に輝く本書は、
惜しまれつつ1994年に逝去した著者の
数少ない作品の中でも、特に名品の誉れ高い作品です。

【プロローグ】
会社を辞め、気ままな一人旅をする「ぼく」は、
拾った石に鳥を描くことを趣味としている
不思議な男と出会います。
その夜、「ぼく」は6つの夢を見ることに…。

その6つの夢が、6つの短編として、
本書に収められているのですが、
すべてに「鳥」が関わってきます。
そして、鳥をテーマに描かれるのは、誇り高き男の生き様。
探偵も殺人事件も出てきませんが、
これは紛れもなきハードボイルド小説です。
静かだけれど、緻密で美しい文章に思わず引き込まれてしまう、
貴重な読書体験保証付きの名品がここにあります。

以下、6つの短編の短文での紹介です。

【第1話 望遠】
映画のラスト・シーンである夜明けの風景の撮影を任された若者。
1年に一度しか撮れないその瞬間を迎えた時、
目の前に幻の鳥が飛翔する…。
【第2話 パッセンジャー】
アパラチア山脈を挟んだ隣村に近づいたサム。
猟銃を手にした彼の上空に、
空を覆い尽くさんばかりのハトの大群が現れ…。
【第3話 密猟志願】
癌で早期退職した男は、狩りの上手な少年と出会うが…。
中年男と少年の交流と冒険。
【第4話 ホイッパーウィル】
脱獄犯を保安官とともに追いかけることとなったケン。
脱獄犯の一人が追い詰められる中、
思いがけない行動を起こす。
【第5話 波の枕】
漁船の事故で海に投げ出された源三青年は、
ある偶然で命を長らえることに…。
【第6話 デコイとブンタ】
密漁者に捨てられたデコイを拾った、
少年ブンタの小さな冒険物語。

本書に対して既に掲載されているレビューは、すべて★5つ。
こんな作品も珍しいです。
素晴らしい作品を残してくれた作者に敬意を表して、
私も★5つを付けることとします。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.19
(5pt)

充実の読書体験ができました

第4回山本周五郎賞に輝く本書は、
惜しまれつつ1994年に逝去した著者の
数少ない作品の中でも、特に名品の誉れ高い作品です。

【プロローグ】
会社を辞め、気ままな一人旅をする「ぼく」は、
拾った石に鳥を描くことを趣味としている
不思議な男と出会います。
その夜、「ぼく」は6つの夢を見ることに…。

その6つの夢が、6つの短編として、
本書に収められているのですが、
すべてに「鳥」が関わってきます。
そして、鳥をテーマに描かれるのは、誇り高き男の生き様。
探偵も殺人事件も出てきませんが、
これは紛れもなきハードボイルド小説です。
静かだけれど、緻密で美しい文章に思わず引き込まれてしまう、
貴重な読書体験保証付きの名品がここにあります。

以下、6つの短編の短文での紹介です。

【第1話 望遠】
映画のラスト・シーンである夜明けの風景の撮影を任された若者。
1年に一度しか撮れないその瞬間を迎えた時、
目の前に幻の鳥が飛翔する…。
【第2話 パッセンジャー】
アパラチア山脈を挟んだ隣村に近づいたサム。
猟銃を手にした彼の上空に、
空を覆い尽くさんばかりのハトの大群が現れ…。
【第3話 密猟志願】
癌で早期退職した男は、狩りの上手な少年と出会うが…。
中年男と少年の交流と冒険。
【第4話 ホイッパーウィル】
脱獄犯を保安官とともに追いかけることとなったケン。
脱獄犯の一人が追い詰められる中、
思いがけない行動を起こす。
【第5話 波の枕】
漁船の事故で海に投げ出された源三青年は、
ある偶然で命を長らえることに…。
【第6話 デコイとブンタ】
密漁者に捨てられたデコイを拾った、
少年ブンタの小さな冒険物語。

本書に対して既に掲載されているレビューは、すべて★5つ。
こんな作品も珍しいです。
素晴らしい作品を残してくれた作者に敬意を表して、
私も★5つを付けることとします。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.18
(5pt)

僕の感想です。

もう15年以上も前でしょうか、内藤陳氏の稲見一良さんの訃報を悲嘆するコラムを
偶然目にし、この書を読みました。
震えるような感動を覚えました。
これを書いた人が、もはやこの世に存在しないとは・・・
世界中のハードボイルド作家が束になってもかなわないと思います。
まるでジミヘンのようです。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.17
(5pt)

