モナドの領域

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モナドの領域の評価:

3.76/5点 レビュー 49件。 E ランク

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平均点3.76pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全34件 21〜34 2/2ページ
No.14
(5pt)

美しい、正面から神を扱ったSF

メタなネタを入れてますが、
神さまがなんで現れたのかはアニメ等などでおなじみのわかりやすい理由のSFです。

便宜上、GODと言わせてますが、モーガン・フリーマンが演じそうな神さまです。

この作者なので、笑いは的確にとっていきます。

確かに、綺麗なオチ。
静かに、以前よりちょっと幸せ。この神さまはやっぱりとても優しい。

God's in his heaven,all's right with the world.
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.13
(5pt)

饒舌な神

前半はまたなんだか難しげな話になりそうな予感がしましたが、後半GODが裁判所とTVで戦争、政治、宗教、哲学、多元宇宙などありとあらゆることに饒舌に答えるシーンは往年の筒井康隆が戻ってきたようで、うれしかったです。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.12
(5pt)

五十余年を経てかなえられた「神様、お助けを!」

筒井氏曰く「最後の長編」らしい。
 筒井氏曰く「最高傑作」でもあるという。
 本作は全四章形式となっており、河川敷と公園で女性の片腕と片脚が発見されるという事件を濫觴とする「ベーカリー」、全知全能となった結野教授の奇蹟を描破する「公園」、全知全能の結野教授、畢竟、《GOD》の裁判を叙述する「大法廷」、《GOD》のTV出演と後日談からなる「神の数学」である。重要なのは第四章「神の数学」であり、就中、TV出演場面の後半にて、《多元宇宙論》の話題におよんだ爾時、《GOD》は小説としては致命的なる発言をして本作が《メタフィクション》――作中では《読者参加型のメタフィクション》である《パラフィクション》とされているが――であることを標榜する。登場人物のひとりは「それ言うたら、おしまいとちゃうんけ」とまでいう。一見悪ふざけのような場面だが、全体的に上記の発言が本作の――ついでにミステリー部分の――主題となる構成になっている。
《宇宙はひとつではなく、なんらかのかたちで複数存在する》という多元宇宙論といえば、宇宙物理学の古典的理論であり、基本的にステージⅠからステージⅣまでのパターンがある。曩時は《すべての宇宙はおなじ物理法則にのっとっている》とされていたが、輓近は《巨億の宇宙のなかには、我我の宇宙とは相違する法則に支配される宇宙もありえる》とされる。其処で《GOD》は、《小説の世界はすべて可能な宇宙であり、いずれかの宇宙で実際に存在している》というように論述してゆく。
 此処において、《GOD》と《世界》の関係が《筒井康隆》と《作品群》のメタファーであることが闡明されてゆく。最終的に《GOD》が秘書役の登場人物美禰子に物語る《あの台詞》が感動的だと話題になったが、この台詞はネタバレしないのが暗黙の諒解のようなので引用はしない。ただ、《GOD》が《被造物》をあのようにおもっている、ということは、《筒井康隆》が《自作の登場人物たち》をそのようにおもっている、という構造は明白だろう。ゆえに、《あの台詞》は、小説という可能宇宙においての《神》である《筒井康隆》から、『虚人たち』の主人公へ、『パプリカ』の千葉敦子へ、『富豪刑事』の神戸大助へ、『家族八景』の火田七瀬へ、「時をかける少女」の芳山和子へ、『霊長類南へ』のブライアン・ジョー・バラードへ――、というように、《すべての登場人物》たちへのメッセージであるともうけとれる。最終的には、一九六〇年発表のデビュー作「お助け」において、絶望的なる状況で「神様、お助けを!」と咆吼した宇宙航空士訓練生への《お助け》になったともいえる。五十余年の時間を閲して、筒井文學すべてがひとつの円環をなすことになったのである。
 雑誌『新潮』掲載爾時から、《感動的》とまで絶賛された本作だが、個人的には《あの台詞》に落涙はしたものの《感動的》とまではおもわなかったし、筒井氏の《最高傑作》とまでもおもえなかった。「夢の検閲官」や「アイス・クリーム」のような短篇のほうが感動的だし、エンターテインメントならば『パプリカ』、純文学ならば『虚人たち』あたりのほうが筒井氏の最高傑作と鑽仰するに相応しいとおもわれた。と雖も、前述のとおり、本作をもって筒井康隆文學をウロボロス的に総括した神業的実験には万雷の拍手がおくられるべきだし、SF作家、純文学作家として五十余年にわたり第一線を驀進してきた筒井康隆氏の諸作の《総決算》としての文學的価値はあきらかであり、星五つとするだけの重要性は充分にあるとおもわれる。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.11
(4pt)

