神聖喜劇
評判
神聖喜劇の評価:
4.51/5点 レビュー 59件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1〜4 1/1ページ
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
神聖喜劇の評価:
4.51/5点 レビュー 59件。 A ランク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
|---|---|---|---|---|
| | ||||
| ||||
|
小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
一人の新兵が「殺人の前科者(正確には「障害致死」で本人の責任は軽いとさ
れ、執行猶予中)で」、「その上に生まれが生まれ(被差別部落出身)とこうくり
ゃ…”不祥事”がおこると、とかくたいていの奴等がその”生まれの悪い前科者
”の冬木に、目を付けて犯人(銃剣の鞘の意図的損傷)に仕立てたがる」。
差別意識丸出しの上官達は、この冬木を追い詰めていく。勿論証拠などどこに
もない。そうしてなんと「投票箱」によって冬木を犯人と確定しようとする。一
種のリンチであろう。
主人公は信頼できる者と冬木を誘い、話をし、この事件の真実を見つけようと
した。二晩かけて三人はようやく「真の犯人」らしき者を推定する。この後の流
れはいささか冗漫であるが「推理もの」としてもなかなか面白い。
論理でもって上官に立ち向かっても、冬木が犯人であるということは論理的に
無理があるとしても、冬木が犯人でると押し通す上官。
ここに至って主人公は冬木に、「軍隊内務書」の定めによる「上申」をするよ
うにすすめる。
「自己ニ対スル他人ノ取扱不条理ナルト考フルトキハ徐ニ順序ヲ経テ之ヲ事件関
係者ノ直上所属隊長ニ上申スルハ妨ゲナシ」。
また「投票」は、「犯罪ノ嫌疑者ヲ互選投票シ又ハ私ニ懲戒糾問スル等ノ行為
アルベカラズ」という規定を主人公は主張する。
だがその所属長は詭弁を弄し、なかなか今までの対応を不正義とは認めない。
しかし事態が重大となるのを防ぐべく、急速に事件の犯人捜しは終わりを遂げる。
結構迫力のあるストーリーで、本書一番の盛り上がりではないだろうか。
上記事件とは別に、部隊を離れてい犯民家の庭先にあったするめを持ち去った、
いつもイジメの対象になっている他の新兵を、上官達はまたも難癖をつける。
些細なミスにわざと「死刑相当」と怒鳴りつけ、新兵を怯えさせる。ここでの
主人公の武器は、やはり「知識」であった。「陸軍刑法」によって、このような
行動を批判する。
結局この騒ぎでも主人公は「重営倉三日」となった。理由は「陸軍軍人ニシテ
其ノ本分に背キ」。
上官の陰湿な嫌がらせは続き、主人公はすさまじいリンチをくらう。これは上
官の方が細かなどうでもとれるような規定を悪用したことによる。主人公らしか
らぬミスだろう。
さらに謎めいた事件が続く。悪質極まる上官は行方不明となる。見つけ出され
陸軍拘禁所送りとなった。その「逢い引き」の相手の女性は入水を遂げた。
ここで唐突に物語は終わる。
わずか三ヶ月ばかりの教育応召。その間の出来事を細かに描写して、大西巨人
はようやく筆を置く。
小説の漫画化を手がけた岩田和博は、本書を「戦後文学の最高傑作」と手放し
で褒めるが、どうなのだろうか。まあ小説自体を読んでいないのでどうにも言え
ないのだが、ここまで持ちあげても事実(さほど読まれているわけでもなかろう)
はそこまで評価が高いわけでもない。
ほぼ十年という長い時間を」かけて大西巨人と連絡を取りながら、この企画を
完成させたとある。途中で、「自費出版も視野におきながら」だったらしい。
「漫画化にあたり私の心がけた事は、文章は限りなく原作の意に忠実に」であっ
た。
「原作未読の方々に小説『神聖喜劇』の必読を願う…原作はまさに大自然の大河
の流れであり、本書はせいぜい田に引く川」とある。
画を描いた「のぞゑのぶひさ」は、「2005年、ほぼ十年前から描き始めた
小説『神聖喜劇』…の最後のページの作画を終え」た。「主人公東堂が『一匹の
犬』から『一人の人間』に戻る。…読者に感動を与える」。
大西巨人は、「あくまでもフィクションである点を踏まえて言えば、『神聖喜劇』
に書かれたかなりの部分は実際の”何か”」であり、事実にかなり近いことを書
き下ろしたのであろうか。
「私は、日本軍隊について(ひいては日本国家全体について)、『累々たる無責任
の体系』、厖大な責任不存在の機構」と集団の特異性を述べる。これは大西巨人
も書いているように丸山真男の言と同じである。
ただ繁雑で妙に細かいことをほじくり出す、トリビアリズムそのものの本書は、
この最終章でいくばくかのまとまりを見せている。
「あとがき」や「エッセイ」を読まなければ理解しにくいカ所が実に多い。
ゆっくり一ヶ月くらかけて、事実関係を確認しつつ読む(見る)のがいいだろ
うが、根気のない私にはさっと目を通すしかなかった。
読後感は悪くなく、「大団円」という言葉がよく似合う。
ただ、万人向けではなく、読み手を選びすぎる「観念が事実に先行する物語」。