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手紙
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手紙の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全427件 141~160 8/22ページ
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読む前に映画を見たのは失敗だった。映像でこびりついた登場人物や場面、設定等を、読みながら無意識的になぞってしまうからだ。 小説の分水嶺になる、平野社長の2度の登場とそこで深まるターニングポイントが、映画では略されていてテイストが違う。直貴のバンド音楽を映画で表現するのは困難なので、お笑いに置き換えているが、小説のしかけで重要な曲「イマジン」が映画では捨象されている。ラストも似て非なるもの。先に小説を読むことをお勧めする。それにしても、初めて東野氏の著作を読もうと思ったきっかけは、この映画ではあったのだが。 東野氏の文章は読みやすい。それは推敲され尽くされていて、時に後から付け足されたものも散見するが、構わずテンポよく読み進められるので、ボリュウムは気にならない。東野氏が登場人物にどれだけ憑依して描き切っているかが、リアリティ感につながっている。 犯罪の動機を推理小説に導入したのは松本清張氏だが、東野氏は犯罪が何をもたらすかを人間の網の目において知らしめた。一方で現実に起きる不可解な事件については、なぜ起きたのか、が問い続けられる。「手紙」の動機は分かりやすいが、分かりやすさ故に真の動機は看過される。ラスコーリニコフではないと言えばそれまでだが、東野氏の想像力で踏み込んでほしい。 | ||||
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兄の強盗殺人の罪で弟は「犯罪者の弟」というレッテルを貼られてしまう。 読んでいて実際にありそうな話だと思いました。 犯罪者やそれに近い人がいたら自分ならどうするか想像してみたけどやっぱり差別してしまうと思う。 この本を読んで差別や殺人の重さについて改めて考えさせられました。 オススメできる本だと思います。 | ||||
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本書『手紙』の主題はズバリ、“殺人犯の家族”。 だが、彼らが単に社会の差別や偏見と闘う姿を描いた物語では、まったくない。それを乗り越えてやがて幸せをつかむまでの涙、涙、のお話でも、もちろんない。 この小説が感動的だとするならば、ひとつの選択にたどり着きながらも、グラグラと揺れている人間がそこにいるから、である。その意味でラストの10行はグッと一気に込み上げるものがあったが、全編を通して概ね作者のタッチは冷静さを欠くことなく、読者もそのストイシズムにときどき深い溜め息をつきつつグイグイと牽引されていくことになる。 そんななか、主人公・直貴の人生の節目節目でひょっこり姿を現す由実子という女性の天使性には、ホッと心が安らぐ。またもうひとり、新星電機という会社の社長、平野の存在も稀有だ。その仙人っぽいたたずまい、そして言葉に、直貴も読者も一条の光を求めるようにすがらずにはいられない。 あるいは『罪と罰』クラスのヘヴィー級のタイトルでさえ似合いそうな本書であるが、そう大上段には構えず、サラリと『手紙』としたところにも、この作者らしさというか美質がよく出ていると思う。 | ||||
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「弟」のために犯罪を犯した「兄」。 その犯罪は、けっして許されることではありません。 でも、兄の思いが とても胸に響き 読むのが辛くなりました。 弟は、兄が犯罪を犯した為 差別をうけます。 兄の思いも分かるけど、差別を受ける苦しみ とても苦しくて辛かったと思います。 犯罪について とても考えさせられました。 最後の方は、涙が止まりませんでした。 とても胸が痛かったです。 読む価値があると思います!。 | ||||
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東野圭吾さんは今やミステリーの大家ですが,本書はミステリーではなく犯罪者の家族という問題を真正面から扱ったものです. 主人公は犯罪者の弟ですが,彼のもとに兄からの手紙が届きます.そして,そのたびに彼の人生は軌道修正を余儀なくされます.とても考えさせられるテーマで,主人公に思い入れをしてしまいますが,ラストはちょっと心情が読みにくい気がします. | ||||
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東野圭吾の『容疑者xの献身』『秘密』『さまよう刃』、そして今回『手紙』を読んで改めて東野圭吾は凄い作家だなと思った。自分はミーハーな読者ではないつもりなのでドラマ化や話題性といった流行で本を選択したりはしないし、どちらかと云えば作家を賞賛するよりも批判して扱き下ろす方が好きなのだが、東野圭吾の着眼点には脱帽する。 今回の『手紙』を多少強引に既存の作品に故事つけると、宮本輝『錦繍』をバックボーンに森鴎外『高瀬舟』と藤村『破戒』的要素を加えたような作品だと思う。特に東野圭吾の着眼点に惹き付けられたのは、「犯罪者の親族は一生差別されて然る可き」という観念があることだ。当たり前だが法律的に犯罪者の親族が差別待遇を受けるべきだという根拠はない(江戸時代には一族郎党が処罰された)。しかし現実には差別される。こういった話は、藤村の『破戒』を髣髴とさせた。