野間宏の全体小説の枠を、さらに拡げた、真の全体小説への試み? いや、違うなあ・・・

初出は、文芸誌『新潮』(2015年10月号)に一挙掲載された、御大の意欲作。

 河川敷で発見された女性の腕、公園で見つかった脚、バイト先で腕、脚そっくりのパンを焼いた美大生。
 SF出身の著者が、嫌っていた推理小説(結末は詭弁、だそうだ)の手法をも取り入れ、幅を拡げたのは、いつ頃からだったろう。
 しかし、そこからSF、実験、『文学部唯野教授』を想起させる思弁を重ね、数学、哲学、宗教、宇宙論(美術、音楽にはほぼ触れず)を踏まえ、教養小説、全体小説(野間宏のものとは、意味合いが異なる)、汎用性の高い入れ子構造のあるメタ小説へと飛躍してゆく。

 近代小説へのオマージュか、小説内に著者の注釈を挿入したり、逆に、新しい切り口で、小説の枠組みを毀そうとする試みを模索していたり。
 思えば、明治期の近代小説も、行き詰ったかと思える現代小説も、模索、試行錯誤、実験の連続。
 人称の統一、視点の統一、展開しながら持続性や一貫性を保つべきとされる物語構造など、文壇権力者たちにより出来てしまった小説のタブーに違和を感じ、成功したかどうかは別にして、挑み続けてきたのが、筒井康隆だ。

 本音を言えば、ノーベル文学賞候補に上ってきた日本の歴代作家と同等くらいに、あるいは、それ以上に、世界レヴェルで認知されてもおかしくはないのではないかと書けば、アゲ過ぎになってしまうだろうか。

 個人的には、文壇の主流から蔑まれつつ、大江健三郎に匹敵するとも思われる、ポピュラー音楽におけるパンク、ニュー・ウェイヴの役割を担ってきた(だから、パンク歌手の町田康を評価?)著者の、過激かつ優れたスラップスティックを量産していた1970年代までが、好みだが、『虚人たち』(1981年)で明白になる、若かりし頃からの心理学やSFからの影響に加え、トマス・ピンチョン等の北米、フリオ・コルタサル等の南米、ウルリカ・カリンティ等の東欧の前衛文学を丹念に読み、刺戟を素直に受け、困惑し、悩みつつ、今に至るプロセスは、成熟以外の何物でもない、と、つい、偉そうに言ってみたくなってしまう。

 御歳81歳、まだまだ走り続けて欲しいけれど、スぺキュラティヴ(思索的、問題提起)な作品と並行し、今の10代を大笑いさせてしまうものも、書いてもらいたいと、思う今日この頃。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.10
(4pt)

モナドの真理性

気付かないうちに、読み終えていた。
ストーリーは、単純だと思える。
また、極めて日常的でもある。

気になるのは、物語を語るルールに反しているとも思える点である。
物語を語る者が、自身を物語のなかで語るのである。
語る者と語られる者とが区別できなくなるような、物語のフレームを揺さぶる印象を与える。

