爛漫たる爛漫:クロニクル・アラウンド・ザ・クロック
評判
爛漫たる爛漫:クロニクル・アラウンド・ザ・クロックの評価:
4.00/5点 レビュー 6件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1〜6 1/1ページ
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登場人物の個性が際立っていて、どの人物も大変魅力的です。
まずはヒロインの向田くれない。母親は音楽ライターの向田むらさきですが、原稿の締め切り前ともなると風呂も入らず部屋に閉じこもって、娘が数日外泊してうちに戻らなくても眼中にない、祖父母に娘を押し付けて子育てよりも自分を優先する、母親としては失格人間。シングルマザーで、父親が誰かも明らかにしてくれない。そんな環境で育ったせいか、くれないは母親を人間としては欠陥品とみなして、年の割にはクールで醒めた自意識の強い性格です。繊細になりすぎて、言葉の選び方が風変わりで、人付き合いが苦手。そんなことから登校拒否になり17歳だけれど高校には通っていません。絶対音感を持ち、そのことが余計に彼女を人並みはずれてデリケートにしているように見えます。
爛漫というバンドのメンバーたち。ボーカルの新渡戸利夫。”愛らしく、神々しく、眉目秀麗”。不審の残る状況で薬物過剰摂取で亡くなってしまいます。そして影に隠れて実は曲のほとんどを作っていた双子の兄、鋭夫は、作曲もボーカルもギターも利夫よりうまく、事実上、爛漫の中心でした。
一度聞いた音楽は絶対に忘れないベーシストの板垣。獅子のような髪をした酒豪で華やかなギタリストのレオ、唯一の妻帯者で落ち着いたドラムスの福澤。
そして、脇役には、くれないが実は自分の父親ではないかと思っているアメリカを拠点としているベテラン・ギタリスト岩倉。優れた才能を持つのに表情の暗い女性は、コンサートのステージ機材担当、和気。音楽業界のドン、武ノ内氏、などなど。
くれないが新渡戸利夫の死亡事故を追っていくうちに、兄の鋭夫がステージで感電事故にあい、また、和気も自殺を装った状況で殺されてしまいます。音楽業界に蔓延する薬物汚染の裏事情を描いて、音楽小説、青春小説と同時にミステリ仕立てにもなっています。また、作者は大変音楽に詳しい方らしく、各ジャンルの音楽、楽器、ミキシングなど、専門的な言葉と表現がたくさん出てきて、自分でも音楽をやっている人にはとても興味深く読めると思います。事件の解決も、音楽の専門的知識がネックになっています。自分は正直、そちらの方はよくわからないのですが、私が好きなイスラム風やインドの音楽が、絶対音感を持つ人には、ひたすら調子が狂いっぱなしとしか認識できないというのは、びっくりでした(^^;。
コンサート裏やスタジオなどの雰囲気を思い出して、とてもなつかしい思いで読みました。続編が2つあるようなので、これからそちらを読むのが楽しみです。