土漠の花

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評判

土漠の花の評価:

3.78/5点 レビュー 154件。 B ランク

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平均点3.78pt

Amazonレビュー一覧

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全185件 181〜185 10/10ページ
No.5
(4pt)

息詰る逃走劇

ソマリアでの海賊対処のためジプチに配備された12人の自衛隊員が、墜落したヘリの捜索の際に、突如として武装集団に襲われる。
きっかけは、武装集団に部族を虐殺されて逃げてきた女を保護したことだった。
そして、最初の攻撃を生き延びた7人と1人の女の逃走劇が始まる。
何度振り払っても執拗に追撃して来る敵。しかも、その数はどんどん増してくる。
隊員が1人、そしてまた1人と英雄的な最後を迎える中で、生き残った者たちは捨て身の行動を取る。

映画にあるようなテーマだが、逃走と戦闘を通じて隊員同士の心が徐々に通じ合い、全員の肝が据わっていく過程がよく描かれている。
また、ソマリアをはじめとしたアフリカ諸国の悲劇が浮き彫りにされている点も評価できる。
土漠の花 Amazon書評・レビュー: 土漠の花より
4344026306
No.4
(3pt)

巻頭に登場人物一覧がほしいと思った。ティアーズ・オブ・ザ・サンというか、

自衛隊精鋭部隊の隊員が出てくる「BUGS―捕食者たちの夏―」「生存者ゼロ」にも似てるかな?

ぶ厚い装丁ですが、そんなに長い作品でないのと「起転結」ストレートなストーリーで、割合早く読み終えることが出来ました。カンの良い方なら、誰が生き残って誰が死ぬとか、救援が来ない理由、巻末に書いてありますがどんな本を参考にしたのかすぐ気付くのではないでしょうか。
「兵士に告ぐ」とか「裸の自衛隊」を主要参考文献にしなかったのが意外でしたが(読んでいないのか、読んでても参考にしなかったのか)

フィクションに因縁ををつけるのがレビューの目的ではないのですが、自衛隊員を描く作品なら、執筆にあたり実際に隊員からお話をうかがったりしたのでしょうかねとちょっと疑問?

作中で語られる隊員の背景も、実際に隊員なり誰かから聞いた話を基にしたというより、参考文献からそのまんま引き写ししたと感丸出しなのも惜しいです。
そのせいで作中の登場人物に感情移入することが自分には出来ませんでした。そのせいで第三者的な視点から一気に話を読み進めることが出来ましたが。
もう少し突っ込んでおくと、通勤途中に交通事故にあったら労災認定、車両保険、生命保険から保険金が降りるし、母子家庭や高校行くのに奨学金が必要な家庭なのに生活保護を受けていない?のも疑問に思いました。

空挺隊員ならレンジャー課程(集合教育)を出ている隊員も多くもっとタフだし、徒手格闘も銃剣格闘も得意なのではないでしょうか?
人としての内面的な弱さとその克服を描くことを否定はしませんが、それなら第1空挺団ではなく一般の部隊という設定にしたほうがよかったのでは?
任期制隊員、曹候補生、自衛隊生徒、部内選抜幹部といった隊員の期別についてはあまり触れられていませんが、即席の編成だとしても隊員の構成が若すぎ。一士が多いということは入隊1〜2年目の隊員ばかり?実際の部隊なら士長や三曹、二曹がもっといるんじゃないかと思うんですが。
年齢の割りに昇進の早い曹長というのは実際にあるようですが、そんなに優秀な空挺隊員なら特殊作戦群から声かかりません?

集団的自衛権の解釈変更を巡る閣議決定が下された直後に発表された作品ということもあってつけた、
「日本の眼前に迫りくる危機を活写しつつ謳いあげる壮大な人間讃歌。男たちの絆と献身を描く超弩級エンターテインメント!」
という宣伝コピーは主版社の煽り過ぎじゃないかと思います。

しかし、話のテンポもよく読後感は悪くないので、作者のファンとか、手軽にアクションエンターテイメントを読みたいという方にはオススメできる作品だと考えています。
土漠の花 Amazon書評・レビュー: 土漠の花より
4344026306
No.3
(5pt)

時間がある時に読みましょう。

ノンストップ、息継ぎ無し!中断不能です。
現地部族の武装組織の追跡を逃れて
70キロ離れた基地に辿り着くことが出来るのか・・・
ストーリーはそれだけ!
しかし、濃いです。
自分の印象は、「これはギャビン・ライアルの「深夜+1」の自衛隊版だ」と。
土漠の花 Amazon書評・レビュー: 土漠の花より
4344026306
No.2
(5pt)

迫真の描写と、爽やかな読後感

ジブチとソマリアの国境近くの砂漠で、12人の自衛隊員と1人の現地人が、武装した者達に突如襲撃される。それも巻頭において致命的な打撃を被る。
どうやって生き延びればよいのだ。必殺の秘密兵器も、超人的な能力も、巨大組織の後ろ盾も、何も設定されていない。武装解除された、現実的な姿の人間達がいるだけだ。
舞台設定の仕掛けを、意図的に削ぎ落としたのだと思った。著者の構成力だけで惹きつけ、読ませるのだ。

人物達の中に個人史と軋轢と疑惑が隠れており、対人関係の力学が作動し、小さな集団の内側からも入り組んだ物語が立ち上がってくる。
アフリカの地で大事な人を失い、初めてアフリカの人達の痛みを共有する。二章の結末で(いうなれば)「生まれ直す」友永が凛々しい。
三章で、失った誇りを取り返すために自ら行動をはじめる津久田が、かっこいい。
不条理に立ち向かい、生きる途を求めて戦い、自分を取り戻す。そのプロセスは極めて具体的な事象を介して、鮮明に語られている。

文にうねりとリズム感のある推進力を感じる。舞台設定の仕掛けを意図的に削ぎ落としていると思われるが、それだけに、 著者の筆力の特質が現れているのだと感じた。
戦闘の場面の上手さは健在だ。読む者を息もつかせずぐいぐい引っ張っていく。中身のぎっしり詰まった満腹感も健在だ。
加えて、この作品では、読後感が爽やかだ。
これは会心作に違いない。
土漠の花 Amazon書評・レビュー: 土漠の花より
4344026306
No.1
(5pt)

「人」を描くという事の大切さ

多数の原案・脚本を務め、「機龍警察」シリーズで傑作ストーリーテラーとして君臨している月村了衛による書き下ろし長篇。
失敗国家として悪名高いソマリアを舞台に、陸上自衛隊の最精鋭・第一空挺団の元に駆け込んだ一人の女。
凄絶な戦いの果てに彼等を待ち受けるものは…

年始の「未亡旅団」以来、「そうだ!こんな物語を待っていたんだ!!」と思わず大歓声を上げてしまった…
やはり優れた作家とは、「キャラクター」ではなく「人間」を書く事が出来る人なのだろう。
ただの一人も、噛ませ犬の様な存在はいない。
登場人物・物語・設定、全てが文中に確かに「生きている」フィクション、エンターテイメントだ。

月村了衛は「ノワール」「機龍警察」だけではない。
ジョン・ル・カレに比肩しうる存在である事を知らしめるであろう。
土漠の花 Amazon書評・レビュー: 土漠の花より
4344026306