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(短編集)

ハル



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【この小説が収録されている参考書籍】
ハル (文春文庫)

ハルの評価: 3.82/5点 レビュー 11件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.82pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全11件 1~11 1/1ページ
No.11:
(2pt)

ちょっとくどい

ちょっと物悲しい、人類がいなくなったロボットだけの世界という世界観が好きな人や、鉄腕アトム世代の人はハマルかもしれない。
人間に近いロボットとは何か?を考えると人間とは何か?を考えなければならなくなる。そのテーマが全編を通して表されているが、僕にはちょっとくどかったです。
荒廃した未来につながるボタンの掛け違いみたいなものを匂わすシーンがところどころに出て来るが、ちょっと大袈裟なように感じる。
少なくとも、ロボットがあまりに人間的な仕草や反応をしたとしても、僕は気味が悪いとも思わないし、人間だけ知性を持っていて、あらゆるものより特別だとも思わない。
コピー機が開発された時に、本屋が潰れると危惧されたらしいが、そんなことは実際に起きていないし、
テレビゲームが子供の発達に悪影響を与えるという専門家は多いが、良い子はちゃんと育っている。
現実は、そんなものなのにと思ってしまった。
もちろんAIが人間の心に近づけば近づくほど人間の醜さにも近づいてしまうのかもしれないけど。
ハル (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ハル (文春文庫)より
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No.10:
(5pt)

「人間とは何か」、「生命とは何か」を考えさせられる1冊でした

瀬名秀明と言えば、『パラサイト・イヴ』、『BRAIN VALLEY』が有名だけど、私的には、『デカルトの密室』を始めとするロボットモノのほうが好き。この『ハル』もそのタイトルどおり、ロボットモノ。

ロボット、ヒューマノイドと言ったほうがいいのか、ここのところ、瀬名秀明の小説や評論には、ヒューマノイドを題材にしたものが多い。この『ハル』は、「2001年宇宙の旅」に出てきたHAL2000からその名を取られているように、ロボットを題材にした連作短編集。『デカルトの密室』に先駆けて、2002年10月に出版され、収録されている作品も2000年から20002年にかけて書かれたもので、瀬名秀明のロボットモノの初期のものに当たる。

どれも良かったが、特に良かったのは、「見護るものたち」、「亜希への扉」と「アトムの子」。
「見護るものたち」は地雷除去に従事する地雷犬とロボットとタイの少女の関わりが切ない。
「亜希への扉」は、ロボットを仲介とした小学生の少女とロボットコンサルタントの関係がよく描かれている。
「アトムの子」は、アトムを実際に作ろうとするロボット技術者たちの情熱とアトムがロボットの発展に持つ意味が考えさせられた。

どれもロボットを題材にしてはいるが、そこに描かれているのは、「人間とは何か」、「生命とは何か」という深い問い。考えさせられました。
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No.9:
(4pt)

「ハル」

瀬名さんについては、「パラサイト・イブ」はあんまり好きでなかったのですが、「ブレイン・ヴァレー」ですごくはまって、「あしたのロボット」を図書館で借りて読んでいたのですが、2回借りて、また読み返したくなって、やっぱり買えばよかったーと思っていたころ、「ハル」が出版されたので購入しました。
個人的には「あしたのロボット」の方が題名としても好きだったかな。。
ロボット好きなら外せないと思うのですが、どうでしょう?
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No.8:
(4pt)

SF世界と現実のギャップ。多様性と進化のお話.

瀬名秀明というひとが、ここまで才能にあふれたヒトだったとは「パラサイト・イブ」を読んだときは思わなかった.デビュー作はいわば自分のフィールドから生み出された、SFというよりホラーだった。しかし。「ブレイン・バレー」やこの「ハル」は、脳科学、ロボット工学という全く畑違いのところから、十分な取材を通じて、先の世界をSFとして夢想したものであり、読み物としてもとてもよくできていて、感心した.機械やペットに魂を感じるのは日本人の文化的な背景からくるものなのだろうが、それゆえ2足歩行のロボットは、いろいろなかたちで、創造をかき立て、「アトム」「ガンダム」「エヴァ」と引き継がれ、現実社会ではASIMOなど大型のものから、トイ型の2足歩行ロボットが市販されるまでになっている。つい最近、実寸大女性ロボットが発表され、2−3000万円台で販売されるそうだ。(しかし、どう見てもまだおもちゃの領域だが)来年は2010年、21世紀になって10年になるが、いまだSF世界へは手が届いていない.しかし、SFがあくまで、「科学的な知識をベースにしたフィクション」であって、未来社会を予言したものではないことの証だろう。フィクションはフィクションなのだ。
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No.7:
(4pt)