明治時代に入ってアウトカースト(この語のせいで反映されないみたいなのでアウトカーストと表記)という法的差別は無くなったはずなのに不文律として日本国民の間に根強く差別感情が残った。『破戒』の主人公丑松はアウトカーストということを暴露されてしまうと弁明することなく生徒の前で土下座して、アウトカーストであることを匿していたことを謝罪し日本にいられなくなってしまう。この結末に僕は釈然としないものを感じていた。どうして丑松はこう抗議しなかったのか。「明治の時代となって四民平等となった時世にも拘わらず差別されなくてはいけないのだ。寧ろ悪いのは自分ではなく法律に在りもしない不当差別を呈するそちら側ではないか」と。しかし、丑松は抗議することなく謝罪してアメリカに追いやられるように去ってしまう結末は、『破戒』が初出された1906年という時代の限界なのかと感じた。しかし、それから100年経っても尚、法律にはない不文律による差別が描き出される。こういう日本社会に昔しからある後ろ暗さ、不条理さを見つけ出す着眼点が作者の凄いところだなと思った次第である。また「犯罪者の親族は一生差別されて然る可き」と諭した社長と主人公の対話は『破戒』の丑松と丑松の父親との対話を彷彿とさせた。若者丑松は自分がアウトカーストであることをカミングアウトし被差別民を弁護する猪子蓮太郎先生に憧れ、自分も先生のように正正堂堂と生きてみたいと思う。一方、一世代古い丑松の父は「決してアウトカーストであることを漏らすな」と堅く諫止する。 他作品でも、『秘密』では遺族側ではなく加害者側の遺族の事情を斟酌しようとする部分、『さまよう刃』では被害者ではなく加害者の方が懲罰よりも更生に力点を置く社会システムによって保護されてしまう問題などが、作者の着眼点がキラリと輝るところだなと思う。 | ||||
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自分が刑務所に入れば、 周囲の人間も罰を受ける事になる、 という平野社長の言葉が印象に残った。 心の中で差別はいけない事だと思っていても、 彼の言葉は正論であるが故に否定する事ができない。 どうしたってこの社会から差別はなくならないのだと、 不本意ながら認めざるを得なくなった。 暗くて重い話だけど、それだけ深みがあって 現実の厳しさを痛感させられる。 ハッピーエンドでもバッドエンドでもないのに、 何故か最後は涙が止まらなかった。 | ||||
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殺人犯の兄を持った主人公が、 人生の節目節目でことごとく その現実を突きつけられる姿は読んでいて 苦しくなってしまいます。 絶望と兄への思いの葛藤、胸に迫る物がある。 そして作中である人物が語る印象的なセリフ。 だけどこの人物が言っていることが必ずしも 正しいわけではなく、 その人物も正しさなんて誰にもわからない、 ということを言うのがまた深いです。 | ||||
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読み終えたとき 久しぶりに楽しい本に出会ったと率直に思った。 読み進めている途中でもいろいろな人の立場になって読んでいた。 しかしストーリーは直貴目線で話しは進んでいく 直貴中心の苦悩の話しなのかと途中で残念でもあったし、次はこういう展開になるだろうと話しがよめてしまう場面も多々あった。 ところどころでキーワードがある。 そのキーワードの意味や裏に隠された意味を考えるのは楽しかった。 イマジン、ジョン・レノンもそうだろう。 本当の平等とはなんなのかを考えるのにも最適な一冊だと思う。 差別のない世界とはなんなんだろうか? 平等な世界とはなんなんだろうか? 差別のない=平等 なのだろうか? | ||||
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まあまあといったところか 個人的には、肝心の『手紙』を扱うシーン これについて、刑務所などの細かいシステムは分からないが この小説に記されているような使い方やこのラストよりは どんどんと兄が嫌いになっていき関係を切ろうとし仕事もやめさせられかける主人公に対し 懸命に主人公のよさを訴えて社長を説得する兄という構図のほうが感動的だったのではないかという別案が浮かんでしまったので、星4つ | ||||
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兄弟姉妹がいて少しでも情を感じたり、怒りを感じたりと 誰もが経験しそうなことがあれば必ず引き込まれるでしょう。 ロックバンドの展開は作者独特の少々強引な内容に受け取れましたが、 この作者の特徴であると認識しました。 ここは余分な味付けな印象です。 こういう兄弟って戦後の貧しいところからスタートした日本には 多く存在したのではないでしょうか。 親も戦死してしまい、窃盗に走ってしまう未熟な存在という意味で。 自分は学生時代に食えなくて兄がバイト先からもらってくるお弁当で過ごしていた日々を重ねてしまい、 涙がでてしまいました。 兄弟(姉妹)をもつひとならばとても感動できると思います。 | ||||
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難しい問題を正面から堂々と、最後まで書き切ったな、という印象です。 こういう多面的で複雑な問題に、著者なりの視点を加えつつ読者を納得させるようなキチンとした結論を描くと言うのは、相当に難しい思考作業だったろうと思います。 初出は新聞の連載小説だったとのことです。 しかしこの小説は、途中のエピソードはともかく、最後のまとめ方をキチンと練り上げた上でなければ書き始められなかっただろうと思います。 素晴らしい読書体験をさせてもらいました。 | ||||
