太宰治の辞書
評判
太宰治の辞書の評価:
3.43/5点 レビュー 40件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 21〜40 2/3ページ
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
太宰治の辞書の評価:
3.43/5点 レビュー 40件。 D ランク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
『空飛ぶ』で19歳だった《わたし》は30代中頃になっている。2冊の本の発行間隔とと同じ年数が経過したことになる。結婚し、小田急沿線に家を建てた。中学生で野球狂の息子との三人暮らし、現在は東京の「みさき書房」という小さな出版社の編集者である。不定時な勤務を夫の理解で凌いでいる。
親友の正岡正子、庄司江美も元気そうだ。正子は独身で、郷里の二宮で高校教師をしている。江美は九州にいる様子。探偵役の春桜亭円紫師匠も今や常時大トリを努める名人格になっている。
『空飛ぶ』はライトノベルな風合いながら、含蓄に溢れていて、私は女子大生《わたし》の豊富な読書経験に嫉妬すら覚えていた。軽い事件の裏に、引用された本が示唆する重大な秘密が隠されているのではないかと疑ったが、読んだこともない書名の羅列なのだから、取り付きようがなかった。
本書では小説それ自体が謎解きの素材になっている。書中で引用される小説は、前作と違って、芥川、太宰、三島など、日本文学で著名な作家の作品でしかも短編だから、そのほとんどを読んでおり、再読もKindleで安く入手できるお陰で《わたし》による語りと同時進行で楽しんだ。
『空飛ぶ』で読書仲間を困惑させた、「コーヒーってバロックみたいな、それから紅茶ってロココみたいな」のロココの謎解きが本書のテーマなのも嬉しい。こういう推理小説もあるのだと感心する。ちなみに本書の「ロココ」の頻出度を数え上げてみたら、なんと53もあった。《わたし》(なのか作者なのか判らないが)のロココへのこだわり方も尋常でない。
さて本書は「花火」「女生徒」「太宰治の辞書」の3篇から成るが、連作短編と言うべき仕立てで、順序よく読んでゆくことが求められている。職場での何気ない会話が伏線で、最後に「オチ」がつくので、読み飛ばせない。
まず「花火」では、芥川龍之介の「舞踏会」がフランス海軍の将校だったピエール・ロチが書いた『日本印象記』が元ネタになっていることがヒントだが、小説「舞踏会」は、H夫人が、その昔鹿鳴館で踊った海軍将校の名は『御菊夫人』を書いたピエール・ロティだったのですね、と聞かれて、「いえ、ロティと仰有る方ではございませんよ。ジュリアン・ヴィオと仰有る方でございますよ」で終わる。《わたし》はそこが問題なのだという。ロチのこの本は、当時野上豊一郎訳『お菊さん』の書名で流布しており、野上と友人だった芥川がこれを知らないはずがない、という。芥川の改ざんを巡って、三島由紀夫と江藤淳が呼び出され、芥川の「真実」の正体に推理が及ぶ。
「女生徒」と「太宰治の辞書」は一続きの話だ。先ず「女生徒」は、太宰治の同名の小説の大半が、彼のファンだった有明淑から贈られた「日記」の写しであることが暴露される。文学者仲間では知られた話らしい。もちろん《わたし》が言うように「取材源となったものが何であれ、作品は作家のもの」である。だが《わたし》は編集者である。「これだけの小説を書かせてしまった」《元》の方も覗いてみたい」
「日記」の探求も面白いのだが、更に面白いのは、太宰書の文中に、母への急な来客に、間に合わせの「ロココ式」料理を作って御馳走する場面がある。この部分は太宰のオリジナルだそうだが、主人公の女生徒は、「ロココという言葉を、こないだ辞典で調べてみたら、「華麗のみにて内容空疎の装飾様式」、と定義されていたので、笑っちゃった。名答である。美しさに内容なんかあってたまるものか」という。そこで《わたし》に疑問が沸く、太宰はどの辞書を使ったのだろうかと。
この疑問を解明するために《わたし》は編集者という世間的「権威」も利用して、あらゆる伝手をたどり、当時の太宰も覧たと思われる大小様々な辞書・事典を見つけ出しては「ロココ」を引く。「華麗のみにて内容空疎の装飾様式」に近い記述がある大辞典も見つかるが、《わたし》の眼目は、太宰が常に机上に置いて使っていたという『掌中新辞典』である。この件では円紫が宴席でふと漏らした、「何だったか……太宰の知られた短編に、家族を置いて飲みに出るというのがあります。そのとき辞書を持って出ていた」という会話がヒントになる。円紫さんも出番を心得ている。
最後はその「懐中」辞典のありかを突き止めて前橋の群馬県立図書館まで行く。前橋文学館で萩原朔太郎の碑文を読み、一行目の〈わが故郷に帰れる日〉が、詩集の〈わが故郷に帰へる日〉と一字違っているのを「発見する」オマケもつく。さて満を持して閲覧した、大正13年10月1日発行《東部第十四部隊気付》と元の持ち主の住所が記載されている『掌中新辞典』にはなんと「ロココ」の項目がなかった、というのが結論。「内容空疎」と書いたのは太宰で、だから「美しさに内容なんかあってたまるものか」という彼の言が続くのだ。
あらすじを書いてしまえば雑作もないが、本書の凄味は本筋に付け加えられる様々な「余白」である。第一級の蘊蓄本だ。これを書く作者も只者ではないが、これを浮き浮きと読むことの出来る私も多分「只者」ではないなと、納得する一書であった。