坂の途中の家

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坂の途中の家の評価:

3.72/5点 レビュー 137件。 B ランク

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平均点3.72pt

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全175件 81〜100 5/9ページ
No.95
(4pt)

人間の弱さ、人間関係における伝える事の難しさ

1歳の女の子の育児中、専業主婦、実家は遠方という主人公と近い境遇の身として深く考えさせられたり、その言い方ってないよな。。と主人公の夫に感じたり。(恐らく夫は無意識に発しているのではないかとも思うが)
重い気持ちを抱きつつ、主人公の里沙子、被告人の水穂共に共感する箇所も多く、あっという間に読んでしまいました。

育児中の身としては、保健師や通りすがりの人、義家族、親戚、友人らから発せられる子供に対しての言葉には過度にナーバスになったり考え過ぎたり、出産前より人の言動に敏感になったなと自分自身も感じています。 人がふと軽く放った些細な言葉でも深く考えてしまう。
自分の経験からも言えるのですが、「発達が遅いようだ」「表情が乏しい」と言われる事が、どれ程傷付き母親を追い詰めてしまうのか。乳児というのは大きな成長段階にあるので、批判じみた事を言ったり母親に寄り添えないこの本に出てくる保健師の人格を疑う。
育児については、独身の頃から、自分は子供好きだし、他人事ながら、育児もそこまで大変ではないだろう何となくのイメージで思っていた。
しかし妊娠中にトラブルがあり子供は数カ月入院もし、退院後の育児も色々な面で大変であり、言葉が通じない、自分の思い通りにどれも行かない、い小さい、か弱い人間を育てる事は並大抵な事ではないと育児をしてみて実感した。それまで出産した友人の家を訪ねたり、親戚の子供を可愛がっていたのにも関わらずだ。やはり里沙子、水穂のようにその立場に立たなければ分からないことは沢山ある。

そして、人は自分の枠組みでしか物事を考えられないのだな、人に寄り添って考える事が人間関係でいかに重要かと改めて感じた。裁判員の中の初老の男性・女性は、生きてきた時代も関係していると思うが、水穂や里沙子の気持ちを理解する事はなかなかできないと思う。30代40代の男性等、こういう人実際いそうだなと思えるような描写だった。

水穂の事を「ブランド好きな女」と罵る記事を書く週刊誌。マスコミというのは本当に好き勝手売上や話題の為にでっち上げ、得体の知れない知人という人の証言のみを載せ、個人の気持ちや事情を汲み取ったりはしない。人間は外見や話し方のイメージや印象で決め付けてしまうので、なるべく先入観を持たないようにしなければ。とこの本を読んで思った。

里沙子の終盤での自分の意見を言えた箇所は自分自身もすっきりした気持ちになれた。里沙子の新たな一歩になり、裁判員に選ばれた事で、周囲への見方が良くも悪くも多いに変わった。
今後の里沙子の生活が自らの意志を持ったものである事を願う。
それにしても、角田さんは子供はいらっしゃらないと思われるが、育児中の閉塞感、孤独、思い通りにいかない子供の描写、人間の弱さを描くのが本当に上手いと思った。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.94
(4pt)

人間の弱さ、人間関係における伝える事の難しさ

1歳の女の子の育児中、専業主婦、実家は遠方という主人公と近い境遇の身として深く考えさせられたり、その言い方ってないよな。。と主人公の夫に感じたり。(恐らく夫は無意識に発しているのではないかとも思うが)
重い気持ちを抱きつつ、主人公の里沙子、被告人の水穂共に共感する箇所も多く、あっという間に読んでしまいました。

育児中の身としては、保健師や通りすがりの人、義家族、親戚、友人らから発せられる子供に対しての言葉には過度にナーバスになったり考え過ぎたり、出産前より人の言動に敏感になったなと自分自身も感じています。 人がふと軽く放った些細な言葉でも深く考えてしまう。
自分の経験からも言えるのですが、「発達が遅いようだ」「表情が乏しい」と言われる事が、どれ程傷付き母親を追い詰めてしまうのか。乳児というのは大きな成長段階にあるので、批判じみた事を言ったり母親に寄り添えないこの本に出てくる保健師の人格を疑う。
育児については、独身の頃から、自分は子供好きだし、他人事ながら、育児もそこまで大変ではないだろう何となくのイメージで思っていた。
しかし妊娠中にトラブルがあり子供は数カ月入院もし、退院後の育児も色々な面で大変であり、言葉が通じない、自分の思い通りにどれも行かない、い小さい、か弱い人間を育てる事は並大抵な事ではないと育児をしてみて実感した。それまで出産した友人の家を訪ねたり、親戚の子供を可愛がっていたのにも関わらずだ。やはり里沙子、水穂のようにその立場に立たなければ分からないことは沢山ある。