僕の感想です。

もう15年以上も前でしょうか、内藤陳氏の稲見一良さんの訃報を悲嘆するコラムを
偶然目にし、この書を読みました。
震えるような感動を覚えました。
これを書いた人が、もはやこの世に存在しないとは・・・
世界中のハードボイルド作家が束になってもかなわないと思います。
まるでジミヘンのようです。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.16
(5pt)

珍しいモチーフ、素晴らしい文章

いずれの短編も野鳥がモチーフ。読み始めはバードウォッチング的でなんとなくオタクっぽい感があったが、超ハード派作品であった。特に「密猟志願」。冒険、狩猟、死、厭世、温もり。読み終えた後、ジーンときた。切なくなった。稀有なストリーを素晴らしい文章で伝えてくれている。目から入る映像ではなく、脳のイメージでなければ感じ取れないだろう。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.15
(5pt)

珍しいモチーフ、素晴らしい文章

いずれの短編も野鳥がモチーフ。読み始めはバードウォッチング的でなんとなくオタクっぽい感があったが、超ハード派作品であった。特に「密猟志願」。冒険、狩猟、死、厭世、温もり。読み終えた後、ジーンときた。切なくなった。稀有なストリーを素晴らしい文章で伝えてくれている。目から入る映像ではなく、脳のイメージでなければ感じ取れないだろう。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.14
(5pt)

どうすれば・・・

いったいどうすれば、こんな文章が書けるのだろう。
どの文章ひとつとっても、気高さと美しさにあふれている。
この作品は山本周五郎賞受賞作だが、稲見一良の名を冠した賞の創設を望みたい。
頁をめくるたびに、ひとつの短編が終わるたびに、私は深いため息をつく。
この人の作品があまりにも少ないことに。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.13
(5pt)

どうすれば・・・

いったいどうすれば、こんな文章が書けるのだろう。
どの文章ひとつとっても、気高さと美しさにあふれている。
この作品は山本周五郎賞受賞作だが、稲見一良の名を冠した賞の創設を望みたい。
頁をめくるたびに、ひとつの短編が終わるたびに、私は深いため息をつく。
この人の作品があまりにも少ないことに。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.12
(5pt)

静かな時間を感じる

作者も知らず、タイトルも知らず、帯買いしました本書。その完成度にびっくりしてしまいました。帯のうたい文句は「誇り高き探偵たち We Loveハードボイルド」という企画シリーズです。でも本書には探偵が出てきません。プロローグに出てくる青年の「夢」の物語のような数編の物語。そしてその物語たちは静かな時を読者にプレゼントしてくれる。その静けさは登場人物達が作り上げている。現実と幻想のちょうど境目を辿るような物語たちが、僕たちに示してくれるのは「生きる」意味。めずらしい鳥を撮ってしまう男、絶滅したリョコウバトの話、狩りの上手な少年と生きる意味を見出したおじさん、脱獄囚を山中に追う日系二世とインディアンの末裔、鳥と亀に救われた少年、デコイと少年の話、この六篇の根底に流れているのは「生きる」ということである。静かな文体であればあるほど、読者に文章が迫ってくる。いい読書ができた。山本周五郎章は裏切らない、と読書好きの同僚が言ったことがあったが、本書を読めばその言葉が本当であったことを理解できる。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.11
(5pt)

静かな時間を感じる

作者も知らず、タイトルも知らず、帯買いしました本書。その完成度にびっくりしてしまいました。帯のうたい文句は「誇り高き探偵たち We Loveハードボイルド」という企画シリーズです。でも本書には探偵が出てきません。プロローグに出てくる青年の「夢」の物語のような数編の物語。そしてその物語たちは静かな時を読者にプレゼントしてくれる。その静けさは登場人物達が作り上げている。現実と幻想のちょうど境目を辿るような物語たちが、僕たちに示してくれるのは「生きる」意味。めずらしい鳥を撮ってしまう男、絶滅したリョコウバトの話、狩りの上手な少年と生きる意味を見出したおじさん、脱獄囚を山中に追う日系二世とインディアンの末裔、鳥と亀に救われた少年、デコイと少年の話、この六篇の根底に流れているのは「生きる」ということである。静かな文体であればあるほど、読者に文章が迫ってくる。いい読書ができた。山本周五郎章は裏切らない、と読書好きの同僚が言ったことがあったが、本書を読めばその言葉が本当であったことを理解できる。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.10
(5pt)

