オススメ?ダメダメ? 推理小説(ミステリ)について読書管理や感想を書いていく書評サイトです。 はじめての方はこちらからどうぞ。 サイトの要望はこちらからどうぞ。
2026年度雑誌ランキング
会員機能
その他
テスト稼働中自由に遊んでみてください!
【木下昌輝】
【この小説が収録されている参考書籍】
【この小説が載っている参考書籍】
人魚ノ肉の評価:
3.95/5点 レビュー 20件。 B ランク
Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点3.95pt
絞込み:
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。 未読の方はご注意ください
史実の妖しさと創作の怪しさ
新人の2作目とはとても思えない。実は凄い良作なんじゃあ?と思わせる
左目が潰れているが、なぜか死角の左から攻められると強い平山五郎。
池田屋事件で結核のため、喀血したと言われる沖田総司。
大晦日に介錯で汚れた手を洗いもせずに餅つきの返し手をした安藤早太郎。
切腹したにもかかわらず、数度蘇生し新撰組隊士に斬りかかった佐野七五三之助。
介錯の失敗が原因で首が横を向いたまま戻らなくなった横向き小文吾こと、沼尻小文吾。
山口次郎、斎藤四郎、藤田五郎など変名の数々を持つ斎藤一。
これらの実際にあった史実伝承を、百眼鬼、吸血鬼、ゾンビ、首なし幽霊、ドッペルゲンガーなどの怪異と絡めている。Wikiなどで各隊士の逸話を確認すれば、荒唐無稽な作り話を無理矢理怪異にしたのではないことがわかる。
特に感心したのは、いつも穴の開いた袷の服を着てそこから指を出して考えごとをしていたと言われる山南敬介だ。彼が怪異になるわけではないが、着物に開いた穴という伝承から、沖田総司とのドラマに重要なオチをつけている。見事。
ビックリしたのは、京都の女陰陽師が隠れ切支丹で血の儀式をしていたが、大塩平八郎に摘発され磔にされたというエピソード。さすがにこれは創作かと思っていたが、新聞の書評によると実際にあった史実らしい。これを幕末の新撰組に繋げるのは、やや乱暴だが豪腕には違いない。
個人的にニヤリとしたのは京都の北山に、口寄せの巫女がいるというエピソード。実はこれも史実で、今でも祇園などの花街では接吻のことを「北山(口同士を寄せる)」という隠語で言う。知ってる知ってると思わず膝を叩いてしまった。
史実の妖しさと創作の怪しさが絡み合う好編だ。どこまでが本当に史実か、を調べるのもまた楽しかった。