そして、人は自分の枠組みでしか物事を考えられないのだな、人に寄り添って考える事が人間関係でいかに重要かと改めて感じた。裁判員の中の初老の男性・女性は、生きてきた時代も関係していると思うが、水穂や里沙子の気持ちを理解する事はなかなかできないと思う。30代40代の男性等、こういう人実際いそうだなと思えるような描写だった。

水穂の事を「ブランド好きな女」と罵る記事を書く週刊誌。マスコミというのは本当に好き勝手売上や話題の為にでっち上げ、得体の知れない知人という人の証言のみを載せ、個人の気持ちや事情を汲み取ったりはしない。人間は外見や話し方のイメージや印象で決め付けてしまうので、なるべく先入観を持たないようにしなければ。とこの本を読んで思った。

里沙子の終盤での自分の意見を言えた箇所は自分自身もすっきりした気持ちになれた。里沙子の新たな一歩になり、裁判員に選ばれた事で、周囲への見方が良くも悪くも多いに変わった。
今後の里沙子の生活が自らの意志を持ったものである事を願う。
それにしても、角田さんは子供はいらっしゃらないと思われるが、育児中の閉塞感、孤独、思い通りにいかない子供の描写、人間の弱さを描くのが本当に上手いと思った。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.93
(5pt)

心理的圧迫の数々が。

初めての子育て。
その過程での繊細で微妙な心模様が手に取るようによく分かる。
補充裁判員となって審理が進められていく過程で熟考する。
同じような環境がある。
それはさりげない世間一般的な細かなことなのかもしれない。
どこが?という問いに明快な答えはない。
違和感があったものの、顧みると、見過ごすべきではない。
ベールに包まれた心理的圧迫の数々。
まわりの言葉は繊細な部分を徐々に傷つけていく。
結婚、出産、子育て。
身近なこと。
相手をおもんばかること。
たまには何気ない話でガス抜きをすること。
ぐちを言うなり、ばかげた話などで、きもちをやわらげる。
プレッシャーに押し潰されない。
ストレスを発散させることが大切。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.92
(5pt)

心理的圧迫の数々が。

初めての子育て。
その過程での繊細で微妙な心模様が手に取るようによく分かる。
補充裁判員となって審理が進められていく過程で熟考する。
同じような環境がある。
それはさりげない世間一般的な細かなことなのかもしれない。
どこが?という問いに明快な答えはない。
違和感があったものの、顧みると、見過ごすべきではない。
ベールに包まれた心理的圧迫の数々。
まわりの言葉は繊細な部分を徐々に傷つけていく。
結婚、出産、子育て。
身近なこと。
相手をおもんばかること。
たまには何気ない話でガス抜きをすること。
ぐちを言うなり、ばかげた話などで、きもちをやわらげる。
プレッシャーに押し潰されない。
ストレスを発散させることが大切。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.91
(4pt)

苦しかった

なんとも苦しいというか不快というか…
よくここまで心理面を描いたと感心します。
同じ環境ではないのに、何度も自分も巻き込まれるような気持ちになりました。気持ち悪かったです。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.90
(4pt)

苦しかった

なんとも苦しいというか不快というか…
よくここまで心理面を描いたと感心します。
同じ環境ではないのに、何度も自分も巻き込まれるような気持ちになりました。気持ち悪かったです。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.89
(5pt)

心理描写がスゴイ!!

読んでいるとまさしく主人公に自分を投影していってしまい息が詰まるようでした。特に夫の憎悪は実は愛情の裏返しだったのかもしれないという思いが私自身にも当てはまって息苦しくなりました。角田光代さんのこの心理描写、凄いです。地味に思える裁判ネタに関わらず、どんどん引き込んでいきます。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.88
(5pt)

心理描写がスゴイ!!