物語の話者が、作者のことを語る。
しかし、話者のことを語っているのは、作者である。
その作者について、話者が語るのである。

ただし、この作者のファンなら、喜んでいい。
さらに、この作者の過去の作品を、これから読もうと思う読者にもいいだろう。
新たなファンも、増えるだろう。

それでも、先述のような語る者の重なりは、気になる。
全体を語ろうとしたのであろう。
物語を語るとともに、そうする自身も、それが本となってが出版され読まれる世界も、あるいはそうではない世界についても語りたいのではないか。

換言すれば、この世界すべてを視野に入れ、そのすべてを語ろうとした、と言えよう。
しかし、それは1つの試みとしてしか成立しないのではないか。
それでも、その試みがモナドなのだろう。

最後に、問いたい。
モナドは、わたしたちに、どのような影響を与えるのか。
望ましい一定の影響が認められるなら、それを緩やかな真理として受け止めたい。

望ましい影響は、必ずしも具体的な利益でなくてもいい。
また、ささやかであってもいい。
ほんの少しの、ものの見方や価値観、習慣が変わるような影響を求めたい。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.9
(5pt)

超一流の知的エンターテイメント

数多い傑作を有する筒井作品の中では、最高だとは思わないが、それでも超一流に面白い^_^ 頭の体操にもなった。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.8
(5pt)

レビュー

筒井 康隆さんの著書なので買いました さすが作者さん自身が最高傑作というだけありますよね 素晴らしい内容と感じました
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4103145323
No.7
(4pt)

著者の作品は初めてですが

このたび著者の作品を初めて読破しました。 なかなかのもので感動しました。
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4103145323
No.6
(5pt)

年齢を感じさせないものすごいチャレンジ

筒井氏の著作は昔から、哲学的な内容を含んでいるものが多いのですが、今回はついに神の概念を展開する作品でした。
神の発言を描くということ自体、作家としては最難関へのチャレンジと言ってもよいのではないでしょうか。
なおかつ、リアリティがあり、読者がついていけないといけない。

レビューによっては哲学と違うなどと見当はずれの批判がありますが、作品としてはストーリー上、哲学を利用しているのであって別に哲学の説明書ではありません。
神について語る時に、既存の哲学書もきちんとさらっているというに過ぎません。
いきなり人の腕が茂みに落ちているという始まりを、どう回収するのか想像もつきませんでしたが、読後、「なるほど、やられたぁ」というすっきりした感じもありました。

読み始めたら時を忘れ、用事を放り出し、筒井氏が長年培ってきた小説を読む楽しさの円熟の技を十分に楽しみました。
ありがとう、筒井康隆。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.5
(4pt)

日本人で良かった

昼に読み出して夕方に読了。 「いただきます。 ごちそうさま。 自然に感謝・・・」「原発の後始末は捨てたら終わりじゃダメ・・・」に共感。 支配・制御型社会から共生型社会へ変わる時期に出るべくして出てきた作品かな。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.4
(4pt)

現代世界の問題を織り込んだ、SFミステリ。

河川敷で発見された人間の片腕、引き続き片足も見つかった…。 一方で、犯人しか知りえないはずの腕の形や大きさ、そのままのパンが 近くのパン屋で売り出され、やけにリアルだと人気になっている。 捜査にあたる上代真一警部がそのパン屋を訪ねると、妙に視線の 落ち着かない美大教授、結野に出会い、物語は不思議な方向に展開 してゆく。 宗教と神、人間を結ぶ繋がりとは一体どうあるべきか? 現代のイスラムテロなどの事件を底辺におきつつ、神と人間との 関係をトマス・アクィナスなどを引きながらストーリーを展開、 キリスト教国やイスラム教国と違う日本の宗教観とのギャップも 正直に示しながら、熟練の筆が走る。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.3
(4pt)