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文章の構成が素晴らしい。ラストシーンの前までは作者にそういう意図があったのかは知らないが、差別について社会的に考えさせられた。ただ辛いなぁ、と苦しいだけの文章。でもラストシーンを読むと、それまでの辛く、重い話のすべてがこのシーンの為の布石であったことが分かる。辛いんだけど、救われないんだけど、この本は全てを読むだけの価値がある。そう思わせるほどの美しいラストシーンだった。 | ||||
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罪に対して、深くいろいろと考えさせられました。 「罪と罰」を思い出します。 後半は涙なしには見れませんでした。 自分の人生でも何か成し遂げるべきものがあるんだろうなと、強く思った次第です。 素晴らしいの一言。 | ||||
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剛志以外に悪人は出てこない。 普通の人達の普通の反応を丹念に積み重ねることで リアリティを構築している。 剛志でさえも犯行以外は善人として描かれている。 これを長ーい伏線とすれば、「犯罪人の家族を差別 すべし」という思想の果てに導かれるカタルシス --本当の罰を受けよ--によって三者にもたらされる 変化には、ミステリー作家ならではのどんでん返し 感がある。 罰することを忘れては救われないのだ! 直貴物語のリアリティによって、このカタルシスが 際立っている。 よくできた小説だ。 難点を言えば、孝文襲来時の発見、コンドーム、白石方 の手紙、電器屋事件などは少々強引に写った。何も特別 なことは起こらないのに結局そうなってしまう、という 姿勢を貫いてほしかった。 | ||||
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「手紙」を読んで、内面を描写する作品と行動を描写する作品があることが分かった。 まじめの罠、に嵌った兄の重い思いから逃れることができない弟。 大学、歌、人との付き合いが戻って行くなかで,揺れ戻る状況。 人生が波動だということを示す作品。 東野圭吾のどこから生まれでて来るのかまだ分からない。 | ||||
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殺人犯を身内にもってしまった苦悩。 この本のテーマであり、真摯に手を差し伸べてくれる人もいれば、丁寧に拒絶する人もいる。 実際、現実でこういう状況になれば、そうせざるを得ないこともこともあるかと思います。 この小説の面白さは、差別に押しつぶされそうになっても、 必死に抗おうとする主人公の強さと人間性にあります。 ただ、重い話というだけでなく、適度に緊張と弛緩を織り交ぜて行き 読者を飽きさせない手法はさすがだと思います。 | ||||
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学生です。たまたま家にあったので暇つぶしに読んでみました すごく奥が深く、夢中になって読んでいたらあっという間に読み終わりました 犯罪者の弟が「犯罪者の兄」を持ったがゆえに様々な困難にぶちあたっていく話です 刑務所内の兄と手紙のやりとりもあります この本を読んで、差別や偏見や区別という概念は簡単なものではないと思いました 「差別や偏見がない世界なんて絵空事」というフレーズにものすごく納得しました それまで「自分は絶対差別はしない人間だ」と思っていたはずなのに。 筆者が伝えたい事は加害者の苦しみや兄弟のつながり、犯罪の愚かさなどそんな軽薄なものではないと私は思っています 確かに物語の展開は非現実的で(小説だから仕方ない?)「犯罪者の弟が次々に兄のせいで苦しんで、でも理解者があらわれて結婚もして。。。」という展開だけに焦点を当てれば無理矢理すぎる。つまらない」とも思える小説です。 もっと深いなにかがあります文才ないのでどう書いたらわかりませんが、読めばわかります | ||||
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ここ最近、犯罪者の家族を描く作品をよく見かける。 八日目の蝉や悪人などがそれである。 そしてこの作品を含め、犯罪者の家族は人生を大なり小なり狂わせているように描かれてる。 その要因の一つとしてメディアが挙げられるように思う、それは犯罪者を血も涙もない鬼のように描き、被害者側を悲劇のヒロインのように描く。犯罪者の陰に見え隠れする優しさや苦悩は一切無視である。 当然、犯罪は許されることではないが、これでは被害者側の家族が社会から居場所を失うのは必然だ。 奴らが騒がなければ、もっと多くの人が平穏に暮らせるのではないかと思う。 今回の主人公は過激な報道だけのせいで苦しんだわけではないが、そんなことを感じさせられた。 長々とメディアのことを語ったが一番印象的であったのは、社長の差別を受けるのは当然 という、歯がゆいが的を外していない意見を主人公に伝える場面であった。 | ||||
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刑務所で服役している兄からの手紙がこの物語のテーマになっています。 犯罪者の弟というだけで社会でどれだけ冷たい目にあうか というのがこれでもかというほど続いていきます。 主人公(弟)に何とか幸せになってもらいたい一心で読み進んでしまいます。 実際加害者の家族はこのような仕打ちを受けて行くのかもしれません。 加害者が罪を償い、家族にも重い責任を伴わせてしまう。 暗く悲しい物語です。 | ||||
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