読んでいるとまさしく主人公に自分を投影していってしまい息が詰まるようでした。特に夫の憎悪は実は愛情の裏返しだったのかもしれないという思いが私自身にも当てはまって息苦しくなりました。角田光代さんのこの心理描写、凄いです。地味に思える裁判ネタに関わらず、どんどん引き込んでいきます。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.87
(5pt)

グレーのまま留まれるか?

乳児虐待死事件の裁判員小説です。しかし犯人が誰とか、主人公がどんな決断をするかはあまり関係ありません。裁判だからいちおう判決は出ますが、白か黒かは何の意味も無いと感じました。自分の子供を生むまで、そして実際に抱っこ紐に抱き公共交通機関に乗るまで、このような気持ちはわかりませんでした。「すごく大変、すごく重い」と言葉を尽くされても、仕事をしていたときはわかっていなかったなと思います。
両者を遠ざけているものを埋めるには、何が必要だったんでしょう。事件が起きる前に、決断せず曖昧なまま保つていられれば‥最後のほう、主人公も少しバランスを崩しているような感じがしますが、何とかグレーなまま保ってほしいです。坂の途中で立ち止まることのできる、タメをつくることができたら。倒れずバランスがとれたらなあ。自分の内にも、人との関係にも。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.86
(5pt)

グレーのまま留まれるか?

乳児虐待死事件の裁判員小説です。しかし犯人が誰とか、主人公がどんな決断をするかはあまり関係ありません。裁判だからいちおう判決は出ますが、白か黒かは何の意味も無いと感じました。自分の子供を生むまで、そして実際に抱っこ紐に抱き公共交通機関に乗るまで、このような気持ちはわかりませんでした。「すごく大変、すごく重い」と言葉を尽くされても、仕事をしていたときはわかっていなかったなと思います。
両者を遠ざけているものを埋めるには、何が必要だったんでしょう。事件が起きる前に、決断せず曖昧なまま保つていられれば‥最後のほう、主人公も少しバランスを崩しているような感じがしますが、何とかグレーなまま保ってほしいです。坂の途中で立ち止まることのできる、タメをつくることができたら。倒れずバランスがとれたらなあ。自分の内にも、人との関係にも。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.85
(5pt)

息苦しくて、悲しくて、救いをくれる

主人公の里沙子と違い未婚で子供もいませんが、読み進めるにつれてまるで私ではないかと思うシーンが多々あり、それが辛く、読了までかなり時間がかかりました。
裁判員制度と育児、夫婦の問題を主軸に話は展開していきますが、本当のテーマはコミュニケーションの難しさと多様性だと感じました。
誰かに言われる言葉に覚える違和感、追い込まれる自分と、おかしいのは自分なのだろうと思うことでより混乱してしまうこと。里沙子や、里沙子が感じた水穂の姿は、私にとっては育児や夫婦の関係以外でもよくあることです。そしてやはり自分を強く責め、おかしいのではないか、自分が劣っているのではないかと感じ、必要以上に他人を疑ってしまいます。
角田光代さんという高名な小説家の方がそういう人を小説にしてくださったことで、そんな自分を1人ではないと思えました。そしてそれを理解できない人が多数いるということもまた、ただの現実として受け止めることができました。
うまく説明できませんが、読み終えた後、無性に誰かと話したくなりました。相手がどんな人であっても、何をどう感じ、考えるのか、そういうことにちゃんと向き合っていきたいという気持ちにさせてくれる一冊でした。
けしてわかりやすいハッピーエンドではありませんが、だからこそそう思えた気がします。
コミュニケーションで卑屈になりがちで、つい他人を攻撃的に感じたり、必要以上に落ち込んでしまう人には是非読んで欲しいです。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.84
(5pt)