枯れかけた熟成ワインの境地

まさに老齢と経験蓄積のみがなしうる円熟味と、肩肘はらずにムダをそぎ落として、シンプルに自らの到達した境地を綴った作品。
当然、作者の若いときのぶっとんだ発想力や大胆なストーリー展開を期待すべくもない。私は、ある程度の諦念をもって、この作品を
ポジティブに評価するけど、昔の作風を求めるような人には、期待外れかもしれない。

奇想天外がSFの専売特許だった幸せな時代から第一線をはりつづけ、宇宙物理学や量子力学の成果で、ある意味現実自体が奇想天外で
あることになってきている昨今の難しい状況でもなおかつ、人類の知の最前線を作者の力でしっかり消化して、平易なことばでアウトプット
できる力はさすがです。たいした展開もない中、作中人物の語りに引き込まれます。

「集大成」というより「境地」がぴったりくる作品。
私は、好きです。多分手元に置いて何回か読み返すでしょう。おすすめです。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.2
(5pt)

一気に読みました。面白かった!

小さなでも不穏な出来事が起こり、平穏な日常が徐々に変化し始める。
温厚な老教授は人相が変わり、彼の公園での子供との会話から始まる人間との関りは、すぐに集会となり、次に大集会となり、やがて法廷での弁論陳述となり、とうとうテレビ番組での特番へと巨大化していくのだった・・・。
宇宙も時間も全て超越した存在の彼(GOD)の前では人間はあまりに無力だが、でも彼は最後に言うのだ「愛している」と。

彼(GOD)以外の登場人物は、それぞれ皆作者によって絶妙に特徴付けられ登場時間の大小に関わらずみんな個性が立っている。
かつての文学部唯野教授の哲学講義のような難解な論議も、また楽しく、「このラストは『時をかける少女』のようだ」と書かれ実際その通りのように結ばれるラストの読後感の心地良い切なさ。

どうでしょう、少し興味持ってもらえましたか?
私は面白くて、一気に読みました。
多くの方におすすめする筒井さんのSFです!
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323
No.1
(4pt)

「可能世界」という概念をテーマとして、ラストでロマン溢れる感動が待っている秀作

本の帯に「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」とある。表題中の「モナド(=monad)」とは主に計算機用語で「(計算用の)デザイン・パターン」程の意味を持つ。即ち、「モナドの領域」とは「神(作中ではそれを超越した絶対者<GOD>)のデザインの範囲内」の意で、ストーリー展開を無視すれば、本作は、「この世は全て<GOD>の意志通り」というのが主旋律である。筒井の事なので、理論武装は万全で、宗教論というよりはむしろ哲学論争が繰り広げられる。特に、ラスト近くで提示される<GOD>の"論理計算式"はウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」を想起させる。

絶対者<GOD>は戦争や災害なども美しい(善である)と言う。何故ならば、それらを含め、全てのものは<GOD>が創った(デザインした)ものであるからである(しつこい様だが、「聖書」中の神による万物創造などとは次元が異なる)。読み進めるに伴い、筒井(あるいは他のSF作家)がこれまで扱ってきた多次元宇宙に近い、「可能世界」という概念が本作のテーマである事が分かって来る。私が不思議に思ったのは、哲学に関する理論武装や多次元宇宙といった筒井ファンにとってはお馴染みの題材を何故今扱う必要があるのかという事である。現代の世相に対する筒井特有のシニカルな批判も見られない。それに対する回答はラスト数頁で明かされ、ロマン溢れる感動をもたらす。筒井自身が「時をかける少女」のラストに喩えているくらいである。個人的には「我が良き狼」の詩情を思い出したが。

本作が筒井の最高傑作か否かは判断出来ないが、現代の困難な世情が本作を書かせたのではあるまいか(作中でも言及される「カラマーゾフの兄弟」中の<神になるべき>アリョーシャの<神化>を先取りした感もある)。とにかく、本作が"最後の長篇"となって欲しくはなく、これからも筒井独自の作品の発表を期待したい。
モナドの領域 Amazon書評・レビュー: モナドの領域より
4103145323