まさにこれこそハードボイルド

やたらキザだったり、減らず口をたたいて人を怒らせたり、意味もなくカーチェイスをしてみたり、強そうに見えないのに殴り合いに巻き込まれたり、女に関してはなぜかやせ我慢をしたり・・・そんなハードボイルドも勿論いいけど、この筆者の書く「ハードボイルド」はひと味違う。
登場人物は派手な活躍もしないし、暴力沙汰や恋愛沙汰も少ない。激しく自己主張はしないが、芯が強く、誰にも犯しがたい気高い魂を胸に抱いている。そんな男や、女や、子どもが、静かにたたずむ本なのです。
なにしろ、たとえば記録映画のカメラマンが珍しい鳥に心を奪われるという「望遠」の主人公は、<何もしない>ことでハードボイルドを成立させています。「デコイとブンタ」は、デコイ(カモ猟用のおとりの模型)と主人公の少年の奇妙な友情がテーマです。
大自然を舞台にした心にしみ入るハードボイルド。山本周五郎賞受賞の名に恥じない、大傑作です。
ミステリやハードボイルドのファンだけではなく、万人に読んでもらいたいと思います。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.9
(5pt)

まさにこれこそハードボイルド

やたらキザだったり、減らず口をたたいて人を怒らせたり、意味もなくカーチェイスをしてみたり、強そうに見えないのに殴り合いに巻き込まれたり、女に関してはなぜかやせ我慢をしたり・・・そんなハードボイルドも勿論いいけど、この筆者の書く「ハードボイルド」はひと味違う。
登場人物は派手な活躍もしないし、暴力沙汰や恋愛沙汰も少ない。激しく自己主張はしないが、芯が強く、誰にも犯しがたい気高い魂を胸に抱いている。そんな男や、女や、子どもが、静かにたたずむ本なのです。
なにしろ、たとえば記録映画のカメラマンが珍しい鳥に心を奪われるという「望遠」の主人公は、<何もしない>ことでハードボイルドを成立させています。「デコイとブンタ」は、デコイ(カモ猟用のおとりの模型)と主人公の少年の奇妙な友情がテーマです。
大自然を舞台にした心にしみ入るハードボイルド。山本周五郎賞受賞の名に恥じない、大傑作です。
ミステリやハードボイルドのファンだけではなく、万人に読んでもらいたいと思います。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.8
(5pt)

星が足りない

とにかく素晴らしい。ハードボイルド、ミステリー、冒険、ファンタジー、童話。どのジャンルにおいてもこれほど端麗、襟の正された文章やその舞台設定、人物造型の巧みさは他に例を見つけるのは難しい。
極めて読みやすく、明快なストーリーの連続でありながらいつまでも長引く心地よい余韻。傑作。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.7
(5pt)

星が足りない

とにかく素晴らしい。ハードボイルド、ミステリー、冒険、ファンタジー、童話。どのジャンルにおいてもこれほど端麗、襟の正された文章やその舞台設定、人物造型の巧みさは他に例を見つけるのは難しい。
極めて読みやすく、明快なストーリーの連続でありながらいつまでも長引く心地よい余韻。傑作。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.6
(5pt)

美しく厳しい男の世界がここにある

 狩猟、あるいは自然、動物をとおして物語られる男の世界がここにある。抑制の効いた筋肉質の文体、壮大なスケールを感じさせる美しいストーリーはみごと。たしかにハードボイルド小説だ。久々に澄み切って、美しい短編集に出会った。 しかし作者はすでに故人。 あまりにも、惜しい。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.5
(5pt)

美しく厳しい男の世界がここにある

 狩猟、あるいは自然、動物をとおして物語られる男の世界がここにある。抑制の効いた筋肉質の文体、壮大なスケールを感じさせる美しいストーリーはみごと。たしかにハードボイルド小説だ。久々に澄み切って、美しい短編集に出会った。 しかし作者はすでに故人。 あまりにも、惜しい。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.4
(5pt)

今までであった中で最高の一冊

随分前のことになりますが、関西に仕事で出かけたとき宝塚に住んでいる友達に薦められた本です。帰りの新幹線の中で読みました。最初のページを開いた瞬間から、他のことは全て頭の中から消え去りました。何時の間にか東京に着いていました。降りなければならない、この本を読むのを中断しなければならない、たったそれだけの事を、辛く、悲しく感じました。私が稲見一良さんを知ったのはこの時でした。そして、その時にはすでに稲見一良さんはこの世から旅立ってしまった後でした。一生かけても、私には稲見さんのお書きになった言葉の一言に匹敵する言葉を書くことはできないでしょう。この作品は、そんな言葉のカタマリです。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.3
(5pt)