息苦しくて、悲しくて、救いをくれる

主人公の里沙子と違い未婚で子供もいませんが、読み進めるにつれてまるで私ではないかと思うシーンが多々あり、それが辛く、読了までかなり時間がかかりました。
裁判員制度と育児、夫婦の問題を主軸に話は展開していきますが、本当のテーマはコミュニケーションの難しさと多様性だと感じました。
誰かに言われる言葉に覚える違和感、追い込まれる自分と、おかしいのは自分なのだろうと思うことでより混乱してしまうこと。里沙子や、里沙子が感じた水穂の姿は、私にとっては育児や夫婦の関係以外でもよくあることです。そしてやはり自分を強く責め、おかしいのではないか、自分が劣っているのではないかと感じ、必要以上に他人を疑ってしまいます。
角田光代さんという高名な小説家の方がそういう人を小説にしてくださったことで、そんな自分を1人ではないと思えました。そしてそれを理解できない人が多数いるということもまた、ただの現実として受け止めることができました。
うまく説明できませんが、読み終えた後、無性に誰かと話したくなりました。相手がどんな人であっても、何をどう感じ、考えるのか、そういうことにちゃんと向き合っていきたいという気持ちにさせてくれる一冊でした。
けしてわかりやすいハッピーエンドではありませんが、だからこそそう思えた気がします。
コミュニケーションで卑屈になりがちで、つい他人を攻撃的に感じたり、必要以上に落ち込んでしまう人には是非読んで欲しいです。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.83
(5pt)

グレーのまま留まれるか?

乳児虐待死事件の裁判員小説です。しかし犯人が誰とか、主人公がどんな決断をするかはあまり関係ありません。裁判だからいちおう判決は出ますが、白か黒かはこの小説の中で意味が無いと感じました。主婦の自分は働いている女性の気持ちを、完璧に皮膚感覚までわかることは無いと思います。逆に仕事を辞め自分の子を生むまで、そして実際抱っこするまでその重みや不安はわかりませんでした。他人の子を一瞬抱っこするのとも違いました。「すごく重い、すごく大変」と言葉を尽くされても、これは経験しないとわからなかったと思います。どちらが良い悪いでなく。
事件が起きる前に、決断せず曖昧なまま保つていられれば‥最後のほう、主人公も少しバランスを崩しているような感じがしますが、何とかグレーなまま保つてほしいです。坂の途中で立ち止まることの出来る、タメをもつことが出来たら。倒れずバランスがとれたら。自分の内にも、人との関係にも。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.82
(5pt)

入り込んで読みました。

私自身、子供を産んで1ヶ月ぐらいに裁判員の通知が届いたこともあり(選ばれなかったが)、また現在1歳になる娘を育てていることもあり、この本に出てくる二人の女性と自分を重ね合わせて読まざるをえませんでした。
自分が出産後に感じている違和感のようなものが何なのか、この主人公の女性と一緒に自分も考えることができました。
少しずつ変化する心理描写の巧みさがさすがだと思いました。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.81
(5pt)

入り込んで読みました。

私自身、子供を産んで1ヶ月ぐらいに裁判員の通知が届いたこともあり(選ばれなかったが)、また現在1歳になる娘を育てていることもあり、この本に出てくる二人の女性と自分を重ね合わせて読まざるをえませんでした。
自分が出産後に感じている違和感のようなものが何なのか、この主人公の女性と一緒に自分も考えることができました。
少しずつ変化する心理描写の巧みさがさすがだと思いました。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.80
(4pt)

面白かった

女性の細やかな心理描写をうまく表現できていました。自分と誰かを重ね合わせて、その人の心を推測する内に自分とその人が入り混じってしまい、自分が誰か見失ってしまう。あるかもしれません。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.79
(4pt)

面白かった

女性の細やかな心理描写をうまく表現できていました。自分と誰かを重ね合わせて、その人の心を推測する内に自分とその人が入り混じってしまい、自分が誰か見失ってしまう。あるかもしれません。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.78
(5pt)

共感者

二歳の女の子の母親である里沙子が主人公。
物語全体が里沙子の心の中のつぶやきで進められていくかのようだ。里沙子の心の細かな動きが手に取るように伝わってくる。
子育てや夫との関係に疲れ切って、もうどうにもならなくなり子供に手を上げたり無視したりして、なおかつそれを夫や他人に知られることを恐れて取り繕う。
これは何も育児の場面だけのことではないだろう。介護の場面でも、あるいはもっと深刻な形で出ている問題かもしれない。
私自身は、育児はとうの昔に終えており、今は老齢の母を介護している。だからこのシーンは身につまされる。

育児や介護という坂を登り切るためには何が必要なのか?
たったひとりでは坂の途中で道に迷い倒れてしまうかもしれない。
そんな自分を迷い道から引き戻し上へと押してくれるのは共感者なのではないか。

里沙子は公判に通ううちに自分と被告人の水穂の姿がしだいに重なって見えてくる。
水穂の疲労や心の痛みと自分のそれとの区別がわからなくなってくる。
水穂の中に自分自身を見る。
子供を浴槽に落とす感覚まで里沙子にははっきりとわかる。