ロボットはあくまでロボットなのか

2足歩行のロボットがメディアで大々的に取り上げられたのは記憶に新しい。

ペットとしてのロボットも一般消費者にも簡単に手に入る世の中だ。

人型ロボットが人の生活の中に入り込むのは、近い。

そしてその時に人はロボットをロボットとして扱うのか。

人として扱うのか。

その問題を、小説の物語にしている。
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No.6:
(4pt)

あしたのロボット

著者の長編『パラサイト・イヴ』と『ブレイン・ヴァレー』は全く合わなかったので、著者の作品は購入をためらっていました。しかしこのページのレビューを拝見して、レビュアーの方々の評価が概ね高かったので、ダメもとで買ってみたのですが、結果としてはかなり楽しめました。本書は完成度の高い短編集だと思います。

著者の長編は、小説と言うよりは、調査結果の論文にエロシーンと終盤の破綻劇をオマケに付け加えた出版物という印象を受けていたのですが、本書は短編という制約がよい方向に働いたのか、一編一編が主題から脱線することなく、物悲しい近未来SFとして読み応えのある作品に仕上がっています。

現在の技術や社会情勢から将来実現されうるロボットの姿と、人々がSFや漫画の影響を受けて夢想するロボットの姿に深刻なギャップがあり、そのギャップが真に実用的かつ有益なロボットの実現に大きな障害をもたらしているという論理が、非常に興味深かったです。

本書に登場するロボットの専門家達は、いずれもアトムに対して異常とも言えるほどのオブセッションを持っています。それが彼らの強い動機付けになると同時に、目指すべきロボット像を偏狭にする原因にもなっているのですが、現実のロボット工学専門家も同じなのでしょうか・・・

物足りない点としては、まず近未来の話と遠未来の話を橋渡しするエピソードが欲しかったです。また、ロボット=アトムという思想に取り憑かれている登場人物達には、正直終盤になってお腹一杯という感じでした。そして、『あしたのロボット』という、まさにこの物悲しい内容を的確に表している秀逸なタイトルを、なぜあえて『ハル』という没個性なタイトルに変更したのでしょう。本書のタイトルは『あしたのロボット』以外にありえないと思いました。
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No.5:
(4pt)

そう遠くはない「あした」の話

常に独自の路線、というかテーマを追求している瀬名秀明。今回はロボット。本作の中で書かれるロボットたちは常に何らかの形で人間と関わっている。子どもの遊び相手、科学館の案内役や、地雷探査だったり。ロボットが密接に人に関わるようになったとき、何があるのか。そしてロボットに心はあるか。心というか魂、かな。リアルとSFの混同。ただ、そう遠くはないかもしれない。

 文庫版では『ハル』に改題されているが単行本版の『あしたのロボット』のほうがいい形だろう。改題した理由はあるだろうが、本作で書かれているのは現在ではなく未来。あしたの物語たちである。あした、という手が届きそうで届かないという感覚も、個人的に好きかな。

 面白いと思ったのはロボットを通じて人間の存在も見つめ直しているところだろう。これは、なかなか斬新で、かつ恐くもある。「夏のロボット」で人間を見つめ直し、最後の「アトムの子」でロボットを作ろうとする。「夏のロボット」と「亜季への扉」で感じた切なさは響く。人間以上にロボットと関わろうとしながらも感じる限界。

 そのような思いの抱きながらも限界を超えるところにたどり着きたいのかも知れない。それが人間の、その畑の人間としての思いなのか。

 長編にしてひとつの話を書くのでなく、連作中編という形で微妙にリンクしながら読めるのがなかなか。長編じゃおそらく読み応えがなかったのだろう。様々な“あした”を書きたいからこその連作集というのは、ただの設定だけじゃないはず。あとがきでも「現在を生きる私たちがどのように未来と付き合うか」と瀬名自身が記しているが、それだけ“あした”の方向性や改めて現在を見つめ直すことは必要なのだろう。このあとがきでもなかなか面白いんじゃないかと。思ったわけだが。

 これからまた小説を精力的に書いていくようで、どのような手腕を発揮してくるか、どんなテーマで書き上げるのか楽しみだ。
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No.4:
(4pt)