今までであった中で最高の一冊

随分前のことになりますが、関西に仕事で出かけたとき宝塚に住んでいる友達に薦められた本です。帰りの新幹線の中で読みました。最初のページを開いた瞬間から、他のことは全て頭の中から消え去りました。何時の間にか東京に着いていました。降りなければならない、この本を読むのを中断しなければならない、たったそれだけの事を、辛く、悲しく感じました。私が稲見一良さんを知ったのはこの時でした。そして、その時にはすでに稲見一良さんはこの世から旅立ってしまった後でした。一生かけても、私には稲見さんのお書きになった言葉の一言に匹敵する言葉を書くことはできないでしょう。この作品は、そんな言葉のカタマリです。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025
No.2
(5pt)

稲見一良の提示する誇りと憧れに

稲見一良が山本周五郎賞を受賞した作品。 ブラッドベリの「刺青の男」にヒントを得たという連作小説だが、全6編のどれもが美しく切ない。 思うに小説だけでなくすべての創作物がそうだが、価値観の提示にこそほかならないと考える。何が美しく、何が醜いか。世の中をどう判断し、どう行動するかを、その作者なりの角度で捉え、発表するのが創造だ。本書の中の1編「ホイッパーウィル」は、女性の1人もでないマンハントを描いたハードな中篇である。自分は稲見一良のもっとも濃い部分をこの中篇から感じる。彼が憧れ、美徳とし、また醜悪と感じた世の中の全てが凝縮されているような気がする。登場人物全てが真っ直ぐで、象徴的で衒いなく人生に切り込んでいく。そしてここには作者の価値観がハッキリと明示されている。 美しく厳しい自然。善悪の両面をそなえた人間。容赦ない社会の重圧。生ける物を襲う困苦。そして自尊心と誇りを失わない姿勢。別の短編「デコイとブンタ」でもそうだ。 「密猟志願」「パッセンジャー」においてもそうした作者独自の、しかし普遍的な価値観が提示されている。決して楽天的なロマンチストではない作者は、世の中の厳しさ不毛さを描いた上で、なおも輝きを失わない、理想や憧憬を描いている。作者、稲見一良が見続けた人生は経験に裏打ちされた確かな手ごたえがある。小説を読む醍醐味、豊かな人生を知る醍醐味。その両方を味わえる本書。あまりに再読しすぎて自分はすでに3冊目を持ち歩いている。
ダック・コール Amazon書評・レビュー: ダック・コールより
4152034645
No.1
(5pt)

稲見一良の提示する誇りと憧れに

稲見一良が山本周五郎賞を受賞した作品。 ブラッドベリの「刺青の男」にヒントを得たという連作小説だが、全6編のどれもが美しく切ない。 思うに小説だけでなくすべての創作物がそうだが、価値観の提示にこそほかならないと考える。何が美しく、何が醜いか。世の中をどう判断し、どう行動するかを、その作者なりの角度で捉え、発表するのが創造だ。本書の中の1編「ホイッパーウィル」は、女性の1人もでないマンハントを描いたハードな中篇である。自分は稲見一良のもっとも濃い部分をこの中篇から感じる。彼が憧れ、美徳とし、また醜悪と感じた世の中の全てが凝縮されているような気がする。登場人物全てが真っ直ぐで、象徴的で衒いなく人生に切り込んでいく。そしてここには作者の価値観がハッキリと明示されている。 美しく厳しい自然。善悪の両面をそなえた人間。容赦ない社会の重圧。生ける物を襲う困苦。そして自尊心と誇りを失わない姿勢。別の短編「デコイとブンタ」でもそうだ。 「密猟志願」「パッセンジャー」においてもそうした作者独自の、しかし普遍的な価値観が提示されている。決して楽天的なロマンチストではない作者は、世の中の厳しさ不毛さを描いた上で、なおも輝きを失わない、理想や憧憬を描いている。作者、稲見一良が見続けた人生は経験に裏打ちされた確かな手ごたえがある。小説を読む醍醐味、豊かな人生を知る醍醐味。その両方を味わえる本書。あまりに再読しすぎて自分はすでに3冊目を持ち歩いている。
ダック・コール (ハヤカワ文庫JA) Amazon書評・レビュー: ダック・コール (ハヤカワ文庫JA)より
4150304025