ただ最後のところで里沙子は水穂にはならないだろうという確信のようなものが残ったのではないだろうか?
里沙子は水穂に救われたのだと思う。
里沙子にとっては苦しい10日間だったが、その間水穂は里沙子にとって共感者でもあり併走者でもあったのだ。
これから里沙子の家庭はどうなるのだろう。里沙子はどう生きるのだろう。
きっと坂の上を目指して強く一歩を踏み出すだろう。
苦いけれども、私には納得のいく結末だった。

里沙子の義母の描写は面白かった。思いやりのある気のいい人柄。神経ピリピリの里沙子の言動にオロオロする姿は可愛らしくも気の毒だ。
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089
No.77
(5pt)

共感者

二歳の女の子の母親である里沙子が主人公。
物語全体が里沙子の心の中のつぶやきで進められていくかのようだ。里沙子の心の細かな動きが手に取るように伝わってくる。
子育てや夫との関係に疲れ切って、もうどうにもならなくなり子供に手を上げたり無視したりして、なおかつそれを夫や他人に知られることを恐れて取り繕う。
これは何も育児の場面だけのことではないだろう。介護の場面でも、あるいはもっと深刻な形で出ている問題かもしれない。
私自身は、育児はとうの昔に終えており、今は老齢の母を介護している。だからこのシーンは身につまされる。

育児や介護という坂を登り切るためには何が必要なのか?
たったひとりでは坂の途中で道に迷い倒れてしまうかもしれない。
そんな自分を迷い道から引き戻し上へと押してくれるのは共感者なのではないか。

里沙子は公判に通ううちに自分と被告人の水穂の姿がしだいに重なって見えてくる。
水穂の疲労や心の痛みと自分のそれとの区別がわからなくなってくる。
水穂の中に自分自身を見る。
子供を浴槽に落とす感覚まで里沙子にははっきりとわかる。

ただ最後のところで里沙子は水穂にはならないだろうという確信のようなものが残ったのではないだろうか?
里沙子は水穂に救われたのだと思う。
里沙子にとっては苦しい10日間だったが、その間水穂は里沙子にとって共感者でもあり併走者でもあったのだ。
これから里沙子の家庭はどうなるのだろう。里沙子はどう生きるのだろう。
きっと坂の上を目指して強く一歩を踏み出すだろう。
苦いけれども、私には納得のいく結末だった。

里沙子の義母の描写は面白かった。思いやりのある気のいい人柄。神経ピリピリの里沙子の言動にオロオロする姿は可愛らしくも気の毒だ。
坂の途中の家 Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家より
4022513454
No.76
(5pt)

痛いほどよくわかるのは母親との記憶の方

未婚で子供なしの女です。両親とも他界し身内は世帯を持った弟のみです
そういう女の人生の王道?から外れた女の感想としては正直、子どもに対しての感情は他人事として冷静に読めました
徹底的に冷めた目で見ても興味深く面白かったです

我が身にひきつけて切実さを感じたのは残りわずか数ページに書いてあった理沙子の母親への記憶。。まさに私と同じでした
母は表向きは私を応援してるふりをしましたが自分の不本意きわまりない結婚生活のうさを晴らしたいのかそれとも自分より若い同性への単なる嫉妬なのかわかりませんが、私をことあるごとにけなしまくり私が友人と遊ぶのを嫌い自分と違う自由で幸福な人生を選ぶのを全力で阻止しました
自分のような男に依存するだけの人生を選んで苦しんでほしくないという純粋な母心と、一人の女としては自分とは違ってあらゆる選択肢を選べる時代に生まれた娘に対する羨望と嫉妬でおそらく母親自身も切り裂かれていたんでしょう
母の私に対する態度と弟(母にとっては息子)に対する態度の違いは死ぬまで変わりませんでした
よくあることですけど娘は奴隷扱い、息子は王子様→夫で満たされなかった男性からの愛を代替的に満たしたんでしょうね
女の人は思春期をすぎたら母親を冷静に見たほうがいいですよ。母親なんてそんなきれいなもんじゃないです
母親といえど人間、一人の人間の一つの属性にすぎないです(世間はそう見てないようですけどね)
坂の途中の家 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 坂の途中の家 (朝日文庫)より
4022649089