いい話なんだけど、希望がない…。

ロボットと人との境目は何か?ということを考えさせられた。

もしもロボットに「心」があったらどうなるだろう、そもそも「心」ってなんだ?というあたりに焦点が当てられていて、触発されて色々と考えさせられた。

自分の思考はともかく、話としてはかなり面白い。

中途半端な印象もあるが、連作だけあって、飽きがくる前にちゃんと終わる。作品ごとが独立しながらもリンクしていて、こういう連作が好きな人は多いだろうと思う。そして自分もこういう連作形式は好きなので、そこを評価したい。

全体的にまとまりがあって、クオリティが高い一冊と言えると思う。

ただ、あまり考え過ぎると、未来に希望が持てなくなる…(作品中の未来には希望があるようなないような…あるんだろうけど…)。
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No.3:
(4pt)

面白うてやがて恐ろしい

ロボットとの共生をテーマに5編の中編小説が収められており、各編の間に人類滅亡後(?)に自立するロボットを描いた作品が挟み込まれるという構成。
生まれた時にテレビがあった世代とそうでない世代で映像に対する感覚が異なるように、生まれた時にロボットがあった世代とそうでなかった世代との間にはどんな感性の違いが表れるのか。作者はそれを認知そのもの、あるいは生命のアイデンティティにまで敷衍する。幸か不幸か現在のロボット達は、私たちのアイデンティティを脅かすほどには優秀ではない。だが、近い将来そんなことを考えなくてはならない日が来るのだろうか。この作品は、面白うてやがて恐ろしい。
鉄腕アトムがあまりに強烈なインパクトで、ロボット工学の可能性を狭めてしまったという話は、興味深かった。
ところで目次を見てもう一つ考えてしまった。「ハル」「夏のロボット」「亜希への扉」、ん~、じゃあ冬はどこ?
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No.2:
(3pt)

スピリチュアルな方向さえなければ……

読んでいてちょっと悲しくなってしまったのだが、もはやロボットをネタにしてもSFにはならないのだ。ロボットそのものにはもう驚きの要素はなくて、現在の状況から演繹できる技術でしかない。本書は2002年に出た単行本の文庫化であるにも関わらず、ロボットを取り巻く状況を描いた普通小説になってしまっている。それが良いとか悪いとかではないのだが、ちょっと寂しい感じがした。
瀬名秀明と言えば、デビュー作の『パラサイト・イヴ』を読んで、せっかくハードSF風に進んでいた話が最後はオカルトになってしまってかなりガッカリしたのだが、本書でもその傾向は変わっていない。すごく調査取材をして、細部までしっかり描きこまれているにも関わらず、肝心の主題がスピリチュアルな方向に進んでしまい、拍子抜け。しっかりした土台だけ作ったところで予算が尽きた建物を見ているようだ。ただし、ロボットを介在にしたラブロマンス(?)「亜希への扉」と、ロボットを作る人間の情熱に焦点を当てた「アトムの子」はそういう「逃げ」がなく、収穫だった。
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No.1:
(4pt)

ロボットを題材にした近未来短編集

『あしたのロボット』の文庫化。収録作品は「ハル」「夏のロボット」「見護るものたち」「亜紀への扉」「アトムの子」「WASTELAND」。
 近未来、といっても、本作が描かれた2002年から10~20年くらいの“近い将来”。「ロボットとともに生きる時代を暮らし」始めたころ、「ロボット」たちと未来へよちよち歩きを始めた人間たちには、さまざまな想いがわき起こっている。「鉄腕アトム」へのあこがれ、ノスタルジア、とまどい、そして希望。
 鉄腕アトムに私たちが共感したのは、アトムの感性が人間そのものだったからだ。十万馬力のアトムは、「こころやさし」くて、「正し」い、みんなの友達だった。
 そして、近い将来、私たちの生活にいるであろう、ロボットたちは、どんな姿でーたとえばヒューマノイド型で二足歩行?感性があるのかー正義の心は?
 ロボットたちとどう共生していくのか、まだ先行きは見えないけれども、確かなことは、ロボットが私たちの日常に存在し始めたということ。その事実があるからこそ、人間とロボットの「あした」は未来へと開いていく。
 ロボットものに、情緒とナイーブな希望をのせ、瀬名秀明らしい作品に仕上がってる。
ハル (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ハル (文春文